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第8回 ワイドレンズで海の迫力を表現する!

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ちょっとの工夫でこのうまさ 水中写真の取り方

バックナンバー

第1回 水中写真を楽しむ

第2回 シチュエーション別撮影のポイント

第3回 写真の構図の話

第4回 編集の基本

第5回 解決!ストロボ活用術

第6回 レンズの読み解き方

第7回 マクロ撮影、基礎の基礎

第8回 ワイドレンズで海の迫力を表現する!

第9回 水中写真の撮り方・アクセサリーパーツひとまとめ

第10回 イルカを撮る

第11回 ジオを撮る

第12回 旅先での陸写真の撮り方

第13回 ダイバーの撮り方

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第1回

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第2回

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第3回

第17回 冬の海を撮ろう~ワイド編~

第18回 冬の海を撮ろう~マクロ編~

第19回 浅瀬でキラキラ写真

第20回 ピント合わせの基本

第21回 マクロ撮影でのピント合わせを上達させよう!

第22回 画面構成を考える~マクロ編~

第23回 画面構成を考える~ワイド編~

第24回 背景で写真が変わる!!

第25回 ライティングを工夫する

第26回 マンタ撮影のコツ

第27回 ウミウシ撮影のコツ

第28回 回遊魚撮影のコツ

第29回 クマノミ撮影のコツ

第30回 ウミガメ撮影のコツ

第31回 ハゼ撮影のコツ

第32回 イルカ撮影のコツ

第33回 カエルアンコウ撮影のコツ

第34回 魚群撮影のコツ

第35回 ギンポ、カエルウオ撮影のコツ

第36回 地形撮影のコツ

第8回 ワイドレンズで海の迫力を表現する!

原田 雅章 みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
前回はマクロ撮影の話でしたが、連載第8回目はワイド撮影についてです。迫力のある大物や、魚群、地形の撮影などを解説していきます。
 海の広さ、迫力を伝えたいときは、やっぱりワイド写真ですよね。透明度の高い海での撮影に役立ててください。

ワイドレンズを使ってみよう

 ワイド撮影で大切なのは、写る範囲(画角といいます)の広いレンズを使用すること。陸上の撮影であれば、画面に収まりきらなければ、後ろに下がるということもできます。水中では被写体との距離が離れるほど、水の層が増え、被写体がはっきりと見えにくくなり、青カブリも濃度が増し、写真がシャープに撮影できません。そこで、接近しても広い範囲が写せるワイドレンズが役に立つのです。
 コンデジであれば、ワイドコンバージョンレンズ(略してワイコン)というものが発売されています。水中で着脱できるので、被写体に応じてセットを変更できるのがメリットです。
広い範囲を撮りたいときは、ワイコンはマストアイテムといえるでしょう
広い範囲を撮りたいときは、ワイコンはマストアイテムといえるでしょう

撮影可能範囲の違い

 写る範囲の違いを次の写真で比べてみましょう。二枚の写真は同じ位置から撮影したものです。(A)がワイコンをつけずに撮影したもの。テーブルサンゴが画面内に全部入りきらず、背景の海の部分も少なく、どことなく窮屈な印象を与えます。
 (B)はワイコンをつけ、撮影しました。サンゴを撮りつつ、背景の海の青が入り、広がりが出たと思います。このように、ワイコンは写真のシャープさを保ちながら、広い範囲を撮りたいときには、必ず使ってほしい機材です。
 さらに広い範囲を写すことができるフィッシュアイレンズというものもありますが、まずはワイコンで距離感や、ストロボの練習をするのがいいでしょう。

ワイコンなし。中途半端な広さしか写せず、広がりを感じられません
ワイコンなし。
中途半端な広さしか写せず、広がりを感じられません
ワイコンを装着。背景の海も写り、広い範囲が写し込めるように
ワイコンを装着。
背景の海も写り、広い範囲が写し込めるように

ワイコン以外に欲しい機材

 ワイドコンバージョンレンズをハウジングに取り付けると、内蔵ストロボは、レンズの大きさで隠れてしまい、これでは、ストロボの光が被写体に当たらず、きれいな色再現ができません。そこで外部ストロボを使用して撮影しましょう。外部ストロボは内蔵ストロボに比べて光量も大きく、広い範囲を照射できます。また、発光部がレンズから離れることで、浮遊物の写り込みも軽減できるので、さらにきれいな写真を撮れるようになる必須の機材です。

ワイコン以外に欲しい機材
コンデジにワイコンと外部ストロボをセットした例。見た目にはやや大きくなった感があるが、それ以上に写真のクオリティが何倍も向上する機材だと思います

僕の機材を公開します

僕がワイド写真を撮るときは、こうした機材で撮影しています。長いアームで、左右に二つのストロボをつけています。こうした長いアーム使い、レンズからストロボの発光部を離し、角度をつけてあげることで、浮遊物の写り込みを軽減することができるのです。大きなカメラを持ってワイド撮影している人達のアームが長いのは、こうした理由からなのです。 ストロボの発光部の向きは、被写体との距離で調整しています。縦位置で撮影するときは、そのまま構えると上下から発光することになるので、下側になるストロボは90度動かし、上と左右どちらかから発光させるようにしています。
アームの長さは一本40センチ。ジョイント部は必要最小限にしています

水中だとこんな感じ。見た目ほど重くないですよ

被写体別撮影のコツ

大物撮影のコツ

 最近ではマンタやジンベエザメといった大物も遭遇率が上がり、比較的出会いやすくなって、撮影のチャンスも増えました。撮影のコツは、まず落ち着くこと。冷静に動きを観察し、自分のデジカメの設定をもう一度確認しましょう。外部ストロボがしっかりと被写体に当たっているかも液晶で確認しながら撮影しましょう。あとは被写体の向きや構図を考えてジャンジャンシャッターを切りましょう!!
冷静な状況判断がうまく撮るコツといっても過言ではない!?

群れ撮影のコツ

 ギンガメアジや、バラクーダなどの回遊魚の群れから、ハナダイの仲間や、根を覆うキンメモドキなど群れといってもさまざま。共通点としては、被写体に寄ること。寄ることで、ストロボの光がしっかりと届き、きちんと色が表現できる。回遊魚はストロボの当て方を気を付けて、レンズからストロボの発光部を離した状態で撮影すると、余計な反射を防ぎ金属感のある写真になります。群れは同じ向きになっている状態で撮影した方が"群れらしさ"が強調できるので、群れ全体の動きを観察するのと、なるべく密集している部分を探して撮影しましょう。見上げるような角度で撮影して、背景に太陽を入れると、写真に奥行きが表現できます。

ギンガメアジの群れ。ストロボの角度を調整して、反射しすぎに注意しよう
色のある魚の群れは、動きを観察して密集している位置を探して撮影するといい

キンメモドキなど根を覆うように群れる魚は、背景に太陽を写すと写真に明るい雰囲気が出て奥行きが出る

地形撮影のコツ

 サンゴ礁や、真っ白な砂地、洞窟といった地形は、水中世界ならではのものですね。こうした撮影でもワイコンは役に立ちます。大物や、群れの撮影と違い、地形の撮影では、ストロボは発光させる必要がないので、発光をオフにしましょう。洞窟内は暗いときもあるので、ISO感度を上げておきましょう。こうした地形の写真は、広さが重要なので、それを強調するために、一緒に潜っているダイバーに写り込んでもらうと迫力が出ます。水中で指示を出すのは困難なので、あらかじめ潜る前に打ち合わせをしておきましょう。ガイドさんにも撮影をしたい旨を伝えておくと、はぐれることもないでしょう。
ストロボはあらかじめ発光をオフに設定しておきましょう
ワイドレンズよりもさらに広く写せるフィッシュアイレンズで撮影。独特のゆがみがサンゴ礁の広さをより一層強調してくれます
ダイバーを写し込んだ作例。サンゴ礁がどれくらいの規模で広がっているかよくわかります

パラオの代表的地形スポット、ブルーホールで撮影したもの。潜る前のブリーフィングをよく聞いて、モデルになってくれるダイバーにはどこから撮るか、どう写したいかをしっかりと確認しておこう

こんな使い方もワイドレンズならでは

 ワイドレンズは、大きな被写体、広い風景だけに使うレンズではありません。かなり近距離まで被写体に近づけるので、被写体に接近しつつ周囲の環境も一緒に写し込むという撮影方法も可能です。こうした撮影はワイドマクロと呼ばれ、一味違った雰囲気の写真を撮りたいときにおすすめです。

ワイドマクロの技法で、トウアカクマノミを撮影しました。周辺環境を一緒に写し込むことで、雰囲気の違った写真になりました

ワイド写真はテーマが大切

 ワイド写真は、ダイビング未経験の人に水中世界を紹介するには、最適な写真でしょう。だからこそ、迫力や癒しというその写真のテーマが大切になってきます。漠然と撮るだけでなく、何を表現したいかを考えながら撮影しましょう。

次回は
第9回 水中写真の撮り方・アクセサリーパーツひとまとめ
についてお話します。

皆さんの疑問、質問にお答えします!!

「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
ご応募はこちらの窓口から!ご意見・ご感想からお寄せください

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原田 雅章Masaaki Harada

原田 雅章 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』、『マリンフォト』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は20年、約4000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。

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