
DIVINGスタート&スキルアップBOOK 2015
みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
今回は、最近耳にすることが多くなった「ジオ」をテーマに撮り方を紹介していきます。
「ジオ」とはギリシャ語で、地球や土地といった意味を表す言葉だそうです。
その地球の7割を占める海中は、陸上とは違った地球の姿を見ることができます。ぜひ撮影にチャレンジしてみてください。
広い風景を撮影する場合、ストロボは不要です。ストロボを発光しても、被写体まで光が届かず、意味を成しません。外部ストロボも必要ないですし、内蔵ストロボも発光禁止に設定しましょう。例えば、洞窟内などは、岩肌があまりきれいではありません。壁一面にソフトコーラルがびっしりという状況なら、ストロボを発光してもいいでしょうが、作例のような状況では、あまりきれいとはいえません。そこで、ストロボを発光させず撮影すれば、すっきりとした作品になります。
水面付近や、暗い洞窟内での撮影が多くなりがちなテーマなので、ISO感度も高めに設定しておきましょう。そうすることでシャッタースピードが速くなり、手ブレを防げますし、絞りを絞って全体にピントの合った作品にすることも可能になります。
ジオ=地形撮影は広い風景がメイン被写体になりますので、広く撮影できるワイドレンズを用意しましょう。デジイチならば20mmよりも短い(数字の小さい)広角レンズ、コンデジやミラーレス一眼であれば、ワイドコンバージョンレンズを利用して、広い範囲を写せるようにしましょう。また、ワイドコンバージョンレンズ以上に広い範囲を写せるフィッシュアイレンズもおすすめです。独特のゆがみや、見えている範囲以上に広く写るなど、クセのあるレンズですが、使いこなすとそれまでとまったく違った景色が見えてきますよ。
立てるほどの水深は、タンクを背負って潜るときには、「通過点」でしかないかもしれませんが、水面下には美しい世界が広がります。水面でキラキラと反射した太陽は、砂地に不規則な模様を作り出します。これも陸上では見ることができない、太陽と海が作り出した風景ですから、ぜひ撮ってみてほしい「ジオ」と言えると思います。
「ジオ」といったら、必ず撮りたいのが、洞窟などの地形写真。地球が作り出したその独特の風景は、冒険心をくすぐりますね。陸上であれば、それなりの装備と経験が必要そうな風景も水中ならば、簡単に行くことができます。コツとしては、画面に黒い部分をあまり入れないこと。明るい青い部分が少ないと、暗いイメージになりますし、手ブレを起こす確率もグンと上がってしまいます。黒い部分がほんの少しでも画面に写っていれば、洞窟内であるということを認識できますから、青い部分をどれだけ写すかということを意識しながら撮影しましょう。
ピントは、コントラストの強いところで合わせてフォーカスロックの状態で撮影をしましょう。右写真だったら画面上部の光が差し込む洞窟のフチに合わせるといいです。
洞窟内での撮影で、ぜひ試してほしいのが露出補正です。つまり写真の明るさを変えるということ。難しそうに感じるかもしれませんが、操作は簡単。デジカメに表示されているプラスとマイナスの書かれたボタンを操作するだけ。Aの写真は、オートでカメラ任せに撮ったもの。光のにじみ具合がさほど大きくありません。Bは露出補正をして、プラス1補正したもの。光のにじんでいる範囲が広がっているのがわかるでしょうか。洞窟内での撮影の場合は、プラス側に操作すると、こうした効果が簡単に作れますので、おすすめです。ただし、プラス補正することで、さらに手ブレしやすくなるので、注意しましょう。
今回はジオ=地形撮影について話をさせていただきました。日射しの強いこの時期におすすめの撮影テーマだと思います。ぜひチャレンジしてみてくださいね〜。
次回は
第12回 旅先での陸写真の撮り方
旅行先で宿泊する部屋、食事、ビーチなど陸の撮影のコツをお届けします。お楽しみに!
皆さんの疑問、質問にお答えします!!
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』、『マリンフォト』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は20年、約4000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。