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第12回 旅先での陸写真の撮り方

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ちょっとの工夫でこのうまさ 水中写真の取り方

バックナンバー

第1回 水中写真を楽しむ

第2回 シチュエーション別撮影のポイント

第3回 写真の構図の話

第4回 編集の基本

第5回 解決!ストロボ活用術

第6回 レンズの読み解き方

第7回 マクロ撮影、基礎の基礎

第8回 ワイドレンズで海の迫力を表現する!

第9回 水中写真の撮り方・アクセサリーパーツひとまとめ

第10回 イルカを撮る

第11回 ジオを撮る

第12回 旅先での陸写真の撮り方

第13回 ダイバーの撮り方

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第1回

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第2回

集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第3回

第17回 冬の海を撮ろう~ワイド編~

第18回 冬の海を撮ろう~マクロ編~

第19回 浅瀬でキラキラ写真

第20回 ピント合わせの基本

第21回 マクロ撮影でのピント合わせを上達させよう!

第22回 画面構成を考える~マクロ編~

第23回 画面構成を考える~ワイド編~

第24回 背景で写真が変わる!!

第25回 ライティングを工夫する

第26回 マンタ撮影のコツ

第27回 ウミウシ撮影のコツ

第28回 回遊魚撮影のコツ

第29回 クマノミ撮影のコツ

第30回 ウミガメ撮影のコツ

第31回 ハゼ撮影のコツ

第32回 イルカ撮影のコツ

第33回 カエルアンコウ撮影のコツ

第34回 魚群撮影のコツ

第35回 ギンポ、カエルウオ撮影のコツ

第36回 地形撮影のコツ

第12回 旅先での陸写真の撮り方

原田 雅章 みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
今回は、陸上での写真を解説します。ダイビング旅行といっても、その大半は陸上にいることがほとんど。せっかくのきれいな風景を撮らないなんてもったいない!!そこで今回は、ワンランク上を行く旅写真のコツを解説します。
ぜひ撮影にチャレンジしてみてください。

水中だけでなく、陸上の写真もきれいに撮ってみよう!!撮影地:モルディブ
水中だけでなく、陸上の写真もきれいに撮ってみよう!! 撮影地:モルディブ

作画に集中しよう

陸上写真は、デジカメに任せられることが水中写真に比べて多いので、オートでバンバン撮ってみましょう。各デジカメに搭載されているシーンモードをうまく利用しても、いいでしょう。露出や色合いはデジカメに任せ、その分、撮影者は、構図とシャッターチャンスに集中しましょう。特に広く写せるワイドレンズは、ちょっとした角度の違いで写る範囲が変化し、印象が変わってくるので、何を写すか、写さないかを考えながら撮影しましょう。
下の2枚は、同じ位置から横位置と縦位置で撮影したもの。デジカメの構え方を変えるだけで印象は大きく変わります。こうしたちょっとした変化でも撮影中というのは忘れがちなもの。普段から意識して撮影できるといいですね。

【横位置】
【横位置】
ビーチを横位置構図で撮影。空の部分を多く入れ広がり感を出した
【縦位置】
【縦位置】
縦位置に構え直し撮影。ビーチが画面内で占める割合を多くし、奥行きを意識して撮影
撮影地:インドネシア(2点とも)

ポイント陸上でフィッシュアイレンズを使ってみる

その独特のゆがみが特徴のフィッシュアイレンズ。水中で使うとあまり違和感なく使用できますが、水平線や、人工物が歪んで写ってしまう陸上では、そのゆがみゆえに湾曲した描写になってしまいます。こうした写真は、好みの分かれるところです。僕も建物などが写る場合は使用することは少ないのですが、海で水平線をあえて湾曲させて、「地球の丸み」といったイメージで使用することはあります。このとき意識しているのは、水平線のカーブ具合。ちょっとした角度でゆがみが変化するので、ファインダーを覗きながらデジカメを上下左右に動かして構図を決めます。 フィッシュアイレンズをお持ちの方は、ぜひ試してみてください。

独特のゆがみが持ち味のフィッシュアイレンズ。陸上で使うには、ある程度の慣れが必要
あえて水平線を丸くゆがませて、海の広さを表現 撮影地:パラオ

宿泊先を撮る

 リゾートに泊まったら、きれいにベッドメイクされた部屋も撮りたいところですね。下の2点の写真は写真全体の色合いが異なります。実はこれ、ホワイトバランスの設定を変えただけ。Aの写真は、ホワイトバランスをオートの設定のまま撮ったもの。見た目通り白い壁は白く写っています。Bはホワイトバランスを曇りのマークに合わせたもの。曇りのマークは、全体に暖色にカラーバランスを変化させるように設定されているので、暖かみのある雰囲気の写真になります。
 どちらが好みかは、見る人によって違うと思いますが、僕個人としては、Bの写真の方がムードとか、暖かい感じとかが出て好きな色合いです。

ホワイトバランスはオートのままで撮影。明るく清潔感を感じる写真に
ホワイトバランスはオートのままで撮影。明るく清潔感を感じる写真に
ホワイトバランスを曇りに変更。暖かみと柔らかい雰囲気を演出
ホワイトバランスを曇りに変更。暖かみと柔らかい雰囲気を演出
撮影地:インドネシア(2点とも)

料理も撮ってあげよう

 旅の楽しみの一つにおいしい食事を挙げる方も多いでしょう。きれいに盛り付けられた料理は、それ自体が作品のように美しいですね。また、その地域独特の料理も、いい思い出になりますから、撮ってみましょう。
まずは撮影する場所。おすすめは直射日光の当たらない窓際。この場所は日向ほど影が強くなく、明るいので、きれいな写真が撮れます。そして窓の位置が横、もしくは撮る位置から見て向こう側になるようにします。つまり、サイドからの光か逆光の状態で撮影します。この方が料理に立体感が出てよりおいしそうに見えます。
 次にデジカメの設定ですが、ストロボは発光させません。発光禁止に設定しましょう。ストロボが光ると、立体感が乏しく、なおかつ影が強い写真になってしまいます。また、マクロモードにセットしておくと撮影のためにいちいち立ち上がってテーブルから離れてということもありません。少しズームをT側(望遠側)にシフトしてお皿の縁を切るのもおいしそうに見えるコツです。
 とは言え、あまり撮影に時間をかけすぎるのも考えもの。撮影するときは、お店に一言声をかける方がいいでしょうし、周りのお客さんにも迷惑をかけないように気を配りたいもの。おいしいものはおいしいうちに食べましょうね。

マクロモードはこういった撮影でも役に立つ機能だ
マクロモードはこういった撮影でも役に立つ機能だ
色味と位置を考えて撮影。さっと撮れるようにデジカメに慣れておこう
色味と位置を考えて撮影。さっと撮れるようにデジカメに慣れておこう

一日の終わり、夕景を撮る

 サンセットタイムもきれいな写真が撮れる時間帯。夕日そのものもいいですが、オレンジから夜の濃紺に変わる空の色を再現してみましょう。このとき、デジカメのホワイトバランスをオートではなく、太陽光にセットすると色が美しく表現できます。また、手前にヤシの木や、人物などをシルエットで入れても写真に変化が出るので、明るいうちから夕涼みを兼ねて撮影地を探しておきましょう。

日没後の空の色のグラデーションを撮影。手前にヤシの木のシルエットを入れてみた。撮影地:ニューカレドニア
日没後の空の色のグラデーションを撮影。手前にヤシの木のシルエットを入れてみた。
撮影地:ニューカレドニア

写真が明る過ぎ、または暗いときは

 水中だけでなく、陸上の撮影でもデジカメの指示通りの撮影では、作者のイメージと異なる場合があります。そんなときに利用してほしいのが露出補正機能です。ダイヤルで変更したり、ボタンで設定したり、機種により方法は異なりますが、撮影の設定をより明るく、またはより暗く表現することができます。光の反射が強いビーチや、窓から強い日射しの入る客室など、露出補正が必要な条件というのは、結構ありますので、操作を覚えておくといいでしょう。

撮影者のイメージと、出来上がった写真の明るさが違うときは、露出補正機能を利用しよう
撮影者のイメージと、出来上がった写真の明るさが違うときは、露出補正機能を利用しよう

まとめ

いかがでしたか。水中写真ももちろん撮っていただきたいのですが、時間の制約が少ない陸上での写真こそ、写真上達の近道です。いつでも撮れるようにデジカメを持ち歩いてほしいですね。

次回は
第13回 ダイバーの撮り方

一緒に旅行に出たバディを写り込ませることで情景や、生き物のサイズが鮮やかに表現できます。お楽しみに!

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原田 雅章Masaaki Harada

原田 雅章 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』、『マリンフォト』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は20年、約4000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。

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