
DIVINGスタート&スキルアップBOOK 2015
みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
今回は、写真撮影の基礎、ピント合わせについてお話します。
これから水中写真デビューの人はもちろんですが、すでに撮影したことがある人も、もう一度確認してほしい基本操作です。
まずは、デジカメをどう操作すると、ピント合わせを行なうかを理解しましょう。デジカメは、コンパクトデジカメでも、一眼レフでもシャッターボタンを「半押し」することで、ピント合わせと写真の明るさと決める露出値を決定します。この半押しをしっかりマスターしてピントの精度を向上させましょう。
電源が入った状態のデジカメのシャッターレバーに指をかけます。右手の人差し指で押しやすいように設計されていますので、しっかり保持しましょう。このとき、左手でもデジカメを支えるのが、デジカメをぶらさないコツです。
次にシャッターレバーを静かに押します。この時全部押し切らず、ピント合わせをデジカメが行なう位置まで押すのが「半押し」です。押し込む深さは、デジカメによって異なりますので、お持ちのデジカメで練習しましょう。この半押しをすると、デジカメはピント合わせを行ない、ピントが合うとランプや音で知らせてくれます。このサインが出たらシャッターレバーを押し切ります。ピントが合ったサインが出てから、シャッターを切るまでに時間がかかると、被写体との距離が変わり、ピントがずれてしまうので、素早く行ないましょう。
デジカメを保持し、シャッターレバーに指をかける。レバー式やボタン式もあるが、しっかりデジカメを持ち人差し指でシャッターを切るのは、どの機種も同じ
電源の入ったデジカメ。ピントを合わせる四角い枠が中央に表示されている
シャッターレバーを全部押し切らず、ピント合わせが作動する深さまで押す。これが半押しの作業
半押ししてピント合わせをデジカメが行なうと、測距し、ピントが合ったことをランプや音で知らせる(この場合は、四角い緑の枠が点灯する)
シャッターレバーを押し切る。あまり強く押すとカメラが揺れてしまうので、やさしくソフトに
ピントが合った写真が完成!!
デジカメを買ったときに同梱されていた、取り扱い説明書、略してトリセツ。開いたことありますか?トリセツには写真撮影がうまくなるヒントがたくさん書かれています。今回ピント合わせに関して、ぜひ見てほしいのが、トリセツの最後の方に書かれている「スペック」とか、「諸元表」「主な仕様」などと記載されているデジカメの性能を説明したページ。その中でも「撮影距離範囲」や「撮影可能範囲」といった項目。この数字がそのデジカメのピントを合わせられる範囲です。
たとえば写真のデジカメを例にすると、マクロモードに設定していない、標準の撮影時は45センチ。これ以上被写体から離れないとピントが合わない構造ということです。これを知らずに被写体に近寄ってしまっては、ピントは合わないわけです。ですので、自分のデジカメの性能を知ることで、どこまで被写体に近寄って撮影できるかがわかりますので、早速チェックしてみてください。
デジカメには、ピント合わせができる範囲が限られているので、取り扱い説明書で確認しましょう
ピントが合っているはずなのに、なんとなくピンボケっぽいという経験はないですか?それはもしかしたら、手ブレや、被写体ブレが原因かもしれません。ところで、手ブレと被写体ブレの違いはご存知ですか?手ブレはシャッターを切るときに、デジカメが動いてしまい、画面全体がブレてしまう失敗。デジカメの持ち方が片手だったり、不安定な姿勢だと起こりやすいです。被写体ブレは、デジカメはしっかり固定できて背景は止まっているのに、被写体だけがブレて写ってしまう失敗。どちらもシャッタースピードが遅いと起こりやすくなるので、ISO感度を高くして、速いシャッター速度で撮れるように設定しましょう。
コンティニュアスオートフォーカスにすれば、被写体との距離が一定でなくてもピントをデジカメが調整してくれる
撮りたい被写体はウミウシや、カエルアンコウのように、動きの遅い生き物だったり、サンゴ礁のような動かない被写体ばかりではありません。マンタや群れなどの動く被写体もたくさんいます。中性浮力で浮きながら撮影するようなシーンもあるでしょう。そんなとき、半押しをしてもすぐに被写体との距離が変化してしまい、ピントのばっちりあった写真が撮れなくなってしまいます。ではどうやって動く被写体にピントを合わせるのでしょう。その都度半押しを再度繰り返せばピントが合った写真を撮れなくもないですが、その前にシャッターレバーを抑える指がつりそうです。ですので、そんなつらい撮り方はせず、デジカメの設定を変更しましょう。通常の半押しをしてピントが合うとシャッターが切れるピント合わせの方式を「シングルオートフォーカス(S-AF)」といいます。これを「コンティニュアスオートフォーカス(C-AF、メーカーにより呼称が異なります)」に変更するだけです。これは、半押ししている間、フォーカスフレーム(ピントを合わせる枠)が向いている位置にある対象物にピントを合わせ続けてくれる便利な機能です。フォーカスフレームさえしっかり被写体を捉えていれば、デジカメがピントを調整してくれるので、泳ぎながらでも、被写体が動いても大丈夫。筆者もよく使っている機能です。ただし、注意したいのは、シングルオートフォーカスと違い、ピントが合っていなくてもシャッターが切れてしまうこと。ですので、撮影者がピントが合っているかを判断してシャッターを切ることが大切になります。
中層を泳ぎながらの群れの撮影といった被写体との距離が変化する撮影状況でもピントはしっかりと合っている
ピントと露出は合っていて当然というくらい、デジカメの性能が向上しています。あとはそれを操作する撮影者がどう使いこなすかが大きなポイントです。
陸上でもできるので、家で何度も練習してみてください。
次回はピント合わせのマクロ編。
ピントが合わないとお嘆きのマクロにコツをお教えします。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』、『マリンフォト』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は20年、約4000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。