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ちょっとの工夫でこのうまさ 水中写真の撮り方
第32回 イルカ撮影のコツ

ちょっとの工夫でこのうまさ 水中写真の撮り方

第32回 イルカ撮影のコツ

みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
この連載では、人気の被写体ごとに撮り方のコツを解説しています。
ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
今回はスキンダイビングで出会える人気者、イルカの撮り方です。

美しいフォルムをきれいに撮りたい 撮影地:バハマ

美しいフォルムをきれいに撮りたい
撮影地:バハマ

3点セットを考える

普段はスクーバダイビングでの撮影アドバイスですが、今回は被写体がイルカなので、撮影スタイルもスキンダイビングになります。まずはスキンダイビングをするための道具を考えましょう。実際に僕が撮ってみてスクーバダイビングと大きく異なると思うのは、呼吸とフィンキックです。水面でのスノーケルによる呼吸ですので、呼吸しやすいスノーケルを選ぶほうがいいと思います。また、フィンも硬めのフィンは、水面での推進力に無駄が多いので、柔らかめのフィンのほうがいいと思います。まずはそうした器材を準備してみましょう。

デジカメを準備する

デジカメも通常の水中撮影とは、設定が変わってきます。コンデジであれば、広く撮れるワイドコンバージョンレンズ、一眼レフやミラーレス一眼ならばワイドレンズを用意しましょう。イルカは状況によっては、すごく近くまで寄れることもあるので、あまり狭い画角(写る範囲)ではきれいなフォルムを撮ることができません。そのため広い画角で撮れる機材が必要になります。

また、デジカメの設定ですが、水面というのは、意外と揺れるものです。手ブレや被写体ブレを防ぐためにも、シャッタースピードが1/250秒以上の速度で撮れるように、ISO感度を高めに設定しましょう。海況やエリアによって明るさが異なるので、ISO感度の数値は変わってきますが、ISO400くらいでも、今のデジカメは画像の荒れはでませんので、高い感度に設定してブレを防ぎましょう。

ストロボは、内蔵ストロボも外部ストロボも使いません。内蔵ストロボの発光モードは、発光禁止にしておきましょう。そして、何枚も撮れるように、連写モードに変更しておきます。オートフォーカスも、動いている被写体相手ですので、コンティニュアスオートフォーカスに切り替えておきましょう。これでデジカメの準備はバッチリです。

イルカ撮影ではワイドに撮れるレンズが必携。ワイドコンバージョンレンズやワイドレンズを準備しよう

ISO感度は普段オートに設定している人も、速いシャッタースピードで撮影できるように、ISO400くらいにセットしよう。自動的に感度が高めにセットされる機能がついているデジカメはその設定でもいいだろう

内蔵ストロボは発光禁止に。外部ストロボやアームも外して軽量なセットにしておこう

シャッターを一回押して何枚も撮れる連写モードに切り替えておく

動く被写体に対応できるように、コンティニュアスオートフォーカスに変更しておくこと

どの角度からでも絵になる被写体

イルカは、どんな位置から撮影しても絵になる優良モデルです。作例のように、シルエットで撮ってもイルカとわかりますし、通り過ぎたあとに尻尾を強調して撮影するのもいいと思います。ですので、イルカの撮影では、どんどんシャッターを押してたくさん写真を撮りましょう。撮ったときには失敗だと思っていたカットも、あとでよく見たらいい雰囲気だったということもありますから、失敗写真も削除せず残しておきましょう。

イルカよりも深く潜り見上げれば、シルエットの写真は比較的簡単に撮れる。色を排除した分、きれいな形を再現したい
撮影地:バハマ

イルカが通り過ぎたあとに撮影。尻尾の形の美しさを表現してみた
撮影地:バハマ

タイミングを合わせよう

イルカ撮影は基本的にスキンダイビングでの撮影。呼吸を止めて潜るので、撮影時間はスクーバのとき以上に限られます。そのわずか数十秒の間にイルカを撮るためには、イルカの動きを予測して、自分が潜るタイミングをうまくあわせましょう。イルカが接近してきたタイミングで苦しくなって浮上してしまっては、シャッターチャンスを逃してしまいます。やみくもにスキンダイビングで潜るのではなく、タイミングを見計らって撮影しましょう。

イルカがこちらへやってくるタイミングを計りながら、スキンダイビングで海に潜る。タイミングが早すぎても遅すぎてもいい写真が撮れない
撮影地:ハワイ島(3点とも)

まとめ

イルカは、いつものスクーバでの撮影と違い、スキンダイビングのスキルがかなり写真に影響する撮影です。イルカ撮影の前にスキンダイビングが練習できるところがあれば、ぜひ水に慣れておくほうがいいでしょう。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!

次回は、カエルアンコウの仲間の撮り方です。比較的動かず、表情のある魚なので、初心者からベテランまで水中写真の練習にピッタリの生き物です。ぜひ今度の撮影前に参考にしてみてください。

皆さんの疑問、質問にお答えします!!

皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!

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原田 雅章
1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』、『マリンフォト』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は20年、約4000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。

次回更新予定日 2016年6月2日

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