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ちょっとの工夫でこのうまさ 水中写真の撮り方
第38回 浅瀬撮影のコツ

第38回 浅瀬撮影のコツ
みなさん、こんにちは。カメラマンのはらだまです。
この連載では、人気の被写体ごとに撮り方のコツを解説しています。
ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
今回は明るい白砂の浅瀬や、サンゴ礁など浅い水深での撮り方です。ダイビングだけでなく、スノーケリングでも撮れる水深なので、明るい写真を撮ってみましょう。

モルディブの浅瀬で見られる、パウダーブルーサージョンフィッシュの群れは、ぜひ写真に収めたい浅瀬の被写体だ
撮影地:モルディブ
ストロボはオフが基本

基本的にストロボは発光禁止にしておく
浅い水深というのは、意外と撮影しないものです。ビーチエントリーで通過したり、ランチ休憩でビーチに上陸することはあっても、浅瀬で撮影しようという人は少ないかもしれません。しかし、浅瀬は太陽光が強く、キラキラとした明るい水中写真が撮れるすばらしい環境です。ぜひチャレンジしてほしいものです。デジカメですが、陸上に近い太陽光の強さですので、ストロボを使用しなくても撮影ができます。ストロボを発光してしまうと、舞い上がった浮遊物や、波でできた泡などがハレーションを起こすこともあるので、ストロボは発光禁止で撮りましょう。ただし、数メートルの水深でも青カブリを起こすので、気になる場合は、作例のようにストロボのありなしを撮るのもいいでしょう。

ストロボを発光せずに撮影した作例。やや青カブリしているが、浅い水深の明るい青が再現できている

同じ場所でストロボを発光して撮影。色合いは個人の好みによるので、両方撮影しておくのもいいだろう
撮影地:ケラマ諸島(2点とも)
ワイドレンズを用意する
浅瀬の撮影では、ワイドレンズやワイドコンバージョンレンズをつけたデジカメがほしいところです。コンデジ本体や、ミラーレス一眼のズームレンズでは画角(写る範囲)が狭く、広さを表現しづらいためです。また、フィッシュアイレンズのような超広角レンズも、画面奥が丸くゆがんだ写真が撮れるので、違った雰囲気の写真が撮れ、おすすめです。

コンデジやミラーレス一眼では、ワイドコンバージョンレンズを用意したい。フィッシュアイレンズもいいだろう

一眼レフユーザーは、ワイドレンズやフィッシュアイレンズをドームポートと一緒に準備しよう
サンゴの撮影は、接触しないように注意

サンゴの撮影では、さまざまな角度から撮ってみよう
撮影地:宮古島
浅瀬の被写体として、サンゴ礁を撮ってみましょう。潮位の干満差によって、水深は異なりますが、ダイビングでも、スノーケリングでも、フィンやゲージなどの器材がサンゴに当たらないように注意して撮影しましょう。ダイビング中であれば、BCに空気を入れて、浮力を確保しながら撮影するといいと思います。また、色や形などさまざまなサンゴがあるので、撮影位置や角度を変えて撮ってみてください。
浅瀬の砂地は砂紋とキラキラがポイント

浅い砂地を、フィッシュアイレンズを使用して、撮影。砂紋と水面のキラキラとゆらめく光を写そう
撮影地:パラオ
立てるほどの浅い水深の白砂のビーチも、明るい水中写真が撮れる場所です。作例では、フィッシュアイレンズを使用して、画面奥を丸くゆがませています。また、太陽の向きに注意して、海底の砂紋と、水面の太陽光のキラキラをうまく写せる角度を探しましょう。このとき、あまり明るすぎると光のゆらめきや、白砂のようすが表現できなくなるので、その場合は露出を補正して撮りましょう。ワイドレンズやフィッシュアイレンズは、少しの角度の違いで印象が大きく変わりますので、いろいろな向きを試してみましょう。撮影時は、自分のフィンや影が画面に入らないように気をつけてください。
イメージ優先で青カブリを利用する

浅瀬のデバスズメダイをストロボは発光させずに撮影。青カブリが被写体をより青く表現し、イメージに近い写真になった
撮影地: ケラマ諸島
被写体が生き物の場合、青カブリしてしまうと、本来の色が表現できません。しかし、作例のような浅瀬のデバスズメダイなどは、あえてストロボを使わず、青カブリさせて撮影しています。実際の色よりも青く写っていますが、浅く明るい海のイメージを考えると、こういった色合いもいいのではないでしょうか。
半水面写真にチャレンジ!!

半水面写真は、浅瀬で撮りたい水中写真の一つ。ポートに水滴がつかないように注意したい
撮影地:パラオ
浅瀬の写真でぜひともチャレンジしてほしいのが、陸上も水中も一緒に写った半水面の写真です。一眼レフの大きなドームポートやフィッシュアイレンズなど、レンズ部分の面積が広く水と接するほうが、撮りやすいです。波の穏やかな場所や、水中か陸上かどこにピントを合わせるかなど上級者向けの撮影になりますが、一味違った写真が撮れるので、ランチ休憩で、ビーチに上陸したときなど、時間をかけてじっくり撮影してみてほしいですね。
まとめ
浅い水深はダイビングでは「通過点」と考えられがちですが、太陽光も多く降り注ぎ、明るい写真が撮れるので、おすすめの水深です。サンゴや砂地など「逃げない」被写体ですので、ワイドレンズやフィッシュアイレンズでじっくり撮影してみましょう。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
次回は、エビ・カニの仲間の撮影のコツです。ぜひ今度の撮影前に参考にしてみてください。

- 原田 雅章
- 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は23年、約4500本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。
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