
上手くなる!水中写真
みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
ワイドレンズで迫力ある水中写真を撮ろう
撮影地:パラオ
陸上での撮影であれば広い風景などを撮影したいときに、画面に入りきらなかったら、被写体との距離をとることで、全体を写すことができます。しかし水中で被写体と離れることは、水の層が増え、浮遊物の写り込みや、ストロボの光が届かなくなるなど、良策とはいえません。そこで近距離でも広く撮れるワイドレンズが必要になってくるのです。今回は2回に分けてワイドレンズの使いこなしについて解説していきます。
大きな被写体を画面に収めようとしたあまり、被写体との距離が遠くなり、青カブリしてしまった
撮影地:モルディブ
コンデジや一部のミラーレス一眼の場合、ワイドコンバージョンレンズ(略してワイコン)と呼ばれるレンズを使って写る範囲(画角)を広くすることができます。これはハウジングの外に取り付けるので、被写体に応じて着脱できます。ただし、直径が大きく、内蔵ストロボの発光部を隠してしまうので、新たに外部ストロボをセットすることをおすすめします。また、レンズ自体をワイドレンズに交換する一眼レフやミラーレス一眼では、レンズに対応するドームポートと呼ばれる半球型のポートが必要になります。
コンデジにワイコンを取り付けた例
ワイドレンズ使用時の注意
ワイコンをセットしたとき、画面の四隅に黒い影ができてしまうことがあります。これはケラレと呼ばれる現象で、ワイコンの一部が写り込んでしまったために起こります。解消法としては、デジカメのズームを少しだけテレ(望遠)側に動かし、画面内に写らなくしてあげることで解消します。あまり極端にズームを動かしてしまうとワイコンの効果がなくなってしまうので、ほんの少しがコツです。また、ドームポートの場合、レンズとポートの光学的な屈折によって、周辺部で、画像が流れるように見える現象が起こる場合もあります。これは絞りを絞ることである程度解消されますが、各メーカーのシステムチャートを確認して、使えるレンズをチェックするといいでしょう。
四隅の赤丸がケラレと呼ばれる現象
少しだけテレ側にズームすると解消できる
ドームポート使用時は周辺の画質に注意
画面の隅を拡大すると、うまく結像していないのがわかる
通常陸上の撮影で、ワイドレンズでの撮影で、風景や大型の動物を撮影するときにストロボを使用することは滅多にありません。しかし、水中写真では、被写体の大きさに関わらず、その被写体の色を再現するためにストロボが必要になります。マクロ撮影であれば、被写体までの距離が近いので、浮遊物の写り込みは少ないのですが、ワイド撮影の場合、被写体まで距離があり、なおかつ広範囲に光を当てる必要があるため、ストロボのライティングが写真の良し悪しを決める要素の一つになってきます。浮遊物の写り込みは、ストロボをレンズから離して発光させることで、軽減することができます。海で長いアームでストロボを離して撮影している人がいるのはそのためです。アームやストロボの位置を変えながら浮遊物の写り込みが少ない位置を確認するといいでしょう。
筆者の基本ライティング。発光部はポートよりも後ろになるように調整している
今回はワイド撮影の機材準備について解説しました。マクロ撮影以上にさまざまな注意点があるワイド撮影ですが、基本をしっかりマスターすれば難しくはないと思います。特にライティングは自身で試してみて、ストロボの位置を確認してみてください。
次回はワイド撮影のコツについて解説します。ワイドレンズの特徴を生かした撮影法を知ることで、ワンランク上のワイド写真を目指しましょう。次回もお楽しみに。
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次回更新予定日 2017年8月2日