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水中写真がうまくなる!!
第15回 きれいなビーチを一工夫して撮る!!

水中写真がうまくなる!! ~プロが教える撮影テクニック~

みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。

ダイビングの合間に、ビーチの写真もきれいに撮ってみよう
撮影地:モルディブ

陸上写真もたくさん撮ろう

水中写真を楽しんでいる方の中には、あまり陸上で写真を撮らないという声を耳にします。せっかくきれいなビーチにいるのに写真を撮らないなんてもったいないと思いませんか? スマホでカシャッでも気軽でいいですが、せっかく高性能のデジカメを海に持って行っているのですから、デジカメで撮影してみましょう。

こんなきれいな風景に出会えたら、きちんと写真を撮りたいもの
撮影地:モルディブ

デジカメを準備しよう

きれいなビーチフォトを撮るなら、やはりスマホでなく、デジカメで撮ってもらいたいものです。デジカメはコンパクトデジカメでも、ミラーレス一眼や一眼レフでもどの機種でもOKです。大切なのは、レンズの写せる範囲(画角といいます)です。広い風景を撮影するので、35mm判換算で24mmくらいよりも小さい数字のレンズで撮るといいと思います。この「35mm判換算」という言葉は聞き慣れないと思いますが、取り扱い説明書に記載されているので、確認してみましょう。ただし、水平線が丸くゆがんでしまうフィッシュアイレンズはあまりおすすめできません。

取り扱い説明書を見ると、レンズの画角を表示してあるので確認してみよう

横位置だけでなく縦位置でも撮ってみよう

デジカメで撮影すると、つい横位置の写真が多くなっていることはありませんか? 横位置を撮影したあと、縦位置でも撮影してみましょう。横位置の構図は、左右に広くなるので、横の広がりを感じる構図になります。デジカメを縦位置に構えると、天地の長さが長くなり、奥行きを感じることができます。横位置、縦位置とそれぞれ撮ってみると、印象の違う写真が撮れますので、試してみてください。

横位置でデジカメを構えて撮影。海の青が多く写り込み、広さを感じる

同じ位置から縦位置で構えて撮影。海の青が画面に占める割合は減るが、遠くまでビーチが続いている様子が感じられる
撮影地:インドネシア・ロンボク(2点とも)

画面にアクセントをつけてみよう

ただ白砂のビーチを撮ってみても、単調になってしまうことがあります。そこで画面内でアクセントになるものを一緒に写してみましょう。例えば人物や動物を一緒に写すのもいいでしょう。また、作例のように、ヤシの木の影を写しこんでみるのもおすすめです。ヤシの木は「南の島」をイメージさせる植物なので、影だけでも写しこむと南国感がグッと上がります。

白砂のビーチだけを撮影。きれいなビーチだが、アクセントに乏しく、シンプルな感じ

向きを変えてヤシの木の影を写し込んでみた。影がアクセントになり、違う印象に
撮影地: ニューカレドニア・イルデパン(2点とも)

露出補正を利用してみよう

ビーチを撮影すると、実際よりもやや暗めに撮影してしまうことがあります。これはデジカメ内の明るさを測定する機能が、強い太陽光の反射するビーチに反応して起きてしまう現象です。撮ってみて、自分の印象よりも暗く写っていると感じたら、露出補正機能を使ってみましょう。下の写真では、一枚目はデジカメの示した露出値で撮影したものです。このままでも十分きれいなビーチフォトですが、二枚目はプラス0.7という値で明るくなるように設定し撮影しました。ビーチの白砂がより明るくなり、自分が見た印象に近い明るさになりました。このように、露出補正機能を利用すると、イメージに近い写真が撮れますので、使ってみるといいでしょう。

デジカメの示した露出値でそのまま撮影したもの。白砂の部分など若干色が濃い印象

プラス0.7露出補正を設定して撮影。白砂の明るさなど、イメージに近い明るさになった
撮影地: パラオ(2点とも)

デジカメの露出補正機能を使って、イメージに近い写真の明るさに調整してみよう

ワイドだけがビーチフォトじゃない!

ビーチというと、広い風景を写すイメージが多いですが、小さな被写体に目を向けると、新たな発見があるかもしれません。作例のような被写体であれば、低い姿勢で、被写体と同じ目線で撮影すると、雰囲気のよい写真が撮れると思います。低い姿勢になるので、砂や海水に注意して撮ってください。また、液晶画面の角度が変えられる機種であれば、より楽な姿勢で撮影することができるでしょう。

近接撮影が得意なデジカメなら、こうした小さな被写体も簡単に撮れる。防水デジカメだとなお安心だ
撮影地:モルディブ

まとめ

今回はいつもの水中写真と違い、陸上のビーチの撮り方のコツについて解説しました。
ダイビングの合間の休憩時間など、撮影できる時間はたくさんあると思うので、
たくさん撮って練習してみてください。次回もお楽しみに。

皆さんの疑問、質問にお答えします!!

皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!

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原田 雅章
1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は25年、約4800本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。

次回更新予定日 2018年4月4日

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