
上手くなる!水中写真
みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
シャープなピントで被写体を表現してみよう
撮影地: モルディブ
水中写真では、とても小さな生き物が被写体になることもしばしばです。一見するとピントが合っているように見えても、拡大してみると、ピントがずれていたという経験はありませんか。ピントを合わせたい部分から、ほんの数ミリピント位置がずれてしまうだけで「惜しい写真」になってしまうこともあります。そんな惜しい失敗はなるべく減らしたいものですよね。今回はそうしたピント合わせのコツについて解説していきます。
一見するとピントが合っているように見えるが……
拡大してみると、目にピントが合っていないのがわかる
撮影地:伊豆半島・大瀬崎
陸上よりも重力の影響を受けにくい水中では、撮影姿勢を安定させることが大切です。不安定な撮り方や、片手でのカメラ保持などでは、正確なピント合わせは難しくなります。体が不安定だと、ピンボケやブレなどの失敗も増えてしまいます。毎回ピシッとピントが合った写真が撮れないという人は、撮影姿勢を改めて見直すのも必要かもしれません。
安定した撮影姿勢が、シャープなピント合わせの大前提
デジカメは、シャッターボタンを押しきらず、半分ほど押し込むとオートフォーカスの機能が起動して、ピント合わせを始めます。これが「半押し」と呼ばれるもので、半押しをせずにそのままシャッターボタンを押してしまうと、ピントを合わせる前にシャッターが切れてしまい、ピンボケ写真になってしまうのです。半押しをして、ピントが合うと、ランプや音で知らせてくれます。まずは半押しを覚えて、自分のデジカメはどのくらいシャッターボタンを押すと半押し状態になるか練習しましょう。普段グローブをして水中写真を撮っている人は、グローブありの状態で練習するのもいいでしょう。海に行かなくても家でできる練習ですから、ぜひ試してみてください。
半押ししてから、被写体までの距離が変わり、ピントがずれてしまった
コンティニュアスオートフォーカスや自動追尾オートフォーカスなど、被写体との距離が定まらないときの撮影に適したオートフォーカスのモードを使いこなそう
デジカメのオートフォーカスは、暗いところや、コントラストのないものなどにピントを合わせるのが苦手です。ですので、撮影用のストロボとは別に、ピント合わせの補助光として、ライトを準備するのもおすすめです。被写体を明るくすることで、ピントがより合わせやすくなります。ストロボを使わずライトを光源にして撮影しているという人はそのままのスタイルでいいでしょう。
筆者のマクロ撮影機材。ピント合わせ用のライトと、撮影用のストロボをセットしてある
機種によっては、深度合成と呼ばれる機能がある機種もあります。これは一回シャッターを切ると、デジカメが自動でピントの合う位置を少しずつずらしながら何枚も撮影し、手前から奥までピントの合った写真を一枚に合成してくれるというもの。下の作例では、背景のボケ具合が違うのがわかるかと思います。小さくピント合わせの難しい被写体にはありがたい機能ですが、シャッターを切っている間、カメラを固定しなくてはいけないのと、ストロボの発光ができないなどいくつかの条件がありますので、取り扱い説明書を読みながら試してみてください。
深度合成モードの画面。機種によって機能の有無、設定法などは異なる
深度合成なしで撮影。画面後方のサンゴはボケている
撮影地:ケラマ諸島(2点とも)
深度合成ありで撮影。後方までピントが合っている。このときはストロボが発光できなかったので、ライトを使って撮影
今回は前回のブレと同じくらい質問を受けることが多い、ピント合わせについて解説してみました。陸上ではピンボケ写真はほぼ皆無といえますが、水中という環境では失敗してしまうミスの一つです。基本中の基本の技術ですので、しっかり覚えてシャープなピント合わせを心がけてほしいものです。次回もお楽しみに。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
疑問質問を投稿する次回更新予定日 2018年12月5日