
上手くなる!水中写真
みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
色鮮やかなキンギョハナダイも、ストロボの光が当たらないと、本来の色を再現できない
撮影地: 静岡県・田子
水中では、太陽光が水に吸収され、赤から順に色が失われることはオープンウォーター講習で習ったことでしょう。ストロボを使わずに写真を撮ると、青カブリした写真になってしまいます。そこで、ストロボもしくはライトといった人工光源で照らすことで、太陽光下に近い色再現ができるようになります。ですので、色鮮やかな水中写真を撮るには、人工光源はマストアイテムであると筆者は考えています。
今回はストロボの使い方について解説していきます。
コンパクトデジカメ(コンデジ)や、ミラーレス一眼に内蔵されているストロボは、非常に弱い光しか発光できません。それを補うには、独立した外部ストロボを追加し、使用するのがおすすめです。ただし、外部ストロボを使えばどんなに遠くてもストロボ光が届くわけではありません。被写体から離れて撮影すると、光が届きにくくなり、青カブリした写真になってしまうので、撮影距離を注意しましょう。
コンデジに外部ストロボをセットした例
被写体まで距離があり、ストロボ光が弱くしか当たっていない
被写体に寄って撮ったので、光がしっかり当たり、鮮やかに色が再現できている
撮影地:モルディブ(2点とも)
水中には、浮遊物があり、それがストロボの光に反射して白い点々として写り込むことがあります。これをハレーションと呼びます。ハレーションは、ストロボとレンズが近い位置にあると起こりやすくなります。ですので、コンデジ本体だけでの撮影ですと、ハレーションが起きてしまったという人も多いでしょう。軽減する方法としては、ハウジングとストロボを接続するアームを利用して、ストロボをハウジングから離して撮影するのが効果的です。
コンデジだけで撮影すると、ストロボとレンズが近いので、ハレーションが起きやすい
ワイド撮影だけでなく、マクロ撮影でもハレーションが起きることがあるので、ライティングに注意しよう
ストロボやライトを発光させれば、当然画面のどこかに影ができます。影が濃く出るのが好きでないという人の中には、ストロボを左右から2灯発光させることで、影を相殺し、柔らかい影になるように撮る人もいます。筆者は、マクロ撮影は1灯で撮ることが多いです。1灯でも作例のようにあまり影を出さないで撮る方法もあります。ストロボの位置を変えながら、どこに影ができるか確認しながら撮ってみましょう。
ストロボを1灯デジカメの左上から発光。画面右に影ができた
今度はストロボを右上から発光。今度は、画面左に影ができる
左右から2灯発光したことで、影が相殺され、全体に光が当たるようになった
撮影地:和歌山県・串本(3点とも)
ストロボ1灯で撮影。トップライト気味に光を当てることで、影は被写体の下にできて、あまり目立たなくなる
撮影地:静岡県・大瀬崎
筆者は、マクロ撮影ではストロボは1灯で撮影していると書きましたが、ワイド撮影に関しては、ストロボを左右から2灯発光させています。これはレンズの画角(写る範囲)とストロボの照射角の違いから2灯を使用しています。
ストロボ1灯の照射角では、レンズの画角よりも狭いため、光が画面の一部にしか当たらなくなってしまいます。ですので、それを補うために2灯で撮影しています。ただし、ワイドレンズであればすべて2灯必要というわけでもありませんから、自分のワイドレンズの画角と、ストロボの照射角を確認してみましょう。
ワイドレンズに対してストロボの照射角が合わないと、画面全体に光が当たらなくなってしまう
ストロボを左右から2灯発光させたことで、画面全体に光が当たっている
撮影地:インドネシア・バリ(2点とも)
今回は、ストロボの使い方をおさらいしてみました。水中写真は、マクロでもワイドでも、基本的に人工光源を用いて撮影する、特殊な撮影スタイルです。そのため、ストロボの使い方次第で写真のイメージが変化しますので、がんばって練習してみてください。次回もお楽しみに。
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疑問質問を投稿する次回更新予定日 2019年12月4日