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水中写真がうまくなる!!
第30回 オートフォーカスを使いこなす

みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。

動く被写体にも、しっかりとピントを合わせよう
撮影地:静岡県・伊東市・八幡野
「半押し」をしっかりと!!
デジカメではシャッターボタンを押すことでオートフォーカスが作動し、ピントを合わせてくれます。スマートフォンや、タッチパネル式のデジカメではピントを合わせたいものを液晶画面でタッチするだけで、ピントも露出も合わせてくれるようになっています。タッチパネルでのピント合わせは、水中写真では使えませんので、今回は、シャッターボタンを押すピント合わせについて解説していきます。
通常、シャッターボタンを押し切らず、オートフォーカスが作動する深さまで押すことを写真用語で「半押し」と言います。この操作をしっかり行なわないとピントが正確に合った写真は撮れません。ピントが甘い写真ばかりという人は、この「半押し」をしっかり行ないましょう。また、普段グローブをつけて水中写真を撮っている人は、素手と感覚が違うので、グローブをつけて練習するのもいいでしょう。

半押しはピント合わせの基本動作。慣れるまでしっかりと練習しよう

ピントが合うと、ピントを合わせた枠(フォーカスエリア)が緑色に光ったり、電子音で知らせてくれる
水中でのピント合わせの難しさ
半押ししてピントが合うと、被写体までの距離でピント位置がロックされます。例えば1m先の被写体に一度ピントを合わせて、半押し状態のままでいると、どの方向にも1mの距離でピントが合うということです。このオートフォーカスの方式を「シングルオートフォーカス(S-AF)」と呼びます(メーカーにより呼称が違うこともあります)。陸上で、動かない被写体や、風景などを撮る場合はこのオートフォーカスで問題ないでしょう。しかし、水中では、浮いた姿勢で撮影したり、泳ぐ被写体を撮ったりと、被写体との距離が一定ではありません。シングルオートフォーカスでピントを合わせても、次の瞬間には被写体との距離が違ってしまっているかもしれません。そんなときは、シングルオートフォーカス以外の動く被写体向きのオートフォーカスを設定しましょう。

泳ぎながら撮影することもある水中撮影では、被写体との距離が一定にならない

シングルオートフォーカスでは、被写体との距離が変わり、ピンボケになることも
動く被写体に有効な、
コンティニュアスオートフォーカス
シングルオートフォーカスが、ピントが合うと、ピントの距離がロックされる方式なのに対して、コンティニュアスオートフォーカスは、半押ししている間、フォーカスエリアに入る対象物に、ピントを合わせ続けるオートフォーカスです。これであれば、泳ぎながらでも、被写体との距離が変化しても、ピントの調整をカメラがやってくれます。
注意点としては、シングルオートフォーカスと違い、ピントが合っていないときでもシャッターが切れてしまうことです。撮影者がピントの状態をしっかりと確認しなければなりません。また、ピントを合わせたい部分をきちんとフォーカスエリアに収めること。そうしないと、違う部分にピントを合わせ続けてしまいますから。
コンティニュアスオートフォーカス(メーカーによって、C-AFという呼称や、別の呼称もあります)は、筆者も水中でのワイド撮影時もマクロ撮影時もこのオートフォーカスを使用しています。

コンティニュアスオートフォーカスの設定は機種によって違うので、説明書で確認しよう

動く被写体でも、コンティニュアスオートフォーカスなら、デジカメがピントの調整をしてくれる
撮影地:フィリピン・ボホール
他にもある、
オートフォーカスの種類
機種によっては、シングルオートフォーカスとコンティニュアスオートフォーカス以外にも違うタイプのオートフォーカスがあります。被写体にオートフォーカスをロックすると、位置や距離が変わってもピントを追い続ける自動追尾オートフォーカスや、人物や動物の目にピントを合わせる、瞳オートフォーカスなどさまざまな機能があります。取扱説明書をもう一度よく読んで、自分のデジカメをきちんと理解し、もっともっと使いこなしましょう!

まとめ
今回は、オートフォーカスについて解説しました。ピント合わせは、陸上であれば、「合っていて当たり前」な写真の基礎です。取扱説明書を再度確認して、使い方に慣れてから水中で使えるようにしておきましょう。次回もお楽しみに。

- 原田 雅章
- 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は25年、約5000本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。
次回更新予定日 2020年4月1日
バックナンバー
- 最終回 きれいな水中写真を撮るために
- 第32回 デジカメのメンテナンスをもう一度おさらいしておこう
- 第31回 春濁りの海で、ワイド写真を撮る
- 第30回 オートフォーカスを使いこなす
- 第29回 光の当て方を考える
- 第28回 ストロボで色鮮やかに再現する
- 第27回 背景を明るく撮る
- 第26回 スローシャッターを使いこなす その2
- 第25回 スローシャッターを使いこなす その1
- 第24回 冬こそワイドを練習しよう!
- 第23回 色を意識して撮ってみよう
- 第22回 ピンボケを減らす
- 第21回 ブレを防ぐ撮影法
- 第20回 ソフトコーラルやイソバナを撮る
- 第19回 ストロボを使いこなそう
- 第18回 ダイバーを写してみよう!!
- 第17回 背景を意識して、写真のイメージを変えよう!!
- 第16回 コンパクトデジカメの使い方をもう一度おさらいしておこう!
- 第15回 きれいなビーチを一工夫して撮る!!
- 第14回 ダンゴウオをかわいく撮ってみよう!!
- 第13回 マクロ撮影のコツを覚えよう!!
- 第12回 縦位置も忘れずに撮ろう!!
- 第11回 どこまで寄るか、どれだけ引くか
- 第10回 構図の一工夫でステップアップ!!
- 第9回 構図の基礎を覚えよう
- 第8回 ワイド撮影に挑戦!~撮影のコツ編~
- 第7回 ワイド撮影に挑戦!~機材準備編~
- 第6回 水中ライトで撮ってみる
- 第5回 ストロボを使ってみよう
- 第4回 ピント合わせをうまくなる
- 第3回 コンデジで水中写真をはじめよう!!
- 第2回 水中写真で知っておきたい7つのこと
- 第1回 水中写真を撮るには
ちょっとの工夫でこのうまさ
水中写真の撮り方
- 第39回 エビ・カニ撮影のコツ
- 第38回 浅瀬撮影のコツ
- 第37回 イカ・タコ撮影のコツ
- 第36回 地形撮影のコツ
- 第35回 ギンポ、カエルウオ撮影のコツ
- 第34回 魚群撮影のコツ
- 第33回 カエルアンコウ撮影のコツ
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- 第31回 ハゼ撮影のコツ
- 第30回 ウミガメ撮影のコツ
- 第29回 クマノミ撮影のコツ
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- 第27回 ウミウシ撮影のコツ
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- 第25回 ライティングを工夫する
- 第24回 背景で写真が変わる!!
- 第23回 画面構成を考える~ワイド編~
- 第22回 画面構成を考える~マクロ編~
- 第21回 マクロ撮影でのピント合わせを上達させよう!
- 第20回 ピント合わせの基本
- 第19回 浅瀬でキラキラ写真
- 第18回 冬の海を撮ろう~マクロ編~
- 第17回 冬の海を撮ろう~ワイド編~
- 集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第3回
- 集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第2回
- 集中連載 地球の海フォトコンテスト2015 第1回
- 第13回 ダイバーの撮り方
- 第12回 旅先での陸写真の撮り方
- 第11回 ジオを撮る
- 第10回 イルカを撮る
- 第9回 水中写真の撮り方・アクセサリーパーツひとまとめ
- 第8回 ワイドレンズで海の迫力を表現する!
- 第7回 マクロ撮影、基礎の基礎
- 第6回 レンズの読み解き方
- 第5回 解決!ストロボ活用術
- 第4回 編集の基本
- 第3回 写真の構図の話
- 第2回 シチュエーション別撮影のポイント
- 第1回 水中写真を楽しむ