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ニュース2018.07.12

タイ洞窟から全員救出! プロのダイバーが大活躍

623日からタイ北部のチェンライ県にあるタウムルアン洞窟に閉じ込められていた地元サッカーチームの少年12名とコーチ1名の計13名が78日(日)から710日(火)にかけて、全員救出されたことが報道され、世界中で話題となっている。
76日には救援に入ったタイ海軍のボランティアダイバーがエア切れで命を落とし、暗い影を落としたが、世界各国から応援に駆け付けた救出チームにより、当初は4カ月はかかるだろうともいわれていた救出活動に終止符を打つこととなった。

タウムルアン洞窟は深さ約10kmあるともいわれ、洞窟に入った少年たちは豪雨により出入り口を塞がれ、帰れなくなってしまった。地元では深いくぼみと狭い通路のある洞窟として知られ、どこかに潜んで生存しているはずと、捜索活動が始まった。3日後にはタイ海軍のダイバーが加わり、洞窟内の水中捜索も始まる。
洞窟でのダイビング捜索は一般のダイビングとは異なり、訓練されたケーブダイバーでないと難しいと、4日後の27日までには各国のケーブダイバーが応援に駆け付けた。洞窟内にたまった水を排水しようとポンプも導入されたが、降り続ける雨に打つ手なし。ポンプを止めることもあったそうだが、雨が止み、再び排水作業も始まった。

洞窟内の捜索に乗り出した部隊
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

洞窟内の捜索に乗り出した部隊
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

洞窟内の捜索は少しずつ先へ先へと延びていき、7月2日、13名が行方不明になってから9日後、ついにダイバーによって少年たちの生存が確認されたのだ!

しかし、そこは入り口から4kmとも5kmともいわれる洞窟の奥深く。捜索隊のケーブダイバーには到達ができても少年たちが同じようにダイビングをしたり、泳いだりして戻ってこられるはずがない。

しかも洞窟に溜まった雨水は“味噌汁”のように濁っていて透視度も最悪だ。普通にダイビングをするだけでもパニックになる可能性が高いのに、しかも真っ暗闇の洞窟で、潜るとなったら……。

洞窟内の様子と救出計画をイラスト化したもの。
穴を掘って救出することも考えられた様子がわかる
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

洞窟内の様子と救出計画をイラスト化したもの。
穴を掘って救出することも考えられた様子がわかる
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

そして、7月6日に捜索隊の一人がエア切れで尊い命を落としてしまう。彼は洞窟の奥にタンクを運び込み、戻ってくる途中だったという。彼は元タイ海軍潜水士でボランティアで参加していたという。このとき、ケーブダイビングの訓練をしたことのない者にはこの洞窟を潜ることはかなりリスキーであるという意識がもたらされる。と、同時に少年たちが潜って帰ることのリスキーさもさらに声高になっていった。

だが、洞窟内の酸素濃度も心配されるようになり、一刻も早い救助をしなければならないという認識も生まれつつあったようだ。

7月8日、コーチを除く12人のうちで最も元気な4人がまず救出されることになった。
彼らは水面では自分で泳ぎ、ダイビングをする必要がある場合は、救出隊のダイバーのオクトパスからエアをもらいながら潜水して前進していった。V字谷のような場所での浮上時にはゆっくりと浮上速度を守りながら進んだものと思われる。

いずれも1名の少年に2人の救出隊ダイバーがつき、救出隊ダイバーはサイドマウントスタイルで空気のタンクはもちろん、酸素のタンクを何本も抱え、片道3時間はかかると思われる洞窟を歩んでいったのだった。
すべてが水に没しているわけではなく、足場の悪い泥岩を登らなければならないような場所もあり、困難を極めたが、彼らは頑張った。そして、ついに洞窟の外へ!
4人は感染症にかかっている恐れもあるということから病院に搬送され、丸1日以上経って、ガラス越しに家族との面会を許されたという。

さらに9日夜には、ほかの4人が救出される。
そして10日には残る5人が次々と救出され、13人全員が救出された。
最後のほうは担架のような箱に入った状態で搬送される様子がテレビに映し出されていたが、箱からは中圧ホースがつながれていて、時々排気するエアも見られた。

救出に多大な貢献をしたタイ海軍のダイバーたち
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

救出に多大な貢献をしたタイ海軍のダイバーたち
Royal Thai Navy SealsのFacebookより引用

13名の命が救われ、彼らを救ったのがダイバーたちだったことを思うと、心の底から讃えられずにはいられない。

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