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マリンハウスシーサーが提案する安全なダイビング
第2回 SEAKERでSDGsほか推進事業について

シーサー

ドリフトダイビングの際、万が一漂流する羽目に陥ったときビーコン「SEAKER L3」携行の必要性を前回紹介しましたが、今回はその「SEAKER L3」を利用することでSDGsに貢献しようという提案。さらに、沖縄にダイビングサービスやマリンサービスを5店舗持ち、インストラクター歴43年もの大ベテラン《マリンハウスシーサー》代表取締役の稲井日出司さんがダイビングを安全に楽しむために(一社)マリンレジャー振興協会と推進中の事業について語ります!

※この記事は2025年10月現在の情報です。

SEAKER L3携行のメリット

前回、《マリンハウスシーサー》代表の稲井日出司さんがドリフトダイビングに位置情報発発信器「SEAKER L3(シーカー・エルスリー。以下「シーカー」と表記)の必携を提案したところ、多くの読者から反響が寄せられました。それだけドリフトダイビングや安全ダイビングに関心を寄せている方が多いのだと改めて思いましたが、それでも事故はなくなっていません。まだまだ周知徹底が必要なことも思い知らされているマリンダイビングWeb編集部です。
今回は、「シーカー」携行はもちろんのこと、「シーカー」を使うメリットの一つを稲井さんが提案。また、ダイビングを安全に楽しく行うために《一般社団法人 マリンレジャー振興協会》(以下、AMP)とともに推進中の事業について紹介。ぜひご一読ください。

「シーカー」利用でSDGsに貢献できる

写真はイメージ

写真はイメージ

「『シーカー』はダイビングの安全、安心を大きく推進して、行方不明者を無くす画期的な位置情報発信器ということは前回ご説明しました。今回はこの『シーカー』を《マリンハウスシーサー》(以下、シーサーと表記)の各店舗で使うことによって、ダイバー一人一人がSDGsに大きく貢献できるということをご説明します」と稲井さんは語り始めました。

SDGs貢献のしくみ

「どのように貢献ができるのか説明します。
《シーサー阿嘉島店》、《シーサー那覇店》で潜ると、お支払いいただいたダイビング料金のうち一人一日につき200円が、この「シーカー」の普及活動とサンゴ礁保全活動を積極的に推進している《一般社団法人 マリンレジャー振興協会》(以下AMPと表記)の口座に振り込まれます。皆さんがAMPを通じてSDGsに貢献できるというわけです。
実際には《シーサー》として加入している損害保険ジャパン株式会社への振り込み額500円から200円はAMPへ支払われ、残りの300円は万が一の事故、遭難に備えての特別な保険に使われます。もちろん、《シーサー》では会社として賠償責任保険、障害保険には当然ながら入っております。これは想定外の事故、トラブル発生時にお客さまが落ち着いて対応できるように、損害保険ジャパンさんと打ち合わせをかなり重ねて開発して頂いた特別な保険です。今後、こう言った保険がダイビング、マリンレジャー業界のスタンダードになればと考えております」

ほかのダイビングショップ利用の方も「シーカー」レンタル可能

水中では「シーカー」をBCに付けておくことを勧めています

水中では「シーカー」をBCに付けておくことを勧めています

ドリフトダイビングやボートダイビングには必要な試みですが、《シーサー》でしか使えないのでしょうか? 稲井さんの回答は……
「この『シーカー』を皆さまに気軽に使っていただくために、《シーサー阿嘉島店》、《シーサー那覇店》では気軽に利用できるレンタル制度を設けています。さらに、他ショップのインストラクターやガイドの皆さまにもぜひとも試して頂きたいので、かなりお得な利用料無料!のキャンペーン実施中です!!
《mic21》の那覇店、石垣島店、宮古島店でも実施中なので、この機会に利用してみていかに安全、安心でドリフトダイビングをできるかを、体験してみてください」

稲井さんがAMPとともに環境・安全問題に取り組んでいること

サンゴ礁をアンカーが壊している!

沖縄、ケラマ諸島には世界屈指の美しいサンゴ礁が広がっています

沖縄、ケラマ諸島には世界屈指の美しいサンゴ礁が広がっています

稲井さんがダイバーにとっても、海中環境にとっても、「安全」を考えたうえで気にしていることはまだまだある!と言います。
「ダイビング、マリンレジャー業界には非常に多くの問題が山積しています。
本来ならばサンゴ礁保全を積極的に推進すべき立場のダイビングショップ経営者がサンゴ礁に平気で(!)アンカーを投げ込んでいます! 信じられません!! 自分の職場を自分で破壊する!?」

条例に反対するダイビング業者はSDGsの理念がわかっていない

「沖縄の離島では一人で船長兼ガイドをやっている人たちが多くいます。
2025年2月、沖縄県警察(以下、沖縄県警と表記)が『一人船長兼ガイドは安全対策上、大きな問題がある』ということで、県条例『沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全確保に関する条例』(水上安全条例と呼ばれています)で禁止にしようという情報が出ました。すると沖縄の一部のダイビングショップから『生活権の侵害』と各市町村の議員さんたちに陳情して、現在のやり方を容認してくれという要請を出したのです。ほどなく、沖縄県警にこれまでのやり方を容認するようにという要請書が全ての市町村から出て、沖縄県警もその対応に苦慮しています。
このことはいかに日本ではSDGsの理念が浸透していないのかを如実に示す典型的な例だと思います。2025年7月、国土交通省が発表した『ダイビング船安全対策ガイドライン』でも同じようなことが言われています」

条例遵守の解決策はあります

那覇では他ショップとの乗り合いも普通になっています。写真は《シーサー那覇店》の「ライン」号

那覇では他ショップとの乗り合いも普通になっています。写真は《シーサー那覇店》の「ライン」号

一人船長兼ガイドの根本的な問題を解決する方法もあると、稲井さんは続けます。
「国民の生活に大きな影響を及ぼすような法律、条例の制定に当たっては、特に経済活動に関しては現場で大きな混乱が出ないように一定の周知期間、通常3年間ほどを設け、その期間中に事業者が対策を講じられるように措置するのが一般的です。
この場合で言えば、一人で船長兼ガイドをしていて困った事業者が3~4名集まって大きなボートを購入して、船長を交代制にするとか、船長を採用するといった方法や、大きなボートに利用料金を払って乗り合いをお願いするのもありだと思います。那覇周辺の個人ショップの多くが、すでにそうしていますよね」

安全無視の事業者がいる!

安全なダイビングやマナーを脅かす事態も出てきていると稲井さんは語ります。
「沖縄のダイビング、マリンレジャー業界には、新しい業種なので全体を規制、コントロールするような法律、条例が無いため、非常に大きな混乱が起きています。
その典型的な例が正規に登録していないショップや安全を後回しにして金儲け優先のダイビングショップなどの急速な台頭です。AMPもこういった情報をこまめに沖縄県警、一般財団法人沖縄マリンレジャーセイフティービューロー(OMSB)、海上保安庁、県議会議員さんたちにお知らせしていますので、今後彼らの活動はかなり制約を受けると思います。」

スクーバタンクの老朽化が心配

写真と本文は関係ありません

写真と本文は関係ありません

さらに稲井さんが問題にしているのがタンク(シリンダー)のこと。
「これからかなり心配なのがスクーバタンクの老朽化による破裂事故の増大です。
30年以上前までタンクは10年使ったら廃棄処理が当たり前で、国際的にも共通のルールでした。しかし、現在日本のスクーバタンクの価格は世界各地の標準価格の2倍です! 一本5万円前後です。そのため10年を過ぎた古いタンクを使い続けるショップが多くあります。
スクーバタンクの破裂事故を無くすため、経済産業省が定めた推奨使用期限を守っている事業者の情報公開の推進を求めていくなど、AMPは頑張っています」

きれいでゴミのないマリーナ建設を促進

稲井さんは、ダイビングボートが発着する港の整備も急務と考えています。
「AMPはマリーナ建設促進運動も始めています。現在、ダイビングやマリンレジャーのボートは漁港の片隅から出港していますが、その漁港には放置された古い漁船が多くあり、古い船台やゴミが周囲に散乱しています。残念ながら日本全国各地の漁港の大半が同じような状況です。せっかく沖縄に来てきれいな海に潜るのに、利用している港はゴミだらけ。これでは朝からテンションが下がります!
海外のマリーナは全く逆です! ゴミ一つ無い清潔感を感じる環境です。
タイのパタヤ、プーケットは本当にきれいで考え尽くしたマリーナとなっています! 個人的にはスペイン バルセロナの港も考え尽くされた設計で感心しています」
世界各地の視察も欠かさない稲井さん。学ぶべきところは学んで実践しようと考えているのです。

スタッフにとっても、働きがいのある職場環境を!

ゲストダイバーだけでなく、ダイビング業界で働くスタッフたちのことにも考えは及びます。
「とにかく“楽しい!面白い!何日でも遊べる!”沖縄のダイビング、マリンレジャー業界を面白く、働く若いスタッフにとっても、働きがいのある職場環境を作るために、AMPはこれからも着実に前進を続けるので、ぜひ皆さまのご理解、ご協力をお願いします!
AMPはこれまでに総務省にシーカー普及のための予算をいただき、日本財団様からもAMPの活動に深い関心を持っていただいて、大きな後援を受けています」

稲井さん、ありがとうございました。

沖縄にダイバー向けのシーサーが2店舗、マリンレジャー向けのベリーが3店舗

マリンハウスシーサー

代表取締役の稲井さんが立ち上げた創業42年となる沖縄の老舗店で、ケラマ諸島の阿嘉島と那覇にダイビングサービスの《マリンハウスシーサー》(以下、シーサーと表記)阿嘉島店と那覇店、那覇と沖縄本島西海岸、東海岸に《マリンクラブベリー》那覇店、喜瀬店、カヌチャ店があります。さらに、ダイビング器材の販売、オーバーホールもできる《シーサー海人商店》があり、ダイビングをしたことのない方から超ベテランダイバーまでダイビングにまつわるほぼすべてを提供。ゲスト個人個人を楽しませるきめ細かなガイディングやかゆいところに手が届く設備やサービスの良さに加え、安全対策にも稲井さん自ら向き合って、日々進歩しています。ここでは《シーサー》の阿嘉島店、那覇店をご紹介♪

マリンハウスシーサー阿嘉島店

沖縄県島尻郡座間味村阿嘉162
TEL:0120-10-2737
https://www.seasir.com/aka/

阿嘉島だけに赤いユニフォームを着たガイド&スタッフの皆さん。とてもていねいでしっかり楽しませてくれます

阿嘉島だけに赤いユニフォームを着たガイド&スタッフの皆さん。とてもていねいでしっかり楽しませてくれます

都会から20kmほど離れた島の周囲は、とにかく海がきれい! ボートダイビングでドリフトダイブも楽しめます

都会から20kmほど離れた島の周囲は、とにかく海がきれい! ボートダイビングでドリフトダイブも楽しめます

阿嘉島随一の集落の静かなエリアに立つお店と宿泊施設。2階にはレストラン、屋上にはジャクジーもあります

阿嘉島随一の集落の静かなエリアに立つお店と宿泊施設。2階にはレストラン、屋上にはジャクジーもあります

稲井さんがダイビングをするなら阿嘉島だ!と最初につくったのが阿嘉島店。現在はダイビングサービス以外に宿泊施設やレストランがあり、快適で安全なダイビングを提供。集落前の「前浜(めえぬはま)」へは徒歩2分。海も島もたっぷり楽しみたい方に超おすすめです。

マリンハウスシーサー那覇店

沖縄県那覇市港町2-3-13
TEL:0120-10-2743
https://www.seasir.com/naha/

ダイビング講習からさまざまなファンダイブコースまで幅広く展開。店内では器材販売も

ダイビング講習からさまざまなファンダイブコースまで幅広く展開。店内では器材販売も

新しくなった店内はオシャレなつくり

新しくなった店内はオシャレなつくり

「ラブ」号はケラマ行き専用のダイビングボート

「ラブ」号はケラマ行き専用のダイビングボート

那覇の港町の自社ビルにある那覇店では、オープンウォーターからインストラクターコースまでさまざまな講習が行われ、ケラマ方面へのファンダイブツアーも盛んです。ダイビングボートも多く、グループごとにダイビングが楽しめます。ガイドやスタッフも明るく元気で、ゲストの皆さまを温かくおもてなししてくれます。港にも徒歩3分ぐらいですので、とても便利です。

画像提供/マリンハウスシーサー
ライター/後藤ゆかり(MDWebデスク)