海の世界へのパスポート
ダイビングライセンス(Cカード)を
徹底解説!

本格的にダイビングを楽しもうと思ったら、講習を受け、ダイビングライセンス(Cカード)を取得する必要があります。ダイビングライセンス(Cカード)とは何なのか、取得するための講習ではどんなことをするのか、かかる費用は?など、詳しく解説します。
ダイビングライセンス(Cカード)とは?
「ダイビングライセンス」や「ダイビング免許」などと一般的に呼ばれていますが、正確には「Cカード」。「Certification Card」の略で、日本語にすると「認定証」となります。下に紹介するように、ダイビング教育機関(指導団体とも呼ばれます)による講習プログラムを受講し、ダイビングを楽しむうえで必要な知識とスキルを身につけた証として発行されるものですが、発行するダイビング指導団体(教育機関)は民間の団体なので、国家資格(免許)ではありません。 とはいえ、その効力は絶大で、ダイビングリゾートの施設を利用したり、タンクをレンタルする際にはこのCカードを提示することが求められ、ない場合はダイビングすることができないことも。また、世界中にはさまざまなダイビング指導団体がありますが、知名度の低い(認知されていない)指導団体のCカードだと、受け入れてもらえない場合もあるので注意が必要です。

Cカードはダイビング指導団体によって発行されます。左からPADI、NAUI、SNSIのCカード
ダイビング指導団体が加盟する「レジャーダイビング認定カード普及協議会(通称:Cカード協議会)」では、Cカードの意味を次のように定義しています。
Cカードは、レクリエーション・スクーバダイビングに関して「定められた知識と技術(指導基準)」を、ある「特定の時期」に、ある「特定の場所」で、習得したことを証明するものです。ですからCカードは取得した時点から、将来に渡って知識や技術を保証しているものではありません。しばらくダイビングをしていないと、技術(スキル)は低下し、知識も時間と共に忘れてしまうため、前回のダイビングから期間が空いてしまった場合には、以前に習ったスキルや知識を思い出すための「リフレッシュコース(指導機関により名称が異なる)」受講が強く推奨されています。また、Cカードを取得したからといって、どんな地域の、どんな環境でも、自由にダイビングができる能力が身に付いたと言うわけではありません。通常は入門レベル(エントリーレベル)の講習では、以下の範囲内で安全にダイビングするために必要な知識と技術を学びます。
・昼間の、比較的穏やかな水域で、バディと共にダイビングする
・水深18mまでの範囲で、なおかつ減圧停止をする必要のない範囲
・頭上に障害物が無く直接水面まで出られる環境
以上の条件の範囲を超える環境では、追加トレーニングが必要となります。また、講習を受けた地域の環境と、大きく異なる環境の地域でダイビングするためには、地域のプロからアドバイスを受けることが必要です。 (例:暖かい南のサンゴ礁の海でCカード取得した人が、初めて冬の北海道の海でダイビングしようとする場合など)
(レジャーダイビング認定カード普及協議会ウェブサイト「Cカードの基礎知識」より)
ちなみに「Cカードがあるなら、上級ランクとしてAカードやBカードもあるの?」という質問がたまにありますが(笑)、前述のとおり「Certification」の頭文字のCなので、AカードやBカードはなく、どのランクの認定証もCカードとなります。一般的に「ダイビングライセンス」と言われるのは「オープンウォーターダイバー」のCカード。ランクの名称は指導団体によって異なるので、こちらも事前に確認しておきましょう。
ダイビングの指導団体(教育機関)とは?
指導団体とは、その名の通りダイビングを安全に楽しむためのルールを「指導」する「団体」のこと。より多くの人がダイビングを楽しめるように、講習カリキュラムや教材を作成したり、ライセンスカード(Cカード)を発行したりと、さまざまな活動をしています。わかりやすくいうと、書道や茶道にある「〇〇流」や「△△派」といった「流派」の家元のようなもの。それを教える教室がダイビングショップ、教える師範がインストラクターというわけです。「流派」によってポリシーやカリキュラムが多少異なるのと同様に、ダイビングも指導団体によってポリシーやカリキュラムは異なります。ダイビングを始める際には、自分の好みに合ったポリシーやカリキュラムを持つ指導団体に所属するダイビングショップ、インストラクターの講習を選ぶといいでしょう。
ダイビングライセンス(Cカード)取得講習の流れ
学科講習
学科講習ではダイビングを安全に楽しむために必要な知識を身につけます。水中と陸上では環境がまったく違うので、覚えておかなければならないことがたくさんあります。とはいえ、レベルは中学生でも理解できる程度ですし、マニュアルや映像を使ってインストラクターが楽しく教えてくれるので「勉強が苦手」という人でも大丈夫。学科講習の最後には簡単なテストがあり、知識がきちんと身についているか確認さ

れるので、しっかりと学習しておきましょう。所要時間は指導団体やショップによって異なりますが、5~10時間程度が一般的。最近ではパソコンやスマートフォンで学習できるEラーニングも浸透してきており、自分の好きな時間・場所で自分のペースで学習できることで注目されています。
限定水域(プール)講習
浅いところで
まずは足がつく浅いところで、器材の使い方からスタート。ダイビングは器材を使いこなすことで、より安全に&快適に水中を楽しむことができます。だからこそ使い方はしっかりとマスターしておきたいもの。フィンを使ったキックの仕方や、マスクに水が入った時の対処法など、さまざまなスキルを練習します。

マスクの中に水が入ってしまったときの対処法「マスククリア」。ダイビングを安全に楽しむために必要な様々なスキルを習得します。自分が「できた!」と自信を持てるまで、しっかりと練習しておくことがおすすめ
深いところで
しばらく浅いところでスキルの練習をして、水に慣れてきたら深いところに移動するというのが一般的なパターン。深いところで水深は4~5mほど。潜降や中性浮力といった実践的なスキルを練習します。限定水域(プール)講習が終わるころには、水中を自由に泳ぎ回ることができ、海洋実習に行くのが待ち遠しくなるはずです。

浮力のコントロールの仕方をマスターすると、水中を自由自在に泳ぐことができます。浮きも沈みもしない「中性浮力」は、まるで無重力で宇宙を漂っているよう。最高の浮遊感をぜひ皆さんも味わってみてください
海洋実習
いよいよ海でのダイビング。一般的に2日間かけて行なわれる海洋実習は、限定水域(プール)講習で身につけたスキルが海でも実践できるかを確認する場。落ち着いてやれば、まず問題はないはずです。それさえクリアすれば、あとは水中世界を楽しむだけ。ダイビングのおもしろさに虜になることでしょう。海洋実習が終わって1~2週間ほどすると、ライセンスカード(Cカード)が手元に届きます。これでダイバーの仲間入り。世界中の海でのダイビングライフを楽しみましょう!

海洋実習もコンディションの良い穏やかな海で実施されるので安心。海の世界を満喫しましょう
ダイビングライセンス(Cカード)に関するQ&A
ダイビングライセンス(Cカード)は何歳から取れる?
ダイビングをすること自体には特に年齢の制限はありませんが、講習を受けてダイビングライセンス(Cカード)を取得するには、多くの指導団体で成長期における水圧の影響などを考慮して年齢制限を設けており、10歳以上というのが一般的になっています。また、PADIのように10歳以上15歳未満は「ジュニア・ダイバー」認定として、講習中の最大深度や認定後の活動に年齢による制限を設けている指導団体もあります。
ダイビングライセンス(Cカード)取得にかかる費用は?
各ダイビングショップで講習料金は異なりますが、総額で7万円前後が一般的。広告やウェブサイトに表示されている講習料金には、かかる費用のすべてが含まれていない場合もあるので注意しましょう。
ダイビングライセンス(Cカード)は一生モノ?
ほとんどのダイビング指導団体では、ライセンス(Cカード)の更新制度はとっておらず、一度取得すれば、一生有効なものとなります。結婚して姓が変わったり、顔写真を新しくしたい場合などには、再発行することもできます。
ダイビングライセンス(Cカード)を紛失したらどうする?
前述のとおり、ダイビングライセンス(Cカード)は、ダイビングを楽しむのに必要な知識とスキルを身につけた証明となるので、紛失してしまうとその証明ができなくなり、潜れなくなってしまう可能性も。カードは再発行することができるので、まずは自分が講習を受けたダイビングショップに相談を。ショップがすでに閉店していたり、わからなくなってしまった場合は、カードを発行している指導団体に直接問い合わせをしてみましょう。