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感動の一瞬はこうして生まれた…… フォト派ダイバー必見!
水中写真家 作品探訪

やさしい色合いのふんわりゆるやかなイメージを
水中世界に持ち込んだ、癒し系フォトグラファー

むらいさち Sachi Murai

むらいさち

被写体には正直こだわりはありません、可愛くてふんわり撮れる状況にいる子なら普通種で全然OKです。この子もどこにでもいるハゼですが、こんなキラキラ場所にいてくれたのでカメラを向けました。
撮影地 フィリピン セブ島 リロアン
撮影機材 カメラ:NIKON D850 レンズ:105㎜マクロ ハウジング:ノーティカム ストロボ:INON D2000
データ 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/80 ISO125

ふんわりゆるやかな写真で一躍人気に
癒しと自由の美しい世界を表現

“ゆるふわ写真”の第一人者

マリンダイビングWeb編集部(以下、編)-今は陸上での撮影でも活躍されていますが、プロとして写真を撮り始めたのは水中写真でした。最初の頃はどんな写真を撮ろうと思われていたのですか?

むらいさちさん(以下、むらい)-最初、水中写真を撮り始めたのは、月刊『マリンダイビング』のお仕事でした。その時は、とにかく雑誌として必要なものを確実に失敗なく撮るということにのみ集中していました。最初はフィルムでずっと撮影していたので、36枚しかない中で個性を出すのは、仕事で撮影している以上難しかったです。とにかく与えられた仕事をこなすのに、初心者だった自分はいっぱいいっぱいでした。

-独立されてから、むらいさんの作風が変わってきて、いわゆる“ゆるふわ”な、気持ちのいい作品となっていきました。なぜそのような写真を撮ろうと思ったのですか?

むらい-一つはデジタルカメラの登場で、撮影できる枚数が飛躍的に伸びました。撮ったその場で見られることもあり、個性を出しやすくなったというのはあります。
そして自分がこれから続けていくのに、水中写真の先輩たちはたくさんいて、とても尊敬していましたし、敵わないと思ったんです。そして、同じ土俵で戦っては勝ち目がないので、自分独自の路線で行こうと思い、何年も悩み試行錯誤が続きました。ほんとにあの時は若いというのもあり、もがいていました。
そして、元々陸上の写真もやっていて、陸ではふんわりとした写真を撮っていたので、それを水中に持ち込むようになりました。そして自分が好きだと思う写真を素直に撮ろう思い、ただただ撮影していたら、気づいたらいわゆる「ゆるふわ」というジャンルができていて、今では多くの方に認知していただけるようになっていました。 強く認識したのは、『FantaSea』という、自身初の水中のみの写真展と写真集を作ったことでした(2016年)。そこで自分の方向性が明確になりました。

背景も被写体もふんわり撮れる海がある

むらいさち

これは先日伊豆の伊東で撮影したマダラハナダイです。とても珍しいハナダイで、この子だけを撮りに3本くらいを費やしました。正直まだ納得はできないのですが、とても美しく可愛いので。
撮影地 静岡県 伊豆半島 伊東
撮影機材 カメラ:FUJIFILM X-T4 レンズ:80mmマクロ ハウジング:ノーティカム ストロボ:INON S2000
データ 絞り:F4.5 シャッタースピード:1/125 ISO400

-そのような写真を撮り始めてから、さらにバックの色とか被写体などの変化があったように思うのですが、撮りながら気づいたことはありましたか?

むらい-うーんなかなか一言では言いづらいですが、それまでは一つの被写体をちゃんと撮るということに力を入れていましたが、今は背景を選んだり、ふんわり撮れる被写体を探したり、見られる海に通ったりしています。ふんわり撮れる海というのがやっぱりありますし。被写体も選ぶので結構そういう意味ではとてもはっきりしているので、頑固に見えるかもしれません(笑)。

ゆるふわ写真を撮るためのカメラは?

-撮り方も本当は詳しくお伺いしたいのですが、初歩的なことをいうと、どんなカメラとレンズがあればむらいさんのような写真が撮れますか? スマホとかコンデジではダメですか?

むらい-カメラは正直どんなカメラでも良いです。まあ、スマホは細かい設定ができないので難しいですが……。簡単にできるのは、ボケが強い一眼のカメラです。背景をボカしてくれるので、ふんわり撮るのが楽です。でも、コンデジでも被写体をちゃんと選んであげればもちろん撮影できます。
言い方を変えると、一眼だとふんわり撮れる被写体の幅はとても広いですが、コンデジだと撮れる被写体が限られるので幅は狭くなります。
大切なのは自分のカメラがどんな被写体が得意で、どんな被写体が苦手なのかを把握することですかね。

写真教室や動画配信も定期的に開催

-写真教室も定期的にされていますが、生徒さんに教えつつも、教えられたということってあります? どんなことですか?

むらい-いつも教えられることも多いですし、勉強になることもとても多いです。
特に女性は感性が豊かなので、僕が想像もしない撮影の仕方をしたりします。それが僕にとって目から鱗だったりして、自分にも新しいカラーが加わったりします。
あとは、僕がとても感覚的な人間なので、いつも脳内もふんわりしているのですが(笑)、人に伝えるには言語化しないといけないので、人に伝えることで自分の頭が整理されてたりします。

-また、コロナ禍のなか、むらいさんがZoomやYouTubeでライブ配信をされていますが、目指していることは? またこのライブ配信で得たものは?

むらい-もともとYouTubeのライブ配信「うみさちTV」を始めたのは、コロナ禍で皆が海に行けない時、そのまま海を離れてしまう人が増えてしまうのでは? 海に行けなくてストレスを抱えている人がたくさんいるのでは? そんな思いから、少しでも海を感じてもらえればと思い、ライブ配信を始めました。
最初はそんな気持ちで始めたのですが、毎回ゲストをいいとも方式で紹介してもらっているのですが、オンラインのおかげで今までご縁の無かった人に、現地に行かずに会えるようになりました。初対面の方も多いですが、うみさちTVをきっかけに実際潜りに行くこともあったり、イベントを一緒に開催したりと、多くのご縁をいただき、やっていて良かったなとほんとに思っています。正直毎週配信というのはとても大変なのですが……。できる限り続けて行ければと思います。
今後マリンダイビングさんとも連携などできたら楽しそうですね。

楽しみながら撮影している。それが見ている人にも伝わるのかも

-そうですね! さて、むらいさんの撮影方法が実は大好きです。撮りたい!と思ったものにガンガンくらいついていくこと、あちこちに気を配っていて、常に被写体を探していること、楽しそうに撮っていることなどなど……。ご自分の撮影スタイルをむらいさんはどのように思っていますか?

むらい-ありがとうございます(笑)。僕が『マリンダイビング』にいた頃は(インタビュアー:後藤が)全然ロケに一緒に行ってくれませんでしたがww
幸い、僕に来る仕事って「むらいさんの好きなように撮ってください」という依頼が多いんです。僕自身も好きなものしか撮りたくないって思っています(笑)。
だから、撮影している時、撮影できた時ってほんとに幸せなんです。もうプロじゃなくて、お客さんのように楽しんでいます。
でも、そうじゃないと伝わらないと思うし、撮影に命をかけたいとも思いません、自分の心に余裕があるからこそ良い写真が撮れると思っていますので。海も流れガンガンの地形とかよりは、流れも無くて穏やかなサンゴ礁や白い砂地が好きです。
好きな海で、好きな被写体を、好きなように撮影していて、それが仕事になるなんて、こんな楽しいこと無いと思いませんか? そのせいで、海と写真以外の趣味が全くありません……。

今年はインプットの年。でも水中写真展も…

むらいさち

とても美しいネモフィラの畑があって、その美しさを写真に残したいと思い、試行錯誤しながら30分ほどこの場所で粘って撮影した一枚。陸上は制限が無いからいいですよね(笑)。
撮影地 広島県世羅町
撮影機材 カメラ:FUJIFILM X-T4 レンズ:90mm
データ 絞り:F2 シャッタースピード:1/4000 ISO1600

-今後の目標、写真展、写真集、その他撮影活動の予定があれば教えてください。

むらい-去年、富士フイルムの企画展で「Life is Beautiful」という大きな展示をやらせてもらったので、今年はインプットの年と思っています。
でも、次は水中のみの写真展を開催したいと思っていますので、どうぞお楽しみに。

むらいさち
Sachi Murai

PROFILE
写真家むらいさち
20歳の頃より座間味島でダイビングガイドとして過ごす、その後写真の世界へ。
ダイビング専門月刊誌『マリンダイビング』のカメラマンを経て独立。
現在は、雑誌や広告、webなどを中心に、独自の感性で水中からオーロラまでボーダレスに撮影活動を続けている。
オンラインサロン、「写真家むらいさちのふんわりフォトサロン」を主宰。日々写真をここでアップしている。
著書に、『ALOHEART』『LINOLINO』(ライフデザインブックス)、『きせきのしま』(小学館)、『FantaSea』(BUNKADO)、『しあわせのとき』(リブロアルテ)、『Life is Beautiful』(LiBbooks)がある。
写真展多数

Official web
Instagram

むらいさち

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