世界のびっくり!? 海中風景
海底遺跡や海中宮殿、神社や温泉まで! 海の中は不思議な世界がたくさんあった。あなたの知らない世界を少しだけご紹介します。
こんな場所があったのか……
海の中の新世界
海底遺跡(与那国島)
日本最西端の島・与那国島。冬には迫力あるハンマーヘッドシャークの群れが見られることで有名なこの島の海底に不思議な空間が広がる。島の南部にある「遺跡ポイント」。ここに巨岩の構造物と思われるものが鎮座している。東西およそ290m×南北120mの巨大神殿のようになっており、そこには門や階段、水路や柱穴、カメの形のようなモニュメントが。自然の産物か、はたまた人工物か、真偽は定かでない。水深は最大でも18mくらいなのでのんびりと潜ることができるが、潮の流れが速い場合があるので油断は禁物だ。
水深約10mの場所にあるメインテラス。直角に切り出されたような形の岩や平らな岩がいくつも積み重なってできている
「亀の岩」と呼ばれるこの岩は、左右対称に切り出されたような形をしている
まるで古代文字かのような跡も発見されている
海底温泉(竹富島&式根島)
どんなに温かい海でも、長時間潜っていると体は冷える。そんな時、まさに天国のような場所がある。なんと海の中から温泉が湧いているのだ! ダイバーしか入れない(浸れない)特別な温泉、これは行くしかない。
東京都・式根島。ほんのりと温かなこの周辺ではウミガメに遭遇する確率がかなり高い
沖縄県・竹富島の海底温泉は、少し熱めの48度。水深約18mなのでゆっくりしすぎは注意
海中宮殿(与論島)
水深約18m、きれいな砂地に突如現れるギリシャ神殿のような構造物。これは与論島とギリシャのミコノス島が姉妹提携を結んでいることから2003年に建てられたもの。本殿と柱3本が一列に並んでいる。水中結婚式なども行なわれる美しいスポット。
サンゴが定着した宮殿には華やかなマクロ生物が宿り、見ごたえもたっぷり
本殿の天窓はハート形にくり抜かれており、ロマンチック度満点
いったいそこにいるのは誰!?
海を見守るものたち
キリスト&チャックモール(メキシコ・コスメル)
カリブ海の中でも抜群の透明度を誇るのが、メキシコで3番目に大きな島・コスメル島。平均透明度30m以上と安定しており、ダイビングスタイルはドリフトダイビングが中心。だが、コスメルで珍しくビーチダイビングができる「チャンカナブ公園」も。そこには写真のキリスト受難像やチャックモール像、そのほかマリア像などのオブジェが沈んでいる。沖から少し離れているが、インストラクターを付ければスノーケルでもOK。
生贄の儀式に使われたというチャックモール像のレプリカ
キリスト像は高さ約5mと見ごたえ十分!
幸福地蔵(佐渡島)
新潟県・佐渡島の「琴浦」、水深約24mに沈むお地蔵様。海の安全を祈願するために沈められたもので、付近にはスズメダイやチャガラ、マアジなどの魚群が群れたり、ウミウシなどのマクロも豊富。同じスポットに溶岩の洞窟もあり、くぐることができる。コブダイも現れる。
日本ならではの光景
初詣は海!?
祠(大瀬崎)
ダイバーのメッカとして名高い西伊豆・大瀬崎。「先端」へ向かう途中の大瀬神社は、昔から海の安全を祈願し地元の漁師たちから崇拝されてきた。陸だけではない、「湾内」の水深約10mの所には祠が。ここは講習でも使われる定番のコース。駿河湾越しには富士山も望めるし、境内には伊豆七不思議に数えられる淡水池の「神池」があったりと、目には見えないパワーを感じられる場所だ。
石積みの祠で、崩れる危険があるので触れるのはNG。お気に入りなのか、大きなウツボがよく見られる
海中神社(波左間)
千葉県・波左間海中公園の「高根」に堂々とそびえ立つ大鳥居。高さは4mもあり、実はレプリカではなく洲崎神社の分社として設置されたれっきとした神社である。日本唯一の海底神社として有名。
鳥居をくぐった先には本殿まで!
水深は約15m。守り神のようなコブダイが時折姿を見せる
海の中の歴史探検
過去の事実を物語る
江戸城石垣建造の石材(伊豆山)
東京方面から向かうと一番初めにたどり着く伊豆半島のダイビングスポット、伊豆山。ここはかつて、江戸城の石材を加工する石丁場が存在したという。そこで使われた石材や碇石(いかりいし)などが海底で見つかった。海底だけではなく、伊豆山神社や走り湯、鎌倉中期の遺跡など深い歴史が眠るが、書物が残っていないという理由でその存在は広く知られていない。ミステリアスな雰囲気を持つ、興味深いエリアだ。
「新根」に沈む碇石は、かつて石材運搬船がバランスを取るために使っていたとか
伊豆一帯では上質な石が採れることから江戸城石垣に用いられたという
ゼロ戦(パプアニューギニア・キンベ湾)
第二次世界大戦中に使用された戦闘機や船は世界中に散らばり、今も多くが海の底に眠っている。パプアニューギニア・キンベ湾に沈む日本軍のゼロ戦は、陸地からたったの50mとほど近い、水深17mの場所に沈んでいる。戦時中の物であることは間違いないが、機体に弾丸の痕がないことから、追撃されたのではなく燃料切れか何かで沈んだものと思われる。今は魚礁となっており、マクロ生物の宝庫。
全長約10m。両翼、プロペラもきれいに残っている
ここは水深も浅く透明度も良いことが多いので初心者でもOK
こんなものがなぜここに!?
海中おもしろ風景
海底ポスト(すさみ&那覇)
海の中にポストがある場所はいくつか存在するが、紀伊半島・すさみのポストはギネス記録にも認定された最も深い場所にある。水深約10mに設置されたポストは昔懐かしいレトロな円柱形。《クラブノアすさみ》にて専用ハガキが購入でき、全国へと郵送可能。那覇の「波の上うみそら公園/ダイビング・シュノーケリング専用ビーチ」水深3mにあるポストにはシーサーが鎮座していてご当地感たっぷり。こちらも公園受け付けで専用ハガキを購入できる。
「世界一深い場所にあるポスト」。投函されたハガキは毎日回収される
こちらのポストは2013年設置と新しい。ハガキには記念の風景印が押印される
大量の便器(エジプト・紅海)
「便器の墓場」と呼ぶにふさわしい、おそらく世界中唯一の場所ではないかという場所がここ、エジプトのシャルム・エル・シェイクから行くティラン島の海域にある便器の山。どうやら運搬船ごと沈んだらしく、中にはバスタブも見られる。
人間の力でははるか及ばない
自然の産物
千年サンゴ(牟岐)
いくつものサンゴが積み重なったこの形、まるでクリスマスツリー!? 徳島県・牟岐の「大島内湾」に存在する巨大なコブハマサンゴ。高さは9m、外周は約30mと、圧倒的な存在感。サンゴの成長は1年間で数mmともいわれるので、年齢は1,000年を超えているのではないかと推測される。牟岐の海の宝物として地元の人に愛されている。毎年5月中旬~7月中旬の2カ月間を除く期間で見ることができる。
ダイバーと比べてもその巨大さがわかる。クリスマス状に成長するのは珍しい
海底鍾乳洞(辺戸岬)
垂れ下がった鍾乳石があるということは、そこがかつて陸地だったことを物語る。沖縄県の「辺戸岬ドーム」は、カルスト地形と呼ばれる荒々しい陸上の風景がそのまま海の中までつながっている。鍾乳洞内にはいくつかエアドームもあって水面に顔を出すことも可能。
2万年前に形成されたという太古の世界を感じに行こう
海から陸地につながる地形(宮古島など)
海中のホールを抜けそのまま陸上につながる場所がある。宮古島には「マリンレイク」や「通り池」などいくつか存在しており、不思議な感覚を味わえる。海水と淡水が混ざり合う場所では、塩分濃度が違う水が混ざり合うことで生じる「ケモクライン現象」で、色のついた境目を目視することも。
「マリンレイク」は水深10mの所にある入り口から洞窟を進み、3つ目の縦穴から浮上すると外に出られる! 開放感たっぷり