シリーズDive Indonesia Vol.1
魚が密・密~! 幸せの海
ラジャアンパット
Raja Ampat
まだ日本から海外に潜りには行けない日が続きますが、コロナ禍が収束したら出かけたいのがインドネシア。
北アメリカ大陸ほどもある広大な海域に散らばる17,500余りの島々にはたくさんのダイブエリアも。
今回は、新しいエリアなのに生物相の豊かさはトップクラスのラジャアンパットをお届けします。
※2021年4月現在の情報です。
ラジャアンパットで見るべき魚&シーン
ラジャで見るべき魚4
インドネシア観光省がダイブディスティネーションとしてとても押しているのがラジャアンパット。現地のダイビングプロフェッショナル、アビさんにラジャアンパットのダイビングで見てほしい魚やシーンを3つ挙げてもらおうとしたら、それぞれ別々に回答が。しかも、3つじゃない(笑)。それだけ見るべきものが多いということなのです。
◎マンタ(オニイトマキエイ/ナンヨウマンタ)
◎ウォビゴンシャーク
◎ピグミーシーホース
◎ニシキテグリ
マンタは世界のどこででも見られるわけではありません。インドネシアの中でもそうです。でも、ラジャアンパットはマンタ遭遇率の高さやマンタの数の多さでいうと世界でもトップクラスの海といえます。
ウォビゴンシャークは日本でも見られるオオセに似ていますが、ラジャで見られる種は西パプア、パプアニューギニア、オーストラリアでしか見られない固有種といわれています。テーブルサンゴなどにどでーんと巨体を置いているシーンがあちこちに。ゆっくり近づけば逃げないので、じっくり見てみてください。
ピグミーシーホース、ニシキテグリもこれほど多く見られるところはラジャアンパットを置いてほかにはないと思われます。
ラジャアンパットで潜りたい4大ダイブスポット
同じくトップ3をお伺いしたところ、どうしても外せないファム諸島(The Fam Islands)の4カ所を挙げていただきました。
◎Melissa’s Garden
◎Cape Kri
◎Blue Magic
◎Sardines
ファムアイランズはパラオのような大小のロックアイランドが浮かぶ風光明媚な島々。ダイビングスポットも人気どころが多いほか、休憩中にPenemu島(別名Piyanemo)に上陸して美しいラグーンを眺めることもあります。
「Melissa’s Garden(メリッサ・ガーデン)は、世界で最も美しいサンゴ礁の一つと考えられています。また、ラジャアンパットの海域で最古のサンゴ礁ともいわれています。見られる生物も大物からマクロ生物までさまざまです。
「Cape Kri(ケープ・クリ)」は、ここだけで見られる魚種の最多レコード(374種)を出している最強スポットの一つです。
「Blue Magic」は外洋系の大きなマンタ(オニイトマキエイ)との遭遇率が高いマンタスポットです。
「Sardines(サーディンズ)」は魚の群れの大きさで際立っています。
このほとんどのダイビングスポットが世界中のいろいろなメディアで「ワールドベストダイブスポット」によく取り上げられているんですよ。
ラジャアンパットのダイビングスタイル
リゾート滞在、ダイブクルーズ参加の2通り
ダイブクルーズ船の発着場所となるソロン港には沖にはたくさんのクルーズ船が停泊
ラジャアンパットには10のアイランドリゾートと、50以上? 100余りのダイブクルーズ船があり、世界中のダイバーが集まってきています。たいていのリゾート、ダイブクルーズで日本人ダイバーも受け入れていますよ。
リゾートの場合は常駐のガイドが年間を通して潜っていますので、海のことを本当によく知っているのが強みだと思います。新型コロナウイルス感染症対策に必要な、ソーシャルディスタンスも衛生面でも問題はなく、ボートでもダイビングサービスでも混み合うことはありません。ラジャアンパットはおそらく一番安全な場所なのではないでしょうか。
ダイブクルーズのほうも衛生面、ソーシャルディスタンスでは同様です。リゾート滞在に比べると潜る範囲がより広くなり、ラジャアンパットのマリンパークでもより遠くへアクセスできます。
ラジャアンパットを潜るために必要なスキル
ご心配いりません。オープンウォーターダイバークラスのビギナーから潜ることができます。ラジャアンパットにはカレントのあるちょっと難しいダイビングスポットも多くありますが、ダイビングサービス側が潮どまりなど流れのないタイミングを選んで潜るようにすれば、オープンウォーターダイバーでも潜ることは可能です。もちろん、ラジャアンパットにはほとんど流れがないダイビングスポットもたくさんあります。ですので、ダイバーだけでなく、スノーケラーにとっても理想的な海なのです。
ベテランダイバーにもオススメ
上で述べたように、どんなスポットでもビギナーから潜ることは可能なので、ベテラン向きの特別なスポットというのはない、とアビさんは言います。流れがあったほうが魚も集まりやすいという点ではガイド側でゲストのレベルに合った潮を見ながら潜ることになりますので、満足のいくダイビングになるでしょう。ただし、例外もあって「Solid Wall(ソリッドウォール)」と「Sardines Reef(サーディンズリーフ)」は流れる時はガンガン流れますので、オープンウォーターダイバーが潜る場合は、注意深くカレントチェックをする必要があります。
ラジャアンパットのシーズナリティ
ダイビングのベストシーズン
9~10月頃から4~5月頃までがラジャアンパットのハイシーズンといわれています。天気が良く海況も安定していて、さらにマンタとの遭遇率が高いからです。特に11~3月はマンタ遭遇率がさらにアップします。
ラジャアンパットで見られるのはどんな魚?
驚異の大物天国
歩くサメの姿はナイトダイブでよく目撃される
日本人ダイバーは大物が大好き(日本人だけではないかもしれませんが)。ラジャアンパットは、まずサメの種類も数も多いことで知られています。具体的に種類を上げると、ブラックチップ、ホワイトチップ、グレイリーフシャーク(オグロメジロザメ)、ウォビゴン、そしてウォーキングシャークが生息しています。しかもほとんどのダイビングスポットで見られるのです、
これは「Matna Sandy(マンタサンディ)」で撮影したブラックマンタ
そしてマンタ。前述したようにオニイトマキエイとナンヨウマンタが生息しており、「Blue Magic(ブルーマジック)」「Lau Lau Reef(ラウラウリーフ)」「Manta Sandy(マンタサンディ)」「Manta Rock(マンタロック)」「Manta Slope(マンタスロープ)」「Manta Wai(マンタワイ)」「Manta Auda(マンタアウダ)」などたくさんのスポットで遭遇のチャンスがあります。
また、ラジャアンパットは巨大な魚群がたくさんのスポットで見られることでも知られています。「Cape Kri」「Sardines」「Blue Magic」「Chicken Reef/Bay(チキンリーフ/ベイ)」「Sauwandarek Jetty (サウワンダレク・ジェッティ)」「Lau Lau Reef」「Mios Kon(ミオスコン)」「Mike’s Point(マイクスポイント)」などが大物・魚群スポットとして人気です。
ギンガメアジなどのアジの仲間の大群やコショウダイ類、イワシ類、タカサゴ類、そしてバラクーダの群れが見られます。これらはイソマグロやサメ、GT(ロウニンアジ)がハンティングのため追い回していることが多く、見応えたっぷりです。
固有種もチェックしよう
ホワイトボンネットアネモネフィッシュと呼ばれるクマノミの仲間。もしかしたらオレンジフィンアネモネフィッシュとセジロクマノミの交雑種ではないかとも考えられているのだそうだが、果たして……!?
チェッカードドティバックだと思われる
ほかにもチョウチョウウオやスズメダイ、ベラ、フエダイなどたくさんの種類の魚がたくさん生息しているのですが、どうせ行くなら絶対押さえたいのが固有種といわれる、ここならではの魚。
歩くサメともいわれるエポウレットシャーク、タッセルド・ウォビゴン、パプアガーデンイールのほか、アビさんはブラックマンタも挙げてくれました。
パプアガーデンイールは2009年、新種として認められた固有種で、学名はHeteroconger mercyaeといいます。チンアナゴに体形は似ていますが体にびっしりと斑紋がある、ほかにはないタイプ。
ほかにもメギスの仲間(英名ドティバック)はとても多いし、フォト派垂涎のフラッシャー(ベラ類)も。英文だが、アビさんが資料(Mark Erdmanns Paper)を送ってくれたので、URLを記しておこう。
https://birdsheadseascape.com/download/research/biodiversity/endemics.pdf
ラジャアンパットのダイビングスポット
スポット数100以上!のダイビング天国
ラジャアンパットの海域は広大でマリンパークに指定されているのですが、ダイビングスポットはこれまでに100を超える数が開拓されています。
Dampier Strait(ダンピエ海峡)のみになりますが、ダイビングスポットがわかるマップを提供していただいたので、ご覧ください。
上で紹介した4大スポットや、会いたい大物のところで紹介したスポットは、ほとんどこのダンピエ海峡の周辺に集まっていることがわかりますね。なお「Mellisa’s Garden」やFam Islandsはこのマップのやや左(西)にあります。
ラジャアンパットの陸の見どころ
有名な観光地といえば、前述したFam(Piaynemo)の展望台です。インドネシア政府が紙幣にその画像を使用したほどとても重要な場所、そして美しい場所なのです。まさにラジャアンパットのランドマークともいえます。
また、ラジャアンパットでは極楽鳥(ゴクラクチョウ)を忘れてはなりません。ニューギニア島には40種のゴクラクチョウが生息していますが、ラジャアンパットはベニフウチョウ(Red Bird of Paradise)とアカミノフウチョウ(Wilson’s Bird of Paradise)が生息。ここだけでしか見られない美しくてきれいなフウチョウの仲間だけに、ぜひ見てほしいですね。
Wonderful Indonesia
行けるようになったらすぐに飛んでいきたい海がいっぱい!
17,500余りの島々から成るインドネシア。
海も陸も自然や文化にあふれ、訪れる人を虜にしてやみません。
コロナ禍が収まったらすぐにでも行けるよう、Webサイトなどでぜひ心の旅を楽しんでください。
取材協力