大瀬崎はダイビング天国!
現地ガイドに聞く旬のオススメ
大瀬崎は日本にまだほとんどレジャーダイビング向けのスポットが開拓されていなかった1980年代初めに、伊豆海洋公園に次いで伊豆半島にオープンした歴史的なダイビングエリアです。しかも駿河湾に面した海にはクジラやマンタから深海魚、ウミウシやカエルアンコウなどまでたくさんの生きものが出現、生息。世界でも稀なダイビング天国なのです。そんな大瀬崎は9月頃からがベストシーズン! 現地ガイドの方々に旬の見どころを教えてもらいました♪
※この特集は2023年8月現在の情報です。
大瀬崎の9~11月頃のおすすめどころ
目の前の「湾内」は台風が直撃しないかぎり潜れる
季節来遊魚のナンヨウハギygが見られるとは!
(写真/はごろもマリンサービス大瀬崎)
クローズすることが限りなく少ない穏やかなポイントにもかかわらず、季節ごとに色々な生物を見ることができるから。(はごろもマリンサービス大瀬崎/深澤貞晴さん)
タカベの群れがやってくることも
写真/ダイビングハウスマンボウ
年間を通して安定した環境で、初心者から大瀬通の上級者まで楽しむことができるポイントです。ビーチポイントですが、生物の豊富さが最大の魅力です。
(ダイビングハウスマンボウ/島田 香さん)
こんなきれいな季節来遊魚、ニシキフウライウオも訪れる!
写真/真木久美子(大瀬館マリンサービス)
定番の「湾内」ですが、秋の「湾内」は生物を観察するのに最もアツいポイントです。暖かい潮に乗り訪れた季節来遊魚たちが様々なところで見られると同時に、9月までは魚たちの繁殖行動も見ることができます。また、11月は浮遊系シーズンの始まりの季節であり思わぬ出会いが最高のダイビングを演出してくれるかもっ!?
※上記の具体的な魚は……
・季節来遊魚/ニシキフウライウオ、カミソリウオなど@水深15m
・繁殖行動/オヤビッチャ卵保護 キンギョハナダイ産卵@水深8m
・浮遊系/リュウグウノツカイ
(大瀬館マリンサービス/若松樹弥さん)
安定の被写体の多さ@「一本松」
マクロを中心に浅場から深場まで安定して、写真に撮りたい生物がいてくれる。(はごろもマリンサービ大瀬崎/深澤さん)
スジクロユリハゼなど人気者が!「柵下」
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)
9~11月にリクエストを多く頂くのが「柵下(さくした)」。水深としてはやや深くなりますが、南方のハゼやハナダイ等が観察できます。水深30mほどにある岩盤エリアではスジクロユリハゼ等のハゼが多く観察でき、水深25m~15mの間はソフトコーラルが多く、その陰には人気のクマドリカエルアンコウやニシキフウライウオ、ハダカハオコゼ等がよく見られています。(COCOMO OSEZAKI/新長義大さん)
昨年から注目されているアケボノハゼ。しかも群れ
写真/若松樹弥(大瀬館マリンサービス)
「柵下」は浅場から深場まで油断なりません。水深3mぐらいからの浅場では季節来遊魚のスズメダイの仲間の幼魚(ミヤコキセンスズメダイなど)が俊敏に岩の隙間に隠れる瞬間を見てしまい、その岩から離れられなくなったり、カマスの群れの中で今晩の夕食を考えたりできます。深場では昨年からアケボノハゼ(水深38m)やスジクロユリハゼ(水深32m)が大フィーバー! 信じられない光景が見られちゃったりします。(大瀬館マリンサービス/若松さん)
奇跡の出会いもある「先端」
平日は潜れない、週末や大型連休中のみ潜ることできる大瀬でも特別なポイントです。圧倒的な魚影の濃さが特長ですが、奇跡の出会いが多いのも魅力です。(ダイビングハウスマンボウ/島田さん)
ボートスポット「ホトケ岩」
撮影/新長義大(COCOMO OSEZAKI)
ビーチのイメージが強い大瀬崎ですが、船で10分ほど移動した場所にあるボートポイントの「ホトケ岩」。ソフトコーラルが生い茂り、ワイド好きな方にお勧めのポイントです。水深25mにある根にはトビエイやウミガメ等の大物が居着き、底を見ればマクロ生物が数多く見られます。9~11月ですと南方系の魚が多く見られるので背景重視のマクロ撮影もおすすめです。(COCOMO OSEZAKI/新長さん)
大瀬崎のダイビングスポット
マップ提供/ダイビングハウス マンボウ
※スポットの詳細な位置関係については大体の目安となります。
長い海岸線が湾を形成。右の建物がある辺りから左の建物の辺りまでが「湾内」としてエントリー&エグジットできる
写真/マリンフォトライブラリー
外海のスポットにはたいていエントリー&エグジット用のスロープが設置されている
写真/マリンフォトライブラリー
大瀬崎で必ず見てほしい水中光景
【ワイド編】
エグジットして感動する夕暮れの富士山~大瀬館マリンサービス/若松さん
ワイドでは水中の群れも外せないのですが、大瀬崎の一番のお気に入り風景は富士山です。夕方の外海に潜ると、水中で徐々に夜に向かっていくのが感じられ、エキジットするとバックには夕焼けに照らされた荘厳な富士山が現れます。季節によって太陽の沈む時間や角度が違うので一日一日、同じ富士山は二度と見られません。エキジットの時、ついつい陸のほうを見て顔を上げてしまいますが、エントリーの時に富士山がどちらの方向にあるか確認して、エキジットの時は富士山のほうに顔を上げてみてはいかがでしょうか?
「ホトケ岩」は運次第でウミガメも!~COCOMO OSEZAKI/新長さん
撮影/新長義大(COCOMO OSEZAKI)
ボートポイント「ホトケ岩」の天辺(水深18m)。
ナンヨウキサンゴにキンギョハナダイやミナミハコフグが居着き、鮮やかな光景が広がっています。運が良ければウミガメも寝ているので、ボートダイビングの時には必ず立ち寄ってほしい場所です。
小魚の大群に突進する大型回遊魚は圧巻~ダイビングハウスマンボウ/島田さん
小魚たち(キビナゴなど)の大きな群れ、右に左に自在に向きを変えすごい連帯感で泳いでます、また、それらを追ってカンパチやイナダの群れも入ってきてまさに圧巻!!
下ばかりじゃなくて上も見てほしい~はごろもマリンサービス/深澤さん
タカベの群れも迫力たっぷり!
写真/はごろもマリンサービス大瀬崎
9~11月は、生物が一番多い時期なので、ワイドですと「湾内」ゴロタ付近のキンギョハナダイ、タカベ、カマスなどの群れや小魚を追いかけるカンパチなどが見もの。透明度も良くなってくる時期なので、下ばかりではなく上も気にしながら泳ぐと出会える確率もアップするでしょう。
【マクロ編】
「湾内」のサンゴは魚たちのサンクチュアリ!~ダイビングハウスマンボウ/島田さん
ミツボシクロスズメダイがコロニーをつくっています
写真/井上元史(ダイビングハウスマンボウ)
「湾内」の大漁礁には数年前からサンゴの移植をしており、根付き育ちつつあります。そのサンゴ周辺は、小魚たちの小さなコロニーとなっています。ミツボシクロスズメダイやソラスズメダイ等々カラフルで、見入ってしまします。時にはナンヨウハギやメガネゴンベなども仲間入りします。
一番人気はクマドリカエルアンコウ!~COCOMO OSEZAKI/新長さん
マクロなら各種南方系幼魚(水深0~18m)が必見です。9~11月の大瀬崎はマクロ天国。普段は見られない南方の魚の幼魚が数多く見られます。
やはり一番人気はクマドリカエルアンコウですね。ウミウシも増え始めますし、エビ・カニ系も豊富に見られます。
季節来遊魚は見逃せない!~はごろもマリンサービス大瀬崎/深澤さん
9月くらいから増え始める季節来遊魚たち。昨年も漁礁上のサンゴを隠れ家にして、スズメダイの仲間、ヤッコの仲間、チョウチョウウオの仲間などがたくさん見られました。いずれも初心者ダイバーでも楽しめる水深です。
やっぱりミジンベニハゼは外せない~大瀬館マリンサービス/若松さん
貝殻の外に出てきてくれたミジンちゃん
写真/真木久美子(大瀬館マリンサービス)
大瀬崎といったら外すことはできないのが大瀬崎のアイドル「ミジンベニハゼ」。おうちが貝であったり、瓶や缶などの人工物であったりと住処が気になる子たちです。
ミジンベニハゼのチャームポイントはくりくりのお目々。撮影する角度やストロボの当て方によって緑色や赤色になる目に夢中になります。自分好みの色を見つけようとしてミジンちゃんの周りをダイバーがぐるぐるしている様子は、アイドルの撮影会さながらですよ。
最強伝説・大瀬崎 その魅力は?
体験ダイビングから超マニアックなフォト派ダイバーを満足させる海
深海からやってくるキアンコウで冬は話題になります
写真/はごろもマリンサービス大瀬崎
クローズすることの少ない安定した環境にもかかわらず、マクロから深海の生物、浮遊系などの幅広い生物が季節ごとに見られるため、体験ダイビングからマニアックなフォト派ダイバーまで楽しめる海だということ。(はごろもマリンサービス大瀬崎/深澤さん)
生物がとにかく豊富なんです!
イロカエルアンコウも現れる海
写真/井上元史(ダイビングハウスマンボウ)
比較的安定した環境と多彩なポイント数は伊豆でも随一! 何と言ってもマクロでもワイドでも生物の豊富さと魚影の濃さが魅力です。(ダイビングハウスマンボウ/島田さん)
みんなが満足できるオールマイティな海!
各ダイビングポイントで見られる光景や環境が違うため、ダイバーのニーズに広く応えることができる海だと思っております。
初心者から上級者、マクロ好き、ワイド好き。みんなが満足できる海だと思います。(COCOMO OSEZAKI/新長さん)
ナイトダイビング施設が整っている!
ナイトダイビングの整った施設が最大の魅力かもしれません……(笑)。1週間のうち3日(水・土・日)はナイトダイビングが可能で、ナイト用の電気が湾内を照らします。あがってきてからはそのライトに照らされながら器材も洗えるし、お湯設備も整っているのですぐに体を温めることができます。まさにダイバーのための海であり施設です。(大瀬館マリンサービス/若松さん)
大瀬崎はアフターダイブも楽しい
大瀬崎の海岸線に並ぶダイビングサービスでのんびりしたり、食事をしたりすることもできるけれど、帰り道はグルメ街道ともいわれる人気の飲食店がズラリ! 車で行く方は絶対に立ち寄っていただきたい!!
老舗豆腐店にする? 鯛丼にする?
伊豆長岡の老舗豆腐店《水口》。おすすめは濃厚な湯葉! 豆腐プリンや豆乳ソフトクリームなどのスイーツもありますよ。(大瀬館マリンサービス/若松さん)
定番ともいえる《駿陽荘やま弥》。名物・鯛丼はプリプリの鯛のお刺身と、とろーり濃厚な卵黄が絶品!(大瀬館マリンサービス/真木さん)
ファーマーズ・マーケット伊豆・村の駅
大瀬までのアクセスでどの道を利用するかにもよりますが、136号線沿いの《伊豆・村の駅》は、お土産選びもグルメも充実してます、特に周辺で採れる新鮮な野菜や果物などオススメです。海鮮丼なども食べることができます。(ダイビングハウスマンボウ/島田さん)
静岡人気ハンバーグチェーン店のさわやか
帰り道にある《貝殻亭》さんや《やま弥》さんは、相変わらず人気です。
近年では、伊豆縦貫道の近くにできた静岡人気ハンバーグチェーン店《さわやか》(函南店)に行きたいという声も耳にします。(はごろもマリンサービス大瀬崎/深澤さん)
幼魚水族館にも足を延ばしたい!
三島にある《サントムーン柿田川》。幼魚水族館があり、ダイバーなら楽しめること間違いなし。
大瀬崎で撮影された写真等も展示されているので是非お立ち寄りください。(COCOMO OSEZAKI/新長さん)
大瀬崎へのアクセス
車で
東京方面からも、名古屋方面からも、東名高速道路に入り、新東名高速道路/第二東海自動車道で長泉沼津ICで降りたら、伊豆縦貫自動車道/東駿河環状道路、伊豆中央道/国道136号を通り伊豆長岡ICへ。県道130号方面から三津三差路を左折して県道17号へ。そのまま道なりに大瀬崎方面へ進む。
長泉沼津ICから大瀬崎へ渋滞がなければ約1時間。
電車で
大瀬崎に行くにはJR三島駅(新幹線、東海道線)へ。たいていのダイビングショップがガイド付きファンダイブや体験ダイビング、講習の参加者のために一定の時間帯にJR三島駅の送迎を実施している。またJR沼津駅、伊豆長岡駅の場合はショップにご相談を。三島駅から大瀬崎へは所要時間約1時間だ。