ベストシーズン真っ只中!
ダイバーを虜にする柏島

柏島は日本でも有数のダイビングエリア。魚種が豊富で、気候も海況も素晴らしく、全国からダイバーが集まっています。10月以降の柏島はさらに魅力もモリモリ! 現地のダイビングガイドさんにその魅力を詳しくお伺いしました♪
※2025年9月の情報です
ダイビング天国 柏島
高知県大月町にある

大月町の半島から柏島へは橋があるので陸続きで行けます。柏島の右側の先端をぐるりと囲む浜が人気の「後浜(うしろのはま)」
写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
柏島はダイバーが選ぶマリンダイビング大賞「ベストダイビングエリア国内」部門で常にトップ10に入る人気のダイビングエリアです。四国の南西端に位置する高知県大月町にある島で、ダイビングスポットは島沿岸にある「後浜」と、四国側の大月町沿岸に点在しています。ダイビングサービスも同様ですが、島内にその多くがあります。
柏島への行き方
近隣のエリアだけでなく、柏島へは日本全国からのダイバーが集まっています。簡単にアクセスできるエリアではないため、近隣エリアからは車で出かける方が多いようです。
東京やその他全国の方々は航空機や新幹線などの電車、深夜バスなどを利用しています。いずれも柏島まで車で約1時間の「宿毛(すくも)」を目指します。宿毛に行けば時間帯によりますが、ダイビングサービスの送迎をお願いできるためです。
柏島の魚種の多さは日本トップレベル
フィッシュウオッチングに最高の海

日本では柏島で初めて発見されたイナズマヒカリイシモチ。体長4cmぐらいの小柄なテンジクダイの仲間
写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
「柏島の最大の魅力はこの狭い海域、ポイントに生息する魚の種類の多さです。年々増えててその数1300種以上になってます!」と教えてくれたのは《柏島ダイビングサービスAQUAS》(以下、《AQUAS》と表示)の代表、松野和志さん。大月町柏島はダイビングエリアとしての魚種数でいえば沖縄諸島に次いで日本トップクラス。魚種が多いといわれる海外エリアにも負けないぐらいの数なのです。
柏島にダイバーが多く集まるようになったのも、カシワハナダイやイナズマヒカリイシモチ、ナミマツカサ(旧アカマツカサ)など、日本初記録種として名前が付けられた魚が普通に見られることからともいわれます。
「憧れの魚や人気のある魚に簡単に出会えるところが最高に素敵な魅力です」と松野さんもニッコリです。
大月町柏島の海に魚が集まる理由
でもなぜ大月町柏島に魚たちは集まっているのでしょう?
一般的に魚種が多い理由は地理や気候によるところが大きいのですが、どうやらここも同様のようです。
大月町は四国の南西端、起伏に富んだ海岸線を持つ街で、そのすぐ沖にある柏島は周囲わずか4kmの小さな島です。
いずれも四国と九州の間を流れる豊後(ぶんご)水道と太平洋が交わる辺りにあり、栄養分はたっぷり。黒潮の影響も非常に大きく、漁業でも漁獲高は日本有数ですし、水温がほどよく高いため、島の目の前でもクロマグロやブリ、タイ、カンパチなどが養殖されています。
気候も年間を通じて温暖で、高知県でもここだけは亜熱帯といわれるほど。豊かな森林も海岸までせり出していて大きな川はないもののいくつかの川や湧き出した水が海へ陸の栄養分を届けています。
さらに魚や海の生きものたちが安心して生きていける湾状の穏やかな水域も多く、水深にも変化があるため、多くの魚種が生息しているのでしょう。
ちなみに、柏島では魚介類が豊富で、グルメにはたまらない観光エリアでもあります。
柏島のすごさを感じられるダイビングスポット
魚種が多く、魚影が濃い、柏島らしいダイビングスポットを《柏島ダイビングサービスSEAZOO》(以下《SEAZOO》と表記)の代表、目黒次生さんに教えていただきました。
勤崎(つとめざき)

コダマタツと和名が提唱されているピグミーシーホースの姿も
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)
「浅場から深場まで楽しめるマルチポイント。浅場ではハチジョウタツやウミウシ、甲殻類など、深場ではアケボノハゼ、スジクロユリハゼなどのハゼ類、ハナダイ、ベラの仲間、先ごろ『コダマタツ』と和名が提唱されたピグミーシーホースなどが楽しめます」
「勤崎」は島の対岸の安満地(あまじ)と一切(いっさい)の間にあり、柏島からボートで約10分で行けます。
後浜(うしろのはま)

カエルアンコウの中でもクマドリカエルアンコウも生息
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)
柏島の橋とは反対側、集落の後ろにある浜が「後浜」。東から西へ順番に10カ所のブイがあり、それがスポット名になっています。
「各ブイによって違う生物が生息しているので、港から近くなのに魚群、マクロ生物などいろいろな生物が楽しめます。ハナヒゲウツボ、ハゼ類、カエルアンコウ、ニシキフウライウオなどの人気者が期待できます」
目黒さんは控えめに教えてくれましたが、「後浜」だけでも十分柏島らしさを堪能できるほど、たくさんの魚種に会えます。浅瀬にはサンゴ群落も広がっているエリアがあるのです。
民家下

色鮮やかなオシャレハナダイも。撮影にはライトやストロボが必要ですね♪
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)
こちらは柏島の対岸、一切エリアにあり、港から約5~6分でアクセス。
「浅場から深場まで生物が充実しています。深場ではオシャレハナダイ、スミレナガハナダイ、ハリオイトヒキベラ、ツキノワイトヒキベラなど、浅場ではクマノミ、サンゴの中のコバンハゼやサンゴハゼやサンゴガニ、スズメダイ各種などが生息しています」
【 番外編】ラスベガス

スズメダイの仲間がアカスジエビにクリーニングされています!
写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
「民家下」も意外と広い海域で、ダイビングサービスによって区分けしたりダイビングスポット名をいくつか付けていたりするようです。《アクアス》でも一部エリアは「ラスベガス」と呼んでいます。魚種が豊富で、生態ウオッチングも非常におもしろく、フォト派に人気のスポットになっています。「流れもなくゆったりのんびり潜れます。秋は季節来遊魚も非常に多くて大いに楽しめます」と松野さんは言います。
柏島の海の年間の見どころ
イルカは一年中!

「全ツアー野生イルカの遭遇率100%!」と撮影者の大西さん
写真/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)

スノーケリングでも会えるウミガメですが、ダイビングでももちろん会えます!
写真/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)
ダイバーにとって最高の海、柏島ですが、海のシーズナリティはどうなんでしょう? 《Divers Café & Bar 7me(ナナミ)》(以下《7me》と表記)のガイドスタッフ、大引雨音(あまね)さんに伺いました。
「《7me》では、ノンダイバー様のご来店数も増加する7月〜9月は、スノーケリング、スキンダイビングのベストシーズン! スノーケリング、スキンダイビングではラッシュガード or ウエットスーツと約半数。ダイビングでは3~5mmで行けます。水温も表層温度26℃から30℃を超えることもあり、水深を落とすと約21℃ぐらい。深場の水温は潮回りの影響とダイビングスポットにより異なります。
《7me》での夏場ゲスト様のリクエストNo.1はウミガメですが、柏島のウミガメスポットは南からの風に強く、一緒に遊ぶには夏が最高です。夏でも雨の後は北からの風に変わるので、潜れなくなることも。
北風の吹き始める10月頃からは風速5m程から白波が立ち、スノーケリング、スキンダイビングはクローズ、ダイビングがメインに切り替わります」
ダイビングは年間を通して潜れる柏島ですが、北風の吹く季節は特に現地ダイビングサービスに聞いて、スーツ等の準備をするといいですよ。
また、最初のイルカの写真は!?
「柏島に野生イルカが住み着いております。
しかし、港内や船の航路に生息しているので、安全上ダイビングやスノーケリング、スキンダイビングでご案内できませんが、船上からのイルカウォッチングは、《7me》オープン以来、全ツアーで遭遇率100%を達成してます」と大引さん。期待大ですね!
10月からの柏島の海も絶好調!
後浜がやっぱりおもしろい♡

ウミシダの先にエイリアンのようなヒメオオアミ(アミ科の生きもの)が!
写真/大引雨音(Divers Café &Bar 7me)
これからの季節のオススメどころをまずは《7me》の大引さんに伺いました。
「個人的に『後浜』はやっぱり面白いです。これからのシーズン、北西風には弱いのですが、行けるときは是非潜って欲しいダイビングスポットの一つ。透明度が爆上がりし、安定する季節なだけにワイド狙いもよし! 流れているタイミングでエントリーして回遊魚などのアタックシーン、群れ系を狙うもよし!! 柏島本来のネチネチ、マクロダイビングをするもよし!! ワイド好きなダイバーとしても一番好きな季節です(笑)。ウミガメもウミウシも群れ系も何でもあり、毎回新たな発見がある大好きなスポットの一つです」
勤崎、サルガウド、民家下も外せない!

海藻に擬態しているカニの仲間。たぶんコノハガニだと思うのですが、不思議な生態ですね
写真/大引雨音(Divers Café &Bar 7me)
「狙う生物により当然ダイビングスポットは変わりますが、柏島で外せないのは、『勤崎』と『サルガウド』、そして『民家下』! この3つのダイビングスポットは、柏島の隣の一切エリアにありますが、柏島のほとんどのお店が1日3ダイブのどこかで潜っているのではないでしょうか? 『後浜』と違ったダイナミックな地形、そして魚種と雰囲気も変わりめっちゃ楽しいスポットです。不動の人気ですので、ぜひワイドも楽しいこの時期にエントリーしてみてください」
10~11月はなんでもアリ!

根に群れるキンギョハナダイもブルーの海に映えてとても美しい季節
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)

ヒレナガネジリンボウとヤシャハゼを一つの画面に収まることも珍しくありません
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)
フォト派ゲストの多い《SEAZOO》では、この季節、どうでしょう?
「秋はとにかく魚種が増えるので“なんでもアリ!”な感じです。冬はやウミウシや甲殻類狙いになります」と目黒さん。秋はワイドもマクロも狙いたいですね♪
魚群にも注目!

キビナゴのシャワーを捕食しにやってきたブリの編隊。スピード感もたまりません
写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
魚群のすごさも忘れちゃいけません。《アクアス》の松野さんによると「『勤崎』では、秋から冬にかけてはキビナゴがシャワーのように降り注ぎ、それをカツオやツムブリなどが追っかける光景を狙いたいですね。あと『後浜No3.5』では、 ハゼ祭りが開催されてます、足の踏み場もないくらい、あちこちにいてます」とのこと。
柏島、やっぱりポテンシャルが高すぎますね♪
ウミウシシーズンの柏島は狙い目!

色鮮やかなフタイロニシキウミウシも見つかります
写真/大引雨音(Divers Café & Bar 7me)

小さくてかわいらしいウミウシもいっぱい! こちらはルージュミノウミウシ
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEAZOO)
水温が低くなってくると、一気に増えてくるウミウシ。ここ柏島ではその種類もとても多いのが特長。ウミウシのエサがとても多く、それぞれのウミウシに合った環境も豊かだからでしょう。
「人気なのはピカチューなどのツノザヤウミウシ系。イロウミウシはクラカトア、ソヨカゼ、シンデレラ等カラフルなもの。ミノ系はルージュミノ、チゴミノ、ネアカミノ、セスジミノなど明るい色のものを好むダイバーが多いですね」と《SEAZOO》の目黒さん。ぜひ見に行きましょう!
柏島を潜るならこのお店!
日本のみならず海外ダイバーも注目し始めている人気の柏島。ダイビングサービスは柏島と対岸に十数軒あり、日本を代表するダイビングビレッジとなっています。ここでは海の案内をしてくださったおすすめの3店をご紹介!
高知県幡多郡
柏島ダイビングサービスSEAZOO(シーズー)
TEL:フリーダイヤル0120-4908-15
E-mail: info@seazoo.jp.net
〒788-0343 高知県幡多郡大月町柏島50番地

Photo by SEAZOO
宿泊施設併設! ウミウシにも詳しいお店
SEAZOOは「全ウ連(全国ウミウシ連絡協議会)」所属なのでウミウシダイビングは得意です! 冬から春にかけてたくさんウミウシを紹介していきます。
また、水中写真が得意なスタッフもいますので何でもご相談ください! ボートもテント付きなので日差しを気にせず快適!! エンリッチタンクを常備していますので安心して潜れます!
高知県幡多郡
Divers Cafe & Bar 7me
TEL:090-6609-0127
E-mail: diverscafebar7me@gmail.com
〒788-0342 高知県幡多郡大月町一切174-2

ボート3隻でグループ分けして細かいガイディングを提供
2020年8月にスノーケリング&スキンダイビング専門店としてオープン。代表の大西新祐さんは熱く語ります。
「私たちは、【7meだからできる】を合言葉に、初めて訪れられる柏島のゲスト様一人ひとりに寄り添い、リクエストをお聞きしております」。自社ダイビングボートを3隻保有し、ダイビング、スノーケリング&スキンダイビングと使い分け、一般ダイバーからショップツアーまで柏島の海を全力でガイド。柏島のダイビングサービスとして唯一ノンダイバー方向けのサービスも展開、一番人気メニューのウミガメスノーケリング&スキンダイビングツアーでは7〜9月の期間で約500~600名が来店するほど。
高知県幡多郡
柏島ダイビングサービス AQUAS(アクアス)
TEL:0880-76-0100
E-mail: aquas@kashiwajima.com
〒788-0343 高知県幡多郡大月町柏島130

Photo by AQUAS
宿泊&食事込みのプランで楽しく水中撮影ができる店
柏島の閑静な住宅街に立つオシャレなダイビングサービス。宿泊施設もあり、全室ツインベッドですのでおひとり様にも利用しやすくなっています。ガイドスタイルは「じっくりゆっくり写真と向き合ってもらえるようガイドします! 撮った写真をみんなでその日に観るログ付けも人気で、次の日こう撮ろう!というイメージが湧きます」と松野さん。水中写真を撮りたいという意欲が湧いてきますね。
ライター/後藤ゆかり(MDWeb)