楽園モルディブ2014
環礁ってなぁに?
『マリンダイビング』11月号(10月10日発売)では、モルディブの海を環礁を越えて潜りまくるモルディブダイブサファリをご紹介しています。
…でも、ちょっとまって! そもそも“環礁”って何? 島? 国? 環礁を越えるってどういうこと!? 実はそう疑問に感じた方も多いはず。そんなあなたのために、モルディブの環礁について詳しくお答えしましょう!
モルディブの位置をおさらい!
モルディブはインドの南西約600㌔の洋上、北緯7度から南緯0度40分に広がる26の環礁から成る島嶼国。海抜も2㍍ に満たない平坦な島が約1190存在する。
そのうち人が住んでいるのは約200島。リゾートになっている島は約90島。その領域は9万平方㌔㍍ に及ぶが、その領海のうち99.7㌫が海という事実。
モルディブという名はサンスクリット語のMala(花輪)とDheep(島々)、つまり「島々の花輪」という意味。空から見ると紺碧の海の中にエメラルドグリーンの環礁が広がり、その様子はまさに花輪のように美しい。
より大きな地図で モルディブ を表示
環礁って何?
では、モルディブを作る“26の環礁”とは何だろう。
サンゴ礁の地形には、陸地とサンゴが接した「裾礁(きょしょう)」、陸地とサンゴ礁の間に水深10㍍ほどの礁湖を持つ「堡礁(ほしょう)」、サンゴ礁だ けが輪のようになってつながっている「環礁(かんしょう)」の3つがある。モルディブはこの「環礁」にあたるのだ。つまり、モルディブは島が完全に沈んで しまい、ドーナツ状にリーフだけが残されている部分が26あり、それが周りの海を巻き込んで一つの国を形成しているのだ。ちなみに環礁の英語 Atoll(アトール)はディベヒ語が由来。
サンゴ礁の3つのタイプ
裾礁(きょしょう)Fringing Reef
海の真ん中にできた火山島をよりどころとしてサンゴが定着し、島の周りを取り囲むようにしてサンゴ礁が成長していったもの。形成されたサンゴは外側へと広がっていく。
代表的なエリア : 沖縄
堡礁(ほしょう)Barrier Reef
中央部の島が沈んでも、サンゴ礁だけはどんどん積み重なっていく。また潮辺りのいい外洋側は成長が早いため、リーフは外へと広がる。こうしてサンゴ礁だけが残され、島とリーフの間にラグーン(サンゴ礁や島嶼に囲まれた海)が形成される。
代表的なエリア : パラオ、オーストラリア
環礁(かんしょう)Atoll
堡礁の状態から完全に島が沈んでしまうと、ドーナツ状のリーフがだけが残される。中央部は巨大なラグーンとなり、サンゴ礁上には、サンゴのかけらが積もり積もって小さな島々が見られるようになる。これがモルディブの地理を形作っている地形だ。
代表的なエリア : モルディブ
《アイランドサファリ・ロイヤル》王道ルートで回る環礁はココ!
モルディブダイブサファリは、“王道ルート”と呼ばれる日本人に人気のスポットを回るルートがある。マンタやジンベエなどの大物が高確率で見られ、目の前を埋め尽くすほどの魚群が常に見られるという。一体どこの環礁なのか!?
北マーレ環礁
モルディブの唯一の国際空港であるマーレ空港がある。リゾートが真っ先に作られた場所であり、古くからダイビングスポットが開拓されてきた。サファリで 潜るのは主に南部。オーバーハングやケーブがたくさんあり、ときに潮流が速くなるため、イソマグロやロウニンアジなどの大型回遊魚も大いに期待できる。1 本目でいきなりマンタやヨスジフエダイの群れが出るなど、「空港からこんなに近いのにこんなにすごいの!?」と驚くこと間違いなし。
取材で潜ったダイビングスポット
①マーギリロック
チェックダイブにもよく使われるスポット。白い斜面には大量のガーデンイール(写真)がいておもしろい。根の周りにはヨスジフエダイやアカモンガラがびっしり。
②ナシモティラ
リーフの棚にキンギョハナダイやフレームバスレット、写真のクマササハナムロが群れている。オーバーハングも多く、ヨスフジエダイやコショウダイの群れも。ときにマンタが出現。
⑮オコベティラ
水深20㍍前後の海底に大きな根が立ち上がり、中層にはバラクーダやマダラタルミ、ツバメウオの大群が見られる。さらにはイソマグロやロウニンアジなどのハンターたちも通る。
⑯バナナリーフ
モルディブでも有数の人気スポット。ナポレオンやロウニンアジ、カスミアジといった人気の大物生物がわんさか。オーバーハングも多く、写真のアカマツカサが群れていてきれい。
南マーレ環礁
日本人ダイバーが多く集まるリゾートが多いエリア。外洋に突き出たコーナーから水路に流すチャネルスポットが多いため、ときに流れが強い。その分、グレイリーフシャークやイソマグロ、マンタやジンベエに出会える可能性も。
取材で潜ったダイビングスポット
⑫⑬グラドゥコーナー
外洋に突き出したコーナーにあり、潮にのってやってきたイソマグロやマダラトビエイなどがやってくる。かわいいナポレオン(写真)は常時スタンバイ。ジンベエやマンタが出ることも。
⑭エンブドゥカンドゥ
ハードコーラルやソフトコーラルが多く、唇がかわいいシテンヤッコ(写真)などのキンチャクダイの仲間が多い。根の周りにはギンガメアジの群れ、ウミガメ、ナポレオンも。
ラスドゥ環礁
近年、ハンマーヘッドシャークが見られると話題の環礁。サファリの場合、早朝ダイビングとなるので夜明け前のうちから起きて、うす暗い中を潜る。1~2本 潜るくらいであまり長居しないスポットだが、何もない真っ青な中を流すスポットはここくらいなので印象的。たまにカジキが水面を飛び跳ねることも。
取材で潜ったダイビングスポット
③マディバルコーナー
外洋に突き出したダイナミックなドロップオフに無数の魚が群れる。ドロップオフの内側は砂地のドームのようになっており、固有種のドラキュラシュリンプゴビー(写真)が観察できる。
④ラスドゥマディバル
以前は「ビッグブルー」という名で知られていたが、近年はこちらの呼び名で定着している。中性浮力をとりながらただひたすら泳ぐ。ハンマーヘッド狙いで、強運の持ち主は群れに遭遇することも。
アリ環礁
南北マーレ環礁に潜り飽きてしまったダイバーたちが、新天地を求めて開拓したのがアリ環礁。魚影の濃さと、見られる魚の種類の多さはモルディブの中でも飛び抜けている。リゾートも多く建てられており、まさにダイバーズ天国と言える。
取材で潜ったダイビングスポット
⑤カルティラ
周囲30~40㍍ と小さい根がある。潮が当たるところに魚が群れており、イソマグロとカツオの群れが捕食にやってくることもしばしば。ウミウシなどのマクロ生物も多い。
⑥フィッシュヘッド
魚影が特に濃く、アリ環礁の中でも人気No.1スポット。ナポレオンが常時スタンバイしているほか、ヨスジフエダイやタテジマキンチャクダイなど鮮やかな魚が多い。
⑦リーティティラ
元気なテーブルサンゴが群生する。そこに写真のイエローバックフュージラーや、クマササハナムロなどが一面に舞う。ウミガメに会えることも。
⑧ディッドゥコーナー
なだらかな斜面は流れが強く、ときに写真のホワイトチップシャークなどがうろうろ泳いでいる。その周りをアカモンガラが大量に舞っており、目がチラチラするほど。
⑨アリビーチアウトリーフ
モルディブアネモネフィッシュがすむイソギンチャクの群生も見もの。ビーチの沖合にあるので比較的流れは少なく、まったり楽しめる。
⑩クダラティラ
ヨスジフエダイの大群がうごめくスポット。丸い根が縦に割れていて、そこに無数の魚が生息している。白い砂地にハナダイが舞っていたり、モルディブアネモネフィッシュもたくさん。
⑪ヴィラメンドゥティラ
ナポレオン、ホワイトチップ、マエアラトビエイが現れるので大満足できる。潮が複雑なので上級者向きだ。岩陰にはチョウチョウウオの仲間やコショウダイ(写真)がすむ。
アリ環礁はジンベエザメ遭遇率が高い
環礁南部は、ジンベエザメに会えるスポットとして特に人気。運が良ければ水中で会えるが、ジンベエスイムで見るのが一般的。ジンベエを発見したらクルーが船を近づけてくれるので、3点セットを待って合図で飛び込もう。
そのほかスペシャルトリップで回る環礁
王道ルート以外にも、季節限定で違う環礁へ行くルートがある。2回目以降にぜひ乗ってみよう!
ガーフ環礁
ほぼ赤道直下にある、モルディブ最大の環礁。大きいために行政区は2つに分かれ、北側はガーフアリフ、南側はガーフダールと呼ばれている。リゾートもでき たばかりで、まだまだ手つかずの自然が残る。大きく分けて南側と東側で潜るスポットが分けられ、南側はイソマグロ、トビエイ、ナポレオン、タカサゴやイエ ローバックフュージラーの群れ、ときにジンベエも出現。東側はサンゴの群生が見事。
風向きから乾季限定のツアーが多い。プランクトンが多いモルディブだが、乾季の時期は透明度が高く、サイパン並みの日になることも。
バア環礁
近年、マンタが何百尾と捕食のために乱舞する「ぐるぐるマンタ」が見られると話題になった環礁。雨季の後半(7~11月頃)はこうしたマンタや、ジンベエザメが現れることもある。高級エコリゾートが多く、環境保護にも力を入れている環礁。