島ごとの海の中がわかる!小笠原 島別★ダイビングガイド
「小笠原に潜りにいくの~!ってよく言うけど、結局小笠原“諸島”のどこを潜るの?」
そう思う方は多いハズ。
今回はそんな疑問に答えるべく、島の位置や島ごとの魅力をご紹介します!
そもそも小笠原ってどこにあるの?
小笠原諸島は東京から南へ1,000kmの太平洋上に浮かぶ30あまりの島々。北側から聟島列島(ケータ列島と呼ばれることが多い)、父島列島、母島列島、さらに南の火山(硫黄)列島、日本最東端の南鳥島、最南端の沖ノ鳥島などが並ぶ。一度も大陸と陸続きになったことがなく、島独自の進化を遂げた生態系が評価され、2011年6月には世界自然遺産に選ばれた。
人が住んでいるのは父島・母島だけ ダイビングもこの2島からスタート
30あまりの中で、人が住んでいるのは父島と母島の2島のみ。しかも入り口はは父島・二見港のみで、東京・竹芝桟橋から25時間30分の船旅。さらに母島に行く場合はいったん二見港まで行き、そこから「ははじま丸」に乗り換えて約2時間10分で到着。
ダイビングサービスは父島に9軒(ダイビング安全協議会加盟店)、母島に1軒あり、この2島から船が出発する。
ダイビングは父島、母島で潜るエリアが分かれている
父島と母島、それぞれで潜るエリアが異なる。父島は父島周辺(孫島、弟島、兄島、父島、東島、西島、瓢箪(ひょうたん)島、南島など)と、夏~秋の風が穏やかな日のみ遠征できるケータ列島(聟島(むこじま)列島とも呼ぶ。北之島、聟島、針之岩、媒島、嫁島など)の周辺を潜る。
母島は、母島と、その周辺にある向島、姪島、妹島、姉島などの周りを潜る。
見ておわかりのとおり、ユニークなのは島の名前。まるで家族構成のようなネーミングで、なんとなく仲が良さそうな雰囲気が感じられてほのぼの♪
今回は、父島から潜りに行くエリアの島々をご紹介!
ケータ列島
嫁島 ~後島・前島~ よめじま~うしろじま・まえじま~
二見港からボートで約1時間30分
ここを潜らずしていられない!「嫁島・マグロ穴」
ケータ列島の入り口となる嫁島。ケータ列島はすべて無人島なので、いずれのスポットもダイナミックさがウリだが、特に人気なのが「マグロ穴」。実はマグロ穴という名前のスポットは各島にあるのだが、「マグロ穴」といったら嫁島のマグロ穴のことを指すことが多い。それだけ人気のスポットだ。
中にはイソマグロが何十尾と群れており、カスミアジやシロワニなどもバンバン登場。最近ではイルカが住み着いているという話をよく聞くので、水中で会えるチャンスかも!
嫁島・マグロ穴
中級者~
水深10~16mのアーチに入ると、50~100尾ものイソマグロがぐるぐると回遊。そのほかカッポレやウメイロモドキ、クマササハナムロも人気。
コーラルガーデン
初心者~
エダサンゴやテーブルサンゴなど、一面にサンゴが覆うコーラルスポット。ノコギリダイやクマササハナムロ、ヨスジフエダイ、ホウセキキントキが鮮やかに舞う。
媒島 なこうどじま
二見港からボートで約2時間
第2の「マグロ穴」が人気
ケータ列島の真ん中に位置しており、聟島と嫁島の中間に位置することから媒島(媒酌人、つまり仲人の意味)という名がついた。
実はここにも「マグロ穴」があり、マグロが群れている。嫁島のマグロ穴がアーチ状になのに対し、媒島は完全な洞窟になっているので、うまく追い込めばイソマグロが逃げることなく穴の中でぐるぐるする様子が見られる。また、穴から出てくるときの青い光はとてもきれい。
媒島・マグロ穴
中級者~
砂地が広がる洞窟の中に入ると、中にはイソマグロの群れがぐるぐる。逃げ場がなく迫力満点。真っ白な砂地の上を漂う気持ちよさも堪能できる。
媒島・タコ岩
中級者~
父島周辺にも「タコ岩」と呼ばれるスポットがあるが、こちらは媒島のほう。ウメイロモドキなどがこれでもかというほど群れ、非常に華やか。
聟島 むこじま
二見港からボートで約2時間
魚影が濃く迫力満点
ケータ列島のメインである聟島列島は、面積約2.57km²とケータ列島の中では一番大きい。その周りにあるギザギザの針之岩、蛸岩の周りを含めてスポットがいくつか開発されている。ここはケータらしい、キイロハギ、ウメイロモドキ、ユウゼン、ヒレナガカンパチなどの群れなど、豪快なシーンが見もの。目の前を埋め尽くす魚群に、興奮は冷めやらない。ただし、流れが強いこともあるのでスキルが必要。
島の西側にある小花湾は穏やかなので、ここでお昼を食べたりスノーケリングをして遊ぶことが多い。
ボータ浅根
上級者~
キイロハギ、ウメイロモドキ、ヒレナガカンパチなどが視界いっぱいに群れ、魚影が濃い。ときに流れがあるので気を付けよう。
小花湾
初級者~
水深4mくらいのところにいつも群れているクロハギ(写真)たちや、クマササハナムロなどのすごい群れをスノーケリングで楽しめる、何気にすごいスポット。
北之島 きたのしま
二見港からボートで約2時間30分~3時間
泊まりケータじゃないとなかなか行けない秘境
父島から3時間ほどかかるので、日帰りで行くにはちょっぴり大変。サービスによってはお泊りケータ(1泊ないし2泊で、船内で宿泊しながらケータを潜りまくるスタイル)を実施しているので、それで行けばチャンスがある。ここで有名なのは「サメ穴」。小笠原に行ったからには見たい「シロワニ」というサメが高確率で見られる。鋭い歯むき出しで、暗い穴の中からぬっと出てくるその姿は、迫力満点。その周囲にある中之島、笹魚島の周りにもスポットあり。
北之島・サメ穴
上級者~
水深7mほどの浅い砂地を囲むように岩礁が張り出しており、地形と大物が楽しめるスポット。ケーブ内では大型のサメ シロワニがウロウロ。
一之岩~五之岩 いちのいわ~ごのいわ
二見港からボートで約3~4時間
岩の周りにスポットが点在
こちらも父島から遠いので、お泊りケータでのみ行けるエリア。北から一、二、三……と根が点在しており、その周りにスポットがある。
中でも現地ガイドに人気なのが「四之岩」。亀裂に固有種であるアカイセエビが壁一面にぐっちゃりいる様子は見事。深場ではコクテンカタギが乱舞し、根の周りではヒレナガカンパチに追われたウメイロモドキが雲のように固まる。
父島~東島~ ちちじま ひがしじま
二見港のある島 小笠原諸島の入り口
小笠原の入り口の島はバリエーション豊か
面積23.8㎢、周囲52kmと小笠原諸島最大の島。島を囲むようにスポットがあり、初心者でも潜れる穏やかな場所が多い。とはいえ、ここは小笠原。魚群や地形が見られるダイナミックなスポットや、一面にサンゴが広がるスポットも多いので十分楽しめる。
また、太平洋戦争の名残として沈船スポットが多い。魚のすみかになっているので魚影の濃さと歴史の重みを感じることができる。
長崎
初級者~
チェックダイブにも使われるビギナーポイント。潜ると真っ白な砂地が広がり、癒される。人を恐れないツバメウオが悠々と泳ぐ。
製氷海岸
初級者~
二見港近くにある海岸。港の近くにありながら、見事なエダサンゴの群生が広がる。水深3~5㍍と浅いので、潜るとすぐ魚が寄ってくる。
スターライトパレード
初級者~
その名のとおり、ヨスジフエダイ、アカヒメジ、ノコギリダイなどのキラキラした魚の群れがパレードのように通り過ぎる。その数の多さに思わず見入ってしまうほど。
ドブ磯
初級者~
父島を代表するビッグスポット。水深50㍍から隆起する根にクレバスが通っている。イソマグロやギンガメアジ、ウメイロモドキ、クマササハナムロ、カマスなど、外洋性の魚や群れに出会えるチャンス大。
南島みなみじま
二見港からボートで約20分
人気のスポットが大集合!
「扇池」という沈水カルスト地形でできた日本でも珍しい南島。その美しさゆえに、観光客も多々上陸する。
南島は父島から近いがそのスポットのおもしろさは有名。特に「閂(かんぬき)ロック(別名HAZAMA)」と呼ばれるスポットは、秋になるとウシバナトビエイが100尾近く群れる様子が見られ、その迫力はほかに類を見ないほど。「秋は南島が一番」というガイドもいるほどだ。ただし流れが早いので、スキルを身に着けたダイバーなら潜れる。またイルカも多く、ドルフィンスイムもできる。
閂ロック(HAZAMA)
中級者~
小笠原を代表するビッグスポット。特に秋にはウシバナトビエイの群れが見られ、圧巻。そのほかギンガメアジやカスミアジなど南方系のアジも多い。流れが強いのでブリーフィングをよく聞こう。
万蔵穴(まんぞうあな)
初級者~
真っ白な砂地が広がるヒーリングエリア。ただ浮いているだけで気持ちいい。洞窟もあり、あたりにはカスミアジやウメイロモドキの群れに出会えることも。
兄島~人丸島~瓢箪島あにじま
二見港からボートで約10分
小さな魚やサンゴがいるヒーリングアイランド
父島のすぐ北側にある兄島周辺では、サンゴやその間にすむ小さな魚たちがかわいい。小笠原名物である真っ黒のクマノミや、超レアなミズタマヤッコが見られる水玉湾など、フィッシュウオッチングが楽しい。
もちろん、それ以外にも地形や群れ、沈船が楽しめるスポットも多い。特に人丸島のダイナミックな地形は見もので、ウメイロモドキやクマササハナムロの群れはもちろん、ホワイトチップシャークなどの大物も見られる。
バラ沈
初級者~
太平洋戦争時の名残である沈船がバラバラになっているスポット。沈船は漁礁と化しており、あたりにはハナダイやスカシテンジクダイ、カエルアンコウなど多くの魚のすみかとなっている。
キャベツビーチ
初級者~
テーブルサンゴが見事なビーチ。明るい緑やモスグリーンなど、さまざまな緑色をした巨大なテーブルサンゴが一面に広がる。水深が浅いので晴れた日はさらにきれい。
人丸島SP
初級者~
水深26mにあるクレバスにはテングダイやアジアコショウダイが根付いている。そのほかヨスジフエダイなどが悠々と泳ぎ、生物の写真も撮りやすいスポット。
西島にしじま
二見港からボートで約10分
こんな楽しいチェックダイブ、あり!?
父島からも近く、流れのない穏やかなスポットがあるため、チェックダイブにもよく使われる西島周辺。しかしながら、クマササハナムロの群れが目の前を通り過ぎたり、穴の中でキンメモドキがぐっちゃり群れていたりと、魚影の濃さもハンパではない。スポット数も多く、バリエーション豊かなに楽しめる。
西島北
初級者~
チェックダイブにも使われる、穏やかなスポット。とはいえ、サンゴの絨毯あり、キンメモドキがぐっちゃり群れる地形ありと見応え十分!
弟島~孫島おとうとじま~まごじま
二見港からボートで約20分
シロワニウオッチングで有名
父島列島の北側にある弟島と孫島。ここで有名なのは「鹿浜」というスポット。秋から冬にかけて、シロワニが見られる確率が高くなるのだが、ここの「鹿浜」の岩の穴では特に高確率で見られて、しかも父島から近いとあって多くのダイバーが潜りに行く。暗がりに悠然と泳ぐ姿は圧巻!