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直行便就航サイパン3時間半
写真家むらいさちさんがレポートする
こんなに近くて楽しいサイパン【前編】

写真家むらいさちさんがレポートするサイパン【前編】

2020年の春より、海外ダイビングは遠い存在になった。日本は実に美しい国で、この間に国内の海だけでなく、山や文化の良さを再認識したり、今まで知らなかった一面に触れたりするいい機会にもなった。しかし、そろそろ海外が恋しい。海外への入国規制や日本帰国後の規制緩和に合わせて、そんな思いに駆られていた人たちが海外に向かい始めている。
とはいえ、なかなかその一歩が踏み出せないダイバーに、9月1日よりユナイテッド航空の直行便が就航するサイパンを写真家むらいさちさんにレポートしてもらった。むらいさちさんが見たサイパンの今と、ダイビングの感想などを本人の写真と言葉でご紹介。

協力/マリアナ政府観光局(Marianas Visitors Authority)、北マリアナ諸島ダイビング事業者協会(NMDOA)
撮影・テキスト/むらいさち

※この特集は2022年8月現在の情報です。

海外への渡航って実際どうなの?

※注:2023年9月現在、サイパンへの入国および日本への帰国における規制はすべて撤廃されています。

出入国体験談

「2年半ぶりの海外渡航はドキドキがたくさんでした」

「2年半ぶりの海外渡航はドキドキがたくさんでした」

みなさんこんにちは! 写真家のむらいさちです。今回、僕自身も2年半ぶりの海外取材へ! いやーほんとに待ちに待っていました。行き先は9月1日からユナイテッド航空の直行便が就航することで話題の北マリアナ諸島の“サイパン”です。数年ぶりの海外旅行となれば、いろいろ不安があると思います(よく分かります)。そんなあなたにまずは、サイパンをお薦めする4つの理由をご紹介します。
その1、近い!飛行機に乗れば3時間半で行ける日本から最も近い英語圏のリゾート
その2、時差1時間!時差ぼけの心配不要(初日から全開で遊べます!)
その3、常夏!一年を通じていつでもリゾートを満喫(平均気温27度、平均水温25度)。
その4、日本人に優しい! 日本人も多く在住しており、レストランや、空港も日本語が通じてしまうほど(日本人経営のダイビングショップも多く言葉の壁がありません)。
あと、30くらいは良いところ書けますが、とりあえずはこのへんで。

日本出国・サイパン入国はどうなっているの?

やはり今の時代、さまざまな規制があり海外旅行は大変なのでは?と、僕自身も思っていました。が、これが思った以上にストレス無く行くことができたのです。まずは日本出国に関してです。
欠かせないのはパスポートとワクチン接種2回を終えていることの接種証明書です。僕はすでにワクチンを3回接種していたので、携帯アプリで新型コロナワクチン接種証明書の電子版を事前に取得しました。行きは航空会社のカウンターでそれを提示しただけです。ちなみにユナイテッド航空を利用の場合は、事前にオンラインで「Travel Ready Center」アプリへの登録が便利です。接種証明書も事前登録しておけばカウンターで提示の必要もありません。
つづいて、サイパンの入国時には事前(入国72時間以前)にオンラインで「Travel Health Declaration」の登録が必要です。その完了画面の提示を入国時に求められます。

サイパン出国、日本帰国時に必要な手続き

日本への帰国の際には、PCR検査の陰性証明が必要です。マリアナ3島(サイパン、テニアン、ロタ)ではPCR検査を政府が観光客にも無料で提供しているので、現価約300ドルの検査が無料になるのは、とてもお得だと思います。僕が訪れた7月、検査場はホテルから離れた車でしか行けない地元のコミュニティセンターにありました。英語でのネット予約、検査場への移動など、ハードルが高く不安の方も多いはずです。そんな方向けに現地旅行会社ターシツアーズでは、PCR検査の予約、会場への送迎、翌日の証明書の受取がセットになったプラン(1人50ドル、2名様~)があり、僕もそれを利用しました。朝8時頃にホテルにお迎えに来てくれて、一時間ほどでホテルに戻ることができました。 当日の午後か、翌日の朝には結果が出ます。 その証明書を携帯アプリ「MySOS」の指示に従って登録します。これで入国がスムーズになります。ちなみにこの原稿を書いている8月現在、PCR検査場がなんと、ガラパンのDFS内やサイパンの主要ホテルに設置される予定というお知らせを観光局から受け取りました。観光客にとってはさらに便利になると思います。

正直、出国・入国に対してかなり不安があったのですが、思った以上に手続きは簡単でした。なにより、サイパン到着後の隔離が無いのと、日本帰国時のPCR検査や隔離が不要なので、海外へのハードルがとても下がったのを感じました。
※出入国の手続きは随時変更されるので、最新情報はマリアナ政府観光局公式サイトの下記ページでご確認ください。

安心安全なマリアナ旅行のために

ビーチダイビングを楽しむ!

さあ、いよいよ待ちに待ったダイビング!
サイパンでのダイビングは、ボートと、ビーチのスタイルに分けられます。前編の今回はリハビリにはちょうど良い? ビーチダイビングをご紹介!
僕はもともとサイパンの海が大好きで、通っていました。だからこそこの旅では、かみしめるように一本一本潜ってきました。
今回は、北マリアナ諸島ダイビング事業者協会(NMDOA)に加盟している、MSCの山口さん、スーパーフィッシュの名塚さん、メイダイブの松尾さんに、水中を案内していただきました。 日本人経営のダイビングショップが数多くあるのもサイパンの良いところですよね。

ビーチダイビングを楽しむ!

サイパンと言えばグロットダイビング!

リハビリにはちょっときつすぎますが(笑)、やっぱりサイパンを代表するスポット「グロット」を潜らないわけにはいけません。ここはエントリーまでに116段の階段を下りないと辿り着けない、スペシャルなイベントがあります(笑)。しかし海に入ればそれを忘れてしまうほどの美しい景観が待ち受けています。6~8月の午後には、時に息をのむほどの光のカーテンを見ることができます。エントリー口は天然プールの様になっていますが、海の中は外洋とも繋がっているので、外洋に出ればダイナミックなドロップオフを飛ぶように泳げたり、魚の群れに遭遇したりすることも。
当然ダイビング後は116段の階段をふらふらと登るわけですが、翌日には「またグロットを潜りたいな~」となる魅力的なポイントなのです。

半洞窟になっているなんとも不思議な景観、さあエントリー

半洞窟になっているなんとも不思議な景観、さあエントリー

エントリーするとこの光のカーテン、なつかしい・・・ただいまサイパン!

エントリーするとこの光のカーテン、なつかしい・・・ただいまサイパン!

オーロラの様にゆらゆらと揺れる太陽の光、いつまでも見ていられますね

オーロラの様にゆらゆらと揺れる太陽の光、いつまでも見ていられますね

雄大な外洋へのトンネル。その向こうに広がる外洋の海に胸がドキドキ。

雄大な外洋へのトンネル。その向こうに広がる外洋の海に胸がドキドキ。

The南国!オブジャンビーチ編!

オブジャンビーチ

サイパンのビーチで僕が一番好きなポイントは、オブジャンビーチです。島の南端に位置し、沖にはテニアン島を望むこともできます。その魅力はなんといってもロケーション。青い海、青い空、白い砂浜、ヤシの木、これぞまさにサイパン! この美しいビーチを僕らだけで貸し切り!なんて贅沢なことがサイパンではしょっちゅうあります。この美しい砂浜からエントリーすると、リーフの中は穏やかでサンゴもイキイキしていて、思わず笑顔がほころびます。リーフの外に出ると、沖合18mあたりから一面真っ白な砂地が広がり、僕の大好きなオブジャンブルーが登場します! この日は透明度も良く軽く50mは見えていたと思います。沖にはのんびりと泳ぐマダラトビエイの姿も。ああこの透明度・・・、サイパンに帰って来たことをしみじみと実感します。カメラで海の景色を撮影するのも楽しいですが、ここではその透き通る海の中でぼ~っとするという、本来のダイビングの楽しみ方を思い出させてくれる海でもあります。でも、実はマクロ系のお魚も多く、浅瀬でじっくりフィッシュウォッチングも楽しめます。

この海と景観を見たら、自然とこんな笑顔になってしまいます。ニヤニヤが隠せないむらいさち(笑)。今回水中を案内してくれたNMDOAのガイドさんたちと(右からスーパーフィッシュの名塚さん、メイダイブの松尾さん、撮影してくれているのはMSCの山口さん)。

この海と景観を見たら、自然とこんな笑顔になってしまいます。ニヤニヤが隠せないむらいさち(笑)。今回水中を案内してくれたNMDOAのガイドさんたちと(右からスーパーフィッシュの名塚さん、メイダイブの松尾さん、撮影してくれているのはMSCの山口さん)。

リーフの中からの半水面写真です。もう言うことはありません100点満点!高鳴る胸を抑えてエントリー!

リーフの中からの半水面写真です。もう言うことはありません100点満点!高鳴る胸を抑えてエントリー!

沖合に行くと真っ白な砂地が広がり、ほんとに天国のようです。どこまでも透き通るサイパンの海を堪能できます。ここではカメラを置いてぼ~っとするのが正解です。こんな撮影スポットもあります。

沖合に行くと真っ白な砂地が広がり、ほんとに天国のようです。どこまでも透き通るサイパンの海を堪能できます。ここではカメラを置いてぼ~っとするのが正解です。こんな撮影スポットもあります。

浅瀬の岩場には、モンツキカエルウオがたくさんいます。自分のお気に入りを探してみましょう。

浅瀬の岩場には、モンツキカエルウオがたくさんいます。自分のお気に入りを探してみましょう。

日本では見ることが出来ない、コミカルブレニー。でもサイパンではあちこちで見ることができ、とても親近感のあるお魚です。いろいろな表情で撮影してみてね。

日本では見ることが出来ない、コミカルブレニー。でもサイパンではあちこちで見ることができ、とても親近感のあるお魚です。いろいろな表情で撮影してみてね。

アジの群れからマクロまで楽しめる。ラウラウビーチ編

ラウラウビーチ

サイパンの東側にある、ラウラウビーチ。名前が可愛いので覚えやすいですね。このビーチは基本穏やかな湾内で、ワイドからマクロまでそのバリエーションの広さはサイパン一でしょう。今回の一番の狙いは、ラウラウ名物でもあるアジの群れです。時期によってはエントリーしてすぐ大きな群れを作って前が見えなくなるほど! 足元を見れば可愛いクマノミや、ミクロネシア特有のスズメダイ、ギンポ達もたくさんいて、ワイドもマクロも楽しめるポイントです。まさに噛めば噛むほど、潜れば潜るほど味のあるポイントです。
「サイパンの海は透明度が良いけどお魚は少ない」と思っている方は、その印象がガラリと変わるでしょう。ここ数年、現地のガイドさんたちが協力して、サンゴの産卵の観察を行っているそうです。興味のある方はぜひナイトダイビングも楽しんでください。

今回は沖にいたためガイドさんが一生懸命探してくれました(感謝)。その数に圧倒されます! 

今回は沖にいたためガイドさんが一生懸命探してくれました(感謝)。その数に圧倒されます! 

次々と形を変えていくアジの群れ、ずっと見ていても飽きませんね。

次々と形を変えていくアジの群れ、ずっと見ていても飽きませんね。

ラウラウビーチでは良くカメに出会います。ここのカメは人を見ても逃げることなくのんびりしています。そんな光景に癒されますよね。

ラウラウビーチでは良くカメに出会います。ここのカメは人を見ても逃げることなくのんびりしています。そんな光景に癒されますよね。

マクロの生物も充実。今回はワイドがメインでしたが、個人的にはマクロ撮影のみでこのポイントに入ってみたいと思わせる充実ぶりでした。

マクロの生物も充実。今回はワイドがメインでしたが、個人的にはマクロ撮影のみでこのポイントに入ってみたいと思わせる充実ぶりでした。

鮮やかな体色が目を引く、クロメガネスズメダイの幼魚です。

鮮やかな体色が目を引く、クロメガネスズメダイの幼魚です。

日本で見る個体より色が濃かったルリホシスズメダイの幼魚です。なかなか会えない子ですが、ここではたくさん見ました。

日本で見る個体より色が濃かったルリホシスズメダイの幼魚です。なかなか会えない子ですが、ここではたくさん見ました。

NMDOAとは?

今回水中を案内してくれたのは、NMDOA 北マリアナ諸島ダイビング事業者協会の皆さんでした。北マリアナ諸島の19のショップが加盟しており、ボートポイントのブイの設置・管理、独自の安全基準の策定など、サイパンで安全に楽しくダイビングができるように活動しています。詳しくはホームページをご覧ください。

NMDOAホームページ

PIC Saipanでリゾートを満喫!

今回僕が滞在していたのはPIC(Saipan Pacific Island Club)です。
とてものんびり過ごせるのがサイパンですが、しっかりリゾートが楽しめるのもまたサイパンです。美しいビーチ沿いにあるPICでは、目の前に夕日が沈みます。ホテル内にはウォーターパークもあり、家族連れでも楽しめます。レストランも数か所あるので、一日ホテルで楽しむことも可能です。日中はダイビングでアクティブに、ホテルに戻ったらのんびりしたリゾート時間をお過ごしください。

PIC Saipan 日本語サイト

ホテル内にウォーターパークがあるので、お子様連れでも一日楽しめます

ホテル内にウォーターパークがあるので、お子様連れでも一日楽しめます

目の前はこんなにも美しいビーチ。夕日や星空を眺めるのもおすすめです。

目の前はこんなにも美しいビーチ。夕日や星空を眺めるのもおすすめです。

室内は清潔感があり広くて快適でした。

室内は清潔感があり広くて快適でした。

テラスから海を眺める、この時間が幸せですよね

テラスから海を眺める、この時間が幸せですよね

最後にむらいさちの感想

今回のサイパンへの取材は、僕自身コロナ禍後初の海外でした。今までの写真家生活の中でもこんなに海外に行かない日が続いたことがありませんでした。それだけに、久しぶりの海外に不安があったのは間違いありません。しかし、情報を調べていくと、その不安もどんどん解消されました。そして次第に、あの大好きなマリアナへまた行けるという想いの方が強くなっていき、出発前日は遠足前の子供のように全然寝れませんでした(笑)。そして、少しの不安を残しながらも無事にサイパンに辿り着いた時の解放感はやはり日本では味わえないものがありました。文化の違い、想像もできない出来事との出会い、見慣れない水中景観やお魚たち、全てが刺激に溢れていました。なんども「そうそうこれこれ、これだよね!」って自分の心の中でその感動を反芻していました。 この記事を読んで、僕のように皆さんが不安を解消して、マリアナへ飛び立つ手助けができれば幸いです。ちょっと勇気を出せば、そこはまさにパラダイスです。あ、最後に、サイパンの海中も陸上も全く以前と変わらず最高でした!

むらいさちの感想

後編では、ボートダイビングの紹介、陸のアクティビティの紹介などをしようと思っていますので、どうぞお楽しみに!