GARMINスマートダイブコンピュータ最高峰
DESCENT Mk2iをレビュー
フリーダイバー/岡本美鈴さん
スマートダイビブコンピュータで人気のGARMIN(ガーミン)は、フリーダイビングの世界大会で公式スポンサーを務めています。Descentシリーズは公式水深計として記録をとるとともにアスリートやスタッフの安全をサポート。今回はDescentシリーズの中でも最高峰のDescent Mk2iを、現在の日本の女子フリーダイビング界のトップにいる岡本美鈴さんに実際に使っていただき、フリーダイバーの視点からその魅力を語っていただきました。
Mk2iのファーストインプレッション
今年の夏、バーティカル・ブルーでの岡本美鈴さん。腕にはDescent Mk2i(photo by Daan Verhoeven)
フリーダイビングの世界選手権で日本代表として個人・団体で4回も金メダルを獲得しているフリーダイバー、岡本美鈴さん。「人魚ジャパン」のリーダーとしても知られる一方、競技以外にもフリーダイビングのインストラクターとして活躍しています。このほどバハマで開催された世界最高峰のフリーダイビング大会「Vertical Blue(バーティカル・ブルー)の公式スポンサーをGARMIN(ガーミン)が務め、岡本さんはGARMINのDescentシリーズの最高峰「Descent Mk2i」と出会いました。
岡本さんのファーストインプレッションは「カッコいい! どのウエットスーツの色にも合いそう」と好印象があった一方で、そのサイズの大きさに「重そう」と思ったのだそうです。ところが、実際に身につけてみて「カッコいい! 文字盤が大きくて見やすい!!」ということと、最初に思っていた重さも「装着感は重くない」に変わりました。実際「Descent Mk2i」のサイズは直径52mm、厚さ17.8mmとがっしりしていますが、シリコンバンド利用の場合99.6gと重さが気にならない重量です。
そして最も気になるのが、フリーダイビングで使ってみての岡本さんのインプレッション。「文字が見やすい! これは驚きでした。またバイブレーションのアラートがしっかりウエットスーツ越しに伝わってくるので安心感を得ることもできました」
フリーダイビング世界大会最高峰バーティカル・ブルーで、岡本美鈴さんが使用したモデルDescent Mk2i。
製品の詳細はこちらをご覧ください。
実際に身に着けてフリーダイビングへ
記録を目指し、深く潜降していく岡本さん(photo by Daan Verhoeven)
そして岡本さんはDescent Mk2iを腕に、バーティカル・ブルーの大会に臨みました。
「バーティカル・ブルーから使用を始めたので海洋種目のみの使用感ですが、かなりいいです。ダイブ中の心拍の変化が可視化できたことで、メンタルの状態、身体の状態がリアルタイムで確認でき、心拍計測によって潜水に伴う生理反応の強さも確認することができることです」
水中での心拍数変化が把握できるのはスゴイ
本番の競技ダイブの時の深度と心拍数のグラフ。赤い線が心拍数。潜降前が最も心拍数が多く、最深部にいたすぐ後に心拍数が最も下がっていることがわかります。これは「潜水反応」と呼ばれます
フリーダイビング中に使用して、実際に気づいたことを挙げていただきました。
①ウォーミングアップから本番のダイブまで、自分の心拍数を把握しリラックスの深さがわかり、自信につなげたり、呼吸法で対処したりすることもできました。
②深度と連動して心拍が落ちる「潜水反応」を確認できました。ダイブ中に心拍が落ちることがわかることによりさらにリラックスしやすくなりました。この「潜水反応」のために入水前の腹式呼吸で心拍を落としておくことが有効であること実感しました。
Garmin Diveアプリでダイブセッション見て、深度グラフに心拍数をオーバーレイ表示すると深度と共に心拍数がどうかわっていたのか後で確認することができます。
セーフティダイバーとして潜った時。ダイバーが戻ってくるまで水中で緊張して待ち、一緒に浮上したら安心したことが心拍数に現れています
講習をしている時。全体的に心拍が落ち着いています
③ダイブの目的によって心拍の変動が変わっていました。
・自分の競技ダイブ:入水後、深度と共に心拍が落ちていた。
・バディのダイブにセーフティとして潜って迎えに行くダイブ:深度と共に心拍は下がらないどころか、上がっていた。
・講習でのダイブ:上下の幅が少なく、全体的に心拍が落ち着いていた。
④そして、GPS ダイビングポイント登録は、フリーダイビングのポイントが確認できるので助かっています。ビーチエントリー、ボート操船の際にいつも使っています。
水温の変化と深度変化の記録も役立つ
水温の変化と深度の変化(ブルーのライン)
フリーダイビング後に役立つ機能もあったようです。
⑤水温変化と深度の関係も役立ちます。サーモクラインで耳ぬきの技術を失敗することもあり、振り返りの際に確認しやすいです。
ほかにも岡本さんは気づいた点を挙げてくれました。
・ストップウォッチモードがワンアクションで使用できること(バディへのカウントダウンやセーフティダイブのタイム計測など、結構使うので)
・深度アラートを13回以上設定できます。目標深度アラートは最大水深299.0m。さすが、今後も更新されるであろう世界記録を計るオフィシャルウォッチです。「~mおきに鳴らす」というインターバル設定もあり、フリーダイビングに十二分な機能ですね。
・深度アラートは音とバイブの両方を使用しています。ウエットスーツの生地の上から装着しても伝わるので、とても便利です。
・心拍計測、GPS、アプリが見やすい。わかりやすい!
・ウォッチ画面はとても見やすいです。練習で深度確認をする際、透明度が多少わるくてもしっかり見えます。
・ボタンは押した感覚が強くて安心感がありました。
・スマホとペアリングして見るGARMINダイブアプリが見やすいです! フリーダイバーなら誰もが気になる必須確認事項の、潜降速度(最大と平均)、ボトム滞在時間、浮上速度などが確認できます。また、深度グラフにポイントを合わせるとダイブタイムが表示されます。アプリの活用で海も陸もトレーニング日のログも完成します。
ウォッチ側でもログはもちろん、さまざまなデータが確認できます。画面はダイブスポットの潮汐データ
バッテリーの持ち具合にも満足!
ロングバッテリーで充電ストレスなし。競技に集中できます。(photo by Vanessa Chen)
Descent Mk2iはUSBポートを使用して充電するタイプのダイコン。少ない時間でフル充電し、ダイビングモードで約80時間、通常使用だと2週間以上も連続使用が可能です。
「充電を忘れるほど充電する機会が少ない。毎日海に入っても4、5日は余裕で持ちます。あと充電ケーブルがスマートで旅行先への持ち運びにも便利でした」と、岡本さんも絶大な信頼を寄せるほど。大事なことですね。
陸上では5分間の「ブレスワーク」に感動
Descent Mk2iと岡本美鈴さん
フリーダイビングを離れたときもDescent Mk2iはスマートウオッチとして大活躍。
「スイム、筋トレ、ヨガ、ピラティス、ストレッチなどのスポーツモードの他に、5分間のブレスワークがあります。吸う、吐く、のリズムを振動で教えてくれるのがとても便利で、ストレスが高くなるとブレスワークをおすすめされるのに驚きました。スイム、筋トレについては、距離や心拍数がわかることがありがたいです。負荷が確認できて、目的を明確にしたトレーニングができます。ピラティスも、ヨガも、ポーズやアーサナのポーズ名がログ付けできるようになっていて驚きました。その他、スポーツ競技の種類が多いのにもびっくりです」
さらに、岡本さんは眠る時もつけてみたそう。
「睡眠の質を、毎日計測しています。睡眠の質は悪いことも多いのですが、睡眠と日常の疲労回復感、パフォーマンスをすり合わせするのが面白いです」アスリートとしても大事な機能といえますね。
また、心拍数だけでなく血中酸素トラッキングも計測するMk2i。
「血中酸素トラッキングは日常で呼吸が浅いとだいたい低いので、気づいた時はブレスワークをしてリセットします。ストレス値が上がったときにMk2iがお知らせしてくれる深呼吸モードは、気分転換に良いのでよく使用しています」
Descent Mk2iはもう岡本さんにはなくてはならない、不可欠なバディとなっているようです。
「フリーダイビングは私自身、人生、生活そのものです」という岡本さんが描く未来予想図は「競技やトレーニングを楽しみながら、日本国内の安全なスキンやフリーダイビングの普及と次世代へバトンを渡す活動」をしつつ、「マスター世界記録!」を打ち立てること。これからも頑張ってください!
コンスタントウエイト・ウィズ・フィンで岡本さんは銅メダル!
バーティカル・ブルー2023について
2008年からバハマのディーンズ・ブルーホールで毎年開催されている「バーティカル・ブルー」。2023年は公式スポンサーをGARMINが務め、公式水深計として「Descent Mk2」が採用されていました。現地の様子はどうだったのでしょう? これも岡本さんがレポートしてくれました。
「バーティカル・ブルー2023は、今年も最先端の安全管理のもと、トップレベルのダイブとライブ中継により、世界最高峰の大会として注目されました。大会全体としては、ナショナルレコードやワールドレコードを狙うダイブが多く、新記録もレッドカード(失格)も多い大会となりましたが、ライブの解説や発信もタイムリーでわかりやすく、現地にいた私たちも他選手のダイブを楽しめた大会でした」
(photo by Vanessa Chen)
「私は現地トレーニングを含め約3週間の遠征でした。結果としては水深96mが成功、コンスタントウエイト・ウィズ・フィン(CWT)種目の銅メダルをいただきました。日頃から支えてくださるスポンサー様、ライブで応援くださった皆様には感謝しかありません。
ただ、コンディションやダイブは好調にもかかわらず、競技外で背中を痛めてしまい、自己ベスト100mを申告することができませんでした。現地での過ごし方の反省も含め、この悔しさは次へのパワーにしようと思います。
2003年にフリーダイビングに出会い、2008年からこの大会への参戦を続け、気がつけば50歳。自分の子供世代のような選手が多いなか、自分の潜りたい気持ちや好奇心は不思議と何も変わっていませんでした。しかも年齢を重ねても自己ベストが更新できる可能性もあります。あらためてフリーダイビングは面白いスポーツだなと思いましたし、それを経験し実感させてくれるバーティカル・ブルーは私にとって大切な大会です」
岡本美鈴さんプロフィール
おかもと みすず プールナ フリーダイビングスクール 代表
1999年イルカと泳ぎたくて小笠原で初めてスノーケリングを体験。イルカと泳ぐことの楽しさを知り、通いつめることに。2003年小笠原の宿で知り合った友達と沖縄へ行き、帰りの機内でフリーダイビング日本代表の方に会い、東京フリーダイビング倶楽部を紹介してもらい、フリーダイビングの競技の道へ。すぐに頭角を現し、フリーダイビング金メダリスト・日本代表「人魚JAPAN」
●フリ―ダイビング主な大会出場歴・記録
公式自己ベストCWT100m(2021年)、
DYN208m(2023年)、
世界選手権 金メダル4回(個人・団体)
・2023国際大会(個人)銅メダル at バハマ
・2023世界選手権(個人)DYN208m 自己記録 at韓国
・2023日本選手権(個人)銅メダル at 鈴鹿プール
・2023国際大会(個人)CWT優勝 at 台湾
・2022国際大会(個人)水深95m at バハマ
・2021国際大会(個人) 水深-100m 自己記録 atバハマ
Mk2シリーズ製品紹介
●Desent Mk2i
Mk2シリーズ最上位モデル。Mk2と同機能だが、トランスミッター(別売)の装着で、最大5名までのタンク圧力モニタリングが可能です。
●Desent Mk2
マルチスポーツ機能とスマート機能を備えたウォッチスタイルの高機能ダイビングコンピュータ。
●Desent Mk2S
Mk2の性能と耐久性はそのままに、軽量化され、コンパクトに進化。女性ダイバーに注目してほしいモデルです。
お問い合わせ先
ガーミンジャパン株式会社
https://www.garmin.co.jp/
TEL:0570-049530
E-mail:jp_Info@garmin.com
画像提供/岡本美鈴
ライター/後藤ゆかり(MDWebデスク)