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MDW編集部 × SCUBAPRO担当者
SCUBAPROのレギュレーターを徹底比較!
〜セカンドステージの秘密〜

スキューバプロ(SCUBAPRO)

レギュレーターの違い、正直どれも一緒じゃない?と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。かくゆう私も、SCUBAPROに出会うまではその一人でした。
今回はマリンダイビングWEB編集部がSCUBAPROの担当者と対談し、なぜSCUBAPROのレギュレーターが良いのか、特にセカンドステージに焦点を当てて様々な種類を徹底比較してみました。レギュレーターこそダイビングを安全かつ快適に楽しむ鍵!しっかりと違いを理解して、自分に合ったレギュレーターを見つけましょう。

※2024年10月の情報です

WHY SCUBAPROレギュレーター?

MDW編 そもそもなぜ、SCUBAPROのレギュレーターなんでしょうか?

SCUBAPRO SCUBAPROは1963年アメリカで産声を上げたスクーバ器材の総合ブランド。USネイビー特殊部隊出身者のディック・ボーニンとグスタフ・ダラバレの2名の器材に対する飽くなき探求心からスタートし、その皮切りに投入された製品はMK(マーク)2スタンダードピストンファーストステージ/108ハイパフォーマンスセカンドステージシステムであり、後に一世を風靡し名器と謳われたMK5/アジャスタブル、MK10/バランスアジャスタブル・G250の原型となり現在もポリシーである「安全こそすべて」を掲げ60年以上続くその技術は脈々と受け継がれています。

SCUBAPRO そもそもスクーバダイビングは100%器材と共にあるレジャースポーツであり、その中心に位置する器材がレギュレーターと言っても過言ではありません。SCUBAPROが目指してきたレギュレーター造りは陸上(いまです!)と遜色なくストレスのない呼吸ができること。その根本は、シリンダー内の有限なエアを無駄なくダイバーの自然な呼吸タッチで『十分なエアを必要な時にだけ』届けるシステムを開発する事。これこそが水中をより一層安心して楽しめるストレスのない水中世界にするのです。

SCUBAPRO

MDW編 『十分なエア』を『必要な時にだけ』にはどのような意味があるのでしょうか。

SCUBAPRO 一推しのファーストステージMK25EVOは、『十分なエア』がセカンドステージを通じてダイバーへ供給されます。MK25EVOの心臓部機構はバランスピストン型、シリンダーから取り込まれたエアは内部のスーパーフローピストンといわれる広いトンネルを通りセカンドステージに送り込まれます、この吐出される流量は 8500l/minにのぼりダイバーにとって浅場~深場での自然な呼吸タッチから比較的高運動時(泳ぎ回る)際の呼吸もサポートします。

SCUBAPRO この『十分なエア』を受け止めるセカンドステージに求められる事は、ダイバーが『必要な時にだけ』エアを供給する事。ファーストステージから供給されるエア(圧力)を確実に受け止め、エアを漏らす事無くダイバーが必要な時(吸う時)だけ確実にエアを出す(漏らす)優れた機構をSCUBAPROは持っています。それが、バランスダウンストリームバルブとV.I.V.A.システムです。

WHY SCUBAPRO? まとめ

SCUBAPROの目指すレギュレーターは『十分なエア』を『必要な時にだけ』自然な呼吸タッチで供給する事です。数多いスクーバダイバーの中で自分が使っているレギュレーターを自分で選び、選んだ理由を語れるダイバーは少ないと思います。あなたはそうはなりません、SCUBAPROレギュレーターオーナーになるチャンスがあるからです。

2種類のバランスダウンストリームバルブ

横型ダウンストリームバルブ

SCUBAPRO

SCUBAPRO SCUBAPROのセカンドステージ心臓部のバルブはバランスダウンストリームで構成されています。ダウンストリームバルブとはファーストステージから供給されるエアが一定圧力を超えると外に逃がす仕組にみなっている安全性の高いバルブです。よく給気抵抗が軽い(吸いやすい)レギュレーターは良いと言われますが、これはファーストステージから供給されるエアを受け止めるスプリングトルクが軽い(弱い)と給気抵抗は軽くなる傾向にあります。但し、ファーストステージから供給されるエアの力より低いスプリングトルクではファーストステージから供給されるエアの力に負けて外に漏れてしまいます。そこでファーストステージから供給されるエアの力を利用してスプリングトルクを増しているのがバランスダウンストリームバルブです。

MDW編 ちょっと難しくて、、、なんだかわからなくなってきてしまいました、、、

SCUBAPRO つまり、ファーストステージから供給されるエアの圧力(力)より弱いスプリングにエアの圧力をプラスして事実上のトルクを増していると考えて下さい。

SCUBAPRO

SCUBAPRO 特徴的な機能は右側に配置されたアジャスタブルノブ(通称流量調整ノブ)、流量調整ノブを締め込むとスプリングトルクが増して呼吸タッチが重くなり、戻すと呼吸タッチが軽くなります。浅い深度でそこまでエアが必要ない、もう少し口に流れ込むエア量を抑えて自然な感じにしたい、あるいはエア流量を下げて節約したい時は締め込み、逆に大深度で十分なエアを吸いたい、流れのあるポイントで泳ぎ回る時息切れを防止したい時は引き戻します。人それぞれで呼吸タッチや好みのフィーリングは違うはずなので、1本のダイビングでも様々なシチュエーションがあり最適と快適を求められます。どこの位置が正解という事はありません、全ては自分が求める呼吸タッチに合わせて活用できるのです。注意点は一つ、保管中は流量調整ノブを最大限に引き戻す事、スプリングにトルクをかけ続ける状況は故障につながります。

ダイバー仲間に自慢するときはこう言ってやろう!

俺(わたし)のSCUBAPROレギュはバランスタイプで給気抵抗がめちゃくちゃ軽いんだ! ファーストステージから供給されるエアの力より低いスプリングトルクが吸う時の力を軽減している。オーソドックスなスタイルで使い勝手がよくって、流量ノブでダイビングに合せてベストな好みに調整して使えるんだよ。自分のレギュレーターの中身知っているかい? 俺(わたし)は知っているよ、自分のだからさ。

初代バランスダウンストリームバルブ搭載モデル
バランスアジャスタブルセカンドステージ

SCUBAPRO

SCUBAPRO 1985年に登場したバランスアジャスタブル(バランスバルブ調整機能付)は革新的な呼吸フィーリングを提供したSCUBAPROセカンドステージの原型です。その翌年に登場するG250は世界中で最も販売されたモデルでいまなお愛用者は多くいます。

バランスダウンストリームバルブ搭載モデル

SCUBAPRO

左上:A700 右上:S620
左下:S600 右下:G260

縦型バランスダウンストリーム

SCUBAPRO

SCUBAPRO SCUBAPROの代表的な縦型バランスバルブを搭載したモデル。縦型バルブはファーストステージから供給されるエアの力に影響される事が少なく上下にスムーズな稼働をします。このスムーズな稼働は自然な呼吸タッチを実現しており、見た目の無骨さからは想像すらできない呼吸タッチを得られます。

MDW編 たしかに、なんでこの形なのかも想像ができません。

SCUBAPRO そうですよね、形や見た目から敬遠されがちですが一旦使用したダイバーを手放せなくなる機種です。

SCUBAPRO バルブ構成は縦型ですが同じバランスタイプ、最も注目すべき点はダイアフラムの位置です。普通のレギュレーターはくわえている口と平行に配置さていますが、D420は顎に向かい斜めについています。要するにくわえていると下に向いて配置されているのです。

MDW編 確かに下向きについています。それは何がいいのですか?

SCUBAPRO ダイアフラムはバルブを開閉するレバーに接している為に吸うたびに下がり、吐くたびに上がる仕組みになっています。セカンドステージが最も不得意なダイバーの態勢は上を向いた時、ダイバーが上を向くたびに水圧がダイアフラムにのしかかりダイアフラムの動きを阻害し吸気抵抗が極端に増すのです。ケーブに入り真上から注ぎ込む幻想的な光を眺める、根待ちでハンマーや回遊魚を見上げる、浮上する時に上方の安全を確認する、インストラクターがトラブル回避で上を向きながら泳ぐなど結構その機会は多いのではないでしょうか。

SCUBAPRO D420のダイアフラムの配置は真上を向いた時にダイアフラムも同時に上を向く事はない考え抜かれた配置であり、使用した者しかこの隠れた優れ過ぎている機能を理解する事はできないでしょう。さらに、縦型の特徴としてマウスピースの延長上にバルブ=エアの出口を配置しており口にどストレートでエアを運びます。エルゴノミックデザインされたボディとパージも相まって究極の1台といっても過言ではありません。

ダイバー仲間に自慢するときはこう言ってやろう!

SCUBAPRO D420を買ったんだ。神子元や仲御神島で大物狙いの為に。根待ちでも泳ぎ回ってもどちらでも問題なくストレスのない呼吸ができて信じられないほどラクで、圧巻な真上のハンマーリバーを見上げる時など水の中にいる事を忘れる程。自分のダイビングの目的合わせたレギュ選びがより良い水中世界にいける事を確信したよ。すげーぞ、D420! え?貸してほしい?? 貸さねーぞ、D420!

初代縦型バルブ搭載
パイロットセカンドセカンドステージ

SCUBAPRO

SCUBAPRO 1977年に発表されたパイロットセカンドステージはその性能からUS NAVYの実験用深海用レギュレーターに選ばれ、その後AIR1、D300、D350、D400、そしてD420に進化を成し遂げます。

Venturi効果とV.I.V.A. システム

SCUBAPRO

SCUBAPRO SCUBAPROセカンドステージはV.I.V.Aシステムを搭載しているモデルがほとんどです。Venturi Initiative Vacuum Assistの略でセカンドステージ内のエアの乱流を防ぎ、真空状態を作りだし高速力で出口(マウスピース部分)に向かわせることで呼吸タッチを補助します。俗にいうフリーフロー状態を作り出し十分なエアを強制的に供給する仕組み。実際のセカンドステージケース内ではリップカレントの様なエアの動きが作り出されていて丁度エアの出口であるマウスピース部分がリップカレントの流れが急激に速まる場所にあたります。セカンドステージは高効率になるにつれケース内が真空になりエアが噴きだそうとします、返していえば高効率が引き起こすフリーフローを制御する必要があり、効率を高~低にセットできるレバーやノブが装備されているのです。

MDW編 フリーフローしないようにどのように使うのでしょう?

SCUBAPRO 使い方は簡単で高効率ポジション(MAX=Maximum)~低効率ポジション(MIN=Minimum)に動かすだけです!例えば、MAXポジションで水面遊泳をするとVenturi効果が働きフリーフローするので口にくわえるまではMINポジションにして、大流量が欲しければ口にくわえてからMAXポジションにするイメージになります。

SCUBAPRO 陸上でMAXポジションにしてフリーフローさせMINポジションに徐々にレバー(ノブ)を動かすと徐々にフリーフローが弱まりやがて止まりますが、MINポジションの手前でとまります。これがいわばデフォルトの状態という事になります。大深度、動き回る時にはMAXポジションでAssistさせる事でより快適なダインビングが約束されます。但し、フリーフローはダイアフラムの動きや劣化状況にも左右さるのでフリーフローしなくても故障ではなく、Venturi効果が失われている訳ではありません。

ダイバー仲間に自慢するときはこう言ってやろう!

俺(わたし)のセカンドステージだけど半強制的にもういいよ!ってくらいエアが出てくるんだわ。でもV.I.V.A.コントロールで簡単に調整できる。自分の意思で吸いながら大深度ではMAXポジションで吸引をAssistさせることで、より好みの呼吸タッチが実現できる。そんなに細かい調整が必要ないならくわえたらMAXポジションへ、楽すぎるぜ!

ダイアフラム

SCUBAPRO

SCUBAPRO セカンドセカンドステージには必ずダイアフラムが装備されています。同じようなパーツで排気バルブがありますが一般的に大きな方がダイアフラムになります。ダイアフラムはシリコン製で柔軟に動く必要性があります。その役目は、セカンドステージ内の気密性を保ちながら、ダイヤフラムに生じる力(動き=私たちが吸う行為)でバルブを開閉 させる重要なパーツでピンホールや過度な劣化による変形を起こすとセカンドステージの作動に大きな影響を与えます。

SCUBAPRO

SCUBAPRO ダイアフラムの大きさはセカンドステージケースの大きさに比例しています。ケースが大きければ大きなダイアフラム、小さければその逆です。ダイヤフラムの形状は山型であり、小さなダイアフラムは吸引する為の面積をとる為に角度がきつくなり、大きなダイアフラムなだらかな形状になっています。角度の急なダイアフラムを吸引する場合、吸引力は増し、角度がなだらかなダイアフラムを吸引する力は少なくてすみ呼吸抵抗に直結します。

SCUBAPRO

SCUBAPRO よってセカンドステージケースはある程度の大きさが必要となり出来るだけなだらかなダイアフラムが効果的です。G260セカンドステージはラージサイズのケースを採用していますがなだらかなダイアフラム稼働から送り出されるエアは満足のいくレベルです。またミディアムサイズの、S620セカンドステージはS600セカンドステージよりもケースを一回り小さくしていますがダイアフラム自体はS600セカンドステージと同じであり、真の意味で小型化に成功したと言えるでしょう。ラージサイズからミディアムサイズのケースが現状では効率が良いと言えると思われます、小さいからいい!は危険かもしれません。この地味なパーツが意外と重要である事を知っているダイバーは少ないかもしれません。

ダイバー仲間に自慢するときはこう言ってやろう!

小さく見えるセカンドステージで重要なのはダイアフラムの大きさと角度なんだって。レギュレーターは水の中で使う物、スムーズなダイアフラムの動きを確認しながら選ぶ事は大切なんよ。自分のセカンドステージのダイアフラム動きを考えたこととかある?意外と選ぶ時のポイントとしては高いから要注意や。ちょっとマニアックだけどさ。
あと、ダイアフラムと排気バルブにピンホールがあったり組立が悪かったりすると入水トラブルの原因になる。チェックするならシリンダーからはずしてダストキャップをした状態で強く吸ってみて、微量でもエアが入ってくればかなりの確率でそのセカンドステージからエア漏れがある。エアが漏れる=水中では水が入ってくる。そんな時にはすぐに購入ショップに相談した方がいいよ。

くわえやすさとぶっちゃけの見た目

SCUBAPRO

SCUBAPRO ポイント、深度にもよりますが1ダイブ40分前後になるでしょうからストレスのないくわえ心地が重要です。『マウスピース、形状、重量』の3つの要素がくわえ心地を左右します。マウスピースは自分の噛む力や口の大きさに合わせたものを選ぶ必要があり、SCUBAPRO純正が一番良いのですがどうしても大きかったりしたらショップに相談してください。マウスピースの形状がベンチュリ―効果を抑制している場合もあるので慎重に選びましょう。セカンドステージの形状はメーカーを問わず丸形が一般的で、D420などの様に縦長のモデルもありますがこのような特殊な形状はエルゴノミックデザイン(人間工学)を採用しているケースがSCUBAPROでは多く、使い勝手くわえ勝手優先で設計されています。最後に重量ですが、ダイアフラムの役目でも確認した様にある程度の大きさはレギュレーターとしては必要です。あまりグラム数などに捕らわれる事無くあくまで使用感と目的で選びましょう。

SCUBAPRO

SCUBAPRO また、格好悪いより格好いい方がいいに決まっています!キラッと光るA700、オーソドックだが見た目の渋いS620、ラージサイズではあるがプロ好みのG260、異端児D420、それぞれこんな感じになります。

比較チャート

D420:価格は抑えつつ性能重視タイプ

構造:縦型
ダイヤフラム:大
流量:★★★★★
軽量性:★★☆☆☆
見た目:★★☆☆☆
価格:★★★☆☆

D420:価格は抑えつつ性能重視タイプ

A700:見た目も性能も譲れないタイプ

構造:横型
ダイヤフラム:大
流量:★★★★☆
軽量性:★★★☆☆
見た目:★★★★★
価格:★★★★☆

A700:見た目も性能も譲れないタイプ

S620Ti:性能と軽量重視タイプ

構造:横型
ダイヤフラム:大
流量:★★★★☆
軽量性:★★★★★
見た目:★★★☆☆
価格:★★★★☆

S620Ti:性能と軽量重視タイプ

G260:ラージサイズのプロ好み

構造:横型
ダイヤフラム:大
流量:★★★★☆
軽量性:★★☆☆☆
見た目:★★★☆☆
価格:★★★★★

G260:ラージサイズのプロ好み

まとめ

SCUBAPRO

SCUBAPRO レギュレーターはとても大切な器材であり、とても高価なものです。せっかく購入するのです、十分に吟味して、インストラクターに相談して選んで下さい。あなたのダイビングスタイル、あなたのダイビングの夢、あなたのダイビングライフに応じて適切なモデルが必ずSCUBAPROであれば見つかります。60年に渡り自社開発してきた自信と技術は今後も揺らぐことはありません。ご自身のレギュレーターの性能、機能を少しだけ理解する事でレギュレーターに対する不安やダイビング中のストレスを取り除いてくれます。より安全に、より安心して、より楽しいダイビングを行う為にSCUBAPROのレギュレーターを検討してみてはいかがでしょう。

SCUBAPRO

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写真・取材協力/SCUBAPRO(株式会社キヌガワ)