【連載第4回】ファミリーで楽しむダイビング♪
最年少ダイバーいっか君の大冒険
「マリンダイビングWeb」では、多くの方々にダイビングを楽しんでいただきたいということで、新企画としてファミリーダイビングを提案! この連載では10歳からダイバーになったある少年の記録を追っていきます。
そこには、親子の絆や大自然相手にびっくりするほどの感動を覚えた少年の気持ちを素直に紹介。
こうご期待ください!
※最年少とは、10歳から取得できるジュニアオープンウオーターダイバーコースを修了した10歳ダイバーのことです。
【連載】第4回
伊豆大島でハンマーに会いたい!
いっか君こと中村逸華君
本名は中村逸華。2011年6月生まれの11歳です。昨年末に弟が増え6人兄弟に。お兄さん1人、お姉さん2人で、上から4番目のいっか君は計8人という大家族。上の兄も姉もダイバーだったこともあり、小さな頃から家族旅行の旅先は海。いっか君ももっぱらビーチで遊んだりスノーケリングをしていましたが、2021年6月、10歳の誕生日にダイビング講習を受け、見事ダイバーデビュー! 世界最年少ダイバー誕生となりました。
お父さんの創一郎さん
ダイエットが目的でダイビングを始めたという中村創一郎さん。経営する会社にも「海部」を作り、社員を大勢ダイビングに引き込んでいます。6人のお子さま(2022年末に6人目のご子息が誕生)のうち10歳未満の2人を除いてお子さま全員がダイバーに。「海は危険なところでもありますが、一方では事前や地球の素晴らしさを大いに感じられるところ。自然を通して子どもたちには地球を大切にする心をもってほしい」
伊豆大島でハンマーヘッドシャークに会いたい
伊豆大島でハンマーヘッドシャークのこんな群れに会いたい! といっか君は夢を抱きました(写真は神子元島で撮影したイメージです)
前回の連載が公開されてから半年が経ってしまいましたが、その間、いっか君は短期留学をしたり、お父さんの海外出張に家族で同行したりと学業に加えて大忙し。それでもダイビングにも行きたいと思っていたところ、日頃からダイビングを教えてくれている《ココナッツ東京店》のダイビングインストラクター、小林健治さんが大好きなハンマーヘッドシャークの写真(写真は神子元島のもの)を見る機会があったのです。
「これ見た~い!」と即座にいっか君は反応したのですが、「深さも流れも今のいっか君じゃ難しいし……あ! 伊豆大島なら深さも流れも何とかなるかもしれないね」と小林さん。
「東京都にも島があるのを知った時から行きたかった伊豆諸島。伊豆大島の存在を知って学校の地図帳で調べたりもしました。小林さんが秋頃になれば伊豆大島でハンマーにも会える確率が高くなるかもしれないということで、伊豆大島に行って潜りたい!と夏頃だったかな、父に言ったんです」といっか君。お父さんもそれに応えてくれました。
「いっかから、ハンマーヘッドシャークが見たいと要望があって、東京にも島があることを実際に体験して知ってもらおうと思ったんです。僕はそれまでに2回行ったことがありましたが、流れの強い海なので、安全を意識することについても期待しました。僕の会社の海部の社員にも声をかけて妻と、いっかの弟の然(ぜん)も連れて2022年11月初めに行ってきました」
伊豆大島に到着! そこには大自然が
椿で有名な伊豆大島に到着。弟の然君とターミナルで記念撮影
東海汽船のジェット船で竹芝桟橋を出発、風と波があったもののあっと言う間に伊豆大島に到着しました。初日は島を散策することに。伊豆大島らしさを味わおうと、お父さんが計画したものです。到着後、早速海を見に行きます。火山島ならではの黒砂のサラサラビーチに大はしゃぎの弟、然君。お兄さんらしくいっか君は見守りながらも、走り回ったりして遊びました。
夕方はキレイな夕日を見に行って、同じ東京とは思えない、素晴らしい景観や自然をたっぷり味わったいっか君。実はお父さんも大喜びしながら写真を撮っていたのでした。
高台から海を臨むと、普段は穏やかなのに波が高くてびっくり
遊泳禁止級の波なので、海に入らずに砂浜で遊ぶいっか君と然君
夕日をバックに記念撮影
ダイビング前に三原山・裏砂漠へ
三原山・裏砂漠で噴火がもたらした広い砂漠を楽しむいっか君兄弟
島全体が活火山といわれる伊豆大島。中央にある最高峰の三原山(標高748m)は島民に御神火様(ごじんかさま)とあがめられてきた、伊豆大島のシンボルともいえます。その東側一帯には「裏砂漠」と呼ばれる、日本唯一の砂漠も。これは行かない手はない!とお父さんは今回の伊豆大島の旅のスケジュールに組み込みました。問題は、標高が高いので、ダイビング直後には登れないこと。ですので、大島滞在2日目の朝から三原山&裏砂漠に出かけたのでした。
中村さんが考えたように、減圧症を防ぐためにも三原山行きはダイビング前にするか、ダイビングをしない日にすべきですね♪
それにしても「かなり歩いて疲れました」とこっそり教えてくれたいっか君。翌日からのダイビングに影響しないといいですね(大人だったら影響しそうですが、11歳はきっと回復が早いはず!)。
いよいよダイビングスタート!
ウエットスーツを着て、ダイビングへ!
泊まったのは《リゾートホテル 伊豆大島 パームビーチ》。大きなプールが広い庭の中にあり、ダイビングの前に器材チェックなどもできるのが魅力です
三原山・裏砂漠トレッキングの翌日からいよいよダイビングです!
宿泊している《リゾートホテル伊豆大島パームビーチ》のプールサイドに集合して、器材をセッティングして、ウエットスーツを着ます。相変わらず準備の早いいっか君は、ウエットスーツを着てから目の前のプールへ。11月とあって、いっか君の予想していた水温ではなかったよう。最初は慌てていましたが、すぐに慣れてガンガンジャンプしてはしゃぎ始めました。
そうこうするうちに、みんなの準備が整い、海へ。伊豆大島の海はとても青くてきれいです。
「大きなタイがいました!」といっか君も大喜びでした。
こんなツバメウオの群れに会えることも。写真はイメージ
潜りに行った「野田浜」には「Buddy’s Bell」があって“映える”と人気上昇中。みんなで撮影♪
ついにハンマーのスポットへ!
早朝ハンマーで、ブリーフィングをするインストラクター、小林さん(左から2番目)
ダイビング初日に3本潜って伊豆大島の海にも慣れたところで、翌早朝、ついにハンマーヘッドシャークを狙うことに。ドキドキワクワクしながらも、会えなかったらどうしようという不安も。早くから潜っていたダイバーが上がってきたので、誰にでも気さくな中村さんが声をかけると、沈んだ声で「会えませんでした」と報告するダイバーさん。う~む。今日はどうなんでしょう?
でも、海の生きものは一期一会。会えなくても仕方ない!と開き直ってエントリー。
スポットは「ケイカイ」です。
最初にウミガメにも会えてちょっとほっとしたいっか君一行は、ハンマーを待つ根へ。
体勢を整えて待っていたところ、浅いところを1尾また1尾と大きなトンカチ頭のハンマーヘッドシャークが登場します!
こうしていっか君とお父さん、そして海部のダイバーの皆さんは計20尾ぐらい!のハンマーに遭遇できたのでした。おめでとう~!
「すごく大きくてびっくりしました!」といつもは冷静ないっか君も大興奮。でも、エアはたっぷり残っていたそうで、さすがです。「お父さんよりダイビングが上手くなったように思いました」なんてちょっぴり生意気なことも言っていましたが(笑)、お父さんも「いっかがダイバーとしてとても成長しているのがうれしい。今回の伊豆大島で子どもの成長を実感することができました」と目を細めています。親子でハンマーヘッドシャークダイビングは、会えたという喜び以上に感動がたくさんあって幸せですね。
「また、お父さん、小林さんと行きたいです! あとお兄ちゃんの希(まれ)とも行きたい」と伊豆大島を振り返るいっか君。お父さんは「そろそろコロナ禍も収まってきたので、海外にも……」なんて思っているようですが、いっか君にしてみれば家族や大好きな小林さんと一緒に潜りに行ければどこでもいいのかも!?
ハンマーに会えて大喜びの皆さん。お父さんが一番喜んでいたという噂も!?
いっか君とアオウミガメ。素敵なダイビングになりました♪
グルメないっか君の伊豆大島のお気に入りは
お寿司!
大人並みの確かな味覚を持ついっか君。伊豆大島でもいろいろ食べたようですが、中でも気に入ったのがお寿司! 家族で行った《港鮨》の新鮮な魚介類も美味しかったようですが、伊豆大島名物“べっこう寿司”も気に入ったんだとか。
親子で潜るファミリーダイブのメリット
1 自然を大切にする心を育てられる
中村さんがお子さまにダイビングをさせたかったのは「偉大な海に触れることで、自然を大切にするという思いが生まれてほしい」から。子どもは大人よりも感受性が高いので、確実にお子さまの心に実際に目で見た貴重な自然の大切さが芽生えていることは間違いありません。
2 親子で共通の体験ができる
子どもと一緒にダイビングをするということだけで「共通の趣味を持つことができ」、厚い信頼関係が生まれることに。しかも普通はできない経験を緒にやるといい思い出に。子どもも「だからまたお父さんまたはお母さんと潜りに行きたい」と思ってくれるようになります。
3 子どもの成長を間近で見られる
ダイビングはスピードやタイム、体力を競うようなスポーツではありませんが、器材セッティングや装着、潜降から浮上まで様々なスキルを身につけて上達していくものです。お子さまと一緒に潜るとその上達、成長っぷりを間近に見ることができます。普段は学校などの中で育っていくお子さまがどんな風に問題を解決していくかなども見ることができますので、楽しみがまた増えること間違いありません。その分、安全面での心配もあるでしょうが、それを忘れさせてくれるぐらい、成長が感動となるのでは?
4 親子の信頼関係がアップ
お父さんのほうがダイビングを早く始めて上達している場合は、お子さまをガイドさんがしっかりと見てくれるスタイルになって、バディダイビングをしている感じにはまだなかなかなれませんが、いっか君のようにひとりで潜りに行くこともできるようになれば、成長して、お父さんとバディを組んで潜る計画を立てるところからダイビングを楽しむことができるように。こうなると、親に対する信頼感もアップ。お父さん(お母さん)と一緒にバディダイビングをすることで親と潜ることの安心感がお子さまの中で確実に大きくなっていくこと間違いありません。
5 お父さん・お母さんもダイビングの良さを見直せる
お子さまがダイビングを楽しんでいる様子を間近に見つつ、気づけばご自分もすっかり海の魅力にハマッていた……。中村さん親子の場合もまさにそのようです。こんなふうにお子さまと一緒にダイビングを楽しみつつ、その魅力を改めて感じられるのが親子ダイビングのメリットともいえます。特にお子さまが10歳になって久しぶりにダイビングを再開……というご両親であればなおさらその感慨は深いのでは?
6 旅行先は海に決定! 迷いがなくなります
家族全員がダイバーなら旅行に行くのは海! 中村さんご家族の場合は末っ子のぜん君がまだ10歳未満ですので全員とはいきませんが、お母さんもいっか君の上に3人いるお兄さんやお姉さんも皆ダイバー。お休みには必ずダイビングのできる海が選ばれることになるようです。行先選びに迷わないのも大きなメリットですよ。
では、次回もお楽しみに~♪
(文/後藤ゆかり)
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【世界の果てまでイッカQ】衝撃!決死のダイブで飛び込んだ海は神秘的過ぎた!