- ホーム
- 水中写真
- 水中写真家 作品探訪
- 関戸紀倫
感動の一瞬はこうして生まれた…… フォト派ダイバー必見! |
地球の大自然に、心をわしづかみにされた感動を写真や動画で表現していきたい
関戸紀倫 Kirin Sekito
グレートバリアリーフの巨大サンゴ
世界中のサンゴを見てきましたがやはりグレートバリアリーフの一つ一つのサンゴのサイズが大きいのに毎度感動しています。特に3年前にこのエイジンコートリーフのサンゴ礁を見た時は「時よ、止まれ」といつまでも海の中にいてこの美しい大自然を撮影し続けたかった。
カメラ:NIKON D810 レンズ:NIKKOR AF-S Fisheye 8-15mm f/3.5-4.5E ED
ハウジング:Sea&Sea ストロボ:Inon Z330x2 ライト:RGBlue System 02 Premium Color x2
シャッタースピード:1/125 F値:f14 ISO:200
地球の自然の美しさを知って大切に想う
キッカケづくりをしたい
16歳の時にガラパゴス諸島に行き、大自然に魅了される
マリンダイビングWeb編集部(以下、編)-フランス人のお父様が写真家でダイビングインストラクターでもあったことから、小さな時から海外へ行き、ダイビングもいつの間にか始められたということなのですが、具体的には何歳でダイビングを始め、Cカードを取ったのですか? そのときの感動、感激で今に通じるものがあれば教えてください。
関戸紀倫さん(以下、紀倫)-はい。おっしゃる通り父の影響でダイビングとの縁は早かったと思います。
一番初めにダイビングを経験したのが13歳の頃、父が日本を訪れていた頃に家族で伊豆諸島の式根島で弟と私で父にダイビングに連れて行ってもらった時です。
ただ正直、この時はそんなに感動した記憶はありませんでした。
しかし、その後16歳の時に父にガラパゴス諸島に連れて行ってもらい、ダイビングを何回か行い、ガラパゴスの大自然に魅了され、ライセンスまでチャレンジしましたが、その頃英語が喋れなかったため、学科講習ができず断念。
その後、時が経ち、20歳になった頃またまた父親とアフリカへ行き、1カ月半かけてナミビアを一周し、改めて地球の自然の美しさに感動。帰国後にダイビングのインストラクターになって多くの人に水中を案内したいと思い、地元にあったダイビングショップに面接しに行き、お手伝いをしながらCカードを取得し、インストラクターまで修行させていただきました。その後は沖縄をメインにインストラクションやガイドをさせていただいておりました。そこで初めてブログ用に水中写真を撮り始めて「人々にこの美しい自然をもっと知ってもらいたい」という思いが強くなり、次第に写真家への道を目指す大きなきっかけとなりました。
編-オーストラリアでのガイドが終わって、水中写真家として歩み始める!という際に見せていただいた水中写真は迫力はあったのですが、使用カメラがコンデジということで、驚きました。その後、プロとしてどのような機材をそろえたのですか?
紀倫-よく覚えていらっしゃいますね(笑)。とても懐かしく、嬉しい限りです。
そうですね。最初はCanonのPowershot S95というコンデジで撮影していました。そこからNIKON D800を購入し後にD810を購入しました。現在は映像にも力を入れていてLUMIXのGH5Sも映像用として使っています。
ダイビングインストラクターの夢は諦めたけど
自然の美しさを伝えたいという希望は実現させたくて
東オーストラリアで出会ったシロワニの群れ
自分でいろいろ調べて撮影に行った東オーストラリアにあるネルソンベイ。小さな町の沖合にブロートンアイランドという島があり、そこにはシロワニが群れるという。エントリーをすると目の前には50匹はいただろう、シロワニの群れに会った。あいにく、エントリーと共に散らばってしまったが巨大なシロワニを撮影することに成功した。
カメラ:NIKON D810 レンズ:NIKKOR AF-S Fisheye 8-15mm f/3.5-4.5E ED
ハウジング:Sea&Sea ストロボ:Inon Z240x2 ライト:RGBlue System 02 Premium Color x2
シャッタースピード:1/125 F値:f6.3 ISO:640
編-紀倫さんはなぜ写真家になろうと思ったのですか? またなってみて、大変だったこともあったのではないでしょうか?
紀倫-実は写真家になる前、オーストラリア大陸を3カ月かけて一周していた頃に旅の終盤のほうでシロワニが多く群れるサウスウェストロックスというエリアでダイビングをしていました。その時に不運にも内耳を壊してしまい、日本に帰国した時にさまざまな耳鼻科に診てもらったのですが「インストラクターはもうやめなさい」と言われてしまい、当時夢だった、インストラクターになってダイビングショップを構えることを諦めてしまいました。
生徒の命をしっかり守れないかもしれないインストラクターなんてできるはずも無いと思い事態を受け入れました。
しかし、ダイビングはできるということだったので、残されたカメラというツールで自分が以前から伝えたかった「自然の美しさ」を極め、世界中の人に自然を伝えられるように写真家になるという決意となりました。
編-大変でしたね。紀倫さんのお好きな場所、お好きな風景、お好きな魚や生態などを教えてください。そして最高に感動したことはどんなことですか?
紀倫-僕は沖縄、グレートバリアリーフで働いてきたこともあり、サンゴが大好きです。
特に毎年石垣島北部のサンゴの産卵を見に行っているのですが、サンゴの産卵を初めて見た時はマスクの中で涙が溢れたのをよく覚えています。
好きなお魚はテングカワハギです! ミドリイシ系のサンゴが群生している所で見ることが多く、サンゴの種類が豊富な場所しか好まないと聞いたことがあるので、この子たちを見ると「ここのサンゴ礁は健康的なんだな~」と感じます。
大好きな自然の危機を感じずにはいられない
見てくれた人が写真をきっかけに変わってくれれば…
VOICE/TOKYO ISLANDS
亀が人間に対する意見を言っている様に制作した映像。少しでも多くの人に地球の環境変化などを知ってもらいたく制作しました。
編-水中写真家になって最初に伝えたかったことはこれまでに変化はありましたか?
紀倫-最初は「自然の美しさを多くの人に知ってもらいたい」というのがあって写真家として活動し始めましたが、世界中を旅するたびに地球の環境変化、人間の進化を感じて「このままでは大好きな自然が危ないのかもしれない」と思い始めました。多くの人に自然を知ってもらいたいという目的は変わらないのだけれども、私の写真や映像を見た人々の地球に対する保護意識やエコロジーなどに対する意識が変われるキッカケとなればと思っています。
毎月ビーチクリーンなどに参加したり、無理矢理自分のスケジュールを削ったりしてまで何かをやってくださいということではなく、「日々の生活の中でこの地球の自然を守っていくには自分に何ができるか?」といった部分で改めて自然の大切さを再認識してもらうだけでいいんです。
その一人一人の意識変化が今後の地球の未来を守っていくと信じています。
編-地球の未来を守っていくために、紀倫さんご自身が活動されていることがあれば教えてください。
紀倫-先ほども言ったように映像や写真が一つのツールとしてより多くの人に届き、少しでも「こういう自然がまだあるんだー」とか「大切にしていかないとね」とか思ってもらえるキッカケ作りができればと思っています。
そこで以前から共感をしていた仲間、水中レポーターの稲生薫子氏と海洋研究写真家の福田介人氏と私の3人で映像チーム「Japan Underwater Creators(JUC)」を作りました。様々な分野で活躍する3人の力を合わせて環境変化をテーマに映像制作をしていきます。こちらでは研究者の意見などもお借りして、もう少し皆さまに具体的な「海のいま」を知ってもらえるように更新していきます。
ダイナミックな自然を面白い表現で見せていきたい
編-33歳とまだ若いので、これからなんでもできると思います。今後やってみたいこと、撮ろうとしている事象があれば教えてください。
紀倫-コロナ禍でオンラインでの写真や映像の発表が多かったのですが、これからは大きな会場などで大きなプリント、スクリーンなどを利用してダイナミックな地球の自然を面白い表現で皆さまに見てもらいたい思いがあります。また、写真集などもまだ発表していませんが今後は発表できるようにしていきますのでどうぞお楽しみに!
編-ありがとうございました! これからもご活躍を!!
PROFILE |