【連載】デジタル一眼を始めよう!
~基本と水中写真の楽しみ方~
第7回 被写体検出「鳥」で水中を撮ろう!

前回はOM SYSTEMから発売されているOM-1シリーズに搭載されたAI被写体認識AF「鳥」(以下「鳥」モード)で、「魚を検出・追従する!」というウワサを徹底検証! 多くの魚種で魚を自動で検出・追従することが分かりました。今回は水中写真家・むらいさちさんが実際にOM-1 MarkIIの「鳥」モードを使って撮影。その作品を見ながら、効果やおすすめのシーンをお伝えします!
※2025年5月の情報です。

AI被写体認識AFで「鳥」を選択。スーパーコンパネから簡単に設定できます。
1. 群れを撮ろう!

(写真/むらいさち)
お魚の群れは「ぜひ撮りたい!」という人も多いですが、いざ撮ろうとすると「魚がたくさんいて、どれにピントを合わせればいいか分からない」「動きが速くてピント合わせが間に合わない」というお悩みも…。OM-1シリーズの「鳥」モードを使えば。中央付近の魚の目をしっかり捉えてくれます。ピントはカメラが自動で合わせてくれるので「青い海に華やかなお魚たち」という素晴らしいシチュエーションを、ゆったりとした気持ちで楽しみながら写真を撮ることができますね。
<むらいさちさんのコメント>この写真は、初めて「鳥」モードを使って撮影した一枚なので、よく覚えています。ワイドレンズを付けていたのですが、「鳥」モードに設定したとたん、20個くらい被写体認識の枠が出て、全ての魚をちゃんと認識しているのだと思い、「すごい時代が来た!」と、感動したのを覚えています。 |
2. 憧れの正面顔撮影にチャレンジ!

(写真/むらいさち)
お魚たちの正面顔はとてもかわいく、SNSなどでも人気のアングルです。しっかりと目にピントが合った正面顔が撮れると、「やったー!」と嬉しくなりますね。とはいえ、正面を向いてくれるのはほんの一瞬。小さなお魚だと撮影の難易度はさらに上がります。「鳥」モードに設定すれば、お魚の目を自動で検出、ピントを合わせ続けてくれるので、「シャッターボタンを半押しした状態で、お魚を検出・追従→正面を向いたタイミングでシャッターを切る」でOKです! OM-1シリーズはAFの検出精度が高く、追従も強力。絞りを開放にして、「ふんわり正面顔」にも挑戦しやすいです。
<むらいさちさんのコメント>スズメダイの幼魚は可愛いのですが、動きがとても速いです。以前だったら、一か八かで「えい!」とピントを合わせていて、確率もかなり低かったのですが、「鳥」モードを使えば簡単にピントを合わせてくれるので、半押しでピントを追いかけさせて、正面向いたタイミングでシャッターを切れば、こんな写真が写せます。 |
3. 小さな幼魚に挑戦!

(写真/むらいさち)
小さくて淡い色の幼魚はなんとも可愛らしくて、魅力的。ぜひ撮りたい被写体です。とはいえ、大人に比べると非常に小さく、体色も薄いため、カメラでピントを合わせるのは至難の技! OM-1シリーズを使えば、撮るのが難しい幼魚もバッチリです。狙いの個体にフォーカスがロックできれば、あとはカメラがしっかり追従してくれるので、背景にこだわった撮影も可能。お気に入りの一枚を撮ることができますよ。
<むらいさちさんのコメント>ひらひらと泳ぐ、ヒオドシベラの幼魚。行動範囲の広いベラは動きも独特で、撮影がとても困難です。そこで「鳥」モードをオンにして、コンティニュアスAFにすると、半押ししている間ずっとお魚をロックして追いかけてくれます。ちゃんと目も認識してくれるので、目からピントが外れることもほとんどありません。 |
4. ベラのディスプレイを狙おう!

(写真/むらいさち)
求愛する時に背鰭や胸鰭を全開にする行動を「ディスプレイ」といいます。色や形が非常に美しく、ぜひ写真に収めたい「憧れの瞬間」でもあります。とはいえ、ベラは普段から動きが素早く、撮影が難しいお魚です。ベラのディスプレイを美しく撮影するには、非常に高いダイビングスキルと撮影技術が必要とされてきました。難易度の高い撮影ですが、カメラがサポートしてくれる「鳥」モードは強い味方! ディスプレイ前のベラの目や頭部にフォーカスをロックし、ベラが画角から出てしまわないように追うことができれば、あとはディスプレイのタイミングに合わせてシャッターを切るのみ! 「鳥」モードを使っても、撮影の難しい瞬間でありますが、従来のカメラに比べると撮りやすさが格段にアップしました。何度かチャレンジすると、コツが掴めるはず。ぜひ挑戦してみてくださいね!
<むらいさちさんのコメント>求愛中のクジャクベラはとにかく動きが早い。目で追うのがやっとなほど。ファインダーを覗いているととても追いつけないが、「鳥」モードを信じて、僕はひたすらファインダーの中にこの子を入れることに集中します。そうして撮れた一枚。AFの進化のおかげで、あきらかに僕の撮影スピードは上がりました。時間の限られた水中では、とてもありがたいことです。 |
5. まとめ
いかがでしたでしょうか? むらいさちさんもおすすめのOM-1シリーズの「鳥」モード。この機能を使えば、今まで撮ることが難しかった、少し難易度の高い撮影へのハードルが下がること間違いなしです! 「カメラが撮影をサポートしてくれる」というこの機能を使えば、お気に入りの一枚が撮影できるはず。むらいさちさんの写真のような素敵な作品目指して、これから本格化するダイビングシーズン、海に通って楽しく撮影に取り組んでいきましょう!
写真提供/むらいさち
協力/OMデジタルソリューションズ
ライター/斉藤利奈