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【連載】デジタル一眼を始めよう!
~基本と水中写真の楽しみ方~
第5回 モードダイヤルを使いこなそう!

デジタル一眼、始めよう!

特集「デジタル一眼をはじめよう!」では、カメラやレンズの選び方や水中撮影に必要な機材についてお伝えしてきました。カメラやハウジング、ストロボ(フラッシュ)やライトなどの機材を揃えていざ海へ! でもその前に! カメラにはたくさんのボタンやダイヤルが…。まずは潜る前にカメラの機能を知っておくと、水中で慌てることなく写真を撮ることができます。
今回は「モードダイヤル」についてお話しします。どんなシーンで、どんなモードを選ぶと良いのか。基本をマスターできれば、水中写真撮影がもっと楽しくなること間違いなしです!

※2025年3月の情報です。

1. モードダイヤルって何?

一眼カメラはもちろん、一部のコンデジにもモードダイヤルとよばれる「B・M・S・A・P・AUTO 」など露出の状態を切り替えるダイヤルがついています。P(プログラム)やAUTO(オート)はカメラが自動で適切な露出(明るさ)を判断して撮影する入門者にも使いやすいモードで、一般的な撮影ではこの「P」や「AUTO」でも綺麗な写真が撮れますが、水中の環境は特殊。環境や撮りたいイメージに合わせてモードを選んで、より状況にあった撮影をしたいものです。ではどのモードを、どのような時に使えば良いのでしょうか? 露出モードを使いこなして、理想の1枚を残すコツをお伝えしましょう!

OM SYSTEM OM-1系のダイヤル

OM SYSTEM OM-1系のダイヤル

2. 写真の3大要素

モードダイヤル(露出モードダイヤル)の説明に入る前に、「写真の3大要素」についてお話しします。
写真の仕上がりを決める大きな要素に「シャッタースピード」「絞り値(=f値)」「ISO感度」があり、「写真の3大要素」と呼ばれています。

写真の3大要素

この3つの要素をコントロールすることができれば、「ふんわり明るい写真」も「写実的でカッコイイ写真」も、自由自在に表現できます!

<シャッタースピード>
速いほど被写体がしっかり止まります。
ただし、ストロボに同調する速度(カメラによって異なりますが、1/250くらいのものが多いです)に上限があるので要注意。シャッタースピードを極端に遅くする「スローシャッター」で、被写体の動きを表現することも。

<F値>
レンズの明るさを数値で表したもの。そしてボケを左右します。数字が小さいほどボケが大きくなり、数字が大きいほど前後にピントが合う幅が広くなります。ボケを活かしたふんわり写真を撮りたいときはこの数値を小さくし、全体的にピントの合ったシャープな写真を撮りたい時は数値を大きくしてみてください。

<ISO感度>
センサーで捉える光の量を数値で表したものです。値が小さいほど感度を抑え、大きいほどより感度が高くなります。デジタルカメラの場合は増幅の度合いに大きく影響します。陸上に比べると、薄暗くなりがちな水中では数値は高めになることが多いです。
感度を上げ過ぎるとノイズが出て画像がザラザラになったり、不鮮明になることがあります。上げてもざらつきなどが気にならないかはカメラや再生するサイズにもよるので、何パターンか撮っておき、「この辺りまでは上げても大丈夫」という数値を見つけておくと安心ですね。最初のうちはISO AUTO(カメラが自動でISO感度を変化させる)にして慣れるのも手です。

3. それぞれのモードでできること

「どのモードで、何をコントロールできるのか」を把握し、撮りたいシーンやイメージに合わせて適切なモードを選べれば、より短い時間で思い通りの写真に仕上げることができます。
モードは水中に入り、被写体や環境を見てから決めるのもいいですし、水中での操作が不安な場合はブリーフィングを聞いた時に撮りたいイメージを固め、設定をしてからエントリーするのもおすすめです。

写真の3大要素

4. モード別、おすすめのシーン

モードの基本を把握したところで、「では、どういう時に、どのモードを選べばいいの?」ということをご説明します。

①イルカやクマノミなど動きが速い生き物を、ブラさずに撮りたい→Sモードがおすすめ!
自分でブレないないシャッタースピードを設定し、あとはカメラにお任せで撮影できます。そうすることで、ブレとピントに集中することができます。

小さくて動きの速いイロブダイの幼魚はSモードで!(写真/奥山政夫)

小さくて動きの速いイロブダイの幼魚はSモードで!(写真/奥山政夫)

②ふんわり優しい写真が撮りたい→Aモードがおすすめ!
F値を小さく(目安は8以下)して、被写体にできるだけ寄るのがポイントです。F値は小さければ小さいほどボケが大きく・柔らかくなりますが、ピントの合う範囲が狭くなっていくので、徐々に下げていくのがおすすめです。

後ろをボカして柔らかい雰囲気に。(写真/奥山政夫)

後ろをボカして柔らかい雰囲気に。(写真/奥山政夫)

③全部を自分でコントロールして、こだわった写真を撮りたい→Mモードがおすすめ!
シャッタースピードもF値も自分で決めるのは大変!と最初は思うかもしれませんが、慣れると思い通りにコントロールできるMモードは快適です。

シャッタースピードを落として幻想的な雰囲気に。(写真/斉藤利奈)

シャッタースピードを落として幻想的な雰囲気に。(写真/斉藤利奈)

※3大要素はカメラ任せで、色味や写真全体の明るさだけを調整したい!という時には「Pモード(プログラムオート)」にして、露出補正機能(明るさの調節をする機能)を活用してみましょう。比較的水深の浅いところやシュノーケリングなど、明るい環境で撮る時も気軽に使えるPモードがお薦めです。

5. まとめ

モードを使いこなせると、海の美しさがより伝わりますね。(写真/清水淳)

モードを使いこなせると、海の美しさがより伝わりますね。(写真/清水淳)

今回はモードの基本と選び方をお伝えしました。環境や撮りたい写真の雰囲気に合わせてモードを選び、お気に入りの1枚に近づくことができます。「水中で設定値を触るのは大変だなぁ」という場合は、まずは陸でお花や動物などを撮って、カメラの操作に慣れておくとスムーズです。露出モードを使いこなすことができれば、水中写真がもっと楽しくなりますよ♪

OMデジタルソリューションズ株式会社

【OM SYSTEMゼミ PLAZAトーク】水中写真家 茂野優太「私のフォトライフ 写真で伝えたいこと」

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写真提供:清水淳
協力:OMデジタルソリューションズ、株式会社フィッシュアイ
ライター:斉藤利奈

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