2015年12月号
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死ぬまでに潜りに行きたい 海の絶景BEST 10
死ぬまでに潜りに行きたい
海の絶景BEST 10
「今まで潜りに行った海で一番良かったのはどこですか?」
カメラマンや編集者、ライターがよく尋ねられる質問だ。そして一番答えに困る質問でもある。
でも、例えば「大物を見るなら」とか「神秘的な地形を見るなら」などと目的が示される、少しは答えやすくなる。
ということで、ここでは目的別に2015年度版の「絶景」を選んでみた。
マンタやハンマーヘッドシャークなど人気のビッグアイドルとの遭遇率が高い海
大物がすむ海
ガラパゴスGalapagos Islands
月刊『マリンダイビング』2015年10月号では本誌カメラマン、はらだまこと原田雅章が「死ぬまでに潜りたい海の“イチオシ”」として挙げているのがガラパゴス。
太平洋の東端、赤道直下にある知る人ぞ知る島々だ。知ってはいるけれど、日本からのアクセスは2泊3日程度の時間がかかるため、なかなか行けない島でもある。
水中では、南極からのペルー海流(寒流)と北からのパナマ海流(暖流)、それに深海からのクロムウエル海流がぶつかり合い、非常に豊富な栄養分が集まっていて、魚影の濃さは世界でも屈指。右を見ても左を見ても魚だらけなんてことも希じゃない。
そうした魚やプランクトンを狙って、ガラパゴスでは写真のハンマーヘッドシャークの群れのほか、ジンベエザメ、ガラパゴスシャークをはじめとしたサメが非常に多く見られる。
特に日帰りではアクセス不可能な北の離島、ダーウィン島&ウルフ島の周辺は大物の宝庫。
ぜひダイブクルーズで参加したい。
モルディブMaldives
私たちダイバーは地球上でたくさんの大物に会えるようになっているけれど、いつも最先端を行っているのがここインド洋のモルディブだと思う。
「マンタポイント」も、かなり早く開発されているし、ジンベエザメはブームの火付け役になったのは西オーストラリアのエクスマウスだが、年中見られる!ということで1990年代にどっとダイバーが押し掛けるようになったのはモルディブのアリ環礁だろう。
2007年頃からはバア環礁のハニファルベイで“ぐるぐるマンタ”(Manta Train)が見られ、話題になったが(その後「ハニファルベイ」はダイビング禁止となり、スノーケリングのみとなっている)、最近は“ナイトマンタ”が注目を集めている。
暗闇に何尾もの大きなマンタがぬっと現れる瞬間のスリリングさもたまらない。
群れそのものが生き物のようでエキサイティング!
魚群
マラトゥアMaratua
インドネシアのカリマンタン島(ボルネオ島のこと)の東部、マレーシアとの国境にも近く、国境を越えるとすぐシパダン島がある海域に、マラトゥア島はある。
そばにはマクロ生物が豊富なデラワン島、ブラックマンタも登場するサンガラキ島、パラオのようなジェリーフィッシュレイクのあるカカバン島といった島々があり、マラトゥア島発で(またはその逆で)潜ることも可能。
バラクーダの群れは多くの海域で見られるが、体長1.5m近いプリプリした体格のブラックフィンバラクーダがこれだけ密集している海域はあまりないのではないだろうか。撮影した北川カメラマンも大感激!
☆過去の特集は・・・ 『マリンダイビング』2014年10月号で特集
ラパスLa Paz
アシカと泳げる特別な海としても知られるメキシコはバハ・カリフォルニアのラパス。でも、ここはアシカだけではないのだ。
運が良ければハンマーヘッドシャークの群れや巨大マンタ、バショウカジキ、イルカやクジラなどと水中で会えるので、ある意味「大物」カテゴリーにも入るのだが、ここの魚群もハンパではない。
街からボートで約1時間の「ラ・レイーナ」ではグリーンジャックというアジの仲間が、たいていいつもぐ~っちゃり群れている。筆者(ゴット姉さん)は、某カメラマンの後ろについてこの群れに入ったことがあったが、カメラマンは見えなくなるわ、上も下もわからないぐらいだわ、とスゴイ密度。時間が少し経つと自分の泡でできた魚群の穴が頭上にできたが、小さい。普通なら魚から逃げていくところなのに、彼らは逃げないからだ。
ほかにも年によってはイワシの仲間がめちゃくちゃ集まることもあるし、モブラ(ヒメイトマキエイに似た、通称“小マンタ”)の仲間が何十、何百、何千と集まることもある。
ちなみに、先日の取材でも小マンタが群れてくれ、その写真は『La SCUBA』秋号の誌面を飾っている。
☆過去の特集は・・・ 『マリンダイビング』2015年7月号で特集
パラオPalau
成田からデルタ航空の直行便も就航し、すっかりメジャーな島になりつつあるけれど、ダイバーにとってはやっぱり永遠の憧れ、パラオ。何度行ってもやっぱりやめられない“一生のうちに何度でも潜りたい”島である。
魚群という意味で、パラオを外さないわけにはいかないだろう。
写真は一般的な(どこにでもいる)ヨスジフエダイだが(でも、キレイなので掲載!)
撮影した「ブルーコーナー」では、ブラックフィンバラクーダ、ギンガメアジ、インドオキアジ、ロウニンアジ、イソマグロといった銀鱗の回遊魚が群れまくり、グレイリーフシャークやホワイトチップリーフシャークが捕食のために何匹も徘徊。さらにウメイロモドキやクマササハナムロ、ユメウメイロなどの群れが走馬灯のように目の前を駆け巡り……。
群れの大きさはさほどではないかもしれないが、その種類の多さはどの海にも負けてはいない。
さらに、時期限定ではあるが、「グラスランド」では何千というカンムリブダイが産卵のために群れ、「イエローウオール」では何千、何万というイレズミフエダイがやはり産卵のために集まる。
まだあまり知られていないハタの仲間の大集合なんてのもあるし、マンタがぐるぐる回ってくることもある。
日本の近くにも素晴らしい海はたくさんあるのだ。
☆過去の特集は・・・ 『マリンダイビング』2015年9月号/『マリンダイビング』2015年1月号で特集
タオ島Koh Tao
タイの東部、タイ湾に浮かぶタオ島周辺も魚影の濃さでは天下一品。
太平洋の最も最西端にあり、周囲を大陸と島々に囲まれ、日周潮という一日に一回しか潮の干満が起こらないという不思議な自然現象の元、おそらく魚たちにはあまり天敵がおらず(天敵は人間なのかもしれない)、のびのびとタオ島の周辺で暮らしているのに違いない。
特に「チュンポンピナクル」「セイルロック」「サウスウエストピナクル」といった、島の沖にあって、海底からそびえる大きな根に魚たちは集まっているようで、これらの3大スポットではそうした魚群を狙った大物もよく現れる。プランクトンも多いのか、ジンベエザメも姿を見せ、ダイバーを喜ばせてくれる。
☆過去の特集は・・・ 『マリンダイビング』2015年4月号で特集
太陽の光が奏でる神秘の光景
地形
宮古島Miyako Is.
日本で地形スポットといえば、宮古島なのだが、海外で見てもかなりレベルは高い。
というのも宮古島にもケーブやホールが集まる伊良部島や下地島にも川がなく、土砂が流れ込むことがないため、透明度がコンスタントにいい上、亜熱帯地方だけに日照時間が長く、さまざまな角度から射し込む光を楽しめるため。
さらに、宮古島の場合(正確には下地島、伊良部島を含む)、地形スポットが本当に多い。そのため、さまざまな水中景観を味わえるのも魅力。平均水深も深いところは深いが、浅めのところもあるので、初心者から楽しめる。
ちなみに写真は下地島の「アントニオガウディ」。宮古島はネーミングも天下一品。
なお、故・舘石昭が好きでよく写真を撮っていたのは宮古島東部の「エンジェルケーブ」。ここも光のカーテンが素晴らしい。
☆最近の特集は・・・ 『マリンダイビング』2015年9月号/『マリンダイビング』2015年6月号で特集
阿嘉島&座間味島Aka & Zamami Is.
癒し系の海として大人気のケラマ諸島。サンゴ礁の海としても実はピカイチで、世界のどこにも負けないぐらいだったのだが、ここではあえて地形で登場していただいた。誰に断ったわけでもないのだが。
というのも、ここも川が少なく透明度がいい上、サンゴ礁の隆起や沈降で生まれたケーブやホールが意外に多いからだ。
写真は「ニタ浜」(新田浜)と呼ばれるスポットのアーチ。座間味島の北東部に位置していて、夏季に人気。光の射し込む角度によって表情を変えるので、何度行っても楽しめる。
ほかにも無人島の屋嘉比(やかび)島にトンネルとアーチが連なるスポットがあるのだが、ここも訪れた人の多くがため息をつくという神秘さ。
ぜひ連れていってもらおう。
☆最近の特集は・・・ 『マリンダイビング』2015年8月号で特集
ロタRota
サイパンの南に浮かぶ、北マリアナ諸島の一つ。ミクロネシアも宮古島の原理と同じで、川がほとんどないために透明度が非常に高く、陽射しも強い。地形がおもしろいのも納得だ。
中でも写真にすると光の筋が非常に美しく絵になるのが「ロタホール」。「センハノンケーブ」とも呼ばれるロタ島の人気スポットで、過去に数々のポスターになったこともある。
天井から射し込む光の束に幸せを感じずにはいられない。
なお、サイパンの「グロット」や「スポットライト」、パラオの「ブルーホール」、グアムの「ブルーホール」も甲乙つけがたい魅力がある。
長い年月をかけて育った命の結晶
サンゴ礁
マーシャル諸島Marshall Islands
世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフや日本の沖縄、特に八重山諸島などには、息をのむほど美しいサンゴ礁がたくさんあるが、これほど住民が無意識なのに、サンゴがめちゃくちゃ素晴らしい海域はないのではないだろうか。
マーシャル諸島の首都があるマジュロ環礁も、港ですら、サンゴがゴロンゴロン。ちょっと中心街から離れれば、さまざまな種類のサンゴが枝を広げるようにして海底を覆い尽くしている。サンゴたちの縄張り争いなども普通に見られる。
29の環礁があり、まだダイビングで潜れるのはわずかだが、たぶんほかの環礁も潜ってみたらもっとスゴイことになっていそうで、いつか潜ってみたい……。そんな夢を抱かせるマーシャル諸島なのである。
☆最近の記事は・・・ 『マリンダイビング』2014年9月号で特集