シリーズDive Indonesia Vol.3
その先にある楽園
リクパン
Likupang
まだ日本から海外に潜りには行けない日が続きますが、コロナ禍が収束したら出かけたいのがインドネシア。
北アメリカ大陸ほどもある広大な海域に散らばる17,500余りの島々にはたくさんのダイブエリアも。
今回は、リクパン。この名前を聞いて場所がわかる方は相当なインドネシア通ですが、日本でも知られているメナド、レンベの北にある、注目のエリアです。
※2021年5月現在の情報です。
- ▼リクパンをフィーチャーする理由
- ・リクパンとは?
- ▼リクパンの5つの重要スポット
- ・1 Bahoi Ecotourism Village
- ・2 Pulisan Hill and Beach
- ・3 Paal Beach
- ・4 Gangga Island
- ・5 Lihaga Island
- ・すべての魚が集まる!? ガンガ島
- ▼地理的に優位なリクパン
- ・コーラルトライアングルの一角
- ▼リクパンのダイビングスポット
- ・広範囲にダイブエリアが広がる
- ・ガンガ島の潜るべきスポット
- ・タリセイ島の潜るべきスポット
- ・リハガ島はハウスリーフで
- ▼リクパンのダイビングスタイル
- ・リゾートダイブで楽しむ海
- ・レンベへもアクセス
- ▼シーズナリティ
- ・ダイビングのベストシーズン
- ▼アフターダイブ情報
- ・リクパンの宿泊事情
- ・アクティビティや観光名所
- ・食べ物もおいしい
リクパンをフィーチャーする理由
リクパンとは?
「リクパン」と聞いて、パッと思い浮かばなかったのですが、でも聞いたことがある……と、筆者・後藤(マリンダイビング編集長)は記憶をたどることに。すると、思い浮かびました! 10年以上前にインドネシアのダイビングのパイオニアともいえる故・工藤幸子さんに「おもしろいところがあるから、行ってきなさい」と勧められた、メナド&バリ取材の途中で訪れたガンガ島を含むエリアのことです。間違いありません。ポテンシャルが高く、おもしろい海です。どうおもしろいか? インドネシア政府観光省の現地の担当の方にお話を伺いました。
リクパンはインドネシア政府観光省が開発を進めている5つの重要ディスティネーションのうちの一つに挙げられています。
まずリクパンの場所ですが、ノーススラウェシ(スラウェシ島の北部)にあり、メナド沖にあるブナケン島のほかに政府が開発をしている新しいディスティネーションなのです。なぜなら、とにかく海中が素晴らしいのです。たくさんの種類の魚、色とりどりのサンゴ礁に加え、陸の景色も美しく、スノーケリング、ダイビングと併せて楽しめます。日本のダイバーもリクパンで新しい経験をしていただきたいです。
Google mapより抜粋
リクパンの5つの重要スポット
リクパンの魅力をまとめた動画です
Presented by www.indonesia.travel
1 Bahoi Ecotourism Village
Bahoi Ecotourism Village(バホイ・エコツーリズム・ヴィレッジ)は、美しいサンゴ礁とマングローブ群生林が見どころ。自然ならではの景観が見事です。上のマップの西側、ウエスト・リクパンに属している、海岸線にある小さな村と小島から成るエリアです。
2 Pulisan Hill and Beach
「Pulisan Hill(プリサン・ヒル)」は美しい緑のサバンナでとても有名です。そればかりか、丘からは青い海が眺められます。一方、「Pulisan Beach(プリサン・ビーチ)」は美しいホワイトサンドの浜辺と、透明感あふれる海水で有名です。
3 Paal Beach
「Paal Beach(パール・ビーチ)」は、インドネシア政府が開発する特別経済区の1つ。リクパンの中でも訪れる価値のあるビーチが広がっています。クリアブルーウォーターが広がる海を緑の小高い丘が取り囲んでいます。
4 Gangga Island
「Gangga Island(ガンガ・アイランド/ガンガ島)」は、リクパンエリアに属している離島で、ホワイトサンドのビーチ、空のように青い海に抱かれています。日の出とサンライズのパノラマが美しく、心に残ること間違いありません。
5 Lihaga Island
「Lihaga Island(リハガ・アイランド)」はガンガ島の西に浮かぶとても小さな無人島で、訪れてリラックスするには最高です。
すべての魚が集まる!? ガンガ島
ガンガ島ではたくさんのギンガメアジ、そしてハナダイの仲間に会うことができます。まるでこの島にすべての種類の魚……小さなハタ、ワニゴチや大型回遊魚、ナポレオン、リーフシャークまでもが集合しているようです。ディープダイブをすればピグミーシーホースやオニオコゼのようなストーンフィッシュ、そして欧米人に大人気のハナミノカサゴをはじめとするカサゴの仲間が何種も見られます。
栄養分が豊富な海。イワシの仲間の群れもものすごい
地理的に優位なリクパン
コーラルトライアングルの一角
ノーススラウェシにあるリクパンですが、“コーラルトライアングル”の中心地にあることでも知られています。
コーラルトライアングルというのは、サンゴ礁が豊かなばかりでなく、そこにすむ魚や海岸生物、マングローブや海草などの生態系が格別豊かな海域であり、地球上で非常に貴重なエリアとして、コーラルトライアングルイニシアティブやWWF等が保全に努めている場所。フィリピンの北部、インドネシアのバリ島の西部、ソロモン諸島の東部を結ぶ三角形の広大な海域に広がっており、500種以上のサンゴ、2500種以上のコーラルリーフフィッシュが生息。植物プランクトンが酸素をつくることで知られていますが、地球の酸素の1/6を生成するということで“海のアマゾン”ともいわれています。
リクパンはそんなコーラルトライアングルの中央(というよりは西側になりますが)にあり、リクパンで見られる魚種が2500種余りとコーラルトライアングルに生息するほとんどの種が生息しているスゴイところなのです。
ソフトコーラルに擬態することで知られる人気の魚、ニシキフウライウオも頻繁に見られる
リクパンのダイビングスポット
広範囲にダイブエリアが広がる
リクパンはノーススラウェシにありますが、その沖に連なるバンカ諸島はダイビングが楽しめるエリアとして知る人ぞ知る海域です。バンカ、キナボフタン、ガンガ、タリセイ、ティンディラといった有名どころ(スポット名ではなくエリア名)があります。スポット数はざっと30以上となります。
プリサンの桟橋下も魚影がびっしり!
ガンガ島の潜るべきスポット
ガンガ島では「ガンガ・アイランド・ハウス・リーフ」がオススメです。たくさんの種類のサンゴ、大小の魚たち、甲殻類などがたくさん見つかります。
タリセイ島の潜るべきスポット
「Tetonic(テトニック)」がオススメです。ソフトコーラルの群生が華やかなスポットで最大水深は30m、時として流れが強くなることもあります。でも、運が良ければナポレオンをはじめたくさんの魚が見られるでしょう。欧米人が大好きなミノカサゴとウツボ、ウミヘビもいます。日本人の方にはカラフルで珍しいウミウシが人気になりそうですね。
また、「Cape Current(ケープ・カレント)」も見逃せません。島の北端にあるドロップオフスポットで、ソフト&ハードコーラルがドロップ沿いにびっしり! ナポレオン、カンムリブダイ、サメなどが普通に見られます。
「North Talisei Pinnacle(ノース・タリセイ・ピナクル)」も有名です。ピナクルと呼ばれる、海底から立ち上がる根はたくさんの魚たちを引き付けるものですが、ここも例にたがわず、たくさんの魚、そしてソフトコーラルやシーファン(イソバナの仲間)、色とりどりのウミシダが根をびっしりと埋め尽くしています。たくさんのウミウシとカラフルな魚も見つかるでしょう。
タリセイ島の西にある「Aer Banua(アエル・バヌア)」もダイナミックなドロップオフにたくさんのカラフルなサンゴがびっしりついていて、大きなイソバナやカイメンも生息していて見ごたえたっぷりです。海藻が広がるエリアではカミソリウオがよく見かけられます。ここは日中だけでなく、ナイトでもよく利用されます。
リハガ島はハウスリーフで
無人島のリハガ島はハウスリーフで潜ります。いろいろな魚も生息していますが、有名なのはマンダリンフィッシュ、そう、ニシキテグリです。サンセットダイブで産卵シーンを狙いたいですね。
リクパンのダイビングスタイル
リゾートダイブで楽しむ海
リクパンにはいくつかのダイブリゾートがありますが、1ダイブごとに戻ってくるスタイルが一般的です。でも、リクエスト次第ではランチボックスを持って日帰りダイビングをする場合もあります。
一日のダイビング本数は日中に3本ですが、ナイトダイブをする場合は2本というのが普通です。こちらもリクエストや海況次第では一日4ダイブになることもあります。
レンベへもアクセス
レンベ島(レンベ海峡)はノーススラウェシでは、いや世界的にも有名なマックダイビング(マクロダイビング)天国です。リクパンからは日帰りでも行ける範囲にありますので、アレンジしてもらうことが可能です。ボートで行く場合もありますし、車でビトゥン(ノーススラウェシ東海岸の大きな町)まで行って、そこからボートダイブをすることもあります。
シーズナリティ
ダイビングのベストシーズン
スラウェシ島は赤道をまたいでおり、赤道気候に属しています。2つのメインシーズン――雨季と乾季があります。7~10月が乾季、11~6月が雨季といわれています。でもアジアのほかのエリアのモンスーン気候と違って、雨季でも午後に強烈なスコールが降ったかと思えばすぐに太陽が辺りを照らすといったような日が続くぐらいで、一年中、ダイビングに適しています。もし透明度や穏やかな海面を望むのであれば、5~10月がいいですよ。
アフターダイブ情報
リクパンの宿泊事情
リクパンエリアにはさまざまなタイプの宿泊施設があり、リゾートホテルから簡易なゲストハウスまでお好みによって選ぶことができます。5つの重要なダイブエリアで挙げたところにも無人島のリハガ島を除けばダイビング施設を備えたホテルがあります。
アクティビティや観光名所
テーマパークなどは望めませんが、ダイビング以外にもトレッキングが人気です。Hill Pulisanでは珍しい“グリーンサバンナ”を見ることもできますし、Bahoi Ecotourism Villageではマングローブの群生を楽しめます。
スノーケリングももちろん楽しめます。マーメイドスイムも人気上昇中
食べ物もおいしい
リクパンエリアの料理には独特なものがあり、一度食べるとおいしくて病みつきになる人も多いです。例えば朝食の定番料理、Tinutuan Porridge(Manado Porridgeとも呼ばれる)は、たくさんの種類の野菜――キャッサバ、カボチャ、サツマイモなどを混ぜ、肉類は入れないお粥なのですが、お腹にやさしく、レモンバジルが爽やかな味つけです。お好みの香辛料をかけてお召し上がりください。
ほかにもGoroho Banana with Sambal Roaというアンチョビソースを添えた揚げバナナや、Panada(ツナの揚げパン)、Lalampa(ツナやオニオンなどの具を詰めたもち米を葉っぱで巻いて焼いたもの)、Cakalang Fufu(カツオを竹でいぶした料理)など、いろいろありますので、訪れた際にはぜひお試しを!
リクパンエリアの情報は下記でもご覧ください。