東伊豆でダイビング~ワイドも楽しめる赤沢
自然写真家の関戸紀倫さんも絶賛!
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東伊豆に位置する人気のスキューバダイビングエリア赤沢の目玉といえば、とても珍しいハナダイやスズメダイが見られること。フォト派ダイバーにはマクロも人気ですが「ワイドな世界も楽しいんですよ」とガイドの仲榮眞 充さんの言葉を聞き、今回撮影に挑んだ自然写真家の関戸紀倫さんにお話を伺いました。
※この特集は2023年6月末の情報です。
ワイドがこんなに楽しめる海なんだ!
サクラダイの群れに吸い寄せられて
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5月下旬に既にサクラダイのオスが群れているエリアも。これからの季節はもっと増えてくるはず
Photo by Kirin Sekito
「赤沢の海はもう一度しっかり潜ってみたかったんです」
自然写真家の関戸紀倫(せきと きりん)さんは5月下旬のある日、赤沢を訪れました。赤沢にはボートスポット3カ所にブイが打たれていて、港に近い方から0番、3番、5番(スポット名)となっています。関戸さん曰く「赤沢ダイビングセンターの代表、仲榮眞 充(なかえま みつる)さんが最初に水深30m台で今出ているイトヒキコハクハナダイ(「スジチガイ」と呼ばれていたハナダイの仲間)の幼魚を見せてくれたのですが、その日に限って潮のかかり具合が写真撮影には難しかったので、少し撮影をして早々に上がっていったところ、気になる光景が広がりました」
それが上の写真です。色鮮やかなソフトコーラルになんと、サクラダイが群れています。「最初はメスの群れが多かったのですが、移動していくとサクラダイらしいオスの群れが固まっているところもあったんです!」 水温が温かくなってくるとサクラダイのオスの群れは大きくなってくるのですが、この時期にこれだけ見られるということは、7月には満開の桜のような群れが見られるかもしれませんね。
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さらに進むとソフトコーラルがとにかく美しいエリアが!
Photo by Kirin Sekito
「少しずつ移動しながら撮影していると、色とりどりのソフトコーラルが林立するとてもきれいなエリアに行き当たりました」これはヤバイ!と紀倫さんはレンズを向けたのです。赤沢の「0番」の水深28mぐらいでしょうか。「もっと粘りたかった!」と嘆くほど素敵な光景。
どうです? 赤沢のワイドな海も素敵だと思いませんか?
柱状節理もあるジオ地形に驚き
火山活動が生んだジオの地形
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海底から柱が伸びて集まったような根。「ピンク色の海藻のような無節サンゴ藻がびっしりと茂っているのが伊豆七島っぽい」と紀倫さん
Photo by Kirin Sekito
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広範囲にわたる柱状節理。これだけ壮大なのも珍しい。場所によってはこういう塊ではなくて、壁状になったところもある
Photo by Kirin Sekito
「仲榮眞さんがここも見てほしい!ということで潜ったのが『5番』と呼んでいる5番ブイです」。地理的には起伏に富んでいるジオ地形で有名な城ケ崎に隣接しているためか、海中に「柱状節理」と呼ばれる、大きな石の柱が寄せ集まったような岩場が広がっています。伊豆半島ジオパークのウェブサイトの解説によると「溶岩やマグマが冷えて固まる時に少しだけ体積が小さくなって縮んでいきます。マグマ全体が縮む時に五角形や六角形の柱状の割れ目ができます。これを柱状節理といいます」とのこと。赤沢の海中で見られるのは、規模がとても大きく見ごたえのある、ダイナミックなもの。
紀倫さんも「赤沢にこんなダイナミックな地形があるとは知らなかった!」と大感激。
ソフトコーラル群生や魚の乱舞とは異なる、不思議な海中景観をぜひ楽しみたいですね。
レアな魚もやっぱり魅力
魅力のレアなハナダイやスズメダイ
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イトヒキコハクハナダイの幼魚が!
Photo by Kirin Sekito
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話題のゲッコウスズメダイの幼魚も赤沢にたくさん
Photo by Kirin Sekito
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アマミスズメダイの幼魚も越冬しているようです
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こちらは「3番」ブイの下で会ったミドリイシに乗るアカイソハゼ
「今回は潮流の関係で頭をワイドに切り替えて……となったものの、やっぱり魚種の豊富な赤沢の海。マクロも狙うことになりました」。
昨年の取材時にもキシマハナダイをはじめとする超人気ハナダイがいましたが、今年はキシマハナダイの当たり年なのか?? 出ている量がスゴイとのこと。仲榮眞さんによると群れているエリアもあり、全エリアで50尾以上はいるそうです。
さらに「赤沢で初登場、スジハナダイに似ているのですが筋の入り方が違うということでスジチガイと呼ばれていた、新和名のイトヒキコハクハナダイ(幼魚)に会うこともできました」。ハナダイ好きにはたまりません。
また、「『0番』で青いアイシャドウと蛍光イエローの背ビレが素敵なゲッコウスズメダイの幼魚、蛍光ライトブルーのアイシャドーと体色がかわいいアマミスズメダイの幼魚にも会えましたよ♪」と紀倫さん。
その気になれば水族館以上の魚の写真が撮れそうな赤沢の海。おまけにネコザメまで出てくれました♪
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「0番」のブイのすぐ沖、水深15mあたりにいた小さなネコザメ。最初は小さな穴のほうを向いていましたが、近づいたら振り向いてくれました
Photo by Kirin Sekito
関戸紀倫さんが感激したのは
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ソフトコーラルがあちこちに群生している赤沢の海は明るくてきれい
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タカベの群れやイシモチの群れなど、ソフトコーラルや岩場の周りは魚影が濃くてびっくり!
「今回は仲榮眞さんがワイドでいこうと言ってくれたので僕も楽しく撮影ができました。とにかくソフトコーラルの豊かさに感激。天候が悪く海中が暗めだったので撮影にはつらい海況でしたが、ソフトコーラルを入れると明るくなる。これは赤沢の強みともいえますよね。ハナダイの群れもじっくり寄ったら逃げなかったし、撮りやすい環境でした。
あと『0番』から『3番』にかけては伊豆半島らしい海、『3番』から『5番』にかけては火山の影響を受けた海という感じで伊豆七島っぽい。ひとつの海で伊豆半島も伊豆七島も楽しめるお得さもたまりません! 太陽の光を浴びてシャワーが水中にも降り注いで来たらさぞかしきれいなんだろうな~(笑)。またじっくりワイドを狙いたいです!」
ありがとうございます! ぜひまたお願いします!!
今回の撮影を担当した自然写真家 関戸紀倫さん
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今回の赤沢特集で撮影を担当していただいたのは、自然写真家の関戸紀倫さん。フランス人の写真家でダイビングインストラクターの父と日本人の母の間に生まれ、幼い頃からフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など大自然と触れてきた。ダイビングインストラクターとして活動した後、オーストラリアでダイビングガイドを経験後、写真の勉強をしてフリーランスのカメラマンに。美しくワイルドな自然に魅せられ、水陸問わず撮り続けている。近著に写真集『SAUVAGE(ソバージュ)』がある。
「水中写真 家作品探訪」連載 関戸紀倫さん編も併せてご覧ください。
施設から海が近い理想的な環境
ビーチも港も目の前! ダイバーの理想郷
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ダイビングボートに乗る防波堤前の桟橋の真正面に《赤沢ダイビングセンター》がある。山の上に日帰り温泉も
赤沢にはセッティングしたら10歩足らずでエントリーできるビーチスポットと、「0番」「3番」「5番」と呼ばれるブイのスポット、それに「平島」「仲の崎」の合計5カ所のボートスポットがあります。一番近い「平島」で港から3分、遠い「5番」で5分足らずととても近いのも魅力。初心者でもボートダイブが初めての方でも、船酔いが心配な方でも、あっという間に到着できます。
ダイバー想いの施設も抜群!
2年前にリオープンした後も改良を進め、海がすぐ目の前にあるという理想的な環境にありながら、さらに施設も快適、という贅沢な空間です。初めての人にもビギナーダイバーにも、もちろん海を潜り尽くしたベテランダイバーにも、使いやすくて超快適なダイビングステーションです。
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受付前には貴重品用のロッカーと、ドリンク類、冷蔵庫や電子レンジ等がそろう。カップラーメンなど軽食も販売
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3階のラウンジも明るくて広々
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ラウンジの外にもテラスがあり、景観は抜群
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センター前には屋根付きの休憩場所も。風通しがいいうえ、日光を遮ってくれるのでとっても快適
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ビーチダイブのゲストがセッティングしやすいように木の台が設けられている
赤沢へのアクセス
電車でGO!
赤沢へは熱海駅から伊東線、伊東駅からで伊豆急行線で伊豆高原駅を目指します。熱海へは東京方面からも名古屋方面からも東海道新幹線や東海道本線でアクセス。伊豆高原駅からは東海バスで約20分、タクシーで約7分です。
《赤沢ダイビングセンター》に直接お申し込みの場合は駅送迎もあり。
車でGO!
東京方面からなら東名高速道路厚木ICから小田原厚木道路、国道135号経由で(厚木ICから約85km)。
名古屋方面からは東名高速道路沼津ICまたは新東名高速道路長泉沼津ICから伊豆縦貫自動車道、伊豆中央道、修善寺道路を経由して(両ICから約55km)。八幡野観音を通過後、《赤沢温泉ホテル》の角を左折して道なりに進めば《赤沢ダイビングセンター》に到着。
協力/赤沢ダイビングセンター
撮影/関戸紀倫