人気サービス ジェスターと川奈日和に潜入!
東伊豆 川奈の潜り方
静岡県の東伊豆にある川奈は名だたるダイビングポイントが点在するエリアです。海が良いのはもうわかりきったこと。では、どんなガイド達がゲストを虜にしているのでしょうか? 今回、《川奈ガイドサービス ジェスター》の鬼頭 健介さんと、《DivingService川奈日和》の君島 啓一さんのもとへ、Marine Diving Web(MDW)編集部員が潜入! 実際に潜って感じたことを飾らずにお届けしたいと思います。
※この特集は2023年11月現在の情報です。
MDW編集部が川奈に潜入!
2つのダイビングサービスにお世話になりました
1本目は《川奈日和》からスタート!
DivingService川奈日和
ガイド:君島 啓一さん
川奈ガイドサービス ジェスターの鬼頭さんが語る
「君島さんってこんな人!」
「啓一は川奈のガイド陣の中で真ん中の世代。時に難しい立ち位置だと思いますが、後輩にはリスペクトされているし、先輩にはかわいがられています。ただガイドや写真が上手なインストラクターならいっぱいいます。でもそこにプラスアルファで中身の濃さがあるからこそ、誰からも慕われるのが啓一です。僕も啓一がかわいくてたまりません(笑)」
《DivingService川奈日和》の君島啓一さん
Photo by DivingService川奈日和
1本目はビーチエントリーの王道スポット「ビーチ」へ
まず感動するのが君島さんのブリーフィング。君島さんが撮影した写真をショップ内のモニターに投影しながら、見られる生き物を案内してくれます。生き物たちの性格を理解しているからわかる撮影のコツや、被写体の背景や太陽光の使い方、カメラの設定のアドバイスまで、潜る前に作戦会議をしてくれます。
《DivingService川奈日和》のブリーフィングは楽しい! これから潜る海への想像力が掻き立てられて、いつも以上にワクワクした気持ちでエントリーしました。
この日は最新のコンパクトデジタルカメラ「OM SYSTEM Tough TG-7」を持ったゲストが来店。設定の仕方をアドバイスする君島さん
Photo by Marine Diving Web
エントリーで使うスロープはショップのすぐそばにあります。藻で滑りやすく、うねりが入ると転びやすいので注意してくださいね。
波のタイミングをよんでGOサインを出してくれます
Photo by 川奈ガイドサービス ジェスター
エントリーしてしばらくは浅瀬にゴロタが続きます。波紋に合わせて揺れ動くキラキラがきれいすぎて♡ 海の中をフワフワしながら光を浴びている時間が、幸せでたまりませんでした!
光のシャワーが気持ち良い!
Photo by DivingService川奈日和
とことん粘らせてくれるから納得の一枚が撮れるはず! ニシキフウライウオ狙いのゲストも満面の笑みでダイビングを終えていました
Photo by DivingService川奈日和
君島さんのガイドはテンポがゆっくり。海の中で非日常を過ごしているときはせかせかしたくないので、時間の流れが心地良かったです。
「ニシキフウライウオを粘って撮影したい」と思っているフォト派ダイバーなども大勢いますが、MDW編集部員の私は「海でフワフワしているだけでいい」派なんです。一人ひとりリクエストは違いますが、みんなが満足できるよう君島さんの配慮が行き届きます。各々が自分のダイビングスタイルを楽しむ、自由な空間でした。
「多種多様な生き物がいるから、潜るたびに宝探ししている気分です」と君島さん。10月の取材時はネジリンボウ、ウミタケハゼ、オトメハゼ、ガラスハゼとハゼ祭り! 個体数が多いから、一人一個体ずつじっくり狙えます。後ろで他のダイバーが撮影を待っていると、急かされているように感じちゃいますよね。川奈ではそれがなく、のんびり潜れて最高でした。
漁港町ののんびりとした雰囲気を感じる川奈。海の生き物たちものびのびしているように感じます。ネジリンボウとヒレナガネジリンボウ
Photo by DivingService川奈日和
2本目は《ジェスター》でダイビング!
川奈ガイドサービス ジェスター
鬼頭 健介さん
DivingService川奈日和の君島さんが語る
「鬼頭さんってこんな人!」
「とても面倒見が良い、川奈のアニキ的存在です。ショップが違えど分け隔てなくアドバイスをくれて導いてくれますが、最終的な答えは自分で決定するよう言われます。そのおかげで成長できています。川奈のアットホームな親しみやすい雰囲気をそのまま表したような方です」
《川奈ガイドサービス ジェスター》の鬼頭 健介さん
Photo by 川奈ガイドサービス ジェスター
水中写真の“ド素人”が川奈の海を撮ってみました
2本目も1本目と同じスポット「ビーチ」へ。今度はいつもはあまり行かないという、白砂が続くルートを巡ります。
「ただ潜るだけではおもしろくない!」と鬼頭さん。普段は全く水中写真を撮らないMDW編集部員にコンデジを渡し「撮りながら潜ってみよう!」と……(う〜ん。水中撮影あんまり得意じゃないんだよな……)。
ということで、コンデジを持って2本目がスタートです。
「ビーチ」の白砂が広がるゾーン
Photo by 川奈ガイドサービス ジェスター
「ビーチ」ではまるで南国にいるかのような雰囲気も味わえます
Photo by 川奈ガイドサービス ジェスター
《川奈ガイドサービス ジェスター》では普段からコンデジのレンタルを行なっているそうです。潜る前に基本的な使い方のレクチャーを受けます。難しい操作はひとまず置いておいて、最低限の扱いだけ教えてくれました。
「とりあえず3つだけ覚えておいて! 水中は不安定だから体のどこか2、3点を固定して動かないようにすること。順光と逆光を意識してみること。何回もシャッターを押すこと」と鬼頭さん。
遊び心溢れる鬼頭さんによるコンデジの使い方レクチャー
Photo by Marine Diving Web
エントリーすると「まずは動かない被写体で練習してみましょう」と猫のマスコットを取り出した鬼頭さん。「インスタ用に縦位置でも撮影したほうがいいよ」など、その後も鬼頭さんのアドバイスを受けつつ、試行錯誤しながら撮影していきます。
撮影に集中しちゃうと視野が狭くなり海を堪能できない気がして、水中での撮影が今まであまり得意ではなかったMDW編集部員。でも川奈はゆっくり潜れるし、生き物の種類が多くてシャッターチャンスがいっぱいあるから、海の世界観を楽しみながら自分のペースで撮影ができます。だから、ビギナーでも撮りやすいんです。
ゆっくり泳いでくれたからピントが合わせやすかったクマノミ
Photo by MDW編集部
あれ、なんだか楽しくなってきたぞ……! ダイバーになって10年ほど経ちますが初めての感覚でした。川奈の海だから味わえた経験です。水中写真ド素人のMDW編集部員が撮影した写真、なんとか形になっていますかね……?
鬼頭さんはスレートを大活用するので、まるで水中で話しているかのような気分になります。思わずクスッと笑ってしまうような文面と、安心感のあるスマイルに、ダイビング中ずっと楽しい気分でした。
「ゲストの本心を読み取りながらガイドしています」と鬼頭さん。今回、エア残量がまだありながらもダイビングが終了しました。実はMDW編集部員の着ていたウエットスーツがボロボロで、少し寒かったのですが内緒にしていたんです。でも鬼頭さんには寒いのがバレバレだったそうで、早めに上がってくれたみたいです。ここでも本心を読み取られちゃいました。
鬼頭さんのマスク越しでもわかる笑顔に終始安心していました
Photo by Marine Diving Web
透明度の良い海に、白砂がどこまでも続く天国のような場所。MDW編集部員が大好きなのんびり・フワフワダイビングにもぴったりな海が、都心からもアクセスしやすい川奈にあったとは! 正直びっくりしました。
癒しのダイビングとはこういうこと! フワフワと海に抱かれているだけでも満足なんです
Photo by DivingService川奈日和
川奈の海ってこんなところ
国内屈指のダイビングエリアと知られる静岡県の伊豆には、数多くのダイビングポイントが点在しています。そんな中でも東伊豆の伊東市にある川奈は、伊豆のどこにも属さないような色を持っています。
共用スペースの器材洗い場周辺。「そっちでは何が見られました?」など、様々なダイビングサービスのスタッフやお客さんとの会話が生まれるのも楽しい!
Photo by Marine Diving Web
ビーチダイビングもボートダイビングも、スタートは全て川奈港です。車で来た場合は、川奈港の共用駐車場に駐車しましょう。最寄りの川奈駅からは、各サービスで送迎を行なっているのでチェックしてみてください。基本の集合時間は8時半から9時ぐらいです。
共用スペースの更衣室棟。川奈は全てがコンパクトにまとまっているから快適!
Photo by Marine Diving Web
川奈は共用スペースが広い! 2022年春にリニューアルした更衣室棟(とってもきれい!)には、女性エリア限定でパウダールームを完備。港には温水も出るシャワー、器材洗い場、冷えた体を温める湯船もあります。これらの施設は全て、川奈にある十数件のダイビングサービスが共用で使います。複数のダイビングサービスがありながらも、川奈全体で一つのダイビングサービスかのような、アットホームな雰囲気が一番の特徴だと感じました。
次はこんな潜り方がしたいな
川奈と言えば、やっぱりウミガメが見たい
川奈の「ビーチ」スポットには数匹のウミガメが定着していて、一年を通して高確率で遭遇できます。伊豆でこんなにウミガメと出会える海は他にありません。
ですが今回は残念ながら出会うことができませんでした。追いかけ回したり近づき過ぎると、ウミガメは嫌がって逃げてしまいます。ダイバーは海にお邪魔させてもらっている側なのでそっと見守りましょう。次は出会えるといいな!
ウミガメに出会ったら、①触らない ②必要以上に追わない ③息つぎのタイミングでは下から観察する を守りましょう
Photo by DivingService川奈日和
ボートダイビングもしてみたい
2022年に新しくオープンしたボートスポット「ウバコーラル」のソフトコーラル。人の背丈ほどある見事な大きさ
Photo by DivingService川奈日和
港から10分前後のところにボートダイビングのスポットが点在しています。ビーチエントリーでかわいらしい癒しの世界を堪能したら、今度はワイドで豪快な景色も見てみたくなりました。
今年8月に見られた大当たりの日にもう一度遭遇したい
8月のお盆明け頃に黒潮分流がガツンと入ると透明度が爆上がりして、魚の群れも濃くなるそうです。特に2023年はここ十数年で一番の当たり年だったようです。この夢のような光景が見てみたい!
撮影/DivingService川奈日和
目指すは「サステナブルダイビング」
鬼頭さんと君島さん、2人が目指すのがダイビングの新しい時代「サステナブルダイビング」です。海も陸も絆が強い、川奈にしかない雰囲気を次世代へと継承していきたいと目標を語ります。
「そのためには水中のゴミ拾いイベントの開催だったり、海を大切にするためにルールを提唱したり、アプローチの方法は無限にあるはず。未来でも今のように、みんなが笑ってダイビングできていたら幸せだよね」と語ってくれました。
川奈のガイド達が集い、水中のゴミ拾いを行なっています
Photo by 川奈ガイドサービス ジェスター
ライター/新井夏海