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伊豆半島西の横綱
大瀬崎ダイビング基本情報

大瀬崎ダイビング基本情報

静岡県の伊豆半島は理想的なダイビングエリアを30カ所余り持つ、日本を代表するダイビングロケーション。中でも西伊豆の大瀬崎はダイバー数が多く、特に水中撮影を目指すフォト派が足しげく通う海としても大人気です。富士山に見守られながら自然豊かで生物相の厚い大瀬崎はダイバーなら必ず潜りたい海といえます。

※2024年10月の情報です

大瀬崎ってこんなところ

真ん中に細長く伸びている岬が大瀬崎の一部。富士山に抱かれるような位置にあり、駿河湾に面した理想的なダイビングエリアです

真ん中に細長く伸びている岬が大瀬崎の一部。富士山に抱かれるような位置にあり、駿河湾に面した理想的なダイビングエリアです
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)

大瀬崎は、静岡県東部、その昔、島だった地が地殻変動で本州につながった“伊豆半島”の西のふもとに位置。東の伊豆海洋公園に続いて1980年代初めに全国初、漁業組合協力のもとオープンしたレジェンド的存在のダイビングエリアです。
最大水深2,500mと日本で最も深い湾の駿河湾に面し、深海生物が姿を見せたり、クジラやマンタ、マンボウといった超大物がダイバーを喜ばせたりする一方、小さなウミウシやカエルアンコウ、ハゼなどフォト派ダイバー垂涎の生きものも出現、生息するなど、生物相はとても厚い海としても知られています。ダイビングスポットは、岬がえん曲した内海の「湾内」と、外側に開拓された「外海」のいくつかのスポットに大きく分かれています。

アクセス

電車で行く

大瀬崎には東海道新幹線が停まるJR三島駅や東海道線のJR沼津駅、伊豆箱根鉄道駿豆線の伊豆長岡駅が最寄り駅となります。沼津駅南口から大瀬行きのバスが一日2往復、さらにそのすぐ近くの江梨行きのバスが一日数本あります。また、各最寄り駅からは一定の時間帯であれば、利用するダイビングショップやダイビングサービスの送迎も可能ですので相談するといいでしょう。沼津駅から大瀬崎へのバスは1時間強。
なお夏季には沼津駅からバスで約10分の沼津港から大瀬行きの定期船が所要時間30分で運航されています。

車で行く

関東方面からも名古屋方面からも、東名高速または新東名高速/第二東海自動車道で長泉沼津ICで降ります。その後、伊豆縦貫道/東駿河環状道路、伊豆中央道/国道136号を通り伊豆長岡ICへ。県道130号方面から三津三差路を左折して県道17号へ。そのまま道なりに大瀬崎方面へ進みます。長泉沼津ICから大瀬崎への所要時間はスムーズに行けば約1時間。帰りは渋滞でもっとかかることもありますのでご了承を。

ダイビング基本情報

ビーチダイビングが主流

大瀬崎の内湾に面して延びるビーチ。夏は人気の海水浴場にもなります

大瀬崎の内湾に面して延びるビーチ。夏は人気の海水浴場にもなります
写真/ネイチャーイン大瀬館

大瀬崎ではビーチダイビングとボートダイビングが可能です。多くのダイバーはビーチダイビングで内海、外海を潜っていますが、特に「湾内」の利用が多いのが特徴です。というのも、「湾内」はエントリー&エグジットがしやすく、一年中ほとんど海が穏やかで見どころが豊富だからです。
外海のビーチスポットへは、歩いて行きますが、器材を背負って行くのは大変なので、大瀬崎のダイビングサービスで借りられる「台車」に器材を乗せてスポットに向かうのが一般的です。 また、ボートスポットへは「湾内」の右手にある桟橋などからボートに乗ってスポットへ。片道約10分の近さです。

ガイドダイビングで海中案内してもらおう

「湾内」の人気者、ミジンベニハゼの貴重なハッチアウトシーンに遭遇チャンスも

「湾内」の人気者、ミジンベニハゼの貴重なハッチアウトシーンに遭遇チャンスも
写真/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

大瀬崎では、2名以上で大瀬崎の海の経験者、プロレベルのCカード保持者1名以上などの条件付きでセルフダイビングが可能です。また大瀬崎に限らず沼津や三島、その他エリアのダイビングショップのツアーで同行インストラクターが案内してくれるスタイルも一般的です。
個人で大瀬崎に潜る場合は大瀬崎のダイビングサービスを利用して、ガイド付きのダイビングに申し込むことをお勧めします。現地ガイドさんたちは毎日のようにガイドをしていますし、ゲストがいないときも潜って調査するなど、海を熟知しているので、ダイビングの楽しさも格別です。

ダイビング時間やスケジュール

ビーチダイビングが主流で、ダイビングのエントリー時間はグループごとに臨機応変に変わります。たいてい一日2~3ダイブですので、到着時間なども加味しながら午前中1~2本、午後1~2本潜るといったスタイルになります。
ショップツアーの場合も現地の海辺のダイビングサービスを利用することになりますが、ダイビング器材を目の前のビーチに敷かれたビニールシートの上でセッティングすることに。これもグループごとにたいてい分かれていますので、間違えないように気をつけましょう。
着替えや食事はダイビングサービス内にある更衣室やラウンジを利用することになります。昼食を途中のコンビニなどで買って行く場合もありますが、食事を提供しているダイビングサービスもあります。

ボートダイビングのスポットも

ボートスポット「ホトケ岩」では幻想的な地形も楽しめます

ボートスポット「ホトケ岩」では幻想的な地形も楽しめます
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)

ビーチダイビングが盛んな大瀬崎ですが、ボートダイビングで潜るスポットもあります。ほとんどダイバーが潜ることがないせいか、手つかずの海中は、ソフトコーラルもモリモリでワイルドな自然が広がっているのが特長です。
ボートダイビングを実施しているダイビングサービスは少ないので、事前にチェックして申し込みをしておきましょう。

シーズナリティ

大瀬崎は駿河湾の奥深いところに位置していて、天候・海況の影響をほとんど受けず一年中潜ることができる海です。水温、海況、見どころを四季別に紹介すると……

【春】
3月終わり頃から7月初旬は水温16~18℃。風向は変わりやすいが、北西風、南西風が代わる代わる吹く感じ。北西風でやや外海が荒れることも。スーツはドライスーツ、5~6.6㎜以上のツーピース+フード。
海中は海藻のホンダワラにさまざまな幼魚がついているのが見られ、テンジクダイの仲間たちの口内保育も見どころ。

【夏】
6月下旬から10月初旬は水温18~24℃ぐらい(近年はもう少し高い傾向)。南西風のほか北東寄りも風が吹き、大瀬崎には影響がほぼない。スーツはウエットスーツが活躍。5mmワンピースでもOK。
水温の上昇とともに魚影が非常に濃くなる時期。南の海から流れてくる季節来遊魚の姿も見られ始める。

【秋】
9月終わり頃から12月頃までは水温が高い時で26℃ぐらい、低い時で18℃ぐらい。北東風のほか西寄りの風もしばしば吹く。北東風の際は東伊豆側が潜れなくなり大瀬崎など西伊豆にダイバーが集中することも。スーツは5mmワンピースまたはツーピース。ドライスーツでもインナーが薄着であれば快適。
ブリやカンパチなどの回遊魚が姿を現す。透明度も高くなり魚影も濃く、一年で最もいい時期ともいわれる。

【冬】
1~3月頃は水温14~16℃(近年はもう少し高い傾向)。西風~北西風で外海はやや荒れる日も。ドライスーツまたは6.5㎜以上のツーピース+フード。
深海から上がってくるキアンコウやマトウダイなどが見られるようになる。ウミウシも増え、1ダイブで何十種ものウミウシに会えることも。

なお、大瀬崎はイベントも多く、《ネイチャーイン大瀬館》の真木久美子さんが春夏のイベントを挙げてくれました。
春:海藻の森、大瀬まつり、フレッシュ大瀬ダイバーズデー
夏:海の家、ピア

イチオシ! ダイビングスポット情報

内海

湾内(わんない)

“シロクマ”と呼ばれる白地にオレンジ色のクマドリを持つクマドリカエルアンコウの幼魚が現れることも

“シロクマ”と呼ばれる白地にオレンジ色のクマドリを持つクマドリカエルアンコウの幼魚が現れることも
写真/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

「『湾内』は大瀬崎が世界に誇るスーパービーチ!」と声を大にして語ってくれるのは真木さん(前出)。
「『湾内』の魅力の一番はその安定感です。大瀬崎はビーチエントリーながら、湾内・外海・先端と大きく分けて3カ所のスポットがあります。特に『湾内』は台風などよほどのことがない限り、クローズになることが少ないというのは大きな強みです。
また、水中にはガイドロープがわかりやすく張られており、セルフダイビングに挑戦するにも良い海です。バディとともに各サービスで海況情報と生物情報を確認して、毎年開催される大瀬崎カレンダーフォトコン入賞を目指して写真撮影に取り組むのも楽しいですね。
春は小さなカエルアンコウや、ツノザヤ系のウミウシが樹状のコケムシにちょこんと乗っているのがかわいらしいです。フクロノリの黄色~緑色や紅藻の赤など、かわいい背景の色を選んで撮ることができます。
夏は多くの生物の繁殖シーズン、つまりは恋の季節! 繁殖行動の観察は何が楽しいのって、普段地味な魚も求愛の時はハッとするようなきれいな色になる、それは一瞬のできごと。その一瞬を写真に収めるのは難しい。だけどガイドとのチームプレイで取り組めば、ワクワクも、外す悔しさも、楽しさになって、狙ったものを見ることができた時の感動は倍増なのです。
また2024年の夏は湾内に海の上を歩けるピアフロートも設置され、海水浴や休憩中のダイバーにも好評でした。

南からやってくる季節来遊魚の中でも人気のニシキフウライウオ

南からやってくる季節来遊魚の中でも人気のニシキフウライウオ
写真/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

秋はやっぱり季節来遊魚と群れですね。擬態が上手なカミソリウオや、華やかなニシキフウライウオ、南方種のスズメダイ幼魚や、ミホノハゴロモハゼや小さなヒレナガネジリンボウなどのハゼも増えて、陸の気温も心地よく水温もまだ暖かので、潜っているだけでも楽しい良い季節です。
そして冬。富士山には雪、夜明けの水面には“しおくずばんば”が立ちのぼる冬こそが、実は隠れたベストシーズンともいえるでしょう。冷たい水はキリっと冷たく澄んで透明度が良く、深場からやってきたキアンコウや、季節風によって運ばれたリュウグウノツカイなど深海魚のこどもたちと一期一会の出会いがあるかもしれません。海も陸も夏ほど混んでないのでゆったり過ごすことができるのもうれしいですね」

外海

岬の先端(突端)

撮影/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

湾内と外海を隔てる岬の先端は、土日祝日しか潜れない限定スポット。
「台車を押して鳥居をくぐり、大瀬神社に一礼して先端に向かう、土日祝だけの限定ポイント『先端』は、大瀬神社の敷地内にあります。『湾内』よりもまた一層富士山を近く感じながらエントリーすると、ソラスズメダイのブルーとキンギョハナダイのオレンジが花吹雪のようにダイバーを出迎えてくれます」と真木さん(前出)。神社では拝観料100円を収めるのが慣例となっています。
「春は浅場でホンダワラが高く立ち上がって、まるで森林のような癒しの光景です。雪化粧の富士山と海の森の両方を楽しめるのは春のお楽しみです。また、春はマンボウのチャンスもありです!」

青い海には立派に育ったウミトサカが林立。ベラも寄ってきます

青い海には立派に育ったウミトサカが林立。ベラも寄ってきます
写真/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

「夏はベラの繁殖行動が楽しい! ホンベラやオトメベラなど多彩なベラがヒレを開いて求愛する姿を観察できます。大物系では運が良ければハンマーヘッドシャークが見れちゃうことも。
秋はハナダイが群れで活性化したり季節来遊魚のハタタテハゼがあらわれたり。ボラやイサキ、スズメダイの群れも大きくなってきます。ボラの大群“ボラクーダ”は視界いっぱいのボラがまるで壁のようです。
冬は透明度もぐっと上がって、ソフトコーラルに群れるハナダイとワイドの撮影に取り組やすい季節です。冠雪した富士山を見ながらエントリーできるのはとっても贅沢気分です」

「先端」で見つけたボロカサゴ

「先端」で見つけたボロカサゴ
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)

「先端」を好むガイドさんも多く、《COCOMO OSEZAKI》の新長義大さんも大絶賛。
「春から夏にかけてはソラスズメダイやキンギョハナダイの幼魚が増え始め、にぎやかな海中となります。過去にはジンベエザメやマンタが見られたこともあるため、何が出るかわからないワクワクする時期です。
秋のベストシーズンには多くの魚種が観察できますが、ここ数年で人気なのはハタタテハゼやアケボノハゼの群れ、ルリホシスズメダイやミヤコキセンスズメダイ、ホカケハナダイやフタイロハナゴイ等の様々な種類のレア生物に遭遇できるため被写体には困らない時期です。
冬場の水温が下がる時期にはウミウシや深海の生き物が多く見られる時期です。アンコウやキアンコウ、ミドリフサアンコウが見られたこともあります」
一年中、素晴らしい海「先端」。潜りに出かけたいですね。

柵下(さくした)

外海のスポットの中でも最も北に位置し、「先端」に近いとあって、なだらかに落ちるドロップオフにはムチカラマツの群生も。ネンブツダイ、サクラダイ、スジハナダイなどが群れています。

門下(もんした)

外海の道路が切れる少し手前からエントリー。フォト派に人気の被写体が浅場で見られるほか、クレバスや洞窟など地形のおもしろい場所もある。

一本松(いっぽんまつ)

春先に遭遇率が高いマンボウ

春先に遭遇率が高いマンボウ
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)

海岸線に以前1本だけ松が生息していた頃に付いたスポット名。ゴロタから広大な砂地に変わる海底地形。新長さん(前出)に年間の見どころを聞きました。
「春は浅場にカギケノリが一面に生い茂り、水底がピンクに染まります。ボラの大群が見られる時期でもあり、マンボウを狙うダイバーでにぎわう時期です。
夏から秋にかけてはクマドリカエルアンコウやニシキフウライウオ等の人気種が多く見られ、華やかな背景でマクロ撮影が楽しめる時期です。波打ち際にスズメダイ系の幼魚やカエルウオ系の幼魚が多種観察できます。
冬はウミウシシーズン。様々な種類のウミウシが観察でき、1ダイブで30種越えも難しくないかもしれません」
こちらも年間を通して狙いたいですね!

ホトケ岩

「ホトケ岩」はトゲトサカもワイルドで巨大!

「ホトケ岩」はトゲトサカもワイルドで巨大!
写真/新長義大(COCOMO OSEZAKI)

積極的にボートダイビングを推奨しているのが《COCOMO OSEZAKI》。新長さんにその見どころをお伺いしましょう。
「大瀬崎の中で最も“ワイド向き”なポイントであり、かつ生き物も豊富に観察できるので、様々なシチュエーションでマクロ撮影も行えます。流れが入ることも多いですが、その分様々な生き物に出会えます。
春から夏の間はトビエイやホシエイ等がメインの『ホトケ岩』の周りで多く見られ、初夏から夏にかけてトビエイが数個体で『ホトケ岩』を旋回している姿も観察でき、ハンマーの目撃も増える時期となります。
夏から秋にかけてはタカベ、イサキの群れにアタックするカンパチ等も観察できます。最近では夏~秋の間はウミガメにかなりの確率で遭遇できます。季節来遊魚も多く見られる時期なりますのでスズメダイの仲間(アマミスズメダイやフタスジリュウキュウスズメダイ等)やチョウチョウウオやヤッコ系の仲間(フエヤッコダイ、タテジマキンチャクダイ等)、砂地ではハゼの仲間(ハタタテハゼ、ヒレナガネジリンボウ)が多く観察できます。
秋から冬にかけては透視度も上がるのでソフトコーラルのワイド撮影に適した時期となります。ウミウシも多く、ピカチューやボブサンウミウシ等の人気種にかなりの確率で遭遇できます」

白崖(しらがけ)

同じくボートスポットでほとんど手つかずの「白崖」。新長さんに見どころを聞きました。
「『ホトケ岩』に比べると流れも緩やかで初心者~中級者向けのポイントとなります。水底は緩やかな岩場の傾斜となっており、そこを下りると砂地が広がります。
春から夏にかけては幼魚が増える時期でイソギンチャクが群生しているエリアではクマノミの卵や幼魚が多く観察でき、夏から秋にかけてはニシキフウライウオやマダラタルミの幼魚等が観察でき、ウミガメの遭遇率もかなり上がります。冬場の時期はやや深場ですが、砂地エリアでツノザヤウミウシやカンナツノザヤウミウシ等のウミウシも観察できます」

どうでしょう? 大瀬崎のスポットはどこも潜りたくなりますね!

アフターも大瀬崎の自然を味わってみては?

富士山を望む大瀬崎

富士山を望む大瀬崎
写真/真木久美子(ネイチャーイン大瀬館)

海が素晴らしい大瀬崎は、陸の自然も世界遺産急! 大瀬崎の宿泊施設付きダイビングサービス《ネイチャーイン大瀬館》では、このほど「ネイチャーインガイド」サービスも始め、アフターダイブに大瀬崎の陸の自然を知ってもらうためのガイドサービスもスタートしています。情報を提供していただいた真木さんにお伺いしました。
「大瀬崎という素晴らしいロケーションの紹介、観光ガイド的な意味合いはもちろんですが、大瀬崎の自然に触れることで、自分を取り戻したり、リセットするきっかけになったり、スマホの中だけでない本物の学びの第一歩になれるといいなと思ってます。いろいろやってみますのでよかったらご参加くださいね~!」

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