ビーチとボートで攻める 八幡野 ワイド×マクロな海
八幡野「サザエ根」
観光地としても有名な伊豆高原。その海サイドにある八幡野は、知る人ぞ知るダイビング天国。
本誌『マリンダイビング』の人気連載、「ふくちゃんと一緒にスキルアップ♪」を執筆しているふくちゃんこと福田航平さんが活躍しているフィールドとしてもつとに知られる。
そんな八幡野で、このほどいとう漁業協同組合八幡野支所が、スポットローテーションシステムで今まで休ませていたスポットをオープン!
ワイドもすごい!マクロも感激♪な八幡野のダイビングスポット情報をお届けしよう。
知っておきたい! 八幡野の基本情報
1. どんなところにあるの?
八幡野は伊豆半島の熱海、伊東を経て城ケ崎海岸のすぐ南側に位置。最寄駅は伊豆急行線伊豆高原駅で、“海の見える高原リゾート”に程近いのが魅力。グルメや温泉にも事欠かない。
2. アクセス
車でGO!
国道135号の「八幡野」から海へ入った所にあるので、まずは伊東を目指す。
東京方面からは東名高速厚木ICから小田原厚木道路に入り、小田原西ICで西湘バイパスへ。早川ICで下り、道なりに。真鶴道路を通って国道135号へ出、熱海ビーチラインを通って再び国道135号へ。熱海から約50分、「伊豆高原 高原の湯」が見えたら3つ目の信号を左折し、八幡野港方面へ約3分。
電車でGO!
最寄駅の伊豆急・伊豆高原駅を目指す。伊豆急踊り子号を利用すれば東京から乗り換えなしで行けるのが魅力。所要時間は約2時間。
その他の場合は熱海駅で伊豆急行線に乗り換える。東京から熱海まで新幹線、そこから特急を利用すれば1時間37分で到着できる。
駅からは各ダイビングサービスの送迎サービスもある。
3. ダイビングスタイル
日本ではかなり早い段階で「スポットローテーションシステム」を導入したのが八幡野。いくつかあるダイビングスポットの自然環境を保全していくために、ダイバーが入って傷むことがないよう、オープンするダイビングスポットを開け閉めして、潜れるところをローテーションしていくというものだ。
ローテーションしているのはボートスポット。2015年9月現在、「サザエ根」「青根」「カニの爪」が開いているが、新たに「山の海」をオープンする予定。「山の海」のオープンはおよそ20年ぶり! 『マリンダイビング』11月号の特集で取材してきたが、モリモリのソフトコーラルに大興奮の取材陣なのであった。
また、ボートのほかに、とてもポピュラーなのがビーチスポット。コンクリートのスロープ、手すりがあって初心者でも安心して入れる上、台風の直撃や強い南風がない限り潜れるとあって、利用者は非常に多い。何よりも大物からマクロまで生物が豊富なのが魅力だ
ボートはいとう漁業協同組合八幡野支所の漁船を利用する。写真は「新丸」
たいていのボートはバックロールエントリーでエントリー
4. 海のシーズナリティ
春夏秋冬、季節ごとの味わいが楽しめる八幡野の海。冬場はビーチでも多くのサメが見られ、夏から秋にかけては季節来遊魚も多種多様に見られるのが魅力。越冬しているクマノミがいて、産卵もして世代交代をするなど、伊豆とは思えない景観も。
水温は春先に13℃ぐらいになることもあるが、春は14~16℃、夏は17~24℃、秋は24~19℃、冬は22~16℃。スーツは冬~夏の初めがドライスーツ、ロクハン+フードベスト、夏~秋は5㍉フルスーツ、必要ならフードベストでOKだ。
手つかず感抜群! ボートダイビングスポット
山の海(やまのうみ)
●水深8~27m
●流れ/ときに流れる
2015年秋、20年の休養を経てオープンした外海スポット。
なだらかに傾斜するスロープに大小の根が点在。水深24m前後に南北に連なるソフトコーラル林は伊豆でも随一の美しさ。また、茶筒のような根が点在している景観もおもしろい。
大きな根の周りではキンギョハナダイが大乱舞。
ソフトコーラルの美しさはピカイチ!
サザエ根
●水深/5~17m
●流れ/ときに流れる
港からボートで2~3分、「ビーチ」のすぐ沖にある。
水深12㍍ぐらいから沖にかけて傾斜しているゴロタ石の海底に南北にやや長い大きな根があり、深場側には大きなトゲトサカが群生。ソラスズメダイやキンギョハナダイが群れとてもフォトジェニック。根の割れ目や亀裂には大きなイセエビをはじめ、小さなエビ・カニ類、ウミウシ、貝類や小さな魚が潜んでいる。
根のトップは夏から秋は潮が当たるとメジナの大群をはじめ、回遊魚が回ってくることも。キンギョハナダイの群れもハンパではない。
「サザエ根」の根元、水深25m近くもソフトコーラルがきれい
青根(あおね)
●水深/最大18m
●流れ/ときに流れる
砂地にそびえる大きな根を中心に潜る。
根の陰にマツカサウオがいたり、ベニカエルアンコウが隠れていたり。砂地ではエイやヒラメなども潜んでいる。
初夏にはアオリイカの産卵が見られることも。
満足度の高い豊かな海 ビーチダイビングスポット
ビーチ
●水深/1~26m
●流れ/ほとんどない
エントリー口からガイドロープが張ってあるので、セルフダイビングでも可能。
沖に向かってなだらかに落ちていくスロープには砂地あり、ゴロタ石の転石あり、大小の根ありと、狭い海域内にたくさんの環境があって、それに伴い多様な魚や生物がすみついている。
特に人気なのは「アジ根」。水深23~24mぐらいから立ち上がる高さ8mぐらいの大きな根で、その周りでベニカエルアンコウ、イロカエルアンコウをはじめさまざまな魚や生物が生息している。
また、砂地ではカスザメやネコザメ、ヒラメといった大物も多い。
夏から秋にかけてはカマスやアジの仲間などの銀鱗の回遊魚が回ってきたり、ミナミハコフグやタテジマキンチャクダイの幼魚や季節来遊魚が回って来たりする。
ビーチを背にして右手は航路になっていて潜水禁止なので、行かないだけでなく、水深をむやみに上げずに、頭上を注意しよう。
「アジ根」の亀裂にいたベニカエルアンコウ
上のベニカエルアンコウはガイドのふくちゃんこと福田航平さんが見つけてくれた。こんな所にいるなんて。ただただ驚くばかり
夏の終わりに「ビーチ」に時折居着くイトヒキアジの幼魚。長~いヒレがカッコイイ
八幡野を潜るなら いとう漁協 八幡野ダイビングサービス
八幡野を潜る場合、現地でお世話になるのはいとう漁協が経営している《いとう漁協 八幡野ダイビングサービス》となる。伊東市の伊東、富戸、川奈、赤沢も運営している漁協とあって、ダイバーが潜りやすいよう、施設の向上化を図ってくれているのがありがたい。
更衣室やシャワールームも広々しているうえ、ダイビング後にすぐに温まれるお風呂がビーチサイドにあるのもありがたい。
ダイバーにとっては、ビーチサイドのスロープがビギナーにもやさしいスロープになっていて、手すりもしっかり付いていることと、 ビーチスポットにガイドロープが張ってあることなどが特に魅力。
ダイビング後の器材洗い場も大きいので、何かと使い勝手がいいし、 干し場のスペースも広い。
《いとう漁協 八幡野ダイビングサービス》の2階には広いスペースにテーブルセットがあり、 昼食をとるのにも便利だし、ログづけをするにも便利だ。
もちろん、ボートダイビングの受け付けもこちら。
ガイドを希望される方は、八幡野を潜るダイビングサービスに直接予約を。《いとう漁協 八幡野ダイビングサービス》でも相談に乗ってもらえるので、ぜひ連絡しよう!
中に入ると、受付カウンター。入って右手にその日の海洋状況などを記した伝言板もある
港の前の白い2階建ての建物が目印! いとう漁協 八幡野ダイビングサービス
カメラ専用水槽も大きい。自分のカメラがわからなくなりやすいので、何か印を付けておくといい
おいしいモノがいっぱい! 泊まりがけで行きたくなる八幡野
伊豆半島きっての観光地、伊豆高原に近い八幡野。
ランチタイムに提携しているお弁当やさんのお弁当もおいしいし、車で数分の駅周辺にアフターダイブに行ってみたい飲食店がたくさん。
さらに、同じ伊東市内にも帰りがけに立ち寄りたい店がいくつもある。
ということで、ダイバーの皆さまに人気の店で本誌取材班も実際に納得!のベスト5を心をご紹介!
頑張軒(がんばるけん)
静岡県伊東市八幡野1066-8
TEL:0557-53-0503
17:00~24:00(毎週月曜、第4日曜定休)
カード不可
伊豆高原駅から徒歩7~8分、腹ペコダイバーを満足させてくれるボリュームたっぷりのお好み焼きや居酒屋メニューが豊富な店。値段もリーズナブル。
ふくちゃん
静岡県伊東市八幡野1189-135
TEL:0557-53-0593
17:30~22:30(毎週水曜定休)
カード不可
肉好きな方にオススメの焼き肉店。黒毛和牛の質のいいお肉、ホルモンを仲間とワイワイ食べるのに最高。現地ダイビングサービスのスタッフ陣が集まっていることも。
伊豆高原駅から徒歩3分と近くて便利。
金べえ(きんべえ)
静岡県伊東市八幡野1184-40
TEL:0557-54-5383
18:00~24:00(日曜定休)
伊豆高原駅から徒歩約3分と便利な場所にある居酒屋。居酒屋といっても、どちらかというと割烹とか料亭といった感じの店づくりで、ちょっと大人なムード。
新鮮な魚介類を使った刺身の盛り合わせをはじめ、焼き魚、煮魚など魚介類が絶品。
また、冷やした竹筒に注いだ日本酒もオツなもの。
酒処・食処いいづか家
静岡県伊東市八幡野1186-28
TEL:0557-54-9900
18:00~23:00(日曜定休)
こちらも伊豆高原駅から徒歩2~3分と便利な場所にあるお店。漁業関係者やダイバーにも人気の居酒屋風なお店で、新鮮な魚介類だけでなく居酒屋メニューの料理は何でもOK。
お通しが二品付いてくるのもうれしい。
スイートハウス わかば
伊東市中央町6-4
9:00~22:00(L.O21:30)(月曜定休)
こちらは伊東駅の近くにあり、電車派ダイバーも途中下車して食べるほどの人気スイーツ店。
1948年創業という老舗で、長い間に改良され、人気定番商品となったのがソフトクリーム。夏はあっさり、冬はちょっぴり甘めにと季節ごとに食べやすいように味付けを変えているのも魅力。
かいだのお弁当
《いとう漁協 八幡野ダイビングサービス》では、朝のうちにお弁当の注文をしておくと、お昼に届けておいてくれる。提携のお弁当やさんはいくつかあって、どれも美味しい。
今回の取材で食べたのは《かいだ》のお弁当。日替わりのおまかせ弁当が650円(中弁当は570円、ミニ弁当450円)~とお手頃価格。写真は日替わりだと思われるが(すみません、定かではない)、長年食べているガイドさんもビックリのチラシ寿司入り! ご馳走様でした~♪