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駅のプラットホームが海底に眠る
神奈川・西湘 根府川
根府川って聞いたことありますか? 神奈川の西部に位置する根府川の海底には、駅のプラットホームが静かにたたずんでいます。もちろん本物。なぜこんな光景が見られるのでしょうか? 謎を解き明かしに潜りに行ってみましょう。
※2022年8月現在の情報です。
どこにある?
神奈川の最西部沿岸、西湘エリアに属する根府川。都心から車で約90分、電車だと約1時間で着く“近くて通いやすい海”です。
最寄り駅のJR「根府川駅」は関東の駅百選に認定されていて、背にはミカン畑、目の前には相模湾を見下ろす絶景が広がります。特に日の出のタイミングは、まさに絶景です。
消えた1番線ホームの謎に迫る
これは現在の根府川駅。2~4番プラットホーム(ホーム)はあるのだが1番がない。この理由を《根府川ダイビングサービス》の高橋監二さんに聞いてみました。
「1923年に起きた関東大震災。震源地であった根府川地区では、大きな崖崩れが起きました。それにより当時崖の中腹にあった根府川駅のプラットホームは、列車とともに海へ崩れ落ち姿を消したそうです。」
「列車などはその後の鉄品回収作業によって引き上げられましたが、1番プラットホームやレールなどは今もなお、海中でひっそりと眠っています。この震災により、列車の乗員乗客と根府川駅にいた乗客や職員112名の尊い命が失われました。根府川駅の改札口横、ちょうど幻の1番線ホームの上あたりには慰霊碑が建てられています。決して忘れてはならない自然災害の記憶です。」
海に沈むプラットホームが見られるのはダイバーだけ。根府川の海のプロフェッショナル《根府川ダイビングサービス》高橋さんのガイドで、ぜひ潜って歴史を感じてみてはいかがでしょうか。
昔のプラットホームは石垣を組んだ上に土のうを積み、表面を石やレンガで覆って角を固めたものが一般的でした。これは石垣の部分。畳状に組まれている様子がうかがえます。
これは土のうを覆っていた部分。今では海藻が生い茂り、生き物たちが元気に暮らしています。
これはプラットホームの角。コンクリートなどの強度のある素材でできた固い部分なので、現在もはっきりと形を残しています。
沈んだプラットホームは長い年月をかけ、今ではイシダイやキンギョハナダイ、ウミウシなど、たくさんの生き物たちのすみかとなっています(動画提供/根府川ダイビングサービス)
黒潮の恩恵を受ける豊かな海
根府川ってこんな海!
1 生き物の宝庫
一年を通してネンブツダイやメジナが群れっ群れ! たくさんのお魚たちに会いに行こう
根府川は相模湾の外洋に面しているため、潮回りがとてもいい海です。魚たちは群れに群れ、海中はお祭り騒ぎ。また、豊かな恵みをもたらす黒潮の分岐流が当たるため、流れに乗ってやってきた生き物たちも多くすみ着いています。
2 魚たちの家が点在
魚礁にもたくさんの魚たちが群れる。水温が上がり、透明度もいい夏の時期はダイビングのベストシーズン!
《根府川ダイビングサービス》の目の前からビーチエントリーすると広がる砂地には、5つの魚礁があり、周り方は自由自在。だから、何度行っても楽しめます。毎週末でも通える距離ですし、バディ単位のセルフダイビングもできるので、たくさん潜ってスキルアップするのにもぴったり!
3 ダイビングデビューにも最適
ビーチからはロープが伸びていて、エントリーもラクチン♪ しっかり捕まって移動しよう
エリア内の最大水深は14m。また、エントリーして水深5mのエリアはテトラポットで波が防がれていて、体験ダイビングや講習にも最適。どこでダイビングデビューしたらいいかわからない方は、根府川に行ってみよう!
根府川の海で見られる生き物たち
森のように生い茂る海藻の間をのぞいてみましょう。小さな生き物たちと出会えます ! ほんの一部をご紹介♪
アオウミウシ
水深が浅いので、じっくり撮影ができます! 毎週末でも練習に通いたい
コケギンポの仲間
表情豊かな被写体として人気。臆病者ですぐ穴に隠れてしまうので、そーっと近づきましょう
ウミガメの仲間
たまたま出てきてくれた海のアイドル、ウミガメ♡ なんてポテンシャルの高い海!
カエルアンコウの仲間
両手(ヒレ)で体を支えている様子がなんともかわいい! いろいろな体色の個体がいるので探してみましょう
ダンゴウオ
寒い時期になるとダンゴウオの姿も見られます。ぷくっとした体に、つぶらな瞳がたまらないっ!
スナビクニン
こちらも寒い時期限定。オタマジャクシのような姿をしていて、縞々模様や網目模様などさまざまなバリエーションがあります