年間125万人が訪れるダイビング情報サイト

関西エリア随一のダイビング天国
串本ダイビング基本情報

串本ダイビング基本情報

紀伊半島の南部“南紀”にある串本は、本州最南端の町(和歌山県東牟婁郡串本町)。黒潮の戻り潮のおかげで年間の水温は高めで海の中は亜熱帯と温帯の生きものが混在する貴重な生態系を持っています。南紀の中でも歴史的に最も古いダイビングエリアで、日本のダイビング界でもレジェンド的な存在です。そんな串本でのダイビングについてまとめてみました。

※2024年9月の情報です

串本ってこんなところ

串本の海はサンゴの群落が目の前の海にあることからラムサール条約に登録されています

串本の海はサンゴの群落が目の前の海にあることからラムサール条約に登録されています
写真/南紀シーマンズクラブ

本州の中央部から太平洋に突き出した日本最大の半島で、串本はその最南端にあります。ダイビングスポットは半島南端の潮岬の東に突き出す、住崎エリアから串本町西の和深辺りまで10km以上にわたる海岸線に点在。スポットの性質から「内海(うちうみ)」と「外海(そとうみ)」と大きく2つに分かれていて、内海のスポットは、フィッシュウオッチングやマクロ好きなフォト派ダイバーの人気の的に、外海のスポットはダイナミックで、地形やワイドな水中撮影を楽しみたいダイバーに人気です。世界最大級の大暖流「黒潮」の影響で、外海だけでなく内海もほとんどいつも透明度も良く、浮遊感を楽しむのにももってこいです。
気候が温暖で景勝地も多いことから観光地となっていて、宿泊施設や飲食店もいろいろ。ただし、宿泊施設を併設するダイビングサービスも比較的多く、ダイビングをするには最高の環境です。

アクセス

串本へは大阪方面から、名古屋・四日市方面からそれぞれアクセスすることになります。串本のダイビングサービスの近辺にはJR紀勢本線串本駅をはじめいくつかの駅がありますので、電車で行くこともマイカーやレンタカーで行くことも可能です。東京などからは夜行高速バスを利用して勝浦まで行き、電車に乗り継ぐのも一手です。

電車で行く

JR串本駅へは新大阪から特急くろしおを利用すれば所要時間3.5時間と便利です。名古屋方面からは新宮駅を目指し、そこから特急に乗り換える手もあります。駅からはダイビングサービスの指定時間であれば車でピックアップしてもらえるでしょう。帰りも同様です。

車で行く

大阪方面からは紀勢自動車道のすさみ南ICで降りて、国道42号線を串本方面に南下。あとはダイビングサービスを目指すだけ。現在は大阪方面から約3時間、名古屋方面から約4時間ですが、2025年春には紀勢自動車道が串本まで延びる予定なので、さらに早くアクセスすることが可能です。

ダイビング基本情報

ボートダイビングが主流

串本はボートダイビングがメイン。写真は《南紀シーマンズクラブ》の大型スピードボート

串本はボートダイビングがメイン。写真は《南紀シーマンズクラブ》の大型スピードボート
写真/南紀シーマンズクラブ

串本ではビーチもあるのでビーチダイブも可能ですが、体験ダイビングや講習に使われるぐらいで、多くはダイビングスポットへ各社所有のダイビングボートで行くボートダイビングが主流です。ダイビングショップで乗り合いで利用することもあります。
ボートにはタンクを立てておけるベンチがあるのが一般的で、セッティングは乗船してから行うことになります。
エントリーのスタイルはボートによって異なりますが、シッティングバックロールエントリーが比較的多いです。ジャイアントストライドエントリーでエントリーするボートもあります。

エグジットはたいていラダー(はしご)を利用します。カメラとフィンを渡して、タンクは背負ったまま上がることが多いです。串本のダイビングボートのラダーは各社ともとても工夫していて、ダイバーがタンクを背負ったままでも上がりやすいのが特長。中にはフィンを履いたままでも上りやすいラダーもあるほどです。

潜降は潜降ロープを使って

浮上中に安全停止をしている様子

浮上中に安全停止をしている様子
写真/南紀シーマンズクラブ

ボートスポットはブイに係留するか、アンカリングして潜降していくことに。内海でも水面は流れることがありますし、ましてや外海では流れていることがありますので、必ずロープにつかまりながら潜降していきましょう。
なお、自由潜降でOKな場合は、事前に説明がありますので、説明をよく聞いて潜るようにしましょうね。

なお、浮上時もロープを使う場合がほとんどです。水深3m付近に安全停止バーが設置されているボートもありますが、そうでない場合はロープにつかまって安全停止を3分間(場合によってはもっと)行いましょう。

ガイドが海中案内

リピーターのフォト派の場合はその限りではありませんが、基本的には利用するダイビングサービスまたはショップのダイビングガイドが海を案内してくれます。ダイビング前にブリーフィングで最大水深、潜水時間、コース取り、見どころなどを教えてくれますので、しっかり聞いておきましょう。また、万が一はぐれた場合の再集合の仕方も確実に聞いておくこと。

ダイビング時間やスケジュール

ウミガメに会って一緒に泳いだりする幸せな時間も

ウミガメに会って一緒に泳いだりする幸せな時間も
写真/バブルリングダイバーズ串本

串本のダイビングスケジュールは、ボート出港時間で変わってきます。ダイビングサービスによって、その日のお客さまの到着時間によって、異なることもありますので、各店舗に到着したら確認しましょう。
たいてい午前2ボートダイブ、午後1ボートダイブの一日3ボートが基本ですが、希望があれば4ボート出ることもあります。また、早朝やナイトのダイビングも行われることが多いです。希望があればリクエストまたは相談しましょう。

1ダイブはダイビングスポットの水深にもよりますが、深場で1ダイブ30分ほど、通常は40~50分です。
ダイビングの間は店に戻って水面休息をとることができますので、トイレやカメラのバッテリー交換なども可能です。

シーズナリティ

シーズナリティ

資料協力/南紀シーマンズクラブ

近年は日本だけでなく世界各地で温暖化が進み、串本も平均気温や水温が高めな傾向にあるといわれていますが、もともと冬でも温暖で、北風がビュービュー吹かない限りは穏やかにダイビングが楽しめます。そして気温、水温が高くなる春頃からは、海の中の見どころが増えてきて、特に9~11月頃は台風が来ない限り、ベストなダイビングシーズンとのこと。
なお、エビ網漁がお休みの期間は「アンドの鼻」と呼ばれる根のスポットが期間限定でオープンとなります。だいたい9月頃から3カ月ぐらいのベストシーズンと合致した時期ですので、目指して潜りに行ってもいいのでは?

イチオシ! ダイビングスポット情報

きれいなソフトコーラルに群れるキンギョハナダイたち

きれいなソフトコーラルに群れるキンギョハナダイたち
写真/バブルリングダイバーズ串本

串本は紀伊半島南端に位置し、海流が(時には黒潮が)当たることもあって、透明度はたいてい抜群で青い海中シーンが楽しめます。ダイビングスポットは「外海」と「内海」に大きく分かれており、ここでは別々に主なスポットをご紹介します。

外海

浅地(あさじ)

青い海の中、突進してくるカンパチの編隊

青い海の中、突進してくるカンパチの編隊
写真/南紀シーマンズクラブ

《南紀シーマンズクラブ》などのある串本エリアからボートで約20分にある外海の代表的なスポット。水深30m以深から立ち上がる広大な根にブイが2つあり、コース取りはいろいろ。夏前からキビナゴの群れが集まり、それを狙ってカンパチやツムブリなどの回遊魚が編隊を組んでやってきます。運が良ければハンマーヘッドシャークやメジロザメが目の前を通り過ぎていくことも!

塔の沖(とうのおき)

珍しいクジャクケヤリに、ムラサキウミコチョウが!

珍しいクジャクケヤリに、ムラサキウミコチョウが!
写真/南紀シーマンズクラブ

串本エリアからボートで約15分の辺り、海岸線に塔が立つ岬の沖にあることから名づけられたダイビングスポット。串本の見本から和名が付いたクジャクケヤリが水深20m前後の海底にまるで草原のように群生。上の写真のような絶好のタイミングは稀ではあるけれど、クジャクケヤリを狙っていろいろ写真を撮りたい方にオススメ。

内海

住崎(すみさき)

阪神ファンが喜びそうなカラーリングのカゴカキダイ。群れの奥にはアカヒメジも!

阪神ファンが喜びそうなカラーリングのカゴカキダイ。群れの奥にはアカヒメジも!
写真/バブルリングダイバーズ串本

串本の港から潮岬方面に向かってすぐの岬が「住崎」と呼ばれる陸エリアで、ダイビングスポットは「住崎」「備前」「グラスワールド」などがその海域に含まれています。最も港から近いのが「住崎」。串本の港からはボートで10分足らずです。
水深5mあたりから25mぐらいまでに大きな根が点在していて、ブイもいくつか設置されているため、いろいろなコース取りができるのが魅力。最も大きな根は「カゴカキの根」とも呼ばれていて、カゴカキダイの群れが青い海に映えまくりです。初夏にはアオリイカの産卵、夏にはアオウミガメの姿も見られます。

備前(びぜん)

フォトジェニックな“アザハタの根”もあります

フォトジェニックな“アザハタの根”もあります
写真/バブルリングダイバーズ串本

「住吉」のすぐ南に広がる海底に点在する大小の根で、こちらもコース取りはいろいろできます。「備前」から「住吉」に、またはその逆にドリフトダイブをすることもあります。
「備前」は「アザハタの根」と呼ばれる、クロホシイシモチの群れの中にアザハタが隠れている場所があること。アザハタだけでなく大きなクエが潜んでいることもあります。
また、砂地にはネジリンボウやホタテツノハゼ、岩場にはフリソデエビといったフィッシュウオッチング派やマクロ好きな水中フォト派に人気の生きものも多数! 何本潜っても飽きのこないスポットです。

グラスワールド

かわいらし顔をしたウミウシの仲間、ミスガイも登場!

かわいらし顔をしたウミウシの仲間、ミスガイも登場!
写真/串本ダイビングセンター

スポット名の「グラス」は「Good Wrasse」(ベラがいっぱい)の略で、ブイの西側に向かうと水深15m辺りに広がるがレ場でベラが群泳したり、産卵行動を繰り返し行ったりと見ごたえ大。カゴカキダイやチョウチョウウオの群れなどにも期待できます。ブイの東には背の高い根が2つ並んでいて、テングダイからジョーフィッシュやウミウシ類などのマクロ生物までさまざまな生物が見つかります。潮がかかるとカンパチの群れなども回ってくることがあります!
場所は「備前」に南でボートで片道10分強。

中黒礁(なかぐるみ)

湾の一番奥にあり、港から3分と最も近いスポット。浅瀬に広がる砂地にサンゴの根が点在していて、晴れた日は南の島のよう。魚影も濃く、水深も浅めなので、初心者からベテランまで楽しめます。

イスズミ礁

6~8月頃はアオリイカの産卵も見どころです

6~8月頃はアオリイカの産卵も見どころです
写真/南紀シーマンズクラブ

串本の北海岸の前にあり、水深17~18mの砂地に大小のサンゴの根が点在。晴れた日は沖縄のようにトロピカルな景観が楽しめます。初夏にはアオリイカの産卵、8月頃にはチョウチョウウオの大群が楽しめます。壁沿いにはさまざまなウミウシも。根の奥には大型のクエが潜んでいたり、根の上にはウミガメがいたりと見どころいっぱい!