《マリンハウスシーサー》で潜る、
とことん癒してワクワクさせてくれる海
阿嘉島
阿嘉島(あかじま)は、沖縄本島那覇の西約45kmに位置するケラマ(慶良間)諸島座間味村の有人5島のひとつ。周辺には100カ所余りのダイビングスポットがあり、浅瀬のきれいなソーダブルーの海と白砂に水色のデバスズメダイなどが群れる癒し系から、光射す地形スポット、さらにはグランブルーに魚群やジャイアントマンタが舞う外洋スポットまで、何度潜っても飽きの来ない海に恵まれています。今回は阿嘉島でダイビングサービスを始めて41年目になる老舗《マリンハウスシーサー阿嘉島店》のガイド、朝倉空良(あさくら そら)さんにその魅力を紹介していただきます!
※2024年4月の情報です
これぞ阿嘉島の海! 癒しの景観とサンゴ礁…
楽園がここにある
真っ白な砂地が浅瀬に広がる海底にぽっかりエダサンゴ。サンゴの上では水色のデバスズメダイが群れ舞っています。撮影地は「ナベヤギリ」ですが、ほかのスポットでも このような幸せな景観にお目にかかれます
阿嘉島の海でぜひ味わっていただきたいのが、スキーゲレンデのように真っ白な砂地とソーダブルー、そして根に群れる水色のデバスズメダイの3点セット。水深10mに満たない浅瀬で見られるので光が明るくて夢のよう。スズメダイたちがいろいろな動きをして舞いの形が刻々と変化するので、ず~っと眺めていられます。動画撮影なら何度も撮ってしまうぐらい。静止画でもシャッターを何度も何度も押してはにんまり。
かわいいクマノミなどの魚にも癒されます
サンゴの見事さにもうっとり
阿嘉島の北に位置する「伊釈加釈」はウミガメがよく見られるスポットでも有名ですが、サンゴ礁がとにかく見事!
生息するサンゴの種類の多さでは日本でもトップクラスのケラマ。阿嘉島周辺も写真の「伊釈加釈(いじゃかじゃ)」をはじめ、あちこちでエダサンゴやテーブルサンゴなどミドリイシの仲間が群生しています。『マリンダイビングWeb』で連載している「ダイバーなら知っておきたいサンゴのこと」の第2回はサンゴの種類がテーマなのですが、多くを阿嘉島周辺で撮影できたほど! ハマサンゴもキッカサンゴも、そしてソフトコーラルもたくさん生息しているのです。その種類の多さ、生息しているサンゴの多さを感じつつも、潜っていて気持ちいい~と思えるのが阿嘉島の海の魅力のひとつといえます。
ウミガメ好きにはたまらない! 阿嘉島は竜宮城?
リクエストすれば遭遇率100%!?
の~んびりと海の中を泳いでいるアオウミガメ
阿嘉島の周辺にはウミガメとの遭遇率が100%近いスポットがたくさんあります。それってスゴイことだと思いませんか? 会えるウミガメはアオウミガメのほか、絶滅危惧種にもなっているタイマイもいます。貴重なウミガメなのに、実際はサンゴ礁の根の上での~んびりお昼寝していたり、餌の海藻やサンゴの仲間と食べていたりと、まったく切迫感のない、幸せな時間をプレゼントしてくれます♪ まるで竜宮城に迷い込んだかのようです。
地形の変化や神秘性も楽しめます!
光のシャワーがまぶしい神秘の地形がいくつも!
サンゴ礁の素晴らしい新田浜(ニタはま)のすぐ沖は神秘の地形スポット!
阿嘉島、ケラマ諸島で意外と知られていないのが“地形スポット”。サンゴ礁が島の周辺に発達していて、気の遠くなるほど長い年月をかけて造られた亀裂にはアーチやトンネルとしてダイビングも楽しめるところがたくさんあるのです。
北風が収まる春先から秋のはじめにかけて訪れたいのが、阿嘉島の北、座間味島北部にある「新田洞窟(ニタどうくつ)」。アーチをくぐっていくと、美しい光のシャワーやビーム、カーテンが連続して続きます。阿嘉島の港のすぐ先にある「ゲルマ洗岩」には角度によってハート形に見えるアーチも! わくわくドキドキの冒険感とともにお楽しみください。
ダイナミックでエキサイティングなドロップオフも
阿嘉島では、地形のもうひとつの魅力、ダイナミックなドロップオフも楽しめます。
南の外洋スポット「下曽根(しもそね)」や「トムモーヤ山脈」では潮の流れもあって、ダイナミズムをもろに感じられることも。
また北東に屹立する「男岩(うがん)」のダイナミックな地形も見ものです!
阿嘉島ではマンタにも会えるかも!
ジャイアントマンタが現れる外洋
《マリンハウスシーサー阿嘉島店》では、ダイビング実施日2日目以降に外洋スポットに行ける可能性があります。ブルーウォーターの中層を泳いだり、流れに逆らうこともあるためアドバンス以上のドリフト経験のある方向けとなっていますが、島々の南には「下曽根」「トムモーヤ山脈」といった外洋スポットが。水深40m以深の海底から立ち上がる大きな根の周りを潜りますが、ブルーウォーターの移動でマンタ、しかも巨大なオニイトマキエイ(ジャイアントマンタと現地では呼んでいます)に会えることも! 確率はさほど高くありませんが、会えたら超ラッキー♪
夏は諸島内でも遭遇可能なマンタ
真下をマンタが泳いでいくことも!
阿嘉島の周辺、ケラマ諸島内では、サンゴの一斉産卵や生きものたちの産卵などでプランクトンの多くなる初夏から遅い夏にかけて、マンタ(こちらはナンヨウマンタという和名のもの)が出現することがあります。時には何枚も目の前に! これからの季節に会いたいですね♪
5~6月はサンゴの産卵も狙い目!
2024年のサンゴ産卵予想日
サンゴの種類が多い阿嘉島の海では、いろいろなサンゴの産卵が見られるのが魅力
阿嘉島の周辺のサンゴの種類や量の多さは日本でもトップクラスといわれています。サンゴは夜、日が暮れた後の数時間後に産卵することで知られていますが、真っ暗な夜の海の中に桜の花びらが舞うようにピンク色の小さくて丸い卵(「バンドル」と呼ばれます)を一斉に放つ様は幻想的で、神秘を感じずにはいられません。偉大な生命の誕生に立ち会える喜びを皆さまも味わってみてはいかがでしょうか?
《マリンハウスシーサー阿嘉島店》では毎年サンゴの産卵の観察をしていて、5~6月の満月の前後に産卵することがわかってきています。2024年の産卵予定は5月20日(水)~30日(木)、6月19日(水)~29日(土)。自然のことなので毎日というわけではありませんが、この期間であれば当たる確率は大! スタッフが毎日チェックしてくれるので「今日は行ける!」となったら参加できるように、ダイビング後の飲酒は控えておいてくださいね♪
魚群も見逃せない!
阿嘉島の東に位置する安慶名敷島(あげなしくじま)目の前の「アダン下」ではギンガメアジの群れに会えることも!
夏になると増えてくるのがスカシテンジクダイやキンメモドキなど透き通った魚たちの群れ! 群れる根にはハダカハオコゼが潜んでいたり……
「下曽根」や「トムモーヤ山脈」など外洋スポットではイソマグロやツムブリの群れ、グルクン(ウメイロモドキやタカサゴなど)の群れ群れも期待できますが、近場でもグルクンは群れていますし、キンメモドキやスカシテンジクダイの群れを狙ってロウニンアジなどがガツガツやってくることも。
潮の時間帯にもよるようですが、サンゴと魚の癒し系スポットで人気の「アダン下」では、ギンガメアジの群れがいて、ダイバーの目の前に出現! 浅くて明るい海でのんびりギンガメアジと泳げるのは最高です。
また幼魚が増えて群れが大きくなってきたスカシテンジクダイやキンメモドキは夏に向かってさらに群れが巨大化。根の周りにかかる雲のようでこれまた絶景です。たまにウメイロモドキなどの幼魚も混ざっているのでウオッチング派も楽しめます。
写真にはありませんが、キンギョハナダイやケラマハナダイなどハナダイ系やスズメダイ系の群れも見事ですよ!
ハマると抜けられないマクロ生物の世界
会いたい魚、見たい魚はリクエストを!
ハゼ好きに人気のヤシャハゼも常連
小さくて擬態上手なピグミーシーホースも敏腕ガイドにかかれば遭遇率アップ!
阿嘉島の周辺海域は、日本でもトップクラスの魚種の多さを誇ります。《マリンハウスシーサー阿嘉島店》では申し込み時に見たい魚や生きもの、お好みのダイビングスクールなどを聞いてくれるので、見たい魚や生きものがいる場合はぜひ書いておきましょう!
被写体が豊富なことから、携帯カメラ、コンデジから本格的な一眼レフまでさまざまなレベルのフォト派ダイバーが集まっています。ウエアラブルカメラなど動画派も多数! 阿嘉島の海は、格好の水中スタジオなのです。
エビ、カニ、ウミウシもズラリ!
小さくて擬態上手で自分ではなかなか見つけられない、モフモフのエビの仲間、フィコカリス シムランスも見せてもらえます!
海藻をよく見ると1mmぐらいの小さなウミウシが! 写真はミナミアオモウミウシですが、ほかにも“モウミウシ”はいろいろ見つかります(見つけてもらえます)
阿嘉島の海を含むケラマ諸島は、20年以上前にウミウシに特化した図鑑が発売された頃からウミウシの宝庫として、小野にぃにぃこと小野篤司さんや中野理枝さんが観察を重ねてきた海。この周辺だけで1冊できるぐらいたくさんの種類のウミウシが生息していることがわかったのですが、近年は目のいいガイドさんやダイバーに加え、カメラに顕微鏡モードが搭載され、ミリ以下の小さなものまで発見されており、さらにケラマの海のウミウシ天国化が進んでいます。ウミウシ好きにはたまらない、そんな海を、《マリンハウスシーサー阿嘉島店》のガイド陣に紹介してもらってはいかがでしょう?
知っておきたい阿嘉島のダイビングスタイル
阿嘉島へのアクセス
世界屈指のサンゴ天国&癒し天国の海、阿嘉島では、滞在してダイビングをするのがオススメ。《マリンハウスシーサー阿嘉島店》では、姉妹店に那覇店があることもあり、日帰りダイバーの受け入れを現在は行っていません。1泊以上、宿泊することが基本です。
阿嘉島へは那覇のとまりんがある泊港から高速船「クイーンざまみ」が一日2~3便(片道約50分また1時間10分)、「フェリーざまみ」は一日1便(片道約1時間30分)でアクセスできます。
港に到着する時間を伝えておけば、宿またはダイビングサービスのスタッフが迎えに来てくれています。
なお、《マリンハウスシーサー阿嘉島店》はペンションタイプの宿泊施設も併設しているので、ダイビング一体型の滞在が楽しめるのも魅力です。
一日3回のボートダイビング
ダイビングにはボートでGO!
阿嘉島のダイビングスポットへはほぼ99%、ボートでアクセスすることになります。
《マリンハウスシーサー阿嘉島店》の場合、一日のスケジュールは午前2ダイブ、午後1ダイブの3ダイブ。サンゴの産卵予定日や毎週金曜日はナイトダイビングも可能です。
到着日にダイビングをしたい方は一日2ダイブまでとなっています。ぜひダイビング以外の時間は、阿嘉島ののんびりした空気をたっぷり味わってくださいね♪
ダイビング器材やスーツのこと
近年は航空機に預ける荷物重量の制限が厳しく、特にフォト派の方はオーバーしがちなので、前もってダイビングサービスにゆうパックや宅配便(離島なので、阿嘉島へはヤマト便がおすすめ)で送っておく方も多いようです。那覇~阿嘉島間は船便しかないので、天気予報を見ながら早めに送っておくようにしましょう。
《マリンハウスシーサー阿嘉島店》ではダイビング用のミーティングルームに器材を保管しておいてくれます。
ウエットスーツまたはドライスーツ、セミドライスーツの判断は、現地の情報を見て決めるといいですね。
《マリンハウスシーサー阿嘉島店》でもブログで毎日の水温などが見られますので、判断材料にどうぞ。
大まかにいえば、5月頃からは平均水温が25℃超となるのでウエットスーツでOK。10月か11月頃までいけます。それ以降はドライかセミドライ、またはウエットスーツでもフードベストや5mm以上の厚さのあるスーツを着用のこと。
マイ器材がない場合または使えない場合、器材やスーツをレンタルすることもできます。ただしダイブコンピュータは一人一台必携です。こちらもレンタルはできますが、大きくないものなので、ぜひご持参を。
安全管理のための健康チェック
ダイビングは安全あってのもの。《マリンハウスシーサー阿嘉島店》では、体験ダイビングやスノーケリングに年齢制限があるほか、ダイバーの場合50歳以上の方は、毎日ダイビング前に血圧測定をすることになっています。基準値を超えた場合、参加をお断りする場合もありますので、ご了承ください。詳しくはHPまたはスタッフへ。
阿嘉島の宿泊はペンションシーサーで!
ダイバーに快適な宿泊施設
オフホワイトのオシャレなたたずまいの《ペンションシーサー》
阿嘉港から車で3~4分、歩いて10分足らず。前浜ビーチが目の前に広がる集落の一角に《マリンハウスシーサー阿嘉島店》と《ペンションシーサー》があります。3階建ての瀟洒な建物は1階がダイビングショップと客室、更衣室や洗濯機置き場、2階がレストランと客室、3階が客室、屋上にジャクジーやテラスがあります。1階の庭にダイビング器材洗い場、干し場、シャワーやトイレもあるので、最終日まで潜ってから帰りたいという方にもとても便利です。
館内にエレベーターはありませんが、大きくて重い荷物は運んでくれますのでご安心を。
洋室の3人部屋。きれいで快適! 2人部屋ももちろんあります
ダイバーのゲストを想定して、おひとり様から家族、グループまで利用できるバラエティあふれる客室がそろっています。洋室にはインバス、アウトバスの2つのタイプがあって、アウトバスの場合はすぐ外にシャワー、トイレがあります。和室はインバスタイプ。いずれもTV、エアコン、冷蔵庫など必要なものがそろっていて、フリーWiFiも完備されています。
美味しすぎる朝夕の料理
朝夕はビュッフェスタイル。夕食は毎日違うメニューが並びます
《ペンションシーサー》にぜひとも泊まりたいのがダイビングや快適さもありますが、美味しい料理の数々。
朝食、夕食はビュッフェスタイルが基本で、昼食はアラカルト(ダイバーの場合はシェフが朝作ってくれるお弁当を注文することがほとんどです)。
沖縄料理もいろいろアレンジされていて、見た目も美しいし、洋風、和風、中華風、イタリアンと毎回ゲストを飽きさせません。筆者は2023年夏に10日間ほど滞在しましたが、滞在中、夜のメニューはすべて異なっていて、もうどれもお替わりしたくなるほどの美味しさでした。
朝食もパン、ご飯、そば(沖縄そば)にサラダ、卵料理、味噌汁やスープなどいろいろ。阿嘉島でダイエットするのは難しそうですね。
マリンハウスシーサー阿嘉島店でダイビング♪
マリンダイビング大賞では常にトップクラスの人気
平均年齢20代の元気で明るいダイビングガイド陣。今回写真を提供してくれた朝倉さんは下列右から2番目のナイスガイ
写真/マリンハウスシーサー阿嘉島店
ダイビングボートはダイビング専用の「ハッピー」号をはじめ、3艘あってグループごとのダイビングも可能です
1983年、阿嘉島にオープンしたのが沖縄に数ある《マリンハウスシーサー》の始まりです。沖縄の海を潜り歩き、ケラマにすっかり魅せられたオーナー社長の稲井日出司さんが「ここでダイビングショップをやりたい!」とスタートさせました。ダイバーに喜んでもらえること、滞在の快適さをいつも考えている方で、《マリンハウスシーサー阿嘉島店》は二度も建て替えがあり、増築・改装が加えられてきました。昨年40周年を迎えたのを記念して『マリンダイビングWeb』でも特集を組みましたので、ご覧になれます。
それにしても、ガイド陣は海に対してとてもまじめで、しかも平均年齢が若いのでとっても元気!(最年長の早野嘉洋さんも一番元気かも!)
イベントがない日はクラブハウスで「センベロBAR」を特設してくれたり、屋上でBBQパーティーを行ってくれるなど、ダイビング以外のお楽しみもいっぱい。飽きることがありません。
4月に発表になった、ダイバーが選ぶ人気ランキング「マリンダイビング大賞2023」では、国内・海外のダイビングショップから投票していただいた「ベストダイビングショップ部門」で2位! 同じく国内外のダイビングインストラクターやガイドに投票していただいた「ベストインストラクター&ガイドダイバー部門」の20位までに《マリンハウスシーサー阿嘉島店》の早野嘉洋さん(8位)、今釜勝大さん(11位)、溝端翔さん(19位)の3名がベスト25内に入るなど、輝かしい結果を残しています。過去の「マリンダイビング大賞」でも20年以上常にトップクラスに選ばれていたので、人気の高さは揺るぎないんですね!
ビギナーやブランクダイバーからベテラン、フォト派まで楽しませてくれ、おひとり様でもグループでも楽しめること間違いなし! ぜひ阿嘉島の海を“シーサー”で200%満喫しちゃいましょう♪
学生のダイビングサークルの皆さんは、屋上BBQで記念ダイブをお祝い
協力/マリンハウスシーサー
写真/朝倉空良(マリンハウスシーサー阿嘉島店)
ライター/後藤ゆかり(MDWebデスク)