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ダイコン機能搭載水中トランシーバー
「ロゴシーズ」を本音レビュー
ダイビングショップNANAに聞く!

ロゴシーズⅡ

水中トランシーバー「Logosease(ロゴシーズ)」が約10年ぶりにフルモデルチェンジした「ロゴシーズ」が、2023年4月に新発売! 前回の記事では特徴や使い方を紹介しました。今回は実際にロゴシーズを愛用する、神奈川県の葉山と三浦に店舗を持つ《ダイビングショップNANA》にインタビュー。旧モデルから続けて使っているからこそわかる、これまでとの違いや、実際の使用感を聞いてみました。

※2023年10月16日現在の情報です。

ロゴシーズって?

ロゴシーズはマスクのストラップに装着して使用します

ロゴシーズはマスクのストラップに装着して使用します

ダイビングをしているときに、海の中で会話ができる水中トランシーバー、ロゴシーズ。カシオグループの国内唯一の製造拠点である、山形カシオ株式会社が独自開発しました。ギリシャ語の「logos」(言葉・言語・理性)、英語の「sea」(海)と「ease」(安心・簡単)を組み合わせたネーミングとなっています。その画期的なアイテムは2013年に発売されるや否や、ダイバーの間で瞬く間に話題となりました。

通常、ダイビングではハンドサインや水中スレートを用いて、意思の疎通をとります。では、ロゴシーズはなぜ海の中で会話ができるのでしょうか? それは、空気ではなく骨を振動させて音を伝えているからです。

ロゴシーズはマスクのストラップに装着して、こめかみに当たるように調整して使用します。話すときはレギュレーターを咥えたままでOKです。送信者側(話す人)と、受信者側(聞く人)の2台以上のロゴシーズが必要となります。送信者側の声は振動として、骨から内蔵された骨伝導マイクに拾われ、超音波として送信されます。受信者側がそれをキャッチすると、骨伝導スピーカーから骨を通して伝わります。

手のひらに収まる小型サイズかつケーブルレスだから、いつものダイビングにちょっとプラスするだけ。海の中で“言葉”が伝わる、新しいダイビングを体験できます。

ロゴシーズの使い方

海の中での操作は、発声をするかタッピングのみ。複雑な操作は必要ありません

海の中での操作は、発声をするかタッピングのみ。複雑な操作は必要ありません
Photo by 山形カシオ株式会社

使い方は直感的なのでとても簡単。本体側面をタッピングする(軽く指で叩く)と、送信モードと受信モードの切り替えができます。また、音声スイッチを「送信切替」に設定するとハンズフリーでも使うことができます。「いっ!」など母音を強く・短く発声すると送信モードに。3秒間何も話さないでいると受信モードに戻ります。
あとはレギュレーターを咥えたまま話すだけです。最初は発声や声の聞き取りが難しく感じるかもしれませんが、練習すればすぐにコツがつかめます。

ダイコン機能を搭載したロゴシーズ

約10年ぶりにフルモデルチェンジしたロゴシーズが、2023年4月に新発売! これまでとの大きな変更点は4つあります。

①“音声アラート機能”でお知らせ(ダイコン機能が搭載)

海の世界に夢中になっていても、音声で知らせてくれるから安心!

海の世界に夢中になっていても、音声で知らせてくれるから安心!
Photo by 山形カシオ株式会社

最も大きな変更点は“音声アラート機能”(ダイコン機能)が搭載されたことです。音声では「無減圧潜水可能時間は⚪︎分です」、「安全停止完了しました」、「潜水時間は⚪︎分です」、「浮上速度が速すぎます」など、ダイバーが管理しなければならない情報を教えてくれます。これまでもできた海の中での会話だけではなく、音声でダイビングをサポートする機能を兼ね備えました。普段身に着けるダイブコンピュータの補助として利用するのがおすすめです。

②送受信有効範囲が拡大

カメラ操作などでうつむいていても、送受信有効範囲が拡大したロゴシーズⅡならしっかり聞き取れます

カメラ操作などでうつむいていても、送受信有効範囲が拡大したロゴシーズならしっかり聞き取れます
Photo by 山形カシオ株式会社

旧モデルでは送受信アンテナの向きが前向きでしたが、ロゴシーズでは横向きになりました。これにより、ダイビング中うつむいていてもアンテナが下を向かず、送受信有効範囲が拡大されました。

③バッテリー持続時間がアップ

ロゴシーズⅡの大きさは、縦83.5mm、横45.2mm、幅39.5mm。コンパクトだけど、充電のもちは素晴らしい!

ロゴシーズの大きさは、縦83.5mm、横45.2mm、幅39.5mm。コンパクトだけど、充電のもちは素晴らしい!

旧モデルでは満充電で約3時間の充電のもちでしたが、ロゴシーズでは約5時間もつようになりました。1日3ダイブする場合も安心です。

④ボタンと表示画面が搭載

表示画面を見ながら直感的に操作ができます

表示画面を見ながら直感的に操作ができます

表示を見ながらボタン操作ができ、パソコンに繋がずに各種設定ができるようになりました。表示画面では、ログやヒストリーデータを見ることができます。
※録音音声やログデータのダウンロード、ソフトウェアアップデートにはパソコンが必要です。

「NANA」では通常のガイドで使ってますよ!

今回インタビューにご協力いただいた《ダイビングショップNANA》の永橋さん

今回インタビューにご協力いただいた《ダイビングショップNANA》の永橋さん
Photo by ダイビングショップNANA

ここからは実際にロゴシーズを愛用する、神奈川県の葉山と三浦に店舗を持つ《ダイビングショップNANA》の永橋さんにインタビュー。旧モデルの頃から毎日のように海で使っているからこそわかる、“生の声”をお届けします!

編集部(以下、編):まず、旧モデルとロゴシーズで、違いを感じる点について教えてください。

《ダイビングショップNANA》(以下、NANA):アンテナが横向きになり、送受信できる範囲が広がったことを実感しています。後ろから声をかけられると、旧モデルではノイズが入ってしまっていましたが、ロゴシーズになり聞き取りやすくなりました。また、軽くてコンパクトに感じます。装着したとき、ストラップがずり落ちてこなくなったので快適です。

編:実際は旧モデルより、約12gですが重くなっているようです。それでも不快感などはありませんか?

NANA:重くなっていたんですね! 気が付かないぐらい不快感などは感じませんでした。アンテナが横向きになってバランスが保たれるから、ストラップがずり落ちてこないのですかね。

編:他に、アンテナが横向きになって感じることはありますか?

NANA:旧モデルではアンテナが前を向いている必要があるため、自分の右側のこめかみにしか装着することができませんでした。ロゴシーズは右側か左側か、選んで装着ができます。違和感がない方で、使い分けられるのが嬉しいです。

編:新搭載された音声アラートの使い心地はいかがですか?

NANA:とてもはっきり聞こえます。聞こえることで、ハッと気付かされることもたくさんあります。

編:バッテリーの持ち時間についてはいかがでしょう?

NANA:うちは基本1日2ダイブなので、3ダイブすることはほとんどありません。でも、旧モデルでは3本目の途中で、バッテリーが切れてしまうことがありました。ロゴシーズは約5時間バッテリーがもつということなので、大丈夫そうですね。

編:濡れたままだと電源が切れず、バッテリーを消費し続けるそうです。ダイビングの合間は真水でゆすいでから、タオルで水気を拭き取るのがいいそうです。

NANA:わかりました! それと、ロゴシーズにはボタンと表示画面が付きました。

編:操作は難しいですか?

NANA:直感的に操作できます。うちではロゴシーズを持参されるお客さまも多いのですが、皆さんすぐにマスターしていました。

使い方のコツ

「ガイド中もロゴシーズがあると安心です」と語る《ダイビングショップNANA》の永橋さん

「ガイド中もロゴシーズがあると安心です」と語る《ダイビングショップNANA》の永橋さん
Photo by ダイビングショップNANA

編;ロゴシーズを使ったことがない方が気になるのが、本当に海の中で話せるの?聞き取れるの?ということだと思うのですが、実際のところどうなのでしょう?

NANA:確かに、最初は難しいかもしれません(笑)。でも陸上で一度練習すればコツをつかめます。私たちは旧モデルが発売されたときに、“葉山の海にぴったりだ”と思い、ガイドをするスタッフへの導入を決めました。でも最初は上手く話せないし、聞き取れませんでした。ある日、使い方のレクチャーを受ける機会があったんです。するとその日のうちにコツをつかんで、上手く扱えるようになりました!

編:練習あるのみですね! 話し方のコツはありますか?

NANA:いつも陸で話しているときよりも、高いまたは低い声で話すと良いことを発見しました。私は低い声で話しています。あとは大きな声で、ゆっくり簡潔に話すと良いです。

編:呼吸による泡の量も会話に影響するようです。話すときはロゴシーズが付いていない側の顔を上に傾けて、呼吸の泡が当たらないようにすると良いそうです。聞くときも泡の雑音で邪魔されないよう、息を吸っているタイミングで聞くのが良いそうです。コツをつかめば会話ができそうですね。

NANA:はい。私たちはもうマスターしているので、ダイビング中に“お腹空いた〜。ラーメン食べたいね”とか日常会話もできちゃいます!

便利な使い道

本体に使用されるプラスチックの一部には、植物由来の材料を主原料としたバイオマスプラスチック材を採用

本体に使用されるプラスチックの一部には、植物由来の材料を主原料としたバイオマスプラスチック材を採用

編:ガイド中に使うことが多いと思うのですが、実際にどういった場面で便利だと感じますか?

NANA:うちはロゴシーズを持参されるお客さまも多いので、“撮影終わりましたか?”など、海の中でお客さまとコミュニケーションを取れるのが便利です。また、他グループで潜っているスタッフと、離れた場所にいても会話ができるのも助かります。“生物がここにいるよ”と、陸に上がらなくてもスタッフに伝えられるので、お客さまにもすぐにご案内できます。

編:確かに、海の中の離れたところにいても、情報共有がすぐにできるのはすごいことですよね。安全管理にも役立ちそうですね。

NANA:はい。“そっちのチームの⚪︎⚪︎さん、私のチームに合流しちゃってるよ”とすぐに伝えられたりもします。また、船上には陸上機も置いてあるので、船上スタッフとも海の中で会話できます。天候が急変したときなど、すぐに知らせてくれるので安心です。

編:実際のエピソードがあれば教えてください

NANA:ロゴシーズではエアを消費することなく「ピー、ピー」という警告音の連続発信ができるホイッスルモードがあります。海況が悪くて水中で迷ってしまったスタッフが、警告音が聞こえる方に泳いでいったらチームと合流できたそうです。

編:ロゴシーズになってさらに感じた、便利なことはありますか?

NANA:海の中では色々なことに気を取られて、ダイブコンピュータの確認を忘れがちになってしまいます。そんなとき、耳から情報が入ってくるのはありがたいです。安全管理がしやすくなったと思います。

編:安全なダイビングをするために、今後さらに必要不可欠なアイテムとなりそうですね。この度はありがとうございました。

バージョンアップしたロゴシーズ。音声アラートが搭載されたことにより、コミュニケーションツールとしてだけでなく、安全性のサポートにも役立つものとなっています。海の中で“言葉”が伝わるダイビングを体験してみてはいかがでしょうか。

(ライター:新井 夏海)