水族館×ロゴシーズⅡ
レジャーでの新しい可能性の探求!
先日も特集した、《山形カシオ》開発の水中トランシーバー・ロゴシーズⅡ。潜水作業や水中ガイドなど、海での仕事で使われることが多いのですが、水族館でのイベントやダイビングで活用を目指して活動しています。
今回は水族館のイベントでの使用について実験を重ねている《仙台うみの杜水族館》と、水族館ダイビングを実施している《プラゼールダイブサービス》の取り組みにフォーカス。オプション品の「陸上機+トランシーバーユニット」による、ロゴシーズの新しい使い方をご紹介します!
※2024年9月の情報です
ロゴシーズとは
ロゴシーズは水中で会話ができる水中トランシーバーです。カシオグループの山形カシオ株式会社が独自開発し、2013年に発売。通常のダイビング用マスクのストラップに装着し、レギュレーターをくわえたまま話すだけでOKなので、誰でも手軽に水中での会話を楽しむことができます。デジタル超音波技術と骨伝導イヤホン、ノイズキャンセル技術が盛り込まれ、快適な会話が実現しました。前回は環境保全活動での活用について取り上げましたが、今回は水族館イベントでの使用に向けた取り組みと水族館ダイビングの魅力についてお伝えします。
水族館イベントでの使用
これまでも水槽の清掃など、作業ダイバーが水族館でロゴシーズを使用した事例はありますが、ロゴシーズの周辺機器を組み合わせると、水族館のイベント等でも大活躍しそうです!
水槽の中と外でのスムーズな会話を目指して開発を進めている。
ロゴシーズは「ダイバー同士」又は、水中に陸上機のアンテナケーブルを垂らして、「ダイバーと陸上(船上)」でコミュニケーションできる超音波通信機です。
今回、使用する「ロゴシーズ陸上機トランシーバーシステム」は、陸上機に接続したトランシーバーが中継機となることで、陸上の、さらに離れたところからダイバーと無線通信できるというものです。
《仙台うみの杜水族館》の場合、大水槽は屋根がない構造になっており、水槽の上部はそのまま建物の屋上に繋がっています。そこで、屋上の水槽の淵から陸上機のアンテナケーブルを垂らして水槽内にいるダイバーと超音波通信し、陸上機に接続したトランシーバーで、館内の水槽前にある機材と電波通信をする、という方法を考案。
しかし、この通信を実現するには様々な課題をクリアする必要がありました。 例えば、水槽内でロゴシーズと同じ周波数帯の超音波が常時発生していて、超音波通信が妨げられているなど、水族館という特殊な構造の建物の中と屋上との無線通信は思いのほか難しく、調整に苦労したそうです。
開発メンバーは「見学者とダイバーの間のアクリルガラスは透明で、お互い呼びかければ声が届きそうですが、通信がうまくいかない時は、とてつもなく分厚い壁に感じました。」と話します。
実用化に向け、実験を行っています。
水槽という厚い壁を越えることができれば…! 水槽の中にいるダイバーと観覧エリアにいるお客さんが会話をして、スタッフが水中から展示している生物の説明をしたり、お客さんからの質問に答えたりすることができます。また、水中のスタッフと観覧エリアのお客さんが直接コミュニュケーションを取ることができるようになれば、今まではできなかったイベントでの利用が期待できます!
山形カシオ(株)、仙台うみの杜水族館、プラゼールダイブサービスのスタッフ。イベントでの使用が楽しみです。
山形カシオによると、実用化までもうあと少し!とのこと。完成したら、《仙台うみの杜水族館》でのお披露目の予定です。続報をお待ちくださね。
水族館ダイビングでの活用
水族館ダイビングは、先々まで予約で埋まるほど大人気のプログラムです!
《仙台うみの杜水族館》では、《プラゼールダイブサービス》とともに、水族館ダイビングにも取り組んでいます。「海でダイビングをする」というのはダイバーにとっては当たり前のことかもしれませんが、初めての人はちょっと不安になることも…。そんな時に、水族館なら波や流れもなく、安心して海の生きもの達を間近で見ることができます。また、海が荒れてクローズしている時でも、水族館ダイビングは実施可能なのも魅力ですね。
水族館の大水槽で、魚に囲まれながらのライセンス講習は魅力!
通常、水族館の水槽に一般ダイバーが入るということは稀。安心して潜ることができる《仙台うみの杜水族館》の大水槽でのダイビングは、大人にも子どもにも大人気です! 宮城県のダイビング人口を増やそうとはじまったこのプログラムですが、今では日本全国から参加希望者が集まっています。
大水槽の屋上はオープンになっています。
《プラゼールダイブサービス》では、水族館大水槽でのライセンス講習も実施。宮城地震の被害で、それまで使用していたプールが壊れてしまい数年にわたり使用できなくなった際、水族館のバックヤード内プールや大水槽の使用の打診をしたのがきっかけで始まり、現在も継続しているメニューです。
ダイビング参加者でハイ・チーズ! みなさん大満足でした。
ベテランダイバーはもちろん、ビギナーさんや体験ダイバーも多い水族館ダイビング。今後はロゴシーズをガイドとゲスト、或いはゲスト同士でのコミュニケーションにロゴシーズの導入やPADIのスペシャリティの発行を企画中です!
まとめ
現在、実用化に向けてテスト中の「ロゴシーズⅡの陸上機とトランシーバー」。水族館やレジャーダイビングの新しい可能性を広げてくれること間違いなしですね。
お披露目のイベントが開催される際には、マリンダイビングWebでもお知らせします! ご期待くださいね。
協力・写真提供/山形カシオ株式会社、仙台うみの杜水族館、プラゼールダイブサービス
ライター/斉藤利奈