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年1回のオーバーホールで
ダイビング器材を長持ちさせよう!

オーバーホールは年一で!

ダイバーにとって大切なダイビング器材は、いつでも新品同様、万全の状態で使いたい。そのためにはオーバーホールが年1回または100本ごとに必要。でも、オーバーホールって何? どんなことをするの? 今回はオーバーホール専門店の専門家に疑問に思っていることを聞きました!

※2025年2月現在の情報です。

オーバーホールとは?

暖房シーズンになると話題になる「オーバーホール」。でも、「オーバーホール」って何のこと? なぜ必要なの? 実際はどんなことをするの? オーバーホールの専門店の皆さまにお伺いしました。

ダイビング器材のオーバーホールって何のために何をするの?

レギュレーターのセカンドステージを分解中

レギュレーターのセカンドステージを分解中
写真/マリンダイビングWeb編集

メカに強い方ならともかく、「オーバーホール」という言葉すら知らない方もいるのでは?
そもそもの基本的なことを老舗専門会社《オーバーホールセンター》の敏腕スタッフ、亀井里依子さんにお伺いしました。
「『オーバーホール』とは、一般的に器材を分解、洗浄、パーツ交換、組立、調整、点検をし、お返しするまでの作業をいいます。ダイビング器材の場合、オーバーホールはダイバーの安心・安全を保つために行う大切な作業です。
メーカー推奨は、1年に1回または100本に1回など、メーカーや機種により期間に変動がありますので、ご自分の器材のオーバーホールの推奨期間内容を確認しておきましょう」

オーバーホールをすべきダイビング器材は何?

レギュレーターセット(レギュレーター、ゲージ、ホース類)はオーバーホールが必要な筆頭器材

レギュレーターセット(レギュレーター、ゲージ、ホース類)はオーバーホールが必要な筆頭器材
写真/サーチシィー

でも、ダイビング器材はすべてオーバーホールに出すべきなのでしょうか? 大阪の人気オーバーホール店《サーチシィー》代表の高橋稔昌さんにお話を伺いました。
「オーバーホールに定期的に出すべき器材は、レギュレータ―セット全般、BC、ドライスーツ給排気バルブ、カメラハウジング、コンプレッサーです。まあ最後のコンプレッサーはダイビング事業者対象ですが。こうした重器材(重機)のほか、マスクレンズ、スノーケルもオーバーホールをすると見違えるように美しくなります。マスク、スノーケルはカビ取りを行います」

器材別オーバーホールをする必要

レギュレーターセット

レギュレーターセットをオーバーホールする“理由”

レギュレーターのファーストステージ、セカンドステージ、オクトパス……と分解していきます

レギュレーターのファーストステージ、セカンドステージ、オクトパス……と分解していきます
写真/アイダック

オーバーホールが必要なダイビング器材は先に挙げたように、いくつもあります。中でも絶対に必要なのがレギュレーター(ファーストステージ、セカンドステージ)、オクトパス、ゲージなどのレギュレーターセットです。
その理由を大阪を中心に官公庁にも信頼のあるオーバーホール専門会社《アイダック》代表の木下嗣善さんにお伺いしました。
「ダイビング器材は、太陽の紫外線を浴び、海水の中で使用されるので、とても過酷な状況に追いやられます。紫外線や塩水に強いハードな素材またはコーティングをメーカーも使ったり施したりしていますが、それでも相当な環境下で使われていることに変わりはありません。丁寧に水洗いしても内部に塩がこびり付き、ゴムや金属のパーツはどんどん劣化します。特にゴム、金属のパーツから成っているレギュレーターセットは、オーバーホールが必要です」

レギュレーターセットのオーバーホールはどんなことをする?

では、実際にレギュレーターセットをオーバーホールに出したとき、どんなことをするのでしょう?
「オーバーホールでは可能な限り分解をして、塩分やサビを洗浄機にかけたり拭いたりとクリーンアップして、消耗部品を交換します。その後、再び組み立てて、メーカーが設定する圧力等の数字に調整し、なるべく新品に近いパフォーマンスに仕上げます」と木下さん。物によってはとても小さなひとつひとつのパーツをていねいに洗って、組み立てるのは、専門家ならではの緻密な作業です。

レギュレーターセットをオーバーホールしないとどうなる?

ゴム素材のホースも劣化してしまうと亀裂が入ります

ゴム素材のホースも劣化してしまうと亀裂が入ります
写真/アイダック

レギュレーター検査版でオクトパスをチェック

レギュレーター検査版でオクトパスをチェック
写真/アイダック

では、オーバーホールをせずに放っておくとどうなってしまうのでしょう?
「レギュレーターからの呼吸が重くなったり、セカンドステージやオクトパスからずっとエア漏れしたり、ホース類が劣化、ひび割れしてエア漏れなど起こります」と木下さん。
ファーストステージやセカンドステージ、オクトパスの内部には金属が使われていて、塩がかんで錆ついたり、緑青(りょくしょう)が付いたりします。それが呼吸のしにくさやエア漏れにつながるというわけです。ホースやセカンドステージ内部などのゴムの劣化も同様です。怖いですね。

BC

BCのオーバーホールが必要な理由

インフレーターホースを分解すると、たくさんの金属が使われていることがわかります

インフレーターホースを分解すると、たくさんの金属が使われていることがわかります
写真/サーチシィー

上の写真の部品をきれいに洗浄したところ

上の写真の部品をきれいに洗浄したところ
写真/サーチシィー

BCはレギュレーターに比べるとかさばるので、オーバーホールに出すのはどうなんだろう? 穴が開いてから考えればいいのでは? などと思ってしまいがちですが、先に挙げていただいたようにBCのオーバーホールも必要です。《サーチシィー》の高橋さんにその理由をお伺いしました。
「BCには浮力を調整するためのインフレーターホースが付いています。このインフレーターや呼吸器付きインフレーターは、BC内部やインフレーターに若干残った水でも塩が固着し、BCに空気が入りっぱなしになるなど不具合が出ます」
ほかにもゴム製のインフレーターホースが劣化したり、袋状になった身の部分(空気嚢)にピンホールが開いていたりして空気が抜けやすくなっていたり、チェックする部分はさまざまです。やはりオーバーホールしてもらわなくてはならないですね。

BCのオーバーホールはどんなことをする?

上の写真のように、オーバーホールをする際に小さな部品まで細かく分解していくことはわかりますが、高橋さん、どんな作業をしているのですか?
「インフレーターの給排気バルブと内部を分解し、清掃とパーツ交換を行います。同時にダンプバルブやBC全体の密封テストを行うことで、BC本来の浮力を確保できるように確認修理を行います」
密封テスト! やはりオーバーホール専門店にお願いしなければ、安心安全なBCを使い続けることはできなさそうですね。

BCをオーバーホールに出さないとどうなる?

中圧ホースをつなぐ部分に塩が固まってしまっている状態

中圧ホースをつなぐ部分に塩が固まってしまっている状態
写真/サーチシィー

では、BCをオーバーホールに出さなかったら、どうなるのでしょう? 高橋さんに伺います。
「インフレーター部内のバルブコアが塩で固まったり、腐食して折れて、分解する時に中から抜き取るのに大変なこともあります。間違いなくエアが内部に入る状況で、急浮上の原因にもなります」
ほかにも、インフレーターの給排気ボタンが塩で固まって動かなくなったり、日焼けでシートが傷んでしまい、BCにエアが入りっぱなしになるなど、いろいろな問題が起こることも。確実にオーバーホールに出して、安全で楽しいダイビングを目指しましょう。

ドライスーツ

ドライスーツもオーバーホールは必要なの?

ドライスーツには給排気バルブなどがあります

ドライスーツには給排気バルブなどがあります
写真/後藤ゆかり

「はい。ドライスーツの給気・排気・リスト・フットバルブは、空気を出し入れするため、可動部分があります。
水中で使用した後、塩・砂・埃などが付着したまま放置すると、動きに支障が出るためオーバーホールが、必要です」
こう答えてくれたのは《オーバーホールセンター》の亀井さん。確かに給排気バルブ、ドライスーツにはありますね。手首、足首に排気バルブが付いているものももちろん同様です。
また、ドライスーツにつなぐ中圧ホースも一緒にオーバーホールに出すのがポイントです(中圧ホースをつないだままのレギュレーターセットでオーバーホールに出してもかまいません)。

ドライスーツのオーバーホールは何をする?

オーバーホール前のバルブと工具

オーバーホール前のバルブと工具
写真/オーバーホールセンター

分解後のバルブ(給気バルブと排気バルブ)

分解後のバルブ(給気バルブと排気バルブ)
写真/オーバーホールセンター

では、実際、ドライスーツのオーバーホールは何をするのでしょう? 亀井さんにお伺いしましょう。
「可動部分の給気・排気・リスト・フットバルブを分解し、洗浄し、必要な部分にグリスアップをします。
交換必要なOリングの交換、そのほかの傷みを見つけたら、そのパーツ交換をして組み立て直し、作動を確認します」
基本はほかのダイビング器材と同様です。また、ドライスーツの生地自体の傷やピンホールなども見てもらえるので、定期的なオーバーホールは必要ですね。

ドライスーツをオーバーホールに出さなかったらどうなる?

貼り付いて分解が、厳しくなんとか分解できたが、パーツ同士が割れて貼り付いていた

貼り付いて分解が、厳しくなんとか分解できたが、パーツ同士が割れて貼り付いていた
写真/オーバーホールセンター

では、オーバーホールに出さなかったら、ドライスーツはどうなるんでしょう? 亀井さんは語ります。
「給気バルブは、空気が止まらず入りっぱなしになる。排気・リスト・フットバルブは、空気が抜けなくなる。などの不具合につながります」
エアが入りっぱなしになる、エアが抜けないとなると、ダイビング中の吹き上げ、ひいてはエアエンボリズム(空気塞栓症)一直線じゃないですか!? リスクの高いダイビングを避けるためにも、ぜひドライスーツも定期的にオーバーホールをしましょうね。

ほかにもカメラハウジング、マスクレンズ、スノーケルといったアイテムが上がっていましたが、カメラハウジングに関してはメーカーに直接オーバーホールを依頼する場合もあります。マスクやスノーケルはレギュレーターなどと一緒に出すといいですね。オーバーホールは、大切な器材を新品同様に整備して、最終的には安全にダイビングをするためのこと。ダイビング器材を所有しているダイバーとしては、義務といっても過言ではありません。

長持ちさせるために普段からできること

レギュレーターセットの場合

では、普段、私たちはどのようにダイビング器材を洗って保管すればいいでしょう? 各アイテムでお話をいただいた皆さんにお話を伺いました。
「使わないときは熱いところや直射日光が当たるところには置かないで、冷暗所で保管してください。ずっと車のトランクに置きっぱなしは最悪ですよ」(アイダック/木下さん)

BCの場合

「洗浄は真水の中でそれぞれのボタンを細かく押して、中にも水が入るように洗います。BCの空気嚢にも真水を入れて塩水が残らないようにしましょう。洗浄後は基本的に、インフレーターは高い位置に引っ掛けてインフレーター部に水が残らないように乾燥させます。取り外せるインフレーターは外して乾燥させるといいですね」(サーチシィー/高橋さん)

ドライスーツの場合

「使用後は、真水で洗浄し塩や汚れを取ります。表面だけでなくできる範囲で裏返して両面を陰干しします。
乾いたら、スーツ全体のチェック。汚れや傷、切れがないか、切れや傷は、小さく浅いうちならばご自身で修復します。バルブの取り付けにぐらつき、ゆるみがないか、レバー・ボタンなどの動きの確認を。ブーツ裏側の泥や石詰まりなども確認しましょう(これは洗う前に行いましょう)。金属ファスナーには、蝋などを塗り、手入れしてもいいですね。収納は、スーツすべての部分が圧迫されないようにして、湿気のなく日光の当たらない環境が望ましいです」(オーバーホールセンター/亀井さん)

オーバーホールにはいつ出せばいい?

依頼されたレギュレーターセットをオーバーホール。最終チェックをします

依頼されたレギュレーターセットをオーバーホール。最終チェックをします
写真/アイダック

では、オーバーホールにはいつ出せばいいでしょう? 先ほども目安を教えていただきましたが、もう一度《アイダック》の木下さんにお伺いします。
「安心してご使用になるためには、年に一度または100ダイブごと、いずれか早いほうでお出しください。オーバーホールは受付開始から通常10~14日間を目安に作業をいたします」
秋や年末でダイビングはお休みという方は、次のシーズンが始まる前まで、冬~春に。しょっちゅう潜っていらっしゃる方は前のダイビングと次のダイビングまで2週間以上空いている時にオーバーホールに出すといいですよ。

突然の故障や急ぎの場合のオーバーホール期間

BCのインフレーターホースを分解。金属、プラスチック、ゴム製品などが混在

BCのインフレーターホースを分解。金属、プラスチック、ゴム製品などが混在
写真/サーチシィー ※本文とは関係ありません

あと2~3カ月でオーバーホールに出すつもりだったのに、レギュのフリーフロー発生!などといった緊急時や、オーバーホールに出すのを忘れていたけど、次のダイビングの日が近づいてきてしまった!と、通常のオーバーホールに必要な期間(10~14日間)では間に合わない!ということもあるでしょう。そんな場合、オーバーホール専門店はどのように対処してくれるのでしょう?《サーチシィー》の高橋さんが教えてくれました。
「急遽調子が悪くなった場合はよくあります。皆さんの納期のご希望に対応しています」
良かった! 今回ご紹介している他の2社も同様です。ただし、当たり前のことですが特急料金は別途かかります。緊急時は致し方ないですが、そうでない場合は、余裕を持ってお願いするほうが懐にもやさしいですね。

MDウェブオススメ! オーバーホール専門店

皆さん、ダイビング器材のオーバーホールがいかに大事か、わかっていただけたと思います。では、どこにお願いすればいいのでしょう? ここでは「マリンダイビングWeb」がおすすめするオーバーホールを専門としている会社(お店)3店を紹介します!(50音順)。

アイダック

アイダック

所在地:大阪府大阪市阿倍野区
TEL:0120-282-544(フリーダイヤル)
E-mail: info@i-dac.co.jp

●取り扱い器材:レギュレター・オクトパス・BCDなどスキューバ器材全て
●取り扱いメーカー名:アクアラング、マレス、スキューバプロ、TUSA、Bism、ATOMIC、Apeks他、国内流通メーカー全て

●価格:9,800円(スキューバ一式・期間限定キャンペーン価格)

●その他のサービス:ダイブコンピュータ電池交換、ウェットスーツ・ドライスーツ修理販売、器材下取り販売など

【コメント】
弊社は創業32年の歴史と経験を有し、消防署や警察からも受注しています。日本で流通しているすべてのダイビング器材メーカーに認証を受けて対応。早い納期でリーズナブルな価格で皆様よりご愛顧いただいています。現在、ダイバー応援キャンペーン・ホース交換キャンペーン割引実施中です!

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オーバーホールセンター

オーバーホールセンター

所在地:東京都北区
TEL:03-5924-2344
E-mail: info@ohc.co.jp

●取り扱い器材:レギュレーター、BC、ダイブコンピュータ、ドライスーツ、タンク
●取り扱いメーカー名:SCUBAPRO(スキューバプロ)、mares(マレス)、SHERWOOD(シャーウッド)、AQUALUNG(アクアラング)、Apeks(エイペックス)、SAS・REYSON・DACOR(エス・エー・エス レイソン ダコー)、TUSA(ツサ タバタ)、ATOMIC(アトミック)、Bism(ビーイズム)、apollo(アポロ)、Cressi(クレッシー)、DIVEWAYS(ダイブウェイズ)、NDS(エヌディーエス、日本ダイビングスポーツ)、SeaQuest(シークエスト)、OCEANIC(オーシャニック)、SEA & SEA(シーアンドシー)、COCHRAN(コックラン)、CITIZEN(シチズン)、CASIO(カシオ)

●価格:1セット¥9,980の特価

●その他のサービス:都内唯一の東京都指定タンク検査場(14環改保高 第705号)
最高300kg/cm2(29.4M.Pa)の高圧ガス製造事業所(14環改保高 第2001号)
中古器材の買取、販売専門店、レンタル水中カメラ、ダイブコンピュータ、ダイコン、ドライスーツも取り扱い(東京都公安委員会許可 第305520106858号)

【コメント】
当社は、ダイビング器材のメンテナンス専門店! 東京都北区に会社があり、来店での受付も可能なのでお近くの方、詳しくお話を聞きたい方はご来店下さい。ドライスーツは、バルブのオーバーホールだけでなく他店では、受けられないスーツ本体のクリーニング&抗菌加工を行っています。また、生地等のトラブル・サイズ変更などは、当社からメーカーへ転送し修理も承れます。レギュレーターセットとドライスーツセット作業を一緒にご依頼・預かりで2セット割引、工賃10%OFF!

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サーチシィー

サーチシィー

所在地:大阪府大阪市
TEL:06-6626-0550
E-mail: info@search-sea-ni.com

●取り扱い器材:レギュレーターセット、BC、ドライスーツ(バルブ・修理・手首・首交換)ウエットスーツ(補修・幅だし)、ダイブコンピュータ電池交換、タンクバルブ
●取り扱いメーカー名:アクアラング、マレス、SAS、Bism、レイソン、NDS、スキューバプロ、アトミック、apeks、アポロ、ダイブウェイズ、TUSA、PELICAN、スント、ワールドダイブ、モビーズ、ゼロ 等全てのメーカー(クレッシーサブ、オーシャニック、シャーウッド、Hele I Waho以外)

●価格:1ST+2ND工賃¥6,050(税込)、ダイブコンピュータ¥5,500(税込)~

●その他のサービス:点検無料、6ヶ月保証、納品時送料当社負担、希望の納期設定、納品先指定、ホースの取替 等

【コメント】
当社では、ダイビングに行く前に器材をチェックできるように無料で点検を行っています。遠隔の場合は送料だけ負担していただいています。お客さまのご希望の納期を設定もできるため、予定に合わせオーバーホールを出すことができます。

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ライター/後藤 ゆかり(MDWデスク)

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