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連載 野生のイルカと泳ごう!
第5回 イルカと仲良くなるために②
ドルフィンスイム練習編

野生のイルカと泳ごう!

「一生に一度は、野生のイルカと一緒に泳いでみたい!」
ダイバー、ノンダイバーを問わず、こんな声をよく聞きます。そんな「野生のイルカと泳ぎたい」あなたの疑問にダイビング&ツアーガイドの長谷川さんが写真と動画をふんだんに使って、丁寧に、楽しく答える連載。今回はイルカと仲良くなる方法の第2回。イルカと泳ぐための練習をドルフィンスイムのスクールを主催する草地ゆきさんが解説してくれます。

※2026年1月の情報です

はじめに

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

こんにちは!素潜りツアーガイドの長谷川です。今回は、独自のメソッドでドルフィンスイムのための練習メニューを開発・実践しているdive station base店長の草地ゆきさんにお話をうかがいながら、イルカと楽しく泳ぐための練習方法について紹介していきたいと思います。
今回のドルフィンスイム映像の舞台は、世界一フレンドリーなイルカたちが暮らしているバハマのビミニ諸島の海!まずは草地さんの華麗な泳ぎと、その泳ぎに魅了されるイルカたちの姿を動画でご覧ください。

動画:Swim with wild dolphins in the Bahamas

イルカと楽しく泳ぐための練習とは?

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

長谷川: 草地さんの店には、「野生のイルカと泳ぎたい!でも初めてなんです‥‥」というお客さんがたくさんいらっしゃると思いますが、特にビギナーの方にはどのようなアドバイスをしていますか?

草地: ビギナーの方には、まず「背の立たない場所で、フィンを使ってスノーケリングしたことがありますか?」とお聞きしています。そのぐらいまでできたら、大体の方は「イルカを見る」こと自体は大丈夫。でも、「私はチラッとイルカが見られればいいわ」という方でも、いざ海に入ると「練習をしておけばよかった!」ということが多いんです。
御蔵島や利島では、大海原のど真ん中でいきなり海に入りますし、波や潮の流れがあることも多いです。そんな海の中に飛び込んでいきなりイルカがやってきて‥‥となると、どうしても慌てたり焦ったりして、落ち着いていればできることも上手くできなくなりがち。特に「水泳ができればイルカと泳ぐのは問題ない」と思っていらっしゃる方も多いんですが、いざやってみるとスノーケルやフィンに戸惑ったり、深さや波にびっくりしたりというケースがよくあります。

プール練習会のようす Photo by JUN HASEGAWA

プール練習会のようす Photo by JUN HASEGAWA

草地: 実は私自身も、初めてドルフィンスイムに行った時は全然潜れず、必死になってしまって。「イルカがゆっくり見られなかった!」とショックを受け、帰ってから速攻レッスンに申し込み、その翌月、更にその翌月も御蔵島に行きました (笑)。せっかく行くなら事前にスノーケリング、可能ならスキンダイビングをマスターしておくことをぜひお勧めします。プールで半日練習するだけでも随分違うと思いますよ!

長谷川: ドルフィンスイムを希望する方の練習には、どのようなメニューがありますか?

草地: 私のところでは細かくレベル分けしていて、まずは水面のみを泳ぐ「スノーケリング教室」、続いて潜る基礎を学ぶ「スキンダイビング教室」。他に経験者向けに、耳抜きやフォームを学ぶことに特化したレッスン、イルカとの特別な泳ぎ方のレッスン、その後も継続して体で覚えていただくための自主練習などがあります。

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

長谷川: 草地さんがイルカと一緒に泳いでいる写真を改めて見ると、すべての写真でイルカの目をみつめていますね? これはイルカと泳ぐ上でどのような意味があるのでしょうか?

草地: そうなんです! 一般的に野生の生きものって「目が合うのはNG」ってことが多いですよね。クマに遭ったら目を逸らす、とか言いますし。でも多くのイルカは、アイコンタクトが大・大・大好きなんです! ドルフィンスイムの泳ぎ方レッスンでも、ある程度基本の動きに慣れてきたら、「イルカがここにいるつもりになって、目を合わせているつもりで泳ぎましょう!」というイメージトレーニングをお勧めしています。

イルカと泳ぐための技を磨く

2024年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2024年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

それでは、スノーケリングやスキンダイビングの基礎的なスキルを既に身に付けている人向けに、イルカと泳ぐことに特化した「技」を5つご紹介いたします。
草地さん自身によるプールでの模範演技と海での実践の様子を動画で見比べていくので、「実際、こんな風にイルカと泳げるようになるんだ!」ということを具体的にイメージしていただけるのではないかと思います。

体をひねる(ツイスト)

体をひねる(ツイスト) Photo by JUN HASEGAWA

体をひねる(ツイスト) Photo by JUN HASEGAWA

草地: ある程度パターンはありますが、イルカは水中で本当に様々な動きをします。その動きと同じように泳ぐとものすごく疲れちゃうので、自分はイルカがクルクルしている時にインコース側になって、あまり体力を使わないこの方法で回転し、イルカには外側を回ってもらうようにしています。イルカが速すぎて見失ってしまった時なども、この方法で半回転して探すと便利です。ポイントは、体の向きに気をつけることと、軽くフィンを使うこと。上半身で無理に回ろうとすると余計な力を使ってしまうので、楽に、楽にいきましょう!

動画:体をひねる(ツイスト)

横に回転する(サークル)

横に回転する(サークル)  Photo by JUN HASEGAWA

横に回転する(サークル) Photo by JUN HASEGAWA

草地: イルカって本当に面白いんですけれど、種類や棲む場所が違っても、遊び方には「回る」動きが多いんです。なので、この「サークル」と名付けたスキルもイルカがクルクル遊んでくれる時に使います。「体をひねる(ツイスト)」と同じく、自分はインコース側で、バク転するように体を反らして回転します。これを最初から縦方向でやると、途中で水深が変化するので耳抜きにも気を使うし、浮いてしまう人も多いので、まずは横方向のサークルから練習するとやりやすいと思います。人間は陸上では「頭が上、足が下」なので、最初はその上下を意識してしまい、体の向きと動きがちぐはぐになりがちなので、首の向きやフィンキックを体の方向に揃えるように意識するのがポイントです。

動画:横に回転する(サークル)

縦に回転する(サークル)

縦に回転する(サークル)  Photo by JUN HASEGAWA

縦に回転する(サークル) Photo by JUN HASEGAWA

草地: 横方向のサークルができたら、今度は縦方向のサークルにチャレンジ。耳抜きには十分気をつけて、無理せずチャレンジしてくださいね。イルカはいろいろな動きをするので、回る大きさを変えたりいろいろな動きと組み合わせたりできるようになると、イルカとさらに楽しく遊べますよ!

動画:縦に回転する(サークル)

体をひねりながら回転する

体をひねりながら回転する Photo by JUN HASEGAWA

体をひねりながら回転する Photo by JUN HASEGAWA

草地: イルカは長く一緒に泳いでくれる時、ずっと同じ方向に回り続けるわけではないので、体をひねって少しずつ角度を変えながら回る方法をマスターしておくと便利。縦方向や横方向に単純に回り続けるよりも実は楽で、ちょっと省エネにもなります。
イルカがいない状態で練習するとなんだかよく分からない動き!?に見えちゃいますけど(笑)、やっておくときっと本番で役立ちますよ!

動画:体をひねりながら回転する

相手をイルカに見立てて、目を合わせて泳ぐ

相手をイルカに見立てて、目を合わせて泳ぐ Photo by JUN HASEGAWA

相手をイルカに見立てて、目を合わせて泳ぐ Photo by JUN HASEGAWA

草地: 海でいざイルカに会うと「ビビッて思わず引いちゃった」なんて方も時々いらっしゃいます。そこでそうならないように人間相手に練習するのも効果的。この方法やスキルに名前をつけることは、元々ドルフィンスイムの先輩がやっていたのを学ばせていただいたもので、先輩にはとても感謝しています(ご本人の許可を得ています)。普通に遊びとしても楽しかったりするので、時々バディや皆でやってみると遊びながらスキルアップできますよ! コツはいろいろありますが、一番は、恥ずかしがらないことでしょうか(笑)。

動画:相手をイルカに見立てて、目を合わせて泳ぐ

まとめ

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

長谷川: 最後に、これからドルフィンスイムを始めたい方や、既に始めているけれど更なるスキルアップを目指している方に伝えたいことはありますか?

草地: ドルフィンスイムを含めた海のアクティビティで大切なのは「余裕がある」ことだと思うんです。そしてその余裕を持つには、一定以上のスキルは必要。それと自分自身のレベルを把握することが大切だと思います。余裕があればイルカの細かい動きや反応に気づけてより楽しめるし、遊ぶチャンスも増えます。イルカになるべくストレスを与えないように潜れて、周りの人に気を配ることができるのも余裕があればこそ。もちろん、安全性も高くなります。長く深く潜れればベストですが、まず大切なのは「自分自身のレベルを知って、その範囲内で余裕を持ってイルカと遊ぶ」こと。いざとなるとどうしても焦りがちになるので、最初は練習の成果を半分出せればOK!くらいのつもりで、まずはイルカの姿をよく目に焼き付け、一緒に泳ぐ時間を楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。そこで余裕が出てきたら、練習の成果をぜひ発揮してもらえたらと!

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

2023年6月 バハマ・ビミニ諸島 Photo by JUN HASEGAWA

草地: すごいスピードで通り過ぎていくイルカは遊ぶつもりがないので、必死に追いかけたり潜ったりしなくても大丈夫。イルカは遊ぶ気になれば向こうから来てくれることも多いので、いざチャンスが来た時にバテバテで潜れないなんてことのないよう、ペース配分を大切に! また、チャンスに備えて今回ご紹介したような泳ぎ方をマスターしておくと、さらに楽しくなること間違いなしです。いざイルカを前にすると尻込みしてしまう方は、プールや海で繰り返しスキルの練習をしたり、人相手にイルカと泳ぐイメージ作りをしたりすれば、自然と体が動くようになりますよ! 今回紹介した以外にも、イルカと泳ぐのに役立つスキルはたくさんあります。私自身も海でたくさんイルカを撮影しているので、写真や動画を撮る方向けのレッスンなどもお受けしています。イルカシーズンに向けてぜひスキルアップしてドルフィンスイム楽しんでください!

長谷川: 次回は「イルカと泳ぐと人生変わる!? イルカとの出会い名場面集」というテーマでお届けいたします。乞うご期待!

草地ゆき

フリーダイビングインストラクター
dive station base代表
草地ゆき(KUSACHI, Yuki)

海の生きものと見つめ合う瞬間が大好きな、素潜りガイド&インストラクター。ドルフィンスイム歴25年&元フリーダイビング代表の経験を生かしたレッスンを開催している他、国内外ツアー、映像制作などを行っている。ボランティア活動にも取り組んでおり、「御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会」共同代表、海洋保全PR活動「マリンアクション」メンバーとしても活動。2025年からは、マーメイドスイムを通した環境系の発信にもチャレンジ中。
ドルフィンスイムに役立つレッスン
国内のドルフィンスイムツアー
バハマのドルフィンスイムツアー
※各種SNSは「草地ゆき」で検索

ダイビングガイド・自然保護活動家
長谷川 潤(HASEGAWA, Jun)


素潜り・ドルフィンスイムがメインのダイビングショップdive station baseのツアーガイド。海の美しさ・楽しさ、そして環境問題を、映像・写真・文章のすべてを駆使して発信することがライフワーク。1992年に小笠原でスキューバダイビングとスキンダイビングを初体験して以来、海の魅力にどっぷりはまる。1997年からは御蔵島のドルフィンスイムに通い始め、イルカの魅力に取り憑かれる。2022年末に長年勤めていた科学館を退職し、ダイビングガイドの道に入る。また2016年に、ドルフィンスイムガイドの草地ゆきと共に「御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会」を立ち上げ、鳥を捕食する御蔵島の野生化ネコを捕獲・譲渡する活動を行っている。

長谷川 潤