年間125万人が訪れるダイビング情報サイト

水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック 第8回
TG-6での極小生物の撮影法

水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック

前回までに水中でのマクロ撮影の仕方を解説してきましたが、今回から極小の被写体の撮影手法を紹介します。

水中顕微鏡モードに設定

水中撮影モードの中から「水中顕微鏡モード」を選びます

水中撮影モードの中から「水中顕微鏡モード」を選びます

TG-6には5種類の水中撮影モードが搭載されています。いろいろな環境で、そのシーンに最適なカメラの設定を悩まずに一発で呼び出してセットできる、頼りになる機能なので正しく理解して使いたいもの。
通常のマクロ撮影には「水中マクロモード」を選択することを前回お話しさせて頂きましたが、今回は極小の被写体を狙った水中撮影に向いている「水中顕微鏡モード」を解説します。TG-6の最も得意とする撮影ジャンルであって、被写体に接触するほどに近づいて拡大する手法においては、高級一眼レフを凌ぐほどです。

ズーム位置は最初はワイド側にセット

水中顕微鏡モードにセットすると、ズームの画角は、前回の撮影時のズーム位置を引き継いでいます。例えば水中マクロモードからの変更であれば、ズーム位置は望遠側最大になっています。小さな被写体に接近して撮影する場合には、被写体をカメラのモニターで捉えることがファーストステップになるのですが、それにはズーム位置をワイド側にしたほうが見つけやすくなります。つまりズームをワイド側にセットしてモニターを通して被写体に近づき、十分に近づいたら、ズームを望遠側にセットする手法がおすすめです。

進化している顕微鏡撮影レンジ

TG-6の顕微鏡撮影レンジは前モデルTG-5より進化しています。前モデルがカメラのレンズ前から1cmから20cmまでの範囲の撮影エリアだったのに対し、TG-6は1cmから30cmと撮影エリアが広くなっています。やや離れた位置から顕微鏡モードでアプローチが可能になったので、随分と撮影がしやすくなっています。

内蔵フラッシュで撮影

TG-6のセッティングはこんな感じ

TG-6のセッティングはこんな感じ

作品 「ピグミーシーホースのご夫婦」

作品 「ピグミーシーホースのご夫婦」
撮影モード:水中顕微鏡モード
焦点距離:100mm(35mm換算)
露出補正:±0.0EV
フラッシュ:ON(内蔵)
ホワイトバランス:水中ホワイトバランス標準
仕上がり:水中
シャッター速度:1/100
絞り値:F14.0
ISO:AUTO(800)
ブラケット:MPBK-03
拡大鏡:UMG-01
レンズホルダー:MPLH52

内蔵フラッシュを使った水中顕微鏡モード撮影は、TG-6の内蔵フラッシュの位置関係から、フラッシュ光が画面全体に照射されないで偏るという性質があります。画面の左側半分にはフラッシュ光が当たり、明るさが確保されますが、右側は反対に暗くなるのです。
この手法で撮影をする場合は、画面左側に主要な被写体を配置することがポイント。さらに被写体自体の方向をコントロールすることで不自然さを少なくします。
コンパクトな撮影システムなので、狭い場所での撮影に向いています。撮影現場ですべてのアクセサリーを外してコンパクト化し、狭い穴にカメラだけを入れることもあるくらいです。
画面全体に光を回したい場合には、次号で説明する2灯LEDライトを使用すると、パーフェクト!

2灯LED撮影

2灯LED撮影
左右から被写体の前面に光を滑り込ませ、顔の両側が自然な雰囲気に仕上がる。ライトの高さを変えると影の出方をコントロールできる

内蔵フラッシュ撮影

内蔵フラッシュ撮影
顔の左側は明るくなるが右側は黒落ちする。内蔵フラッシュ光の照射範囲外になるので仕方がない

被写体の向きをコントロール/内蔵フラッシュ撮影

被写体の向きをコントロール/内蔵フラッシュ撮影
内蔵フラッシュ光がギリギリ当たるように配置させる。さらに向きに工夫を加えて不自然さを補う

ホワイトバランス補正

ホワイトバランス補正
TG-6では各プリセットホワイトバランスの補正や、撮影環境やLEDライトの色温度に合わせて細かく設定することが可能だ。メニューから、WBモードに入り(左)、使用したいプリセットホワイトバランスを調整する(中央と右)。修正具合をチェックすることも可能なので試してみていただきたい

次回もお楽しみに!

清水淳先生のフォトレクチャーも受けられるかも!?
1泊2日慶良間フォトダイブクルーズ開催!
参加者募集中!

定員35名乗りの大型クルーズ船をお客さま最大8名で貸し切り! 1名様からOKです。1日4ダイブ、1泊2日で合計8ダイブを沖縄でも最高に美しいといわれるサンゴ礁の海、慶良間で実施。TGからミラーレスまでOLYMPUS最新水中カメラの無料レンタルあり。クルーズ期間中の全食事付き、ダイビング器材レンタル無料とサービス尽くしの贅沢なフォトクルーズです!

日程
●10/15(土)-16(日) ●10/18(火)-19(水) ●10/29(土)-30(日) ●11/04(金)-05(土)

ご予約・お問合せはこちら

「感動の一瞬はこうして生まれた……水中写真家 作品探訪」連載
清水 淳さんインタビュー記事も併せてご覧ください。

水中写真家 作品探訪 清水淳さん

清水淳

清水 淳(しみず じゅん)
PROFILE

1964年生まれ。
水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。
また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。
カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。
執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビングWeb/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公益社団法人日本写真家協会会員。
▶清水淳オフィシャルサイト