「持っていれば……」では遅過ぎる!
ダイビング 必携安全グッズ
ダイビングは楽しいもの。しかし、それは安全の上での話。海況が悪かったり、うっかりはぐれてしまったりと、どんなダイバーにも危険は襲いかかる可能性はある。そんなときに生死を左右するのが、安全グッズ。日頃から「万が一」に備えてしっかり使えるようにしておきたい。
「安全グッズには何があるの?」という方のために、今回は最低限持っておきたいアイテムをご紹介!
今回紹介するのはこの9コ!
どんなアイテム?
1 フロート
最も身近な安全グッズの一つ。流されてしまった場合や船を見失ってしまった場合に、水面に立てて視認性を良くし、「ここにダイバーがいる」と相手に分からせるもの。特に荒れている日は波の角などでダイバーを見つけるのは困難。そこに蛍光色のフロートがあれば見つけやすい。ドリフトダイビングのエリアや、流れの強いスポットでは携帯することが義務付けられている。1回の使い捨てタイプと、水洗いして何度も使えるタイプがある。
●値段の目安:3,000円〜20,000円
●持ち方:BCのポケットにしまったり、BCのD環に取り付ける。
使い方
使い方は主に2パターン。①水面に上がってからあげる方法と、②水中から水面に向かって打ち上げる方法がある。よくガイドがやっているのは②のほうだが、ひもが切れてしまったり流されてしまったりする可能性があるので、レジャーダイバーは①のやり方にしよう。
①水面に上がってから上げる方法
水面に上がる前に船が通らないか、安全の確認をしてから浮上。まずはフロートを取り出し、水面で広げる。入り口でオクトパスからエアを入れ、ゆっくり空気を入れる。空気ができるだけ漏れないよう下部を留めてから、下の部分を水中に引っ張るようにして水面に立たせよう。
②で使う黄色いのがリール。写真のようにつなげる
②水中から水面に向かって打ち上げる方法
フロートのほかに長いひものリールが必要。安全停止の体制に入ったら、水中でフロートを広げる。このとき、リールをしっかり持ちながらオクトパスを使ってフロートの入り口に空気を入れる。空気を入れるとパラシュートのように勢いよく打ちあがるので、ラインを持ちながらちょいちょい引っ張ってフロートが立つようにするのがコツ。
レーダー反射板付きのものも!
レーダー反射板を内蔵し、視認性をよくするだけでなく、船のレーダー探知機に写りやすくするタイプのものもある。濃霧や夜間時でも安心だ。
2 カレントフック
どんなアイテム?
流れのある場所でBCと岩をつなげて楽にダイビングができるようにする道具。岩にひっかけて使うのでサンゴを壊さず、環境にもやさしい。
●値段の目安:3,000円〜5,000円
●持ち方:BCのポケットにしまっておき、必要なときに取り出す。
使い方
フックを岩場にひっかけて、しっかりBCとつながったことを確認したら、BCに空気を入れてパンパンにする。そうするとひもがピーンと張った状態になり、流れがあっても浮きながらフィッシュウオッチングができるので楽ちん。
なるべく体の中央に取り付けると安定しやすい。
3 ホイッスル
どんなアイテム?
流されてしまったときや、ロストをしてしまったとき、そのほか注意喚起のときに音を出して見つけてもらうための道具。単なる笛でなく、音をより大きく、遠くまで聞こえるための特殊な構造になっているものもある。ホイッスルの水中バージョンで、BCのエアで音を出すダイブアラートもある。
●値段の目安:2,000円程度
●持ち方:BCに付けておく。
使い方
少しの空気量でも大きな音を出せるものが多く、普通に吹けばOK。最近ではBCとセットになったものもある。
4 ダイブコンピュータ
どんなアイテム?
ダイバーの体を管理し、減圧症になるリスクを防いでくれる優れモノ。最近では腕時計のようにしてつけるウオッチ型が主流。ダイバーの体にたまった窒素を計算し、無限圧潜水時間や次のダイビングまでの休息時間を計算してくれるほか、現在水深や水温、浮上スピードなども教えてくれる。
●値段の目安:4〜20万円程度
●持ち方:時計のようにしてつけるウオッチ型のほか、ゲージ型のコンソールタイプもある。
使い方
一番大事なのは「無減圧潜水時間」。これはダイバーがその水深にとどまった場合、減圧を必要としない時間を教えてくれるもの。水深に合わせて常に変化するので、ダイバーはこの時間が「0」にならないよう、浅場へ移動したり、安全停止をする。
ダイビングスタート&スキルアップ術 ダイブコンピュータ もご覧ください。
5 ミラー
どんなアイテム?
漂流時に光を鏡によって反射させ、自分の位置を知らせることができる。特に空からの捜索に有効で、2〜4Kmくらい先まで反射しているといわれている。値段もリーズナブルで持ち運びしやすいので、一つ持っておきたい。
●値段の目安:1,000円程度
●持ち方:BCのポケットやD還につけておく。
使い方
晴れている日の日中に有効。太陽に反射させるように、相手へと光を向ける。ちらちら動かすことで、相手が気づきやすい。
6 グローブ
どんなアイテム?
手を保護してくれるグローブ。講習時につけているのが普通なので“なぜ安全グッズ?”と思う方もいるかもしれないが、急な流れのときに岩をつかんだり、擬態している猛毒生物に触らないようにするなど、安全面におおいに関係のあるアイテムだ。
●値段の目安:2,000円〜5,000円程度
●持ち方:普段からつけておくのがベスト。つけないときいはBCのポケットへ。
使い方
普通にはめておけばOK。ただし、どうしても指先からすり減ってしまうので、岩をつかむときはなるうべく手の平全体でつかむように意識したい。
7 ライト
どんなアイテム?
水中で光ることで、透明度が悪い場所や暗い場所で視認性をよくしてくれるアイテム。漂流してしまったときに、自分の居場所を遠くの人に知らせるときにも役に立つ。大きさや光の量も値段によってバラバラだが、安全用ならコンパクトかつ光量があるものがいい。
●値段の目安:2,000円〜10,000円程度
●持ち方:BCのポケット、またはD還につけておく。腕に付けるタイプのものも。
使い方
緊急時にスイッチをつけて、光らせる。はぐれてしまったときは、360度ゆっくりと回転しながら光らせるようにすれば、相手に気づかれやすい。電池には限界があるので、なるべく節電モードになるものや電池持ちのいいものを使うと安心。
8 マーカー(海面着色剤)
どんなアイテム?
漂流時に海面に色をつけて、自分の位置を知らせることができる。空からの捜索に有効。有効距離は2〜4㌔、約1時間といわれている。
●値段の目安:5,000円〜10,000円程度
●持ち方:BCのポケットに入れておく。小さいのでなくさないよう注意。
使い方
流されてしまったとき、ふたをあけて中の着色剤を付ける。日中使おう。
9 ダイビングナイフ
どんなアイテム?
水中では放置された漁網やロープ、そして海藻など、思いがけないところで絡まってしまい、体が拘束される危険性がある。そこであると便利なのがナイフ。海水で錆びにくいよう、ステンレスやチタンでできており、グローブをしたままでも使いやすいようになっている。
2012年の銃刀法改正により、ダイバーナイフも一新された。違法しないよう、刃渡りの長さや切れる面が決まっているので専用のものを使用したい。
●値段の目安:3,000〜30,000円程度
●持ち方:利き手側の膝下内部。
使い方
拘束時にナイフを取り出し、使用する。拘束されている状態でも取り出せるような場所に準備しておこう。
番外編
普段持っている器材が安全グッズに!?
最近流行っている蛍光色。ウエットスーツやフィンなど、普段持っているグッズをそれらの色にすれば水中でかなり目立つので、それだけでロスト防止になる。