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フォトコン2025.09.02
水中写真家・大谷翔さん日本人初快挙IPAのNature Photographer of the Yearグランプリ受賞!

大谷翔さん撮影「the beautiful of floating babies」よりメイン写真
こんにちは、マリンダイビングウェブライターの田中あきこです。嬉しいニュースが届きました! 水中写真家の大谷翔さんが、国際的なフォトコンテストであるInternational Photography Awards 2025(以下IPA)において、日本人初のNature Photographer of the Year (Natuer部門の12カテゴリーの総合優勝者)に選ばれました! 受賞作品について、そして受賞コメントを大谷さんご本人から伺いました。美しい作品とともにご覧ください。
IPAとは
International Photography Awards™ は、プロ、アマチュア、学生の写真家を対象にした毎年開催の世界規模のコンテスト。主催はロサンゼルスを本拠地に置く、非営利の慈善財団のルーシー財団です。優れた写真家を称え、新進気鋭の写真の才能を発掘・育成し、写真に対する理解を世界中で促進することを目的に2003年に設立されました。以来20年以上、今日の写真界で最も野心的で総合的な写真コンテストの一つとして開催されています。
受賞について
IPAは11の主要カテゴリーに分けられ、11部門89カテゴリーに分けられた多種多様なジャンルの写真家が競う大規模なフォトコンテストです。22年目となる今回は、世界100か国以上から寄せられた 14,000 点を超える作品が応募・審査され、プロ・ノンプロ各部門別11人の優勝者が選出されました。
このたび大谷さんは、プロフェッショナルNature部門のUnder Waterカテゴリーウィナーとして、日本人初のNature Photographer Of the Year(Natuer部門の12カテゴリーの総合優勝者)に選ばれました。受賞した作品は、2025年度のIPA年鑑に掲載され、世界中にあるハウスオブルーシーギャラリーに展示されるとのことです。また、10月にギリシャのアテネにて開催される表彰式に招待されています。表彰式では、参加した全てのジャンル・写真家の頂点であるINTERNATIONAL PHOTOGRAPHER OF THE YEARが発表されます。大谷さんは11人いるその候補者のうちの一人! ご本人もドキドキしているとのことですよ。
受賞作品について 大谷さんによる解説



「the beautiful world of floatiing babies (浮遊する赤ちゃんたちの美しい世界)」というタイトルの通り、僕が愛したこの世界観が主題なので、僕の意図をより伝えられる組み写真(10枚1組)にてエントリーしました。この広い海の中、種を問わず多くの赤ちゃんが漂いながら過ごしています。その赤ちゃん時期にしかないガラス細工のような透明な体や、鮮やかな色彩、そして摩訶不思議な姿形に惚れ込んだ僕ならではのポートフォリオを目指しました。
構成は、1枚目(本記事冒頭の画像)をメインに据え、その他9枚は世界観を捕捉するための写真となっています。この10枚は美しさ、不思議さ、そして多様さを基準に選出しました。主に夜撮影するため背景が全て真っ黒で単調になりがちになります。なので、あまり退屈にならないようにも選出を心がけました。魚類だけでなく、イカ、クラゲ、二枚貝や卵塊まで入れて変化を持たせ、アクセントとして縦構図も2枚は入れようと決めていました。赤ちゃんたちは表層を漂っているため、アプローチ次第でどのアングルでの撮影も可能です。
撮影中は、常識に囚われずに毎回被写体の最も魅力的な角度を探って狙っています。ここに僕の個性を感じてもらえるように意識しました。メイン写真である1枚目は、水面に被写体を反射させて、この美しい深海魚がまるで2匹いるように見せています。誰も見たことがない写真を目指して撮ったこの作品は、いつか僕を代表するモニュメンタルな1枚になるだろうとの確信がありました。
希少な被写体との遭遇、位置、角度、目線、海況など全てが奇跡的に噛み合って収めることができたこの1枚。その全てが僕ではコントロールすることができない要素なので、もう2度とこんな風に撮れることはないと思います。
ちなみに、反射させるために使った水面の乱れを限りなく抑えるためにシュノーケルを使って水面で呼吸し、潜っている間は息を止めて撮影ということもしていました。その他の写真においても、クラゲを花火のように見立てて撮影したりなど、被写体が何者かをはっきりとわかってもらう必要はなく、直感的・視覚的に味わってもらえるようにしています。






大谷さんのコメント
20年以上の歴史と権威を誇るコンテストで、日本人初の栄誉を頂けたということで、素直に嬉しいです。僕は、僕が心血を注いで惚れ込んだ世界が、誰もを魅了するものだと証明したかった。そして、それを証明するだけの技術やセンスが自分にあるのかを知りたかったのです。今回の結果を受けて、少なくとも僕がやってきたことは間違っていなかったと思うことができました。
思い返せば、この世界にのめり込んだのは、ゴリラハウス沖縄の石野昇太さんにライトトラップを教えてもらったことが始まりでした。ここまで来られたのも昇太さんに出会わなければ、実現していないと思います。本当にありがとう。
セミナーに参加して以来、上出俊作さんには色んなことを教えて頂きました。上出さんの真剣味を帯びた一言一句が、僕の写真活動・探究への血肉となっています。 IPAに挑戦したのも上出さんに触発されたからです。ありがとうございます。
小嶋純一先生にもお礼を伝えたいです。稚魚について聞いたことはなんでも惜しげなく答えてくださり、僕の知識の礎を築いていただきました。この知識は、必要な人たちのために役立てていきたいと思っています。ありがとうございました。
そしてなんといっても、家族の支えがなければこの物語はあり得ませんでした。最大の理解者であり大師匠の生来さん。そして、大切な宝物である梅依。二人が応援してくれているから今の僕があります。いつもありがとう。
全ては皆さんのお蔭だと改めて噛み締めています。
この喜びを皆さんや自然に少しでも還元することができたらと日々思っています。気になることや分からないことがあれば、何でも聞いていただきたいです。 興味を持って読んでくださり、ありがとうございました。
大谷翔さんプロフィール

福岡県出身、沖縄県在住の写真家。沖縄本島にて3年ほど単独夜の海で調査・撮影を続け、それ以降は沖縄の様々な離島で撮影を続ける。メインテーマは、浮遊系と呼ばれる夜の海に広がる赤ちゃんの世界、その美しさへの着目。広大な夜の海に漂う宝石のような生まれたばかりの小さな赤ちゃんとの出会いは一期一会で、まさに奇跡だと考えていて、生涯をかけて彼らを追い求めている。
☆大谷さんの公式Instagramはこちら≫
■画像・コメント提供:大谷翔さん
(ライター/田中あきこ)
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