驚きと感動が待っている! 通いたくなる海
千葉・房総半島ダイビングエリア9
首都圏からのアクセス抜群の千葉県・房総半島は、ダイビングエリアが9つもあるダイビングパラダイス。今回は千葉ダイビングサービス協力会の現地ガイドさんから「驚き!感動!」をテーマに、個性的な各エリアの推しスポットと画像・動画をご紹介いただきました。2024年は房総半島に通ってツウになりませんか?
※2024年6月現在の情報です
~千葉・房総半島ダイビングエリアMAP~
勝山
(かっちゃま)
風の影響を受けにくいスポットが多く、年間を通して潜ることができる勝山(かっちゃま)。東京湾の豊富な栄養分や黒潮の影響で生物が多様性に富んでいて、珍しい生き物が現れることもしばしば。
《かっちゃまダイビングサービス》廣田史登さんの「驚き!感動!」
■浮島・ノースエンドのボロカサゴ
海藻に擬態しているボロカサゴ(撮影/廣田史登)
千葉に限らず、伊豆半島でも滅多に見ることができないボロカサゴ。勝山沖でも数年に一度しか現れず、見つけても僅か数日で居なくなってしまいます。撮影した個体は3か月以上も同じ場所に留まってくれて(5月上旬現在)とてもラッキーでした。
■浮島・ノースエンドのミホノハゴロモハゼ
美しいミホノハゴロモハゼ(撮影/廣田史登)
昨今脚光を浴びているハゼの一種ですが、生息域が限られ、千葉では目撃情報がありませんでした。しかし、昨年12月に見慣れない青い姿を発見。ミホノハゴロモハゼであることが判明しました。以降、続々と本種が見つかっており、東京湾の底力を実感しています。
かっちゃまで潜るなら
かっちゃまダイビングサービス
港のすぐ目のお店はいつも清潔で使い勝手がよく、ラウンジや屋外テラスも広いので休憩時間も快適です。海にはミジンベニハゼ・ミホノハゴロモハゼ・ムギワラエビなど、千葉県内ではここでしか見られない生き物たちが続々登場しています! 2024年は「ミノカサゴフォトコン」を開催中。当店で潜ったダイバーならどなたでも応募OK。詳しくはHPをご覧ください!
勝浦
施設の全面リニューアルオープンや新ボートスポット「鵜原島」の登場など、2023/2024年は話題豊富な勝浦。スポットバリエーションが豊富でビギナーでも安心して潜れます。
《勝浦ダイビングリゾート》宮﨑 崇さんの「驚き!感動!」
■ウマノセのイサキトルネード
壮大なイサキのトルネードは圧巻!(撮影/宮﨑 崇)
潮流が出ることの多いウマノセですが、撮影した日は珍しく流れはほとんどありませんでした。2月頃でしたので水温は13℃前後でしたが、活性が落ちた大量のイサキが身を寄せ合って渦になる、最高の光景に出くわして感動したのを覚えています!
■鵜原島のオオモンカエルアンコウ
やっと見つけたオオモンカエルアンコウ(撮影/宮﨑 崇)
勝浦では今まで見つけられなかったオオモンカエルアンコウ。昨年オープンした「鵜原島」で、深度8m前後の根に着くカイメンを見たら、ぱっと目が合い、まさに「運命の出会い」。とにかくうれしくてガッツポーズをしたのを覚えています。カエルアンコウ好きの私にはたまらない瞬間でした。
勝浦を潜るなら
勝浦ダイビングリゾート
近頃、人気スポット「イソムラ」にずっとカンパチの群れが根付いていて、かなりの高確率で見られますよ。「ベンテン」のダンゴウオも次のシーズン、ぜひ観察しにきてください。安定のかわいさです! 4月にリニューアルオープンした施設は、ウッディーな休憩スペースや屋内外からアクセスできる更衣室、シャワー室など使い勝手抜群! とっても快適ですよ。
行川
豪快な地形もマクロ生物のウォッチングも楽しめる行川(なめがわ)。黒潮と親潮が交わる半島南部の太平洋側に位置し、潮の影響による水中景観や生物相の入れ替わりが楽しめる海です。
《なめがわダイビングサービス》大室 海斗さんの「驚き!感動!」
■新浜のダンゴウオ
ダンゴウオは行川のアイドル(撮影/手塚[ゲスト])
行川の冬~春の風物詩といえばダンゴウオです。今年は1月末頃に、オレンジの可愛いダンゴちゃんが現れました。ワイドのイメージが強い行川ですが、可愛いマクロも充実しています!
■向根のカジメ
地形とカジメコラボは行川ならでは(撮影/なお[スタッフ])
行川の新しいスポット・向根で見られる風景です。白い砂地に独特の地形が面白いスポットで、幻想的なカジメ林が魅力です。
行川を潜るなら
なめがわダイビングサービス
新スポットの向根がオープンしました! どんどんリクエストしてくださいね。また、お隣の勝浦と当店で発売している「ダイバーズコーヒー」が好評です。パッケージはゲストさんが撮った水中写真がプリントされています。行川は、海はダイナミックですが、猫も含めて(笑)とってもアットホームなお店です。ぜひ日々の疲れを癒しにきてください。
伊戸
「サメの壁に囲まれる!」という超エキサイティングなシャークダイブができる伊戸ですが、ドチザメの超ど級な群れのほかにも、ユニークな生きものたちに出会える海です。
《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》塩田さん&家守さんの「驚き!感動!」
■伊戸シャークシティのコブダイ
コブダイの縄張り争いに遭遇(撮影/家守 亜由奈)
シャークダイビングの傍らでコブダイの縄張り争いが白熱。思わずドチサメそっちのけで撮影してしまいました。ダイバーのことなど全く眼中なしの真剣なにらみ合い。口の大きさでは決着が着かず、最終ラウンドは噛みつき合いに…。一部始終をしっかり撮影できました!(家守)
■伊戸シャークシティのホシエイ
巨大ホシエイ現る!(撮影/塩田 寛)
潜降して行くと、ひときわ大きなエイが目に入りました。よく見るとホシエイで、普段ブイ下に集まるアカエイたちの何倍ものサイズ! あまりの大きさにあっけにとられました。こんな巨大なエイが現れることはめったになく、驚きました!(塩田)
伊戸を潜るなら
伊戸ダイビングサービスBOMMIE(ボミー)
5月末現在、シャークスクランブルのドチサメ“ドッチーズ”は、水温が上がって来たので益々絶好調! 冬季限定で安全停止中に見られたカワウの“水中バードウォッチング”が、今でも時々登場します。小魚が群れはじめ、それを狙うワラサやカンパチ、ヒラマサなどの大物回遊魚たちが定着し始めました。コモン・イガグリ・ボブサンなどのカラフルなウミウシたちもいますよ。
西川名
ダイナミックで独特な地形には、国内随一のヒゲダイの群れやド迫力のクエなどが現れ、大型魚のパラダイス! アオウミガメも仲間入りしました。
《館山DC 西川名オーシャンパーク》寺本 拓海さんの「驚き!感動!」
■イサキの群れ
視界を遮る、雲のようなイサキの群れ(撮影/寺本 拓海)
夏に向け、これからシーズンインするイサキの群れ。雲のように頭上を覆う魚たちで、水中が真っ暗になるほどです。例年秋頃にピークを迎え、まるで積乱雲のようになります。魚たちが織りなす壮大な水中景観は感動です!
■ワラサの群れ
ワラサの群れは圧巻!(撮影/寺本 拓海)
イサキよりも、少し早くシーズンインするワラサ。青物の群れも夏まで継続して見られます。多いときには3桁を超える群れに遭遇することも! 濃い魚影は西川名の海の醍醐味なので、ぜひ見に来てください!
西川名を潜るなら
館山ダイビングセンター 西川名オーシャンパーク
西川名の海は中級者以上という印象を持たれることもありますが、流れも波も発生しにくい初心者向けのスポットの開拓も始めました。ボートスポットでは漁礁に集まるアジやネンブツダイの魚群、ビーチスポットではウミウシやカエルアンコウ、ときには南方系の珍しいお魚も観察できます。ダイナミックでワイルドな海と優しい水中景観、どちらの西川名も楽しんでください!
坂田
風光明媚で静かな入り江に面した坂田。内湾らしい穏やかな性質と外洋の潮通しの良さを併せ持ち、かのジャックマイヨール氏も惚れ込んだ海です。
《シークロップダイビングスクール》成田 謙介さんの「驚き!感動!」
■新々漁礁に沈む、ザトウクジラの骨
海底で静かに眠るザトウクジラ(撮影/成田 謙介)
ボートスポットの松根には昨年3月に定置網で混獲されたザトウクジラの亡骸が沈んでいます。丸1年以上が経過し白骨化。表面にソフトコーラルや海綿などが付着し、今なお変化し続けています。次の新たな生物たちの拠り所として、クジラが「海に還る」様子が見られますよ。
■ビーチのセダカスズメダイ
一生懸命に卵のお世話をするセダカスズメダイのお父さん(撮影/成田 謙介)
岩肌の銀色は卵。オスが卵保護している様子を捉えました。6〜8月は多くの魚たちの繁殖シーズン。各スポットで魚たちが命を繋ぐ奮闘ぶりを見ることができます。特にビーチは、セダカスズメダイをはじめとする魚たちの生態をのんびりじっくりと観察ができてオススメ!
坂田を潜るなら
シークロップダイビングスクール
昨年、ボートスポットで初めて確認されたジョーフィッシュ。現在は複数のコロニーに合計数十匹が暮らしていて、いつでも安定して見られますよ。そしてお店の器材洗い場をリニューアルしました! 洗い桶を増やしカメラ用の桶も巨大になって使い勝手抜群です。生態観察や水中撮影に定評のある当店。魚たちの生態のお話も含めて、坂田の海の生きものたちをご紹介します!
波左間
波左間といえば、世界唯一の海底神社があり、コブダイの“頼子”や、ときにジンベエやマンタに出会えるキャラ濃いめのエリアですが、最近新しい仲間が増えたようです。
《波左間海中公園》鈴木 哲(あきら)さんの「驚き!感動!」
■高根・神社のコブダイ
コブダイの頼子と《波左間海中公園》のレジェンド荒川さん(撮影/鈴木 哲)
1996年に近隣の洲崎神社の分社として海底神社を建立して以来、毎月1日と15日に行われている神事。御神酒を捧げると、コブダイの頼子が大きく口を開ける様子が微笑ましい光景です。
■高根・大鳥居のイルカ
イルカたちも海底神社へ参拝!(撮影/鈴木 哲)
一昨年の夏頃から、ときどきイルカが遊びに来るようになりました。定住しているわけではありませんが、今年の春先は比較的ずっと遊びにきていましたよ。イルカたちにストレスがかからないよう、ライト、ストロボ、長い自撮り棒は禁止にして、皆で温かく見守っています。
波左間を潜るなら
波左間海中公園
お会いしてからお帰りになるまで、常に笑顔と感動をお届けできるように努めています。「高根」のコブダイや魚群はもちろん、人気のマクロ生物も豊富。フォトジェニックな撮影にぜひ挑戦してください。なお「マンボウランド」のジンベエやマンボウの状況は、季節やいきものたちの様子により変わります。最新情報は下記ホームページにてご確認ください。
見物
見物のダイビングは、お店の目の前からボートの出航もビーチエントリーもスタートするので、とにかく体に負担が少なく楽々! ブランクダイバーのリフレッシュにもおすすめです。
《館山ダイビングサービスSARA》山田 忠夫さんの「驚き!感動!」
■漁礁のクダゴンベ
格子模様が美しいクダゴンベ(撮影/山田 忠夫)
昨年の秋頃から、水深23mにある魚礁にクダゴンベが住み始めました。ワイドな水中景観が人気の魚礁ですが、クダゴンベはワイド派にもマクロ派にも大人気です。
■ポンタ山に集まる魚の群れ
イサキ、イワシ、オオモンハタ、クロダイなどが集結!(撮影/山田 忠夫)
ポンタ山はさまざまな種類の稚魚が集まってくるスポットで、フォト派に人気です。 水深7mほどなので、ゆっくりじっくり撮影できてビギナーの方にもお勧め。カメラやGoproをこのスポットで練習してみてくださいね。
見物を潜るなら
館山ダイビングサービスSARA
見物のダイビングスポットは、季節風の影響で冬季はクローズしていて、約半年間しか潜ることができない限定スポット。そのため海の環境も守られており、魚も興味津々でダイバーに近寄ってきますよ。今シーズンはNEWスポットがオープン予定ですのでお楽しみに!
沖ノ島
島の周囲は岩礁で囲われており、生物が非常に豊富な海。沈船をはじめ、見どころが多く、南西から流れてくる黒潮の分枝流の影響もあって水温も比較的高めなのも嬉しい。
《沖ノ島ダイビングサービスマリンスノー》岡本 正和さんの「驚き!感動!」
■沖ノ島沈船《水雷艇》
日露戦争で活躍した水雷艇と魚の群れのコラボレーション(撮影/岡本 正和)
歴史的な船が沈んでいるスポットです。イサキやマダイの稚魚、ネンブツダイ、ムレハタタテダイなどが連日群れ、魚影の濃さも抜群。タイヤ漁礁には大きなソフトコーラルもあり圧巻。沈船の冒険と豊かな海の生態系を感じられて感動するスポットです。
■沖ノ島黒根の魚群
小さな魚たちの大きな群れに生命力を感じます(撮影/岡本 正和)
イソギンチャク畑にミツボシクロスズメダイとアカオビハナダイが混泳する大きな群れが見られます。群れは越冬して1年中見られますが、秋になると爆発的に増えて、多い時には1000匹を超えることも。圧巻の光景です。初夏にはアオリイカの産卵やハッチアウトが観察できるかも!
沖ノ島で潜るなら
沖ノ島ダイビングサービスマリンスノー
今年は「沖ノ島ムービー&フォトコン2024」を実施します。ご紹介した両スポットともフォト派はもちろん、GoProなどのアクションカメラでの撮影が楽しいスポットです。ぜひ撮影してご応募ください。最新情報はリニューアルしたInstagramでチェック! 公式LINEも開設しましたのでお気軽にお問い合わせを。詳しくはHPでご覧ください。
千葉ダイビングサービス協力会
千葉ダイビングサービス協力会は、千葉県の現地サービス9社が協力し合い、全国のダイバーに千葉の海の魅力を発信するために設立されました。
房総半島南部は首都圏からのアクセスもよく、ビギナーからベテラン、マクロからワイドまで幅広く楽しめる海です。混雑した海や現地までの移動に辟易しているダイバーのみなさん、移動ラクラクでのんびり楽しめる千葉の海へどうぞ。個性的な9つの海が待っています!
協力/千葉ダイビングサービス協力会
ライター/斉藤利奈