世界有数のサメスポットでサメたちと戯れる
伊戸

辺りはおびただしいほどのサメ、サメ、サメ、サメ……。大迫力だけど、怖さは全くない。人懐っこいサメたちが「かまって~」と寄ってきて、かわいいぐらいだ。ドチザメ(420尾以上!?)に加えて、アカエイ(50尾)、クエ(5尾)とコブダイ(5尾)に出会うことができるその海は、千葉県の房総半島ほぼ南端にある、東京から車で約2時間の伊戸。
皆の頭文字を取ると「AKKD480」! あれ?どこかで聞いたことがあるぞ(笑)。彼らは伊戸名物のアイドルグループだ。日本だけではなく、海外からも人気を集めている伊戸へ「AKKD480」に会いに行こう!
ド迫力!! サメでもみくちゃにされる海
撮影:《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》塩田寛さん
ものすごい数のドチザメ、アカエイ、クエ、コブダイと急接近できるのが伊戸の「沖前根」。中でも「シャークシティ」と呼ばれるブイの周囲が人気どころ。髪の毛をくわえたり、ウエットスーツを噛んできたり(痛くはないのでご安心を!)、なんとkissされちゃうことも……♥
こちらから攻撃しない限り襲ってくることはないし、エサをもっていなければもみくちゃにされることもないから、「AKKD480」と仲良くなっちゃおう!

「AKKD480」のAはアカエイ。ダイバーの周りを舞う姿が華麗だ

「AKKD480」のKはクエ。普通は警戒心が強いものだが、伊戸のクエにはこんなに近づくことができる

「AKKD480」の2つ目のKはコブダイ。人懐っこくてかわいい

「AKKD480」最後のDは主役のドチザメ。この数に驚くこと間違いなし!
どうやって行くの?
ここは日本!?と疑いたくなってしまうような、見たこともない体験ができる海はなんと、東京から約2時間あれば着いてしまう場所にあるというのだから驚き。
東京方面から車で行く場合、東京湾アクアライン→千葉館山自動車道へ。富浦ICで降りて、左折し、国道127号を直進して国道410号へ入り、さらに直進。約6km先のセブンイレブンのあるT字路を右折した後、3km先のファミリーパークを右折。《漁港食堂 だいぼ》の看板を左折し道なりに進むと、左手に《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》が見えてくる。電車利用の場合は、最寄駅は内房線・館山駅。駅からは事前に連絡すれば送迎がある。
どうしてこんなにサメが……?
《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》の塩田さんが、房総でダイビングサービスを始めようと調査しているときに出会ったのが伊戸。初めて潜ったときは、海底にドチザメが川のようにいて感動したそう。その後、定置網に入ってきて小魚を食い荒らしたり、網を傷つけてしまうサメに困っていた地元漁協の組合長からの提案もあり、漁師の協力のもと餌付けを始めた。ドチザメに近づけるようになるまでは4年余りもの歳月がかかった。それから日を追うごとにサメは増え、現在の「シャークシティ」ができあがったのだ。

「シャークタワー」、「シャークトルネード」と呼ばれるのもうなづける光景。何匹いるのかわからないぐらいだ!
スポット情報
撮影:《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》塩田寛さん
沖前根
港からボートで3分の「沖前根」がメインスポット。その中でも東ブイ下「シャークシティ」は、ドチザメやアカエイ、クエ、コブダイが群れ群れだ。サメが渦を巻くように泳ぐ姿を見ることができる“シャークトルネード”や、タワーのように積み重なった“シャークタワー”は必見!
また、水深が20mとやや深めなので、普段のダイビングより残圧計とダイブコンピュータを頻繁にチェックするようにしよう。

個体数が多いのでシャッターチャンスもたくさん。お気に入りの子を見つけたい
忘れちゃいけないマクロ生物!
「AKKD480」に気をとられて見落としがちだが、さまざまなマクロにも出会えるのが伊戸の海。ド迫力のサメたちで興奮した後は、かわいい小さな生物に癒されることもできるなんて、贅沢な海だ。
ガーベラミノウミウシ

中腸腺の色が、赤褐色から橙黄色と食べたものによって変化するウミウシ。
テンロクケボリタカラガイ

鮮やかなピンク色と華やかな模様が美しい。筆者はこの模様に♥が紛れているものを発見したことがあり、とてもかわいかったので、皆さんもぜひ探してみて
冬限定のオススメ“水中バードウオッチング”
《伊戸ダイビングサービスBOMMIE》塩田寛さん
これからの時期は透明度が安定して、魚影が濃くなるが、 さらにもう一つ、冬の伊戸ならではのとっておきの光景がある。越冬のためにやってきた海鳥たちが水中まで潜ってきて、エサを食べるようになる“水中バードウオッチング”が楽しめるのだ! 海鳥が水中をスイスイと泳ぐ様子をこんなに近くで見ることができる機会はなかなかない。1月~4月上旬限定なので、特別感を味わえる。伊戸の海へ急がなくちゃ!

水面にはこんなに多くの海鳥が! 「AKKD480」と同じくらいの迫力がある

水中でもこんなに近寄れる。海中を泳ぐ海鳥を見ることができる“水中バードウオッチング”は伊戸以外ではなかなか見ることができない