柏島ダイビング基本情報決定版!
日本全国のダイバーが集まるスゴイ海 柏島
四国は高知県の南西端に橋で結ばれる小さな島がある。柏の葉の形をしていることからその名を「柏島」といいます。黒潮の恵み、豊後水道の出入り口という絶好のロケーションが生む海は日本でも屈指の生き物天国。一年中楽しめる海の魅力をとことん紹介します!
※2023年4月現在の情報です。
柏島ってこんなところ
一周約4kmの小さくてかわいいトロピカルアイランド
柏島を代表するダイビングスポット「後の浜(うしろのはま)」のことを先に紹介しましたが、写真で見るとわかるように島はとても小さく周囲はわずか4km余り。足摺宇和海(あしずりうわかい)国立公園の中にあり、周囲の海は晴れた日にはエメラルドグリーンに輝く、まさに風光明媚な観光名所です。
本島とは2本の橋でつながっていて、いくつかのダイビングサービスは本島側にもあります。いずれも住所は「大月町柏島」なのが柏島の特徴です。
冬は北風が吹くと確かに冷たいものの、年間を通して暖かく、沖縄の島々のように亜熱帯気候に属しているかと思われるほど。海の中もサンゴ群落が点在していて、熱帯の魚や生き物も多いのであながち亜熱帯といっても嘘ではないでしょう。
島の人々は宿泊施設やダイビング、釣りなどのサービス業に従事している方もいますが、多くは漁業をなりわいとしていて、漁業が盛んです。アオリイカ漁が盛んな時期は家々の軒先にアオリイカが干されているのが名物となっています(実際、アオリイカの干物は絶品!です)。また、ところてんの材料となるてんぐさも採れるので、島内には《お好み きみ》という、ところてんが名物のお店もあります(営業時間が9:30~14:00なのでダイビングの休憩時間にぜひどうぞ)。
四国本島側にある展望台からの柏島の眺め
柏島大橋の近くの本島サイド。柏島もそうだが、タイの養殖が盛んなエリアで、定置網があちこちにある
柏島で新発見された魚や生き物も多数
柏島に全国のダイバーが集まるのは、ダイビングサービスのガイド陣が素晴らしいということも理由の一つですが、なんといっても、フォト派ダイバーをも大満足させる魚や生き物の種類や生態シーンの多さ! 柏島には1,000種以上の魚類が生息しているといわれますが、そのうち日本で初めて確認されたものが約100種いるというからスゴイ!
イナズマヒカリイシモチ、イザヨイベンケイハゼ、キツネメネジリンボウなどなど、柏島に行ったらぜひ会いたいですね♪
柏島で見つかったイナズマヒカリイシモチ
旅のヒント
島の中には郵便局や商店もありますが数は多くなく、コンビニエンスストアはありませんし、24時間営業のお店もありません。飲食店も島内には夜営業している店はほぼなく、基本的にはホテルや民宿、ダイビングサービスのゲストハウスなどの宿泊施設で食事をとるか、商店が開いている時間に食事を買うか、はたまた車で飲食店に行くか、です。なので、滞在する場合は食事付きの宿泊施設に泊まることをオススメします。
また関西方面や岡山・広島方面からなら日帰りでも行ける?と考えてしまいがちですが、片道4時間は確実にかかるので、週末ダイビングなら、金曜の夜に出たり、土曜の早朝に出たりして、1~2泊するといいでしょう。
柏島神社のある近辺が柏島の中心地。郵便局や商店があり、日中は八百屋さんなどの移動販売車がここに来て“店開き”をしたりしている
一年中温暖で、まるで亜熱帯の島に来たかのよう。ハイビスカスやプルメリアなどトロピカルフラワーもそこここに
ダイビング基本情報
体験ダイビングやダイビングライセンス講習(Cカード取得講習)も盛んな柏島ですが、日本全国からダイバーがやってくるほど人気の海を持っているのが柏島の最大の特長ともいえます。
ファンダイビングは基本は一日3ボートダイビングを利用する人が多いのですが、ダイビングサービスによっては早朝ダイビング、サンセットダイビング、ナイトダイビングなども開催。一日4~5ダイブする人も少なくないようです。ダイビングスポットへはボートでアクセスするため、ボートダイビングスタイルが主流です。各ダイビングサービスが専用のダイビングボートを所有していて、タンク置き場やエグジット用のラダー(はしご)がとても利用しやすくなっています。タンクはスチール、アルミとダイビングサービスによってまちまちですので、確認のうえウエイト量を決めるといいでしょう。
ダイビングスポットへは各ダイビングサービスが利用する港から出発。「後の浜」なら5分前後、本島側のスポットへは遠くても20分ぐらい。風が強い日や秋から春にかけてはボートコートを用意しておくといいでしょう。
船上では水中カメラの設定はできませんので、乗船前にしっかりと準備しておきましょう。ボートに乗ったら、所定のカメラ置き場に置いておきましょう。エグジット後は真水の水槽がたいていあるので、そちらに入れておきます。でも、フォト派ダイバーが多い場合は、水で塩を落としたらカメラ置き場に置いておきましょう。
なお、レンタル器材やカメラはたいていのダイビングサービスで利用可能です。予約時に申請しておくといいですよ。
港からボートでダイビングスポットに出発
シーズナリティ
たいていのエリアでは海の中に明確な四季があるわけではありませんが、柏島の場合、黒潮が近づくことが多く、その分枝流が来ると透明度が俄然アップしたり、南から運ばれてきた生物が増えたりと、四季以外の動きも見逃せません、でも水温が上がり始める春には求愛・交接・産卵行動が見られ、夏は生まれたばかりの魚たちでにぎやかになるなど、シーズンに応じて見どころが変わってくることも事実。
ここではざっと柏島のシーズナリティを見ておきましょう。
柏島のシーズナリティ
※気温、水温、降水量はCLIMATE-DATA.ORGより引用
春:4~6月
陸上では3月頃から春めいて気温も暖かくなってきますが、海の中の春の訪れはやや遅く、4月半ば頃になると水温も20℃台になることもあり、徐々に魚や生き物たちの動きが活発になってきます。冬の間隠れていた生き物たちも出てきて、一気ににぎやかに。アオリイカやハナイカの産卵行動も見ものです。
アオリイカの産卵床が設置され、その周りでたくさんのアオリイカが見られるうえ、求愛・交接・産卵行動などもじっくり見られます
ハナイカも体色を変えながら、近づくダイバーを威嚇したり、メスに求愛したりといろいろな生態シーンを見せてくれます
夏:7~9月
水温が26℃以上、時には30℃を超えることもあるほど温かくなり、海の中もにぎやかさが増し増しになります。浅瀬のサンゴ群落に陽が射し込み、ワイドなトロピカルシーンも楽しめます。透明度は悪いと10m以下になることもありますが、黒潮の分枝流が入ってくると30mオーバーになることも。南から魚や生き物も流れ着き、レアものに会えることもあります。群れも多く、圧巻です。
浅瀬ではサンゴの群落にキンギョハナダイをはじめ、魚たちがぐちゃっとまとまっていることも。写真は「後の浜」4番にて
秋:10~12月
水温は徐々に下がってきますが、まだ水中は温かく、魚や生物もとても多い季節。透明度も基本的に良いことが多く、11月頃まではウエットスーツでも十分潜れます。人気のハゼやレアものもまだまだ出ていますので、たっぷりと楽しんでください。12月頃からは季節風で風が強い日は海から上がってから体が冷えますのでボートコートなど必携です。
人気のレアハゼ、ホタテツノハゼがこんな姿を見せてくれることも!
冬:1~3月
海の中は厚手のウエットスーツでもフードベストがあれば寒さをあまり感じないのが柏島の海。でも、季節風が吹くと体感温度が一気に下がりますので、ボートではボートコートなどを着て保温を。透明度も良く、シャキッとした海中ですが、ウミウシの仲間がいろいろ出てくるので、目が離せません。
ウミウシがよく見られる時期。しかもこんなペアリングも! ミアミラウミウシとウミウシカクレエビ
柏島のダイビングスポット情報
柏島のダイビングスポットは既に紹介している島の北に位置する「後の浜」のほかにもいくつかある。対岸の「勤崎(つとめざき)」の場合、ボートで約10分。
柏島(大月町)の主なダイビングスポット
後の浜(うしろのはま)
柏島というよりは四国、いや、日本を代表するスポットともいえる。柏島の北の浜に沿って500~600mにわたってブイが1番から順番に6番まで設置されている。奥行き60~130m程度の棚にサンゴの群落が点在している。詳しくは上記のガイドさんのコメントを参照してください。
勤崎(つとめざき)
なだらかなドロップオフ状の地形になっていて、水深30m付近にはフォト派垂涎のアケボノハゼやハナゴンベなどが見つかることも。しっかりこぶのある体長1m大のコブダイがいたり、以前はここにいるはずのないユウゼンがいたり、予想外のサプライズ生物もいっぱい。ピグミーシーホースも常連。キビナゴが群れる季節にはカンパチやツムブリのアタックシーンが見られることも。ボートで約10分
サルガウド
浅場から深場の大きな根へとわたってさまざまな生物をウオッチング。季節によってはニシキフウウライウオやカミソリウオが。ジョーフィッシュの口内保育が見られる時期もある。浅瀬ではサンゴの隙間に珍しいパンダダルマハゼがいたり、エビ・カニ系が観察できる。ボートで約10分。
民家下(みんかした)
ダイビングサービスによっては、北と南に分けて潜ることも。北側の浅場に養殖イケスが沈船のように点在。これが人工漁礁になっていて、さまざまな生物が見られる。砂地にはヤシャハゼ、キツネメネジリンボウなども。南側はタツノオトシゴ類が多く、大きなオオウミウマに遭遇することも! ボートで約5~6分。
竜の浜(たつのはま)
冬でも北風に強く海況が安定しているので初心者でも潜りやすいスポット。砂地ではネジリンボウやカエルアンコウのほか、ミジンベニハゼが貝殻にいたり、イッポンテグリがヒレをパタパタさせていたりと、フィッシュウオッチングがじっくり楽しめる。ボートで4~5分。
ダイビングショップ情報
一周およそ4kmの小さな島ながら島内と柏島大橋の付近にたくさんのダイビングサービスが点在するダイビング天国。宿泊できるゲストハウスを持っているお店も多いが、ない場合も提携宿を紹介してもらえるので、予約時に聞いて予約してもらうといいだろう。
アクセス
島でも車で行ける島!?
高知県でありながら高知市からも約3時間、隣接する愛媛県の松山空港からも約3時間と、四国で最も遠い島ともいわれる柏島。でも、島でありながら車でも行けるのも魅力です。
そんな柏島への行き方ですが、電車、飛行機など公共交通機関を利用して、まずは「宿毛駅」を目指しましょう。
関西方面からなら車(またはレンタカー)でもOK。京都・大阪・神戸から宿毛への高速バスを利用するのもオススメです。
中国方面からはフェリーと車(またはレンタカー)、または電車が便利です。
九州方面からは佐賀関港から九四フェリーで三崎港へ、または臼杵港から宇和島運輸フェリー、オレンジフェリーで八幡浜港へ行き、そこから車(またはレンタカー)かバス+電車でアクセスを。
関東からは東京から宿毛への高速バスを利用してもいいでしょう。
高知空港から
関東ほか日本全国から行く場合は、航空便利用も便利です。
高知空港(高知龍馬空港)へは各地からアクセス。羽田からは日本航空、全日空が定期便を運航。片道約1時間30分。名古屋からは日本航空、フジドリームエアラインズが定期便を運航。所要時間1時間5分。
高知空港から車(レンタカー)でアクセスする場合、高知ICまで約20分、高知自動車道路に載って四万十町中央ICへ約50分、国道56号経由で四万十ICに行き、中村宿毛道路に乗って宿毛和田ICへ約1時間20分。そこから国道56号で宿毛市を経由して45分。全4時間55分で柏島に到着となります。
バスと電車で行く場合は、高知駅へ。高知駅前観光のシャトルバスが最短25分・740円で上下線50便を運航しているので、それを利用するといいですね。
高知駅からはJR土讃線から土佐くろしお鉄道中村・宿毛線直通の特急あしずり号や特急しまんと号を利用します。時間帯によっては中村駅または窪川駅で乗り換えることもあるので注意しましょう。特急なら所要時間は約2時間30分です。
宿毛駅からは事前にお願いして各ダイビングサービスの送迎を利用するといいでしょう。所要時間は約45分です。
松山空港から
もう一つ、航空便利用なら愛媛県の松山空港を利用する手もあります。
松山空港から車(レンタカー)を利用する場合、松山ICへ約15分、松山道で宇和島北IC経由宇和島道路に乗って津島岩松ICまで約1時間10分、そこから国道56号で宿毛市に向かい50分、宿毛市から45分で柏島に到着します。スムーズにいって4時間45分の所要時間です。
電車とバスを利用する場合は、JR松山駅までリムジンバスで約15分。JR松山駅から宇和島駅へ特急宇和海で約1時間30分、宇和島駅からは宇和島バスで宿毛駅へ約2時間となります。宿毛駅からは送迎を利用しましょう。
ダイビングサービスのアクセス案内が便利
関西、中国、九州、四国エリアのダイバーは基本的に車で行くほうが便利ですが、電車やバスを利用する方は各ダイビングサービスのアクセス案内を見るといいでしょう。特に宿毛から柏島への道路事情はよく書かれているので便利ですよ。