2018年10月号
小笠原だから
出会える生き物たちに会いに行こう!
太平洋に浮かぶ孤島“小笠原諸島”には、ボニンブルーと称されるどこまでも碧く澄んだ海が広がる。海や島の中には、普段は目にすることのない生き物たちが生息し、小笠原独自の生態系を築いている。その様子は日本ではない、どこかほかの国に来たかのような錯覚に……。小笠原でしか見ることができない景色を探しに、大海原へ飛び出そう!
※2018年10月現在の情報です。
- ▼小笠原ってどんな島?
- ▼小笠原だから出会える人気の生き物たち
- ▼海編
- ▼陸編
- ▼番外編
- ▼関連情報
- ▼関連書籍
小笠原ってどんな島?
小笠原諸島に2つある有人島の一つ、父島の南西に浮かぶ南島。絶景が広がり、観光客に人気
東京から南下すること約1,000km。島内には飛行場がないため、定期船の「おがさわら丸(通称「おが丸」)」でのみアクセスができる島だ。乗船時間はなんと24時間(これでも三代目「おが丸」が就航したおかげで今までより短縮)!! 海外よりも遠い日本なのだ。しかもこれが東京都の島だというから驚き。便の関係上、最低でも6日間の旅行日程を確保する必要もある。行くのにはなかなかレベルが高い島かもしれないけど、苦労してでも行きたい魅力が小笠原にはあふれている!
小笠原だから出会える人気の生き物たち
海編
シロワニ
ほかの地域ではほとんど観察しにくい、小笠原ならではのサメ。ギラリと光る眼光&鋭い歯&どっしりとしたグレーの巨体は、貫禄たっぷりで会うとびっくりしてしまうかも。でも、何も危害を加えなければおとなしいので安心して。小笠原では港でも普通に見られちゃうというから驚き!
ユウゼン
小笠原といったらやっぱりユウゼン! 日本の伝統的な染工芸である友禅染めと似た柄を持つことが名前の由来のチョウチョウウオ。小笠原や八丈島以外ではほとんど見ることができない。3月から5月には繁殖のために集まって、ユウゼン玉と呼ばれる大きな群れを作る。
黒いクマノミ
インド-西太平洋に広く分布するクマノミは海域や個体によって色彩変異が激しいが、小笠原の場合は黒白! ただ、幼魚のときは暖色が混じる。日に焼けて黒くなっちゃうのかな(笑)?
ミズタマヤッコ
小笠原と南鳥島だけで発見されている固有種で、水玉の模様がとってもキュート♡ 雄雌で体の模様が少し違うので、比べてみて。体長は20cmぐらいと大型。
レンテンヤッコ
限られたエリアにしかいないレンテンヤッコも、小笠原でなら見ることができる。鮮やかな体色がボニンブル―の海に映える! フォト派に人気だが、警戒心が強く怖がりなので、そっと近づこう。
オビシメ
小笠原で発見された新種のブダイで、成長すると体長50cmほどにもなる。小笠原以外では見ることのできないレアな魚! 体に入った黄色の線が、帯を巻いているように見えることから名付けられた。
ミナミイスズミ
普通はグレーっぽい体色だが、小笠原では鮮やかな黄化個体を見ることができる! 群れの中に1匹だけ違う魚がいる?と思ったら同じミナミイスズミだったりする。
ニシキウミウシ
個体によってさまざまな変異が見られるニシキウミウシ。小笠原にいるものは真っ赤で、ほかのエリアでは見ることができない。ほかで見られるニシキウミウシとはあまりにも違った見た目のため、かつてはハナエニシキウミウシと呼ばれていた。
アカイセエビ
世界的にも珍しいアカイセエビは小笠原でよく見られる。八丈島でもときどき見られるが、コンスタントに見られるのは小笠原だけ。2006年に新種として認定され、カノコイセエビから改名された。「エビ団地」というスポットでは、体長1m、重さ3kgの巨体がどっさりと群れる。
ニラミハナダイ
日本で初めて生息が確認されたのが小笠原で、中・西部太平洋にしかいない。普段は30m以深の深場にいるが、幼魚は20m台にいることも。小笠原でも見られたらラッキー!な希少種だ。
浮遊生物
今、ダイビング業界で話題沸騰中の浮遊生物ウオッチング。小笠原では2~4月頃、ナイトダイビングで宇宙生物のような姿が見られることがある。父島のすぐ南には水深1,000m超になる深海があり、レアな深海生物やその稚魚が出現することも。潮の流れに乗ってやってくるので、遭遇できるかは運次第だが、いったん流れ着くと2~3週間はそこにいてくれるものも。写真はイトヒキイワシ属の1種。
イルカ
小笠原にはミナミハンドウイルカやハシナガイルカが通年いて、ドルフィンスイムが楽しめる。運が良ければダイビング中に出会えることも! その愛くるしい姿を見れば、たちまち虜になってしまうだろう♡
クジラ
冬はザトウクジラ、夏はマッコウクジラとホエールウオッチングも通年楽しめるのが小笠原! ダイビング中にはクジラの歌声が聞こえてくることも。
陸編
ヒロベソカタマイマイ
父島の南島の海岸では、絶滅したヒロベソカタマイマイの半化石を見ることができる。父島から南島へは半日ツアーも開催されているので、美しい景観を見に行ってみて。ただし、貝を持ち帰ることは禁止されているので注意しよう。
オガサワラビロウ
小笠原固有のヤシで、林に入ると普通にある。海岸付近にある休憩所の屋根などにも利用されている。
番外編
ウミガメ料理
小笠原では古くからウミガメを食す文化がある。煮込みは少々クセがあるが、お酒のつまみや丼ぶりの具材にGOOD! 刺身は鶏肉にも似た味わいで上品。小笠原に行ったからこそ食べたい一品。
島寿司
島で獲れた白身魚を使った島寿司は小笠原や伊豆諸島の名物。醤油だれに漬け込んだ白身魚と、砂糖を多めに入れた甘い酢飯を握った寿司に、ワサビではなくカラシを付けるのが島流。