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新潟県 佐渡
四季折々の海中風景とコブダイが待つ海でダイビング

佐渡島

新潟県の佐渡島は日本海最大の島。冬の厳しい寒気と夏の暖流が生み出す水温差から、四季折々に変化する豊かな海中風景がダイバーを迎えてくれます。また、人懐っこいコブダイも名物です。頂点に君臨するボスのコブダイは時代とともに代替わりしていくのですが、2024年は次の世代にバトンタッチという噂も……? 「佐渡スキューバダイビング協会」協力のもと紹介していきます。

※2024年6月25日現在の情報です。

春夏秋冬で移り変わる海中風景を探しに行こう!

佐渡島マップ

佐渡のダイビングエリア
MAP提供/フリーウェイ佐渡店

日本海最大の離島、新潟県・佐渡島。長い海岸線には砂浜や岩礁などさまざまな海岸地形があり、島を取り囲むように特色あるダイビングエリアが点在しています。

「佐渡の海、一番の魅力は何ですか?」と問うと、皆さん口をそろえて答えてくれたのが「四季折々に変化する海中風景の豊かさ」。佐渡の海は夏は対馬暖流、冬はシベリア寒気の影響で大きな水温の変化を生みます。これにより、海中の景観や生息する生物に影響を与えて、四季ごとにさまざまな表情がもたらされます。「梅雨入り前の海藻林、夏から秋にかけての澄んだ海、春濁りの中でのマクロダイブなど、いつ潜っても新しい発見があります」と《F.WAVE》登内 美柚希さん。

今回は佐渡で実際に見た年間ベストシーンを語ってもらいましょう。

これからシーズンを迎える“夏”の海のおすすめ

夏は強く降り注ぐ太陽の光と白砂の海底が合わさって、海中はトロピカルな雰囲気に。どこまでも見渡せるような透明度も誇ります。

繁殖期を迎えたコブダイの熾烈な縄張り争い

トップに立つオスがメスに求愛できるというコブダイの世界。オス同士の喧嘩からは気迫を感じます

トップに立つオスがメスに求愛できるというコブダイの世界。オス同士の喧嘩からは気迫を感じます
写真/フリーウェイ佐渡店

佐渡ダイビングを代表するのが、目の上の部分の“こぶ”がチャームポイントのコブダイです。6月頃に繁殖期を迎えるコブダイ。北小浦の「赤岩(あかいわ)」では、オス同士の熾烈な縄張り争いが観察できます。
「縄張り争いによるオス同士の喧嘩や、オスとメスがペアリングして産卵する様子など、繁殖行動を観察できるのが佐渡の海の大きな特徴です。特に、巨大なオス同士が大きな口を開けながら喧嘩する様子は大迫力です!」(フリーウェイ佐渡店/小出 博之さん)

抜群の透明度の中を泳ぐ魚群

佐渡の夏の海の透明度はすごい! その中をカラフルな魚群が舞うのは映える光景です。
「澄んだ海とチャガラのオレンジがとてもきれいです」(F.WAVE/登内 美柚希さん)

清々しいアマモ広場

アマモをよく観察してみると小さな花が咲いています

アマモをよく観察してみると小さな花が咲いています
写真/フリーウェイ佐渡店

初夏にはホンダワラ、ツルモ、ナガモ、アマモなど、美しい海藻・海草の景色が広がります。
「僕はアマモが一番のお気に入り。青い海とグリーンの光景がとても爽やかです。アマモの花をマクロで撮るのも楽しい!」(小出 博之さん)

佐渡金山がある佐渡らしい黄金メバル

ダイバーに慣れているので逃げないメバル。こんなに近づくことができます

ダイバーに慣れているので逃げないメバル。こんなに近づくことができます
写真/フリーウェイ佐渡店

北小浦の「漁礁」では毎年、黄金色のメバルが玉状の大きな群れを作ります。
「黄金色から佐渡の金山を連想できるおすすめの景色です」(小出 博之さん)

出会えたらラッキーなレア種も!

未知なる世界と触れる深海魚、サケガシラとの遭遇。ロマンがありますね

未知なる世界と触れる深海魚、サケガシラとの遭遇。ロマンがありますね
写真/小木ダイビングセンター

珍しいサケガシラも時折確認されています。普段は水深200〜500mの深い海に生息していると言われる深海魚です。
「メタリックなボディに大きな目が特徴。目の前に突如現れたときは衝撃ですよ」(小木ダイビングセンター/高嶋 廣光さん)

“春”の海のおすすめ

水温が最も低くなる時期で10℃を下回ることも。しっかりとした装備を準備する必要がありますが、それでも潜りたくなる魅力が豊富なマクロ生物との出会い。寒さも忘れる、宝箱のような海が待っています。

ホテイウオ、ダンゴウオの幼魚

ちっちゃなホテイウオの幼魚。うっとりするかわいさ♡

ちっちゃなホテイウオの幼魚。うっとりするかわいさ♡
写真/F.WAVE

ホテイウオやダンゴウオの幼魚と出会えるのが、寒い海の特権です。豆粒サイズととても小さいので、現地ガイドに生息場所や探し方のコツを教えてもらいましょう。
「海藻をよく探してみると、ホテイウオやダンゴウオの幼魚を見つけられます。撮影に夢中になってしまいます」(登内 美柚希さん)

チャガラの子育て

お父さんチャガラの左上にはたくさんの卵が! 新しい命が育まれる春らしい光景です

お父さんチャガラの左上にはたくさんの卵が! 新しい命が育まれる春らしい光景です
写真/フリーウェイ佐渡店

佐渡の海を代表するチャガラ。どのスポットでも、たくさんのチャガラに出会えます。
「春はチャガラの卵保護の季節。岩の下をそっと覗くと、卵を守るお父さんチャガラの様子が観察できます。刺激しすぎると卵保護をやめてしまうので、優しく見守りましょう」(小出 博之さん)

ウミウシマニアなら絶対に大興奮

ゴマフビロードウミウシ。耳の長いウサギのような見た目をしていて「海ウサギ」や「ごまちゃん」の愛称で呼ばれることも

ゴマフビロードウミウシ。耳の長いウサギのような見た目をしていて「海ウサギ」や「ごまちゃん」の愛称で呼ばれることも
写真/F.WAVE(本間 光雄さん)

ウミウシの中でもミノウミウシの仲間がとにかく多く、ゴマフビロードウミウシやハゴロモウミウシ、ミズタマウミウシなど魅力的&個性的なウミウシがわんさか出現します。
「ミノ系は交雑が多く、同定が難しいことも。どの種ともつかない特徴を併せ持ったウミウシが見られたりするので、ログ付けでは図鑑と見比べながら皆でワイワイ盛り上がっています!」(登内 美柚希さん)

マクロ系も大満足

くりっとした目がかわいいタツノオトシゴ

くりっとした目がかわいいタツノオトシゴ
写真/小木ダイビングセンター

マクロ系も豊富な佐渡の海。
「春にはタツノオトシゴの出産シーンを目撃できるチャンスもあります」(高嶋 廣光さん)

“秋”の海のおすすめ

一年のうちで最も魚群が濃くなり、透明度もアップする海。イワシ、チャガラ、スズメダイ、アジなどの小魚がダイバーを包み込みます。季節回遊魚も増える時期で、ミナミハコフグの幼魚など、普段は生息していない生物に出会えるのも楽しみの一つです。

小魚の群れを狙ってヒラマサやイナダがアタック

たくさんの小魚に囲まれると、自身も魚になったかのような気分に浸れます

たくさんの小魚に囲まれると、自身も魚になったかのような気分に浸れます
写真/小木ダイビングセンター

「アジなどの小魚の群れを狙って、ヒラマサやイナダがアタックする様子はとても躍動的! ワクワクします」(小出 博之さん)

光と海藻が織りなす美しい景色

浅瀬では海藻が伸び始める時期。スズメダイやベラの子どもたちの住処となります。
「抜群の透明度の海で、光と海藻が作る景色に時間を忘れて潜ってしまいます」(小出 博之さん)

“冬”の海のおすすめ

日本海の冬ならではの生き物たちに出会え、日が短くなるのでナイトダイビングもおすすめです。この厳しい寒気を乗り切った先にこそ、四季の変化に富んだ海が待っているのです。

アイナメなどの産卵によって生命の神秘を感じる

アイナメの卵。目がある! 12〜1月が最盛期

アイナメの卵。目がある! 12〜1月が最盛期
写真/フリーウェイ佐渡店

アイナメ、ホテイウオ、カジカの仲間、ヤリイカなどが産卵する時期です。卵を守る親の様子や、卵の中で成長していく子ども達の様子が観察できます。
「卵を守るアイナメは体色が黄金色に変化します。卵塊もきれいです」(登内 美柚希さん)

迫力満点な巨大なミズダコ

ミズダコは世界最大のタコ。大型個体だと全長3m、体重40kgにまで成長します

ミズダコは世界最大のタコ。大型個体だと全長3m、体重40kgにまで成長します
写真/小木ダイビングセンター

巨大なミズダコも産卵のために浅瀬に移動してきます。
「迫力満点! カメラなどに向かって足を伸ばしてくるので、近付き過ぎには注意してくださいね」(登内 美柚希さん)

階級闘争によりボスが変化!歴代のコブダイを紹介

北小浦の「赤岩」には海底20mに大きな岩があり、コブダイたちの住処になっています。そこでボスとして君臨するコブダイは時代とともに代替わりを行ない、名前が付けられてきました。歴代のボスは皆フレンドリーで、たくさんのダイバーを楽しませています。

「佐渡スキューバダイビング協会」では30年以上にわたって、コブダイの観察を続けています。各個体ごとに特徴があり、アゴやコブの大きさや形、体に付いた傷やシミによって識別することができます。

ここでは佐渡の海でボスとなったコブダイの歴史をたどってみましょう。《フリーウェイ佐渡店》の小出 博之さんが話してくれました。

〜1992年/名前:なし

初代コブダイのとても貴重な写真を入手!

初代コブダイのとても貴重な写真を入手!
写真/佐渡潜水(株)

「せり出したアゴが特徴的。 当時の『赤岩』で、大きなコブダイが泳いでいる様子が目撃されていました。地元の漁師が何度も海に潜ることによって、徐々に人に慣れさせていき、目の前で観察できるようになったのが佐渡のコブダイ観察の始まりです。何年間ボスとして君臨していたかは不明です」

1992〜2014年/名前:弁慶(ベンケイ)

佐渡のコブダイ観察の火付け役となった弁慶。映画やテレビなどにも出演し、佐渡の海の大スターとなりました

佐渡のコブダイ観察の火付け役となった弁慶。映画やテレビなどにも出演し、佐渡の海の大スターとなりました
写真/篠原哲也

「大きく成長したあごとこぶが特徴的。22年間にわたり『赤岩』のボスとして君臨していました。歴代のコブダイの中で最も迫力があり、佐渡をコブダイで有名にしたのは弁慶です。弁慶という名前は、水中写真家の中村宏治さんによって名付けられました」

2014〜2023年/名前:ヤマト

ダイバー慣れしているのでこんなに近くで観察・撮影ができます

ダイバー慣れしているのでこんなに近くで観察・撮影ができます
写真/フリーウェイ佐渡店

「『赤岩』のボスとして10年間君臨しています。こぶの横にある茶色いシミがヤマトの特徴です。傷が少なく、体の形もきれいな個体です。ヤマトという名前は一般公募で決定しました」

2024年〜/名前:未定

そろそろ世代交代の兆し……? 通っていれば、ボスの移り変わりを感じられるのも楽しみの一つ

そろそろ世代交代の兆し……? 通っていれば、ボスの移り変わりを感じられるのも楽しみの一つ
写真/フリーウェイ佐渡店

「2024年、世代交代が始まりそうな予感!? 昨年までナンバーツーだったコブダイが、ヤマトを『赤岩』の外へ追いやっています。大きさはヤマトより一回り小さいですが、勇猛果敢なコブダイです。このまま世代交代となるのか、2匹の様子に注目していきたいです」

アフターダイブは何して過ごす?

せっかく島へ渡ったからには、アフターダイブも楽しまないともったいない! 現地ガイドが本気でおすすめする飲食店、アクティビティなどを教えてくれました。

佐渡乳業の直売所「みるく・ぽっと」

ミルクソフトクリームは、ダイビング後の疲れた体に染み渡る〜!

ミルクソフトクリームは、ダイビング後の疲れた体に染み渡る〜!
写真/フリーウェイ佐渡店

「《佐渡乳業》直売所のみるく・ぽっとでは、牧場から毎朝届く新鮮な生乳で作られた佐渡牛乳やバター、チーズなどを販売しています。特にミルクソフトクリームは絶品です! 牛乳パックには佐渡で保護されている国の特別天然記念物、“トキ”がデザインされていてかわいいですよ」(小出 博之さん)

古民家レストラン「メレパレカイコ」

佐渡産の食材をふんだんに使った料理でパワーチャージ

佐渡産の食材をふんだんに使った料理でパワーチャージ
写真/F.WAVE

「ビーチダイビングで人気の『虫崎』には、薬膳料理が味わえる古民家レストラン、メレパレカイコがあります。島の食材を使ったこだわりメニューを海を眺めながらのんびり楽しめます」(登内 美柚希さん)

シーカヤック

シーカヤック

写真/F.WAVE

シーカヤックで透明度の高い海の上をのんびり散歩。ダイビングとはまた違った海の楽しみ方ができます。

佐渡へのアクセス方法は2パターン

関東・東北方面から飛行機や新幹線で新潟駅へ行く場合

新潟港⇄両津港(佐渡島中部)の利用がおすすめ! 新潟駅から新潟港まではバスやタクシーで約10〜15分。乗船時間はジェットフォイルで約1時間7分、カーフェリーで約2時間30分です。

北陸・中部・関西から新幹線で上越妙高駅へ行く場合

直江津港⇄小木港(佐渡島南部)の利用がおすすめ! 上越妙高駅から直江津港はバスやタクシーで約20〜30分。乗船時間はジェットフォイルで約1時間15分です(カーフェリーはなし)。

佐渡滞在時のワンポイントアドバイス

佐渡は車で一周するだけでも7時間はかかる大きな島。宿泊する宿がダイビングスポットから遠い宿だと、最長で2時間の移動時間が必要になる場合も……。自身の車両やレンタカーではなく、ダイビングサービスの送迎をお願いする場合は特に注意が必要です。各サービスがダイビングに適した宿を紹介してくれるので、問い合わせてみましょう。

佐渡のダイビングイベント情報

佐渡水中フォトコンテスト
応募締切:2024年6月30日(日)
2023年7月〜2024年6月に佐渡で撮影された水中写真が応募条件。作品は2024年8〜9月末まで佐渡汽船新潟ターミナルにて展示予定。

 

水中七夕ダイビング
2024年7月6日(土)/開催場所:北小浦
2024年7月7日(日)/開催場所:小木
35年前から行なわれている、県内外から50名以上のダイバーが訪れる人気イベント。短冊に願い事を書いて、ダイビングをしながら海底に設置された笹竹に飾ります。終了後は地元の方が作る佐渡料理の昼食付き!

琴浦洞窟プロが焼くBBQナイト(小木ダイビングセンター)
2024年9月28日(土)、29日(日)/開催場所:《小木ダイビングセンター》横の溶岩洞窟
ダイビング後は洞窟内でその場で釣った魚を焼いて、BBQランチを楽しみましょう!

水中クリスマスダイビング
11月9日(土)/開催場所:北小浦
コブダイがいる「赤岩」に設置されたクリスマスツリーを見ながらダイビング! サンタクロースやトナカイに仮装するダイバーも多く、海中は華やかなムードに包まれます。愛情たっぷりの佐渡料理の昼食も付きます。

※お問い合わせは「佐渡スキューバダイビング協会」の加盟店へ

「佐渡スキューバダイビング協会」加盟店リスト

佐渡スキューバダイビング協会に加盟しているサービスで安全・安心にダイビングを楽しみましょう! 

F.WAVE
代表:本間 光雄
佐渡市住吉 852-17
TEL:0259-24-1810
FAX:0259-24-1812
MAIL:fwave@rose.ocn.ne.jp
URL:https://fwave.jp/

海風
代表:高嶋 廣光
新潟市中央区笹口4-8 1F
TEL:025-240-0555
FAX:025-240-0555
MAIL:kaifu.t@dream.ocn.ne.jp
URL:https://www.sado-diving.com/

フリーウェイ
代表:佐久間 均
佐渡市東大通 1211-3
TEL:0259-52-5781
FAX:0259-52-5782
MAIL:freeway@cocoa.ocn.ne.jp
URL:https://niigata-freeway.jimdo.com/

ピアハウス
代表:池田 満
新潟市中央区東大通 2-10-7
TEL:025-290-4000
FAX:025-290-4000
MAIL:pierhouse@forest.ocn.ne.jp

小木ダイビングセンター
代表:髙嶋 美樹子
佐渡市琴浦 225-2
TEL:0259-86-2368
FAX:0259-86-2368
MAIL:ogiodc@violin.ocn.ne.jp
URL:https://www.sado-diving.com/

協力/佐渡スキューバダイビング協会
写真・情報提供/《F.WAVE》登内 美柚希さん、《小木ダイビングセンター》高嶋 廣光さん、《フリーウェイ佐渡店》小出 博之さん
ライター/新井 夏海