自然写真家 高砂淳二さん イルカと潜る!サメ&魚群に巻かれる!!
タヒチ ランギロア&ファカラバ

自然写真家の高砂淳二さんがタヒチのランギロアでイルカ、ファカラバのものすごいサメの大群を撮影しようと2024年10月、ランギロアとファカラバへ。MDウェブ編集ライター後藤も同行し、噂のイルカダイビングとシャークの壁を体験レポートすることに。高砂さんの撮り下ろし作品とともに地球の奇跡の海をご堪能ください!
※2025年6月現在の情報です
写真/高砂淳二
協力/タヒチ観光局、ハワイアン航空
レポート/後藤ゆかり(MDwebデスク)
ランギロアがイルカの島になっていた!!
世界で2番目に大きなラグーン ランギロア環礁

細長い島が輪のように連なるのが「環礁」。ランギロア環礁の一部
ランギロアってどこにあるの? どんな島なの?
タヒチ(正式名称「フランス領ポリネシア」)は、ヨーロッパ全土に匹敵する広大な海域に118の島々が点在、5つの諸島に区分けされます。ランギロアはタヒチ島の北東に広がる76の環礁から成るツアモツ諸島最大の環礁。人口3,000人弱のとてものどかな島です。
タヒチの他の諸島と異なり、サンゴ礁が隆起してできた平たく細長い島がリング状に点在しているのが特徴で、高い山がなく、島にひとたび降り立つと、美しいラグーンと藍色の外界が水平線の向こうまで果てしなく続いています。幅が狭いところでは右にも左にも海! 夢のような美しい世界が広がっているのです。
大物天国で知られるランギロア

大きなナポレオンもランギロアの海の常連
コロナ禍以前、ランギロアでイルカとダイビングができると聞いてはいたけれど、ダイバーに近づいてくるのは1頭とか多いときでも3~4頭。しかも特別なガイドさんのそばに来るぐらいでした。そもそもランギロアがダイバーの間で人気になったのは、何種ものサメ、マンタやナポレオンなどの大物、銀鱗の回遊魚群、それに透明度の良さやチャネルのドリフトダイブなどが理由で、イルカは船上から見るぐらいでした。水中撮影で何度も訪れている高砂さんも筆者も、ランギロアといえば大物&大群のイメージが大でした。
1本目は……イルカがいない!?

大きなカマスの仲間も群れています
ダイビングは《トップダイブ ランギロア》で。初日は水中イルカダイビングのベテランガイド、Hitiさんが担当してくれることに。Hitiさんは「そもそも昔はランギロアには80頭ぐらいイルカが生息していて古くから馴染みのある生きもの。ここ十数年前からダイビングをしているとそばに来るようになりました。イルカたちは人気スポット『ティプタパス』を行き来していて、“眠る・食べる・遊ぶ”の3つのエリアがティプタパスを出たエリアにあります」と話します。
早速ダイビングへ! 深場にグレイリーフシャークがいたり、中層にバラクーダ、棚上では巨大ナポレオンがいたりと、いつもながらの大物のオンパレード。でも、肝心のイルカは姿を見せません。結局1本目は会えずじまいでした。
人懐っこいイルカたちが次々と!

イルカがHitiさん(右下)に向かってやってきました!
2本目もイルカ狙いで「ティプタパス」へ。ショップからボートで5分ぐらい、パスのアウトサイド側、「イルカが遊ぶエリア」でエントリー。10分ぐらい経ったでしょうか。「また会えないのか」と不安になっていたところ、水中でキュンキュンとイルカの鳴き声が! 振り返るとハンドウイルカが2頭、こっちに向かってきます。手を広げて歓迎ポーズをするHitiさん。じゃれつくようにHitiさんに向かっていくイルカたち。体長は3mぐらいあって意外に大きいです。すると、また後ろの方から3頭、さらにまた……と、次々とイルカたちがやってきます。「ランギロアは今、スゴイことになってる!」と高砂さんも筆者もびっくり。
1本目に会えなかったのがウソだったみたいに…

イルカのペアの奥にもまたイルカ♪ 幸せな海が広がるランギロア
初日の1本目に会えなかったのが嘘だったように、イルカたちは毎回私たちの目の前に遊びに来てくれました。タヒチでは生物の保全保護のためにイルカや生きものには決して触ってはいけないのですが、イルカのほうからダイバーの腕や脚にすりすりと体を当ててくるほど。高砂さんのカメラの前にもイルカが鼻先をこすり付けんばかりに寄っていきます。これでは誰もがドルフィンダイビングに夢中になるわけです。
スクーバダイビングでイルカと遊べる貴重な海

「お腹を撫でて~」といわんばかりにやってきたイルカ。「イルカの子どもがはしゃぎ過ぎて僕にぶつかってきたときの、ゴムボールのような弾力が今も体に残っています」と高砂さん
高砂さんも「長年潜っていますが、タンクを背負って潜っている時に、イルカに遭遇したことは、ほとんどないですよね」と、驚きを隠しません。「イルカは目が見える上に、音波を発してその跳ね返りで辺りを“見る”という技も使っているから、こちらから彼らの姿が見えなくても、彼らにはこちらの姿はお見通し。わざわざ野生のイルカが、泡をボコボコ吐いて泳ぐ怪しい生き物に近づいてくるわけはないんですよ。でも、ランギロアでは、イルカがこっちにお腹を見せながら“撫でて~”といわんばかりにやってきました。すっかり人間から警戒心を解いて、人馴れしている。ここではダイバーがイルカのことを尊重して、ルールを守ってダイビングをしているため、イルカも警戒せずに近づいてくるようになったんだそうです。人の行動が変わると、自然の生き物のほうも変わってくれて、信頼関係ができてくる。感心します」とのこと。イルカと人との関係を今後もずっと続けていくために必須です。
ダイバーの泡をパスして遊ぶイルカにくぎ付け!

ダイバーが吐いた泡で遊んでる!!
ランギロアでは結局7本中6本、イルカと遊ぶことができました。現在、ランギロアのイルカ(ハンドウイルカ)は、25~30頭生息しているといわれますが、いやいや、もっといるでしょう!というぐらい、たくさんのイルカが目の前に現れては泳いでいき、また現れては去り、を繰り返していました。中には子どもだと思われる小さな個体も何頭かいました。
子どもたちが目の前から頭上に何頭か上がっていったので、様子を眺めていると、私たちダイバーが吐いた泡で遊んでいます。最初は口先でツンツンと遊んでいるだけだったのですが、よく見ると2頭で泡をパスして遊んでいるのです!! ちょっと遠かったので写真も動画も撮れませんでしたが、目に焼き付いて離れないシーンとなりました♡
ランチもティプタパス沿いでドルフィンウオッチング

ティプタパスで波乗りをして遊んでいたイルカの親子
《トップダイブ ランギロア》でもう一人担当してくれたガイドのベレンさんにオススメのランチ店を聞いたところ、ティプタパス沿いでイルカが見られてリーズナブルだからと、ペンション《Les Relais de Joséphine》(レ・ルレ・ドゥ・ジョセフィーヌ)を勧めてくれました。イルカに会える!と早速向かうと、レストランの海辺のテラスはもう満席。その先に見える海はまさにティプタパスで、よく見ると、イルカが泳いでいたりジャンプしたりしています。見え始めるとゲストたちが声を上げてくれるので、それまではランチを食べるのに集中……と思いきや、高砂さんは海が気になって食べるどころではなかったようです。

《Les Relais de Joséphine》のテラス席はティプタパスに面した、ドルフィンウオッチングに最適な場所
Photo by Yukari Goto
ランギロアでお世話になったTOP DIVE Rangiroa

目の前に桟橋があり、桟橋からボートに乗り込みます
《TOP DIVE Rangiroa》(トップダイブ・ランギロア)は、ティプタパスからボートで5分ぐらいの海辺に立つPADI5スターのダイビングサービス。ランギロアのほかにタヒチ島と、ファカラバの北と南に全4店舗があり、ナイトロックスは無料(追加料金不要)です。
ランギロア店は以前、日本人スタッフがいたこともあり、日本人にもやさしいお店。イルカとのダイビング狙いのゲストがとても多いのですが、サメや大物狙いのダイビングも行っていて、リクエスト次第でグループ分けしてくれます。
店の内外に蚊が多いこともあるので、虫よけを持参することをお勧めします。店内にコーヒーや紅茶、水が飲めるサービスも。
ユネスコ生物圏保存地域ファカラバ
南北のパスがファカラバを有名に

ファカラバ島北部の「ガルアエパス」付近。休憩しているダイビングボートが浮かんでいます
イルカダイビングをたっぷり撮影した後、ランギロアの南約150kmに浮かぶツアモツ諸島のファカラバ環礁に向かいました。
ファカラバはツアモツ諸島で2番目に大きな環礁島で、南北に約60km、東西の最大幅約25km。環礁の南北に2つのパスがあり、この2つのパスがファカラバを世界的なダイビングスポットとして有名にしています。北は「ガルアエパス」(またはノースパス。グランノースと呼ぶ人も)といい、その大きさはタヒチ最大。南の「サウスパス」は逆に狭く、谷のようですが、レモンシャーク、ホワイトチップシャーク、ハンマーヘッドシャークなどたくさんの種類のサメが集まること知られています。
ファカラバの海の豊かな環境は、ユネスコの生物圏保存地域として登録されています。
グランブルーの海中は魚のスープ!?

大型ナポレオン。向こうにはメアジの群れが壁のように群れています
ファカラバに到着した翌日、朝7時過ぎにダイビングショップ《O2ファカラバ》に集合。出発前にガイドのジェシーさんがファカラバの地図を見せながらフランス語と英語でブリーフィングをします。
ショップの目の前の桟橋からボートに乗り約20分。エントリーするとすぐ下にハンドウイルカが3頭! 水中は上下の感覚がなくなるほど、まさにグランブルーです。
さらに5分ぐらい泳いでいくと、海底が動いている!? よく見るとメアジの大群がまるで層の厚いじゅうたんのように折り重なっていたのです。大きなナポレオンが来たり、ブダイやベラなどのリーフフィッシュが行き交うなか、ガイドはすんずん進んでいきます。
透明度がいいからサメの群れの奥の奥まで見える!

グレイリーフシャークはブルーの海中で奥の奥まで群れていました
ジェシーさんの動きが止まった……と思ったら、その先にグレイリーフシャーク(現地ではグレイシャークとも。和名オグロメジロザメ)の壁が視界一面に!! ファカラバはサメ好きダイバーには最高!とよく聞きますが、本当にそのようです。透明度がいいので、近づかなくても見えるのですが、近づくと、手前のサメの向こうにサメの群れ、さらにもっと奥にも群れととにかく奥行きがスゴイ。もう何匹いるかわかりません。
今回、何度も同じ場所を潜りましたが、潮の流れが変わっても、透明度が変化しても、グレイリーフシャークはそこで泳ぎ回っています。周辺にはメアジの大群、イソマグロやツムブリなどの回遊魚や大物のナポレオン、チョウチョウウオの仲間、アカヒメジの群れなどほかの魚もいっぱい。たぶんサメにも食べきれないほど魚が多いんですね♪
見逃せない「アリババ」

イッテンフエダイの“点”がないバージョン。オーバーハングから全員がこちらを凝視!?
1本目に、「『ノースパス』の後半に、水深20mの海底からそびえ立つ大きな根は“アリババ”と呼ばれ、魚影が非常に濃いからぜひ行こう!」と案内されていたのですが、サメの魚群が凄すぎてアリババにはたどり着けませんでした。2本目こそ!と行ってみると……「魚影が濃い」とはこのことだ!とばかりに、びっしりと魚たちが海中にひしめき合っています。

ぎっしりと集まったヒメフエダイの仲間たち
ヒメフエダイの群れがぎっしりいるのですが、1カ所だけでなくあちらにもこちらにも。撮影している高砂さんの邪魔にならないように、筆者は後ろに回り込むようにしているのですが、気づくと魚群で高砂さんがどこにいるか見えなくなるほどです。こんな群れは見たことがありません!
立ち上がる根がオーバーハング状になっていて、そこにも魚がびっしり。空いているなと思うと、海底に大きなネムリブカがドーンと寝そべっていたり。魚、魚、魚です。“アリババ”、恐るべし。

オーバーハングでは大きなネムリブカがクリーニングされています
日本ではあまり見られない魚種も

太平洋のトロピカルエリアにいるフレームエンジェルフィッシュ
ファカラバでは、マンタのクリーニングステーションがあるスポットにも潜りましたが、残念ながら取材中は会えずじまい。サメだけじゃなくマンタも狙えるなんてすばらしい。 ほかにもよく見ていくと、珍しいスズメダイの仲間もいるし、きれいなフレームエンジェルフィッシュやオレンジフィンアネモネフィッシュもいたりして、フィッシュウオッチングも楽しい海です。《O2ファカラバ》ではタヒチで見られる魚図鑑も閲覧できるので、ぜひチェックしてみてくださいね!

タヒチの海域では珍しいクマノミですが、このオレンジフィンアネモネフィッシュは比較的見つかります
ファカラバでお世話になったO2 Fakarava

ラグーンに面した高床式の建物がダイビングサービス
ファカラバの中心地、ロトアバ村の中心地から南へ約3km、ラグーンに面したビーチに立つダイビングサービスです。「ノースパス」へのダイビングツアーを午前2ダイブ、午後1ダイブ行っているほか、「サウスパス」や離島のトアウへ週1~2回、遠征ツアーを開催。ボートはゾディアックタイプ。海況が荒れている際はフィンを履いたままラダーから上がります。
レンタル器材は残圧計が日本とは異なるpsi表示。1000(約70bar)になったら浮上準備を。
ボートダイビングでは水やお茶のサービスがあるのがありがたかったです。
フランス系のダイビングサービスで潜るときの注意点
ランギロアとファカラバには、ダイビングサービスも何軒かあります。フランス本国の法律や条例の下で経営されていて、ダイビングスタイルはフランス風。日本と大きく異なるのは、ボート上で器材を装着する際に、「フィン・ファースト」で、何よりも先にフィンを履いてから、BCやマスクを装着することです。フィンを履いていれば万が一海に落ちても、溺れないということなんですね。
ボートは「ゾディアック」と呼ばれるゴムボートを改造したタイプがほとんど。この場合、ダイバーはグループごとに一斉にエントリーするのが鉄則です。
ガイドスタイルは、リードはするけれどリクエストしない限りあれこれ細かく見せたり面倒を見たりすることはない、ヨーロッパスタイルです。
ローカルな雰囲気が最高!
旅プチガイド ランギロア編
宿泊情報
タヒチ島の北東約350km、国内線のエア・タヒチで約1時間。ランギロアにはいくつかのホテルとローカルなゲストハウスがあります。ダイビングをするなら空港のある島に滞在するのがベストですが、東隣のティプタ村やモトゥと呼ばれる小さな離島にゲストハウスもあります。
水上コテージのあるランギロア最大級のリゾートホテルの予約が取りづらいときは、リーズナブルなB&Bタイプの家具付き宿泊施設という選択肢もありです。初めて訪れる方は、レストランが併設されているホテルまたはペンションをおすすめします。
B&B宿泊でよりランギロアを感じる

高砂さんが泊まったBlue Kohitiと、奥が筆者が泊まったRoyal Kavake Bungalow
高砂さんのコテージは、エアコン付き。ベッドルームに、電子レンジやコーヒーマシン、冷蔵庫など簡単なキチネットがあります。ただ、自炊には適さないので、島での食事を楽しみたい方向きです。

《Royal Kavake Bungalow》のテラスに併設されているキッチン
Photo by Yukari Goto
一方、私のほうのバンガローはエアコンがなく、でもトイレ&シャワールームが広く、テラスには大きな冷蔵庫、流しとガスコンロがあり、キッチンカウンターやダイニングテーブルまであって広々しています。朝食は作って食べることにしました。
ランギロアの食事情
リゾートホテルなら併設のレストランがオススメ。B&Bやレストランがないペンション宿泊の場合は、島のレストラン(「スナック」と呼ばれる店が多い)で食べるか、キッチン付きであれば「マガザン」と呼ばれるスーパーマーケットで食料を買って調理するかになります。ここでは、ランチで行った《レ・ルレ・ドゥ・ジョセフィーヌ》をご紹介!

《Les Relais de Joséphine》のランチメニューからチョイスしたのは長さ40cmぐらいあるパニーニ(800~1100XPF)とサラダ(600XPF)
Photo by Yukari Goto
料理はフランスパンにチーズ、野菜、ハムまたは燻製の魚を入れて焼いた3種のパニーニが人気。長さ40cmぐらいあり、大食いの筆者は平らげましたが、普通は2人で1つでもいいでしょう。私たちは結局イルカ撮影のために毎日通い、いろいろな種類をいただきました。他には、パイや魚料理などが付いたワンプレートランチも人気。どれも味は日本人の口にも合う、美味しいものばかりでした。
なお、マガザンは、ホテル・マイタイ・ランギロア近くの《Magasin Vaimariu》(営業時間5:30~18:30 日曜定休)と、ティプタパス側《Snack Puna》近くの《Magasin Henriette》(営業時間5:30~11:30、14:30~17:00 日曜定休)、アバトル村中心にある《Magasin Daniel》(営業時間5:30~11:45、14:30~18:45)が品数がそろっていて、野菜や果物、パン、ハム・チーズ類、アルコールやドリンク類が豊富でオススメです。
日曜日に開いているのはアバトル村の《Market》(営業時間5:30~18:30 無休)です。
*小さいお店の為、営業時間や休業日が変更となる場合があります。
ランギロアのお土産
ランギロアの定番土産といえば、黒真珠、パレオといったところ。黒真珠はタヒチ島などほかの島よりもお手頃な価格で購入が可能です。また最近はランギロア産のブドウから造られたワインも人気のお土産となっています。

左上/ランギロア産のワイン「Vin de Tahiti」が試飲できる《Cave de Rangiroa》
右下/経営者の奥様は日本人(タヒチ島にいることが多い)黒真珠の店《ikimasho black pearls》
Photo by Yukari Goto
ランギロア内の移動手段
ランギロアにはタクシーはありません。空港からは宿の送迎をあらかじめ手配しておきましょう。レンタカー会社はアバトル島に3社、ティプタ村に1社ありますが、台数が少ないので事前に予約しておくこと。マニュアルカーが基本ですので、要注意です。
宿泊施設のレンタサイクルを利用するゲストが多数です。ただし日中は暑さと日焼け対策が必要ですが。また、この自転車、ブレーキは手元になく、ペダルを逆回転させることでブレーキがかかるしくみになっています。慣れないと転びます。注意しましょう。
ランギロアでは話題の「紫金山・アトラス彗星」を目撃!

16万年に一度しか見られないという貴重な彗星も撮影できました
ランギロアという名前は現地の言葉で「広い空」という意味。観光名所らしきものはほとんどないのですが、世界で2番目に大きな美しいラグーンはどこにいてもフォトジェニックですし、青くて大きな空がいつも広がっています。夜は満天の星がきらめき、天の川も普通に見られます。
取材当時、日本でも話題になっていた紫金山・アトラス彗星が見られるのでは?と、明るいうちにロケハンをしておき、《TOP DIVE Rangiroa》のすぐ近くにある公園ならヤシの木入りで撮れるかも!ということになりました。
街灯のない公園はしんと静まり返り、星の光にヤシの木々が浮かび上がります。そんな中、「見えるよ、見える!」と高砂さん。流れ星は見えますが、裸眼では難しかったのですが、ファインダーで紫金山・アトラス彗星、見えました!!
海と太陽と素朴な島が最高!
旅のプチガイド ファカラバ編
ファカラバの宿泊事情
タヒチ島の北東約453km、国内線エア・タヒチで約1時間10分のファカラバは、空港のある島はL字を逆さにしたような形で長さ約34kmと細長く、L字の角辺りがロトアバ村というメインプレイスとなっています。この周辺におよそ20の宿泊施設、そしてボートでしか行けないサウスパス近くのテタマヌ村に1つあります。
インターナショナルブランドのホテルはなく、最大級の《Havaiki Lodge》で客室数16とこぢんまり。ペンションタイプやB&Bタイプの宿泊施設が多いです。キャンプ場もあります。また、ヨットで船上ライフを楽しむ人も少なくありません。

取材時に滞在した《Teariki Lodge》は1棟1室、キッチン付きのB&B
私たちが泊まったのは、空港から約13.7km南の《Teariki Lodge》(テアリキ・ロッジ)です。目の前にロッジのプール、その向こうに広大な海(外洋)が見えます。
私が泊まった部屋にはロフトもあって、上と下で3~4人が寝られるようになっていました。キッチンも広くて大きく、4つのコンロがあるガスコンロ、ガスオーブンまであります。冷蔵庫も大型です。食器類、鍋類もいろいろあって、ばっちり自炊ができます。ダイニングテーブルも6人掛け用。テラスも広く、とても快適な「家」です。
ファカラバの食事情

《O2 ファカラバ》の庭にトラック屋台《O2COCO》が水曜日以外毎日来ていて、ランチに最高!
私たちが夕食で訪れてオススメだったのは、
◎Snack Chez Tetui ロトアバ村中心地 ローカルのフランス料理(中華風でリーズナブル)営業時間10:00~13:30(水曜は14時まで)、18:00~21:00 無休(取材時、休みの日もありました)
◎Snack Kori Kori 《Kori Kori Lodge》内 ハンバーガー、カレーなど。営業時間11:30~14:00 日曜定休
*小さいお店の為、営業時間や休業日が変更となる場合があります。
ファカラバでは、日本から持参したパスタやパスタソース、チンするご飯等がとても役立ちました。現地のマガザンでは野菜、チーズやハム等とフランスパンを購入(タヒチ島にはあるお惣菜はありません)。朝食、夕食に大活躍でした。
ちなみにマガザンではランギロアでもファカラバでも、冷やしたヒナノビールは手に入らず、すべて生温かい状態で販売されていました。
ファカラバ観光とお土産

ファカラバでは美しい海を眺めながらのんびり過ごすのが一番!
ファカラバにはお土産店がほとんどありませんが、ロトアバ村の港がある中心地付近に黒真珠の店や土産店が点在。黒真珠は美しいデザインのアクセサリーもある店もあり、良質のものがタヒチ島などよりもリーズナブルなので、おすすめです。
ファカラバ内の交通事情
ロトアバ村と空港をつなぐローカルなバスはありますが、運行時間などは合わないので、利用するならレンタカー、レンタルバイク、レンタサイクルといったところ。ダイビングの行き帰りは送迎サービスを利用すれば大丈夫です。
ランギロアのイルカに、ファカラバのサメや魚群を撮影
自然写真家 高砂淳二さんプロフィール

高砂淳二さん
Junji TAKASAGO
(プロフィール)
1962年宮城県石巻市生まれ。自然写真家。
熱帯から極地まで世界中の国々を訪れ、海中、生きもの、虹、風景、星空など、地球全体をフィールドに、自然の繋がり、水や生命の循環、人と自然の関わり合いなどをテーマに撮影活動。著書、写真展多数。テレビやラジオ、雑誌、講演会などでも活躍。2022年には自然写真界最高峰といわれる「Wildlife
Photographer of the Year」自然芸術部門で最優秀賞を受賞(ロンドン自然史博物館主催)。2024年にはパリの日本文化会館で写真展を開催するなど世界的にも有名。また写真展「この惑星(ほし)の声を聴く」を開催、同名の写真集も出版。7/19~8/24には、鳥取市歴史博物館やまびこ館開館25周年記念特別展として約100点を展示予定。海の環境NPO法人OWS副代表理事。
タヒチの旅のお役立ち情報
日本からタヒチへ
タヒチ、フランス領ポリネシアへは、エア タヒチ ヌイが成田-タヒチ島パペーテ間に直行便を運航(2025年6月23日~8月29日までは運休)。成田発が火・金曜、パペーテ発が月・木曜の週便。所要時間は行きが約11時間です。
また、ハワイアン航空でホノルル経由でパペーテにアクセスするのも便利です。
旅する前にチェック! タヒチ観光局サイト
どうやって行くか? どんな宿泊施設があるのか? 通貨や言葉は?といった、概要から細かいことまで知りたいことを《タヒチ観光局》の公式サイトでは教えてくれます。タヒチの大自然を永遠に守っていくためのサステナビリティあふれる過ごし方の提案もあります。
Photographs by Junji Takasago
Special Thanks to Tahiti Tourisme, Hawaiian Airlines
Text by Yukari Goto